« 前立腺の膀胱内突出 IPP(intravesical prostatic protrusion) | トップページ | 親子の慢性前立腺炎患者さん »

学会発表報告 日本泌尿器科学会総会 2009年4月18日岡山大会

200904以前に予告したように、2009年4月18日(土)に岡山の日本泌尿器科学会総会で発表しました。
内容は、下記のようです。制限時間は、たった3分ですから十分に説明できないことが残念です。

2009042私は、難治性の慢性前立腺炎は、機能性あるいは器質性の膀胱頚部硬化症などの排尿障害が原因だと考え、内視鏡手術を行っています。
手術をしていくうちに、慢性前立腺炎の会陰部痛などの不定愁訴が取れることが分かりました。

2009043膀胱三角部を含めた膀胱頚部周辺に慢性前立腺炎の不定愁訴と密接に関係したトリガー・ポイントが存在することが分かりました。ここで、その代表的な患者さん3症例を報告します。

200904449歳の男性です。
40歳のころから、会陰部痛・睾丸痛が出現し、複数の泌尿器科で慢性前立腺炎と診断されました。しかし治らないので当院を受診しました。

2009045検査では、排尿障害と膀胱頚部全周のリング状硬化像を認め、膀胱頚部硬化症と診断しました。
α-ブロッカーの服用で、慢性前立腺炎症状は軽快しました。しかし、以前から原因不明の胃痛と肩の痛み・首の痛みがあり、膀胱頚部硬化症の関連痛との可能性は否定できないと伝えたところ、患者さんの強い希望で手術になりました。

2009046ご覧のように、膀胱頚部を切除・切開しました。
膀胱頚部9時の位置で胃痛と背部痛が誘発されました。

2009047手術後、慢性前立腺炎症状の他、原因不明の胃痛・肩・首の痛みも消失しました。

20090482例目は、17歳男性です。
16歳より尿道に強い残尿感を感じ、大学病院を含めた4軒の泌尿器科を受診し、いずれも「慢性前立腺炎」の診断で治療しましたが治らずに、当院を受診しました。

2009049検査で排尿障害と膀胱頚部硬化症の所見を認めました。
α-ブロッカーを処方しましたが症状の改善を認めません。症状が辛く勉強が手に付かず、患者さん本人と親御さんの強い希望で手術になりました。

20090410手術はご覧のように実施しました。
切開した全てに尿道部の痛みが誘発されました。

20090411術後、尿道の残尿感は軽快し、その甲斐あってか、無事に大学に合格しました。

200904123例目は64歳の男性です。
以前から慢性前立腺炎と診断されていました。「耳鳴り」と「めまい」もあり、「突発性難聴」と診断されていました。

20090413検査で、排尿障害と前立腺肥大症を認めました。

20090414患者さんの強い希望で手術になりました。
手術中に関連痛は誘発されませんでした。

20090415前立腺肥大症の手術は、本人の希望で逆向性射精を作らない程度の切除にとどめました。
術後、慢性前立腺炎症状は軽快しました。さらに「めまい」まで消失しました。残念ながら「耳鳴り」は残ったので、さらに2回目の手術を患者さんは希望しています。

20090418さて、「関連痛」は生理学の教科書にも記載があるような基本的概念である。
しかし、臨床現場の医師が十分に理解しておらず、患者さんを「精神科的病気」あるいは「心因性」と誤診する所にも問題があります。

20090416膀胱や前立腺の「関連痛」であれば、下半身の症状が出現することは容易に理解できるでしょう。

20090417しかし、膀胱三角部・膀胱頚部・前立腺の病的情報が、脊髄を介して脳中枢に上行する間に、1例目の患者さんのように上半身の関連痛を起こしたとしても、不思議ではありません。

20090419今回のトリガー・ポイントに関して、私の見解を述べます。
慢性前立腺炎や膀胱頚部硬化症の患者さんには、もともと機能性の排尿障害がおそらく存在していたのでしょう。機能性排尿障害が排尿時に膀胱頚部を振動させます。膀胱頚部には次第に硬化組織が作られます。また、振動刺激は周囲から神経の萌芽を促します。膀胱頚部の硬化組織は、ますます膀胱頚部を振動させ、遂には硬化組織と神経が接合し「トリガー・ポイント」として完成するのです。

20090420(発表時間たった3分で、とても時間がなく、説明を飛ばしました)

20090421(発表時間たった3分で、とても時間がなく、説明を飛ばしました)

20090422慢性前立腺炎の患者さんの中に、膀胱頚部硬化症で苦しまれている患者さんが存在する事実を認識してほしい。
生理学的現象である「関連痛」を理解し、「トリガー・ポイント」という治療のための概念を理解し、広く治療に役立てられることを望みます。

Okayama2009【補足】
ポスターの掲示している間(7時間)と発表の際に、6人ほどの医師から質問と感想を受けました。
感想はいずれも好意的でした。質問は術式に関する事と診断法に関する事でした。ポスターで提示した症例と似た患者さんを経験した医師も質問され、治療の参考にするという意見もありました。

このセクション司会の岡山大学の先生から、膀胱三角部切開についての質問がありました。また、ご自分の診療で、真珠様陰茎小丘疹の患者さんの説明に私のブログ写真を利用されておられ感謝の言葉をいただきました。

このポスターを「慢性前立腺炎」のセクションで発表したかったのですが、主催者が「その他」のセクションに振り分けたので、慢性前立腺炎を主に専門にしている医師たちの目にはとまりませんでした。残念です。

4月19日(日)は東京で代替医療の研究セミナー(統合医療塾:川嶋朗先生主催)に出席のため、19日の学会には出席できませんでした。しかし、セミナーで新たなヒントを得ました。もしかすると新しい治療法ができるかも知れません。

|

« 前立腺の膀胱内突出 IPP(intravesical prostatic protrusion) | トップページ | 親子の慢性前立腺炎患者さん »

コメント

高橋先生、お疲れ様でした!先生の治療方ができる限り多くの県でスタートする事を切に願います。
まだまだ 原因もわからずに途方に暮れている人は大勢いると思うので……。
「気のせい」や 「精神科の病気です」 と 言われて……。

高橋先生、本当にお疲れ様でした☆

高橋クリニックからの回答
ご声援、ありがとうございます。

投稿: タモリ | 2009/04/20 23:05

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 学会発表報告 日本泌尿器科学会総会 2009年4月18日岡山大会:

« 前立腺の膀胱内突出 IPP(intravesical prostatic protrusion) | トップページ | 親子の慢性前立腺炎患者さん »