« 慢性前立腺炎の原因 「前立腺嚢胞」 | トップページ | 「会陰部痛」 2D画像の解析#2 »

「23年間の会陰部痛」 2D画像の解析#1 3D画像の分析で得られた2D画像の解析テクニック

慢性前立腺炎の患者さんに対して、3D画像の所見を根拠に、慢性前立腺炎=膀胱頚部硬化症の話を今まで解説してきました。
しかし、泌尿器科医で3D超音波エコー検査ができるのは、日本でも恐らく数少ないでしょう。下部尿路を立体画像で分析する医師はさらに少ないでしょう。
極論として高額な3D画像の診断機器を持っていなければ、慢性前立腺炎を診察できないというのでは、私の行なっている仕事は趣味の世界で終わってしまいます。これでは、慢性前立腺炎で苦しんでいる多くの方々を救うことはできません。私が一生で診れる患者さんの数はたかだか知れているからです。
この状況を打開するため、以前にも予告したように、3D画像から得られた事実を元に一般的に普及している2D画像読影に反映(フィードバック)できれば、私の仕事は無駄ではありません。
そこで、実例を上げ2D画像を解析しましょう。(最近、何人かの心ある泌尿器科医がこのブログを読まれているようです。臨床の現場に役立つよう、医師向けに詳細に解説します。素人の方は参考にご覧下さい。)

患者さんは九州在住の慢性前立腺炎の40代男性です。
23年前から会陰部痛などの慢性前立腺炎症状がありましたが、騙しだまし生活を送られていました。たまたま、このブログをお知りになり、私の先輩の医師から紹介されて来院されました。

Bns22833m48drflow尿流量測定ウロフロメトリー検査では、ご覧のように最初が急峻で、その後なだらかな排尿曲線を示しています。この所見は、膀胱出口の開放が不十分で、膀胱出口がリミッターになっている排尿曲線です。膀胱の駆出力が、膀胱出口を開放するのに精一杯で、その後駆出力が減衰していくのが読み取れます。
M51normalurflw411ml右の所見は、私が51歳の時の排尿曲線です。
これを正常の排尿曲線だとすれば、排尿曲線は、ほぼ単純な放物線に近いカーブを描き、排尿前半の傾斜と排尿後半の傾斜は左右対称です。


Bns22833m48dr3d3D画像の正面像(膀胱内側からの視点)では、ご覧のようです。
解説は後ほど。

Bns22833m48dr3d23D画像の側面像(膀胱・前立腺側面)では、ご覧のようです。
解説は後ほど。

Bns22833m48dr2d一般的な2D画像では、ご覧のようです。
解説は後ほど。

さてそれでは、それぞれの画像に注釈を設けて解説しましょう。

Wnlmorifice3D画像の解説の前に、正常の3D画像の正面像をお見せします。
膀胱内からの視点で膀胱出口を観察すると正常であれば、右の写真のようです。3D画像では、硬い部分、骨格・筋肉・線維・石灰が描出されるように画像を調整しています。前立腺のような腺組織や粘膜は水分を多く含んでいるので、3D画像では、透明・透亮像として描出されません。
画像の中心付近に丸い孔が見えます。これが膀胱出口です。実際は粘膜で閉じているのですが、粘膜が透けて見えるので、粘膜の厚みの部分だけ孔として観察できます。膀胱括約筋は膀胱出口のギリギリまで均一に覆っています。この画像を正常の3D画像としてみると・・・
Bns22833m48dr3dpp・・・この3D正面画像は一目見て正常には思えません。
理屈ぬきに感性で異常と即断できますね。その理屈で見ると、膀胱出口の周囲が縁取られていて硬化像が観察できます。また、前立腺の透亮像が見えるということは、膀胱括約筋を押しのけて前立腺が膀胱内に突出していると判断できます。
膀胱出口の中心ほどに白い影が見えます。後述しますが、前立腺の中程に存在する石灰です。3D画像は、焦点深度が深く、被写体を5cmの厚さで観察し、その情報を合成して画像を構築していますから、このような前後がないような画像になります。

Bns22833m48dr3d2pp3D画像の側面像です。
先ほどの3D正面像と違って感性では理解できない画像です。実は2D画像がこれに非常に近い画像なので、一般の泌尿器科医はもちろんのこと放射線科医も2D画像で描写されている情報を十分に読めていないのです。
3D側面像も3D正面像と対比しながら解析すると、十分理解できるようになります。
正面像で容易に判断できる膀胱出口周囲の硬化像は、側面像では痕跡程度にしか判断できません。逆に、正面像では不明瞭であった膀胱括約筋は、膀胱括約筋が肥厚しているのが容易に判断できます。正面像では不明瞭であった石灰は、側面像では明瞭に観察できます。
正面像では透亮像として理解するしかなかった前立腺の膀胱内突出は、側面像で容易に判断できます。
また、正面像では観察できなかった膀胱三角部が、側面像では膀胱三角部の肥厚として観察できます。

Bns22833m48dr2dpp上記の3D側面像を参考に、2D側面像を解析しましょう。
3D画像と明確に異なる印象は、膀胱出口が明確な凹みとして認識できることです。先ほど説明したように、3D画像では被写体深度が深く、5cmの厚さの情報を合成して画像を構築しますが、2D画像では焦点深度が浅く、5mm程度(約10分の1)の厚さの情報を画像構築しています。ですから、3D画像と2D画像では精密度が異なり、観察する人間の能力に依存します。しかし、3D画像を完全に理解していれば、2D画像の明瞭で繊細ですが意味不明の画像を理解できるのです。
膀胱括約筋の団子状態に肥厚している部分を厳格に「膀胱括約筋」と理解して読影していた泌尿器科医・放射線科医はいなかったでしょう。膀胱括約筋の間に前立腺がはさまれていることを知れば、排尿障害があって当然です。前立腺の大きさだけで排尿障害を理解しようとすること自体、いかに滑稽であることが、今になって理解できます。
また、膀胱三角部の肥厚が3D画像に比べ、際立って強調されています。
Nrm80003d2p比較するために、正常に近い3D側面像をご覧にいれます。
青い矢印は、上下の膀胱括約筋です。上下の膀胱括約筋は膀胱出口をはさんで随分と近くに寄っているのが確認できます。正面像で膀胱出口が丸い小さな孔である理由です。
膀胱三角部はほとんど見えません。排尿障害の膀胱三角部肥厚と比べれば一目瞭然です。
赤い矢印は、膀胱出口の硬化像です。硬化像があるにもかかわらず、この患者さんには排尿障害がありません。硬化像は排尿障害の必要十分条件ではないということがわかります。男性の排尿障害の主な原因は、膀胱括約筋が前立腺の前に位置しているか、横に位置しているかで判断できます。この患者さんの膀胱括約筋は前立腺の前、すなわち膀胱と前立腺の間に位置していますが、排尿障害の患者さんの場合は、膀胱括約筋が前立腺の横に位置しています。

【2D画像の解析のコツ】
まず、解析ができる価値のある画像を撮影しなければなりません。そのためのコツを伝授しましょう。
Normal2d一般的な2Dの超音波エコー検査で膀胱・前立腺を検査すると、このような画像になります。通常の設定のままであると、前立腺周囲は白くハレーションを起こしていて、解析する気分にもなりません。これでは、前立腺の大きさ程度にしか目が行きません。

Normal2dcontそこで、感度(ゲイン)をグッと低く調節すると、・・・アラ不思議・・・前立腺周囲の細かな構造が見えてきます。『これは何だろう?』という気分になるでしょう?このモチベーションが大切です。

Normal2dcontzoomズーム機能がある超音波エコー機器であれば、膀胱出口を中心にズームして下さい。ズーム機能がなければ、超音波深度を浅く調節すれば、画像が拡大します。
どうですか?ますます解析しようという気になるでしょう?

Normal56male2dppそうしたら、構造成分として認識できる全てに、名称を付けていくのです。100%は無理だとしても80%には名称が付けられるでしょう。すると、今まで何となく適当に観察していた2D画像が生き生きとして見えるのです。これを繰返し行なえば、正常と異常が瞬時にして判断できるようになります。お試しあれ!

|

« 慢性前立腺炎の原因 「前立腺嚢胞」 | トップページ | 「会陰部痛」 2D画像の解析#2 »

コメント

半年前に口や手淫されまして、翌日から亀頭が痛くなり二週間位たった頃にカリの部分だけが紫になり一部は水ぶくれのような状態になりました。以後この状況ですが、長時間椅子に座ったりしてると亀頭がジーンとした痛みがでます。性病でしょうか?何が完治に効き目あるのでしょうか?慢性前立腺炎?と高橋先生が言っていた通り何軒か行った泌尿器科の内一軒のお医者様が前立腺まで言っちってると言ってました。一応クラビットを飲んでますが今後改善する可能性はありますか?

【高橋クリニックからの回答】
性行為感染症・STDではありません。
もともと排尿障害が隠れていて、今回の接触性皮膚炎(単純性亀頭包皮炎)を契機に症状(自律神経性血管症状と関連痛)が顕在化したのでしょう。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/
をご覧下さい。


投稿: 東北太郎 | 2009/01/31 17:23

お返事ありがとうございます。先生に治療してもらった場合、どんな治療なさいますか?手術などおこなうのでしょうか?費用はいくらくらいかかりますか?

【高橋クリニックからの回答】
お薬の治療と手術の治療です。
どちらも保健診療です。
3割負担で手術が6万円くらいです。

投稿: 東北太郎 | 2009/02/01 09:17

言われてみれば、思う事なのですが昔からいつもオシッコの量が少ないような感じがします。勢いもいも人より少ない感じがします。残尿も感じることがあります。尿はとても近いのですが、その割には量が少ないです。スボンやパンツを汚すことがあります。やはり関連あるのでしょうか?

【高橋クリニックからの回答】
関係があるからと思っているからこそ、このブログを書いています。

投稿: 東北太郎 | 2009/02/01 09:44

もう1つ聞きたいのですが薬や私生活で改善できるのであれば教えてください

【高橋クリニックからの回答】
薬はα-ブロッカーです。
水分を極力控えましょう。1日1リットル以下、できれば500mlです。

投稿: 東北太郎 | 2009/02/01 09:57

早速の回答ありがとうございます。aーブロッカーとは市販薬でしょうか?違うとすれば市販薬で治せないでしょうか? 地元の泌尿器科を回ってもヒリヒリやジーンとした痛みや明らかに紫になったりしてるのに治療して、しばらくして治らないと気のせいと言われてしまいます。高橋先生お願いします!

【高橋クリニックからの回答】
α-ブロッカーは、医師の処方が必要です。
それができないのであれば、・・・残念ですが、どうしようもありません。

投稿: 東北太郎 | 2009/02/02 07:42

クラビットを半年以上処方されていましたが、他の病院で血液検査や尿検査肛門の指圧検査等しましたが高橋先生が回答していたように性病ではありませんでした。頻尿の事を伝えたらデトルシトールとメイラックスを処方されました。先生に聞くのはおかしな事ですが効果あるのでしょうか?またαブロッカーの代用的な物は市販薬でないでしょうか?先生からの郵送は不可能なのでしょうか?

【高橋クリニックからの回答】
効果は少ないでしょう。
α-ブロッカーに代わるものはありません。

診察なしには薬を処方するのは、きな臭い医師です。
私は、真面目な医師です。無理を言わないで下さい。

投稿: 東北太郎 | 2009/02/02 19:49

言い忘れてましたが、尿を多少でも我慢すると包皮と亀頭のつなぎめの辺りがツネられてるみたいな痛みと言うか違和感があります。そこが水ぶくれみたいになって、カリが紫色になっています。

【高橋クリニックからの回答】
自律神経症状でしょう。
血管運動症状です。

投稿: 東北太郎 | 2009/02/02 19:54

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「23年間の会陰部痛」 2D画像の解析#1 3D画像の分析で得られた2D画像の解析テクニック:

« 慢性前立腺炎の原因 「前立腺嚢胞」 | トップページ | 「会陰部痛」 2D画像の解析#2 »