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「睾丸の痛み」 2D画像の解析#16

16testp22866m402d40歳の男性患者さんです。
5年前から左の睾丸の痛みを訴えています。地元の泌尿器科を受診し、「左副睾丸炎」と診断されましたが改善しません。本人は頻尿を自覚しておらず、1日10回の頻尿です。夜間は起きません。
前立腺の大きさは23ccで正常範囲です。

16testp22866m402d32D正面像です。
側面像だけでは把握できない場合は、2方向から観察します。

16testp22866m40flow尿流量測定ウロフロメトリー検査は、チョッと元気のない尿の勢いです。
排尿量204mlで残尿量7mlです。

16testp22866m402dpp2D側面像から観察した膀胱括約筋の12時と6時の接近具合は正常です。膀胱括約筋の肥厚も変形もありません。
目に付くのが、前立腺の真ん中に存在する前立腺結石です。

16testp22866m402d3pp2D正面像では、結石と思われる陰影が患者さんの右側に寄っているのが分かります。しかし右の膀胱括約筋から枝分かれしている陰影としても見えます。2D画像で解析できるのはここまでです。3D画像で分析してみましょう。

16testp22866m403dpp3D画像の尿道側から観察した画像です。ちょうど内視鏡検査の方向からの視点と同じです。
結石と思われた陰影は、エコーの強さから結石に間違いないでしょう。
膀胱括約筋の右側の発達が把握できます。

排尿障害が潜伏している場合の膀胱括約筋は、前立腺の中央(尿道)から遠ざかる傾向にあります。特に6時と12時の膀胱括約筋において顕著です。逆に石灰や結石は、前立腺部尿道内の尿の乱流によって生じますから、前立腺中央に近い部分に見つけることができます。

この患者さんの睾丸痛は、排尿障害による関連痛と考えます。

今までの2D画像の検討から、次の命題が成立すると考えています。
1.【膀胱出口の硬化像=排尿障害】・・・関連痛のトリガーとなる。
2.【膀胱括約筋の肥厚・変形=排尿障害】・・・排尿障害の主原因。
3.【膀胱三角部の肥厚=排尿障害】・・・膀胱刺激症状・関連痛と密接にかかわる。
4.【前立腺結石・石灰=排尿障害】・・・ご婦人の場合は、尿道の石灰として認める。
5.【前立腺被膜の肥厚=排尿障害】・・・男性のみ
6.【膀胱出口の膀胱内への盛上がり・突出=排尿障害】・・・排尿障害を増悪させる。
7.【静脈叢の発達=排尿障害】・・・一般的に瘀血(おけつ)と呼ばれる所見。

「何でもかんでも排尿障害にするなァ!」と怒られそうですが、私はこのように信じています。
一般的な2D画像の超音波エコー検査では、ほとんど無視される所見ですが、観点を変えれば、かなり重要な情報ばかりです。

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