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「夜間頻尿6回」 2D画像の解析#20

20bnsboo22883m692d69歳の男性患者さんです。
6年前から就寝から朝までの夜間頻尿が5回~6回と多く、朝からしゅうしっまで日中も10回以上の頻尿があります。患者さんの息子さんが、慢性前立腺炎症状を持った膀胱頚部硬化症で私が手術した方で、その息子さんの紹介で平成21年1月来院されました。
前立腺の大きさは13ccで正常よりも小さいです。

20bnsboo22883m69flowところが、尿流量測定ウロフロメトリー検査では、ご覧のようにチョロチョロ状態の排尿曲線です。
排尿量111mlで残尿量43mlでした。

20bnsboo22883m692dpp2パッと見は、ほとんど正常にしか見えません。
しかし、よ~く観察すると、6時の膀胱括約筋が肥厚していて、12時の膀胱括約筋との間が広くなっています。6時の膀胱括約筋は前立腺方向へ、12時の膀胱括約筋は膀胱内方向へ「へさき」を向けているので、そのすき間に前立腺がすべり込んでいるように見えます。赤い破線で囲まれた前立腺は、両方の膀胱括約筋に締め付けられますから排尿障害があっても不思議ではありません。膀胱出口閉塞症という形態です。
硬化像も認めます。

Anatomyciba2pp参考に前立腺周囲の解剖図です。(CIBAコレクションから)
正常であれば、膀胱・膀胱括約筋・前立腺の順番に並んでいなければなりません。この並びが前後するのであれば、正常の解剖学的配置ではありませんから、排尿機能も正常に働く訳がありません。
また、6時と12時の膀胱括約筋は、膀胱出口をはさんで真向かいに対峙(緑の矢印)していなければなりません。この正常の位置関係がなけれな、やはり機能障害=排尿障害になります。
さらに、膀胱三角部の断面は解剖図で表現できるほど厚みはありません。超音波エコー検査で、膀胱三角部が確認できる=排尿障害と考えてもよいでしょう。

恐らく、以前から膀胱頚部硬化症があり、その排尿障害の慢性的な負荷(振動エネルギー)が、膀胱括約筋のすき間(膀胱出口)に前立腺の侵入を許したのでしょう。【膀胱頚部硬化症→膀胱出口閉塞症】という命題が成立です。

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