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「陰茎芯部のムズ痒さ」 2D画像の解析#7

Cp22844m442d44歳の男性患者さんです。
平成20年9月ごろから、陰茎中心部(芯部)のムズ痒さを感じ、地元の大学病院泌尿器科を受診、「慢性前立腺炎」と診断されました。両側の睾丸も時々痛みます。抗生剤・牛車腎気丸・鎮痛剤・エビプロスタットを服用しましたが改善せず、平成21年1月になり症状が強くなったので、高橋クリニックを受診しました。
平成15年にも同じようなエピソードがありましたが、自然に治りました。
25歳の時に脊椎麻酔で虫垂炎手術を受けています。

Cp22844m44flow患者さんは、陰部の不快感のみを訴えていますが、お聞きすると1日10回の頻尿と尿の出の悪さがありました。
尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なうと、ご覧の排尿曲線で神経因性膀胱の排尿曲線のようにも見えます。
こんなにひどい排尿障害があるにもかかわらず、十分に調べもしないで「慢性前立腺炎」と診断した大学病院の泌尿器科医の力量が悲しいです。
排尿量は650mlで、残尿量318mlです。前立腺の大きさは18ccで正常の大きさです。

Cp22844m442dpp2D画像を解析しましょう。
まず目に付くのが、膀胱出口の硬化像です。膀胱出口がV字形に見えます。排尿時でなければ、膀胱出口は閉じていなければなりません。
膀胱括約筋の肥厚・変形も確認できます。膀胱三角部の肥厚も確認できます。

Cp22844m442d2pp2D画像の正面像では、膀胱出口のV字変形が強調されます。
V字変形の下に石灰・結石と思われたハイエコーがあり、更にその下の位置に、横一文字状のハイエコーが観察されます。石灰・結石がこのような線状に見えることはありません。おそらく、この線は6時位置の膀胱括約筋の痕跡でしょう。

Cp22844m442dpp2_2そう考えて、2D側面像をもう一度解析すると、確かに石灰・結石とお思われるハイエコーの下に、6時の膀胱括約筋から伸びる影が見えます。以前に解説した膀胱括約筋のヘビ口変形になる前の状態なのかも知れません。
この患者さんの3D正面像を見てみたいと思いませんか?

Cp22844m443d膀胱出口がギューッと締め付け硬くなっているのが、容易に分かります。正常の膀胱出口と『違う』と直感的に分かるでしょう?

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