« 「3年前から血精液症」 2D画像の解析#18 | トップページ | 「夜間頻尿6回」 2D画像の解析#20 »

「10年前の包茎手術跡の不快感」 2D画像の解析#19

19scarp22736m312d31歳の男性患者さんです。
10年前に包茎手術を行ないました。しかし、その後、傷(縫合部)近くに不快感を感じるようになりました。
包茎手術を行なう高橋クリニックに相談のため、平成20年12月に来院されました。
診察では傷はきれいで、瘢痕もなく触診で痛みもありません。このような場合、排尿障害による関連痛であることが多いので、検査を薦めたところ、平成21年1月に尿を溜めて来院されました。
前立腺の大きさは16ccで正常です。

19scarp22736m31flow尿流量測定ウロフロメトリー検査では、ご覧のギザギザの排尿曲線です。膀胱頚部硬化症の典型的なパターンです。患者さんは排尿障害を自覚していません。
排尿量856mlで残尿量17mlです。排尿時間は78秒です。

19scarp22736m312dpp6時の位置の膀胱括約筋はほぼ正常です。わずかに前立腺側に迷入しているか?程度の所見はあります。
硬化像はハッキリ確認できます。

19scarp22736m312d22D正面像で、膀胱出口の硬化・変形は確認できます。
超音波エコー検査上も排尿障害の根拠となる所見がありますから、尿流量測定ウロフロメトリー検査の結果も納得できるものです。
排尿障害による関連痛がペニスの不快感を作っているのでしょう。

私は他の医療機関で行なった包茎手術の傷を修正することがあります。包茎手術後の傷が痛むあるいは疼く(うずく)と訴える患者さんの中には、隠れていた排尿障害が原因の関連痛であることがあります。しかし、患者さんは包茎手術を執刀した医師の技術の未熟さによるものだと誤解します。確かに技術の未熟さが故の傷の痛みが70%くらいですが、訴える患者さんの30%近くは、今回の患者さんのように排尿障害が原因です。美容外科あるいは包茎手術専門クリニックの医師は、泌尿器科の病気に関してはほとんど素人ですから、理解できないまま患者さんの「気のせい」にすることが多いようです。現在の医療の専門性特化が作った弊害かも知れません。

|

« 「3年前から血精液症」 2D画像の解析#18 | トップページ | 「夜間頻尿6回」 2D画像の解析#20 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「10年前の包茎手術跡の不快感」 2D画像の解析#19:

« 「3年前から血精液症」 2D画像の解析#18 | トップページ | 「夜間頻尿6回」 2D画像の解析#20 »