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慢性前立腺炎の原因 「前立腺嚢胞」

慢性前立腺炎の患者さんを診察・検査を行っていると、前立腺に嚢胞が100人に1人~2人くらいの割合で発見できます。(尿流量測定ウロフロメトリー検査の94番目・37番目超音波エコー検査写真)

Pcyst22817netter【CIBAコレクションのイラストから】
前立腺の腺組織の一部が詰まって大きく袋状(嚢胞)になった結果だとされています。嚢胞の中身は前立腺液です。前立腺肥大症の場合、血管梗塞の結果だともされています。若い方で、前立腺の血管梗塞という理由は考えにくいので、腺組織が詰まったという理由を支持したいと思います。

Pcyst22817m402dpp患者さんは40歳男性です。8年も前(32歳)から会陰部痛と左睾丸痛(たまに右睾丸痛)を訴えていました。
今まで、5軒!もの泌尿器科クリニックの受診し、「慢性前立腺炎」と診断されています。しかし、治らないので高橋クリニックを年末(12月29日)に受診しました。
超音波エコー検査(2D画像)で観察すると、膀胱出口のそばに嚢胞が認められます。直径8mm×8mm×6mm程度の大きさです。上の写真は側面像です。

Pcyst22817m402d2pp右の写真は、正面像です。
この画像では、膀胱出口の左側(患者さんから見ると右側)に嚢胞が存在します。一見硬そうな嚢胞が、恐らくは膀胱出口を圧迫しているだろうと想像できます。

Pcyst22817m403dpp1番目の2D画像を3D化したのが、この3D画像です。
嚢胞というと、柔かいスムーズな袋をイメージしますが、3D画像で観察すると、嚢胞は凸凹の硬い袋で覆われています。

Pcyst22817m403d2pp膀胱側からの視点で観察した3D画像です。
嚢胞の内壁が凸凹しているので形が複雑で分かりにくい形をしています。

Pcyst22817m403d3pp上の写真を裏側(前立腺・尿道側)から視点を移して観察した画像です。
嚢胞のトップ(膀胱側)の硬化像がハッキリ確認できます。
3D画像で3方向の視点から観察すると、嚢胞の立体的構造が何とかイメージできます。

【補足】
膀胱出口の片側のみに硬い嚢胞が存在するから、膀胱出口の50%開放が難しいのは容易に理解できるでしょう。
しかし、現実には、膀胱出口は立体的に360度×360度にゆるみ開いて排尿するので、一部が硬い場合には、その影響は甚大で、膀胱出口の開放率は5%以下でしょう。小さな袋(嚢胞)がある程度だからと、決して油断できないのです。

3D画像のフキダシの中で、「石灰・結石・線維化」と記述してあるのは、区別がつかないからです。石灰沈着も微細な結石の集合体も組織の線維化も、3D画像では同じようにしか描出されないからです。

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コメント

69歳男性です。血尿は目立ちませんが、性交の後に必ず出血します。40代でパイプカットをしているので、睾丸や精管からではなく、前立腺からではないかと思われます。以前から尿に少量の出血があるといわれていました。2年位前に前立腺が硬くなっているとも言われました。
どのような治療方法があるのでしょうか?
【回答】
排尿機能障害が隠れていると、前立腺を中心に充血・うっ血し、射精後に血精液症や血尿が出現します。
排尿機能障害の治療で改善します。

投稿: gan | 2012/09/03 23:51

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