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学会報告#3 2008年9月 第73回日本泌尿器科学会 東部総会

学会報告#1と、学会報告#2の続きです。

Post22タイプ4は古典的な前立腺肥大症のイメージです。
本来の前立腺の解剖学的構造を崩さないで腺腫が大きくなるタイプです。

Post232D画像では、膀胱出口の筋性粘膜は存在しており、前立腺全体の形状は球体に近い形です。

Post243D画像では、膀胱出口は壊れたフタで覆われたような形状をしています。
前立腺の膀胱内侵出を膀胱が押さえ込んでいるようにも見えます。
前立腺被膜はハイエコーで硬化・肥厚します。前立腺が球体の形状をしているのが容易に観察できます。

Post25この患者さんも同様の所見です。

Post26以上説明しました男性排尿障害をまとめます。
タイプ1の膀胱頚部硬化型が一番多く、217例中116例53.5%でした。このタイプは年齢も若く平均40歳(17歳~74歳)で、前立腺サイズは17.8cc(正常20cc~25cc)でした。
タイプ2の膀胱出口閉塞型は、217例中42例19.4%でした。年齢は平均59歳で前立腺サイズは28.8ccでした。大半の方が前立腺25cc以下ですから、このタイプであっても、前立腺は小さく異常なしと診断されてしまいます。
タイプ3の線維筋性過形成は、一番少なく4例1.8%でした。
タイプ4の容積増大型は53例24.4%でした。

Post293D画像から得た知見で2D画像を見直すと、フローチャートのように鑑別することができます。日常の診療にお役立て下さい。

Post28また、2D画像の読影のコツをまとめました。参考になさって下さい。

Post27217例の排尿障害患者さんの過去の診断名あるいは主訴を分析しました。
慢性前立腺炎の診断名が36%(79例)と一番多く、次に陰部掻痒症が12%(27例)でした。
排尿障害の患者さんの多くが、十分な排尿機能検査も行なわれず、安易に「慢性前立腺炎」「陰嚢掻痒症」「過活動膀胱」「心因性」と診断され、クラビット・セルニルトン・抗真菌剤軟膏・ステロイド軟膏・抗コリン剤・抗不安剤を処方されている現実に、ただただ驚くばかりです。

Post30男性排尿障害を前立腺の大きさだけではなく、いろいろな要因があることを知って下さい。
出切れば経腹的超音波エコー検査を泌尿器科医自らが行って下さい。
前立腺の詳細な構造を分析することで、多くの患者さんが適切な治療を受けられることを切に希望します。

【補足】
4人の医師から質問がありました。
1.画像の描出にはどの位の時間がかかるのか?
2.タイプ別に排尿障害の程度をデータとしてまとめているか・
3.組織学的な線維筋性過形成と線維腺性過形成の違いを3Dでどのようにして見分けるのか?
4.3D機器は、どの位の購入価か?
5.エコー深度はどのようにして調節するのか?
などでした。
慢性前立腺炎と診断された患者さんが多いという事実に対しては、何の反応もありませんでした。
座長の先生からは、ユニークな研究で画像も美しく続けて下さいとの感想でした。

来年の2009年4月は岡山で日本泌尿器科学会総会が開催されます。
私は慢性前立腺炎患者さんの「トリガーポイント手術」をポスターで発表するつもりです。

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コメント

学会報告お疲れ様です。
それで学会報告で泌尿器科学会に新しく慢性前立腺炎に対する動きは少しでもありましたか?

【高橋クリニックからの回答】
残念ながら、「慢性前立腺炎」としては発表はありません。
「男性下部尿路症 MaleLUTS」として含まれているかも知れません。

投稿: 谷山 | 2008/09/22 12:30

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