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「陰嚢掻痒症・陰嚢湿疹」と排尿障害#2

以前に皮膚科の病気である「陰嚢掻痒症pruritic scrotum」について排尿障害と関係が深いと解説したことがあります。
また、陰嚢掻痒症の患者さんの3D画像についても以前に解説しました。
今回、学会報告のデータを集計している際に「陰嚢掻痒症」がかなり集まっていることに気付きました。そこで「陰嚢掻痒症」のデータだけを簡単な統計にしてみました。
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番号 氏名 年齢 大きさ 型   治療   転帰  脊椎麻酔
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19286 Y氏 78才 24cc full α-ブロッカー 軽快
19427 T氏 55才 25cc boo α-ブロッカー 軽快 hemo
19639 I氏 29才 17cc bns α-ブロッカー 軽快 app
19958 K氏 63才 23cc boo α-ブロッカー 軽快 app
19995 K氏 46才 20cc bns α-ブロッカー 軽快
20266 O氏 48才 19cc bns α-ブロッカー 軽快 app
20309 I氏 67才 17cc boo α-ブロッカー 軽快 hemo
20501 O氏 20才 09cc bns   手術    軽快
20786 Y氏 62才 24cc boo   手術    軽快
20923 I氏 44才 21cc full    手術    軽快
21191 Y氏 57才 22cc boo α-ブロッカー 軽快 app
21344 I氏 59才 26cc boo α-ブロッカー 軽快
21389 S氏 63才 17cc bns α-ブロッカー 軽快
21741 I氏 65才 15cc bns α-ブロッカー 軽快
21908 H氏 43才 31cc bns α-ブロッカー 軽快
21929 S氏 53才 16cc bns α-ブロッカー 軽快
21941 I氏 61才 18cc full α-ブロッカー 軽快
22060 M氏 42才 22cc boo α-ブロッカー 軽快 app
22063 S氏 38才 15cc bns α-ブロッカー 軽快 app
22066 G氏 32才 16cc bns α-ブロッカー 軽快
22088 I氏 43才 18cc bns α-ブロッカー 軽快
22283 M氏 37才 28cc bns α-ブロッカー 軽快
22290 W氏 68才 25cc boo α-ブロッカー 軽快
22301 U氏 72才 15cc full α-ブロッカー 軽快
22365 I氏 30才 16cc bns α-ブロッカー 軽快
22397 I氏 47才 15cc bns    手術   軽快
22431 S氏 64才 24cc bns α-ブロッカー 軽快
22488 I氏 39才 14cc bns α-ブロッカー 軽快 app
22489 T氏 62才 10cc bns α-ブロッカー 軽快 hemo
22495 T氏 41才 17cc bns α-ブロッカー 軽快
22572 M氏 45才 16cc bns α-ブロッカー 軽快 hemo
22590 K氏 35才 14cc bns α-ブロッカー 軽快 app
22609 F氏 26才 18cc bns α-ブロッカー 軽快
22614 M氏 34才 18cc bns α-ブロッカー 軽快
22615 K氏 52才 20cc bns α-ブロッカー 軽快
22619 A氏 36才 25cc bns α-ブロッカー 軽快
22635 E氏 30才 18cc bns α-ブロッカー 軽快
22644 K氏 60才 16cc bns α-ブロッカー 軽快
22666 T氏 60才 39cc boo α-ブロッカー 軽快
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陰嚢掻痒を主に訴える患者さんは39例で、平均年齢48歳(20歳~78歳)です。罹患期間(病気発症から高橋クリニック受診するまで)は、平均4年4ヵ月です。

前立腺の大きさ平均は、19.6ccで正常が20cc~25ccとされていますから、正常域よりも小さいことになります。排尿障害の形態は、膀胱頚部硬化症型(bns)が26例、膀胱出口閉塞症型(boo)が9例、前立腺肥大症型(full)が4例でした。

最大尿流速度の平均は17.2ml/秒(正常で少なくても20ml/秒以上、理想的には25ml/秒以上、56歳の私が45ml/秒です。)、平均尿流速度の平均は8.7ml/秒(正常で少なくても10ml/秒以上、理想的には15ml/秒以上、56歳の私が22ml/秒です。)でした。

我慢してもらって排尿したにもかかわらず、自排尿量の平均は269ml(正常であれば300ml~500ml)、排尿直後の残尿量測定平均が59ml(正常はゼロ、10ml以下で許容範囲)でした。

排尿回数は、平均が1日8回、夜間頻尿は平均1回と比較的正常に近い回数です。ですから患者さんのほとんどが排尿障害を疑ったこともありません。

患者さんの39例中12人(30%)の方が過去に脊椎麻酔で虫垂炎手術(app8例)・痔核手術(hemo4例)を受けていました。先進国での虫垂炎手術罹患率は15人に1人(6.7%)以下ですから39人中8人(20.5%)の虫垂炎手術罹患率は3倍以上で有意に高い確率です。脊椎麻酔と排尿障害に深い関係を示唆するものです。

病気の原因も分からないまま、ただひたすらに皮膚症状(掻痒)のみに目が奪われるので治せないのです。皮膚症状は身体の警戒警報の場合があることを医師は注意する必要があります。

【注意】
陰嚢掻痒症を調べに来院される場合には、必ず尿をためた状態でお越しください。

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コメント

治る人もいれば治らない人もいる。なぜでしょうか?
原因は排尿障害以外に存在しないのに、変ですね。

【高橋クリニックからの回答】
答えは簡単です。
「陰嚢掻痒症」という病気に関わるすべての要因が複雑でいつも一定ではないからです。
排尿障害の原因ですら、膀胱頚部硬化症型・膀胱出口閉塞症型・前立腺肥大症型に分けられ、そのそれぞれに膀胱括約筋の障害程度が異なります。また排尿障害の部位も型によって異なり、受ける膀胱の障害もそれに応じます。
膀胱三角部も肥厚し硬くなる人もいれば、そうでない人もいます。
また、排尿障害から受けた刺激は脊髄内で、陰嚢掻痒症の症状を作るための神経回路(ある意味、ソフトに近い)を作ります。そのソフトの内容は、それぞれの個人個人によって容量も複雑さも異なります。例えば、目的が同じアンチウィルスソフトでも、製品によって重いのもあれば軽く軽快なソフトがあるのと同じです。
ですから「排尿障害→陰嚢掻痒症」といっても、実はもっと複雑な工程を踏んで、初めて表面的な症状が出現するので、患者さんの経過がまちまちなのは当り前です。

投稿: 谷山 | 2008/09/29 12:13

では先生を頼って来て治らなかった人は一体どうするんですか?
慢性前立腺炎であれなんであれ。
まさか見捨てるのでしょうか?

【高橋クリニックからの回答】
表に掲載しているように、α-ブロッカーの保存的治療を優先します。この治療で大半の方が掻痒は軽快します。
それでも治らない場合は、内視鏡手術になります。

投稿: 谷山 | 2008/09/29 17:17

そうですか。ではそれで駄目な場合は?

【高橋クリニックからの回答】
質問内容が陰湿ですね?その人の性格が表現されていますね。
ここには掲載しませんでしたが、その後の質問からすると、やはり貴方も「たにし」と同類ですか・・・。

投稿: 谷山 | 2008/09/29 19:25

はい

投稿: 谷山 | 2008/09/30 09:19

たいへんお忙しいところ失礼いたします。やっとの思いで先生のブログにたどり着きました。”「陰嚢のかゆみ」 陰嚢掻痒症と排尿障害”のほうがコメントの受付が終了されていたので、こちらへコメントいたします。2年ぐらい前から陰嚢の痒みが酷くなり(白くカサカサの状態です)、市販されている塗り薬を色々試しましたがどれも効き目はありませんでした。実は私は12年前からメンタルクリニックに通っており、向精神薬を処方されてずっと飲み続けています。何度か薬の種類も替えたのですが、薬を変えたらおしっこの出が悪くなりました(出始めに時間が掛る、切れが悪く下着を汚す等)。そこで先生のブログに『陰嚢掻痒症と排尿障害は関係がある』と書かれてあるのが目にとまり、メンタルクリニックから戴いている薬を確認したところ『トフラ二―ル』というものがあり、副作用に『排尿障害』とありました。この10数年の間、メンタルの先生と相談しながら何度か減薬を試みたのですが、目眩、吐き気などの離脱症状が激しく、結局薬を元に戻しました。まったくのド素人ながら先生のブログを読んで、このトフラ二―ルによる副作用の排尿障害と陰嚢掻痒症に何らかの関係があるのではと思うようになりました。この場合、まずはメンタルの先生に再度減薬の相談をすべきなのか、泌尿器科と並行して治療すべきなのか迷っています。ご教示いただけたら幸いに存じます。
【回答】
排尿障害の治療薬を服用すれば、解決するでしょう。

投稿: フジオ | 2016/04/12 10:39

お尋ねいたします。59才の男性です。
数年前から陰嚢・陰茎の根元・肛門から陰嚢にかけて痒みがあり3件の皮膚科に行き塗り薬を処方されましたが、塗布中は改善するのですが中止するとぶり返すを繰り返し、長期間ステロイド系薬を使用するのも心配で、最近は市販のメディケアエムズを塗布して凌いでおります。
そんな時に先生のこの記事を拝見し、言われてみたら近年就寝中に1度は尿意で目覚めトイレに行くようになっておりましたので早速泌尿器科を受診してみました。しかし前立腺肥大も排尿後の膀胱内残尿も全くなく、夜間排尿は年齢的なものなので特にすべき治療はないと言われてしまいました。異常なしと診断されて言うのもおかしいのですが、ハルナールを試したかった私としては甚だ残念な結果でした。
そこで通販などでハルナールD錠を購入してでも試したく思っているのですが問題ないでしょうか?もし大丈夫としましたら、どのタイプのハルナールを1日何錠、どれ位の期間摂取したら宜しいでしょうか。
【回答】
ハルナールのジェネリックは効果が少ないので注意が必要です。
通販でハルナールの先発品があるとも思えませんが・・・。」

本来なら貴医院を受診すべきかと思いますが、遠方ですのでご教示いただけましたら幸いです。
【回答】
遠方でも一度来院していただければ、その後は状況に応じてお薬をお送りすることは可能です。」

なにとぞ宜しくお願い申し上げます。

投稿: KEN | 2016/04/14 00:58

高橋先生のサイトを見つけ、アドバイスを頂いた64歳の男性です。陰嚢の部分が痛くなり、何ケ所かの皮膚科と泌尿器科に見て頂きました。表皮の状態は何の異常も無く、最終的な総合病院の治療薬は、セルニルトンと睡眠剤のゾルビデム酒石酸塩OD錠10mgを処方され、夜は眠れるようになったものの治癒には程遠いものです。総合病院の検査結果はPSAが1.55でした。おしりからの触診で前立腺の程度は、少し肥大があるものの正常に近いと言われました。
実は、その総合病院の先生は、治療には、手の打ちようが無いと言われたので困り果てていました。
その後、高橋先生のサイトを発見し、
高橋先生のアドバイスで前立腺を小さくするアボルブと頻尿治療薬であるベタニスがお勧めと言われました。高橋先生のサイトのお話でα-ブロック系の薬剤が良いと言われたので8月2日以降、総合病院の先生から現在タムスロシン塩酸塩OD錠0.2mgを処方して飲用していますが、症状に変化はありません。
総合病院の先生は、高橋先生に大変興味があると言われ、サイトを見て勉強をしていると言う事でした。旅行に出かける用事があり、その後8月16日に総合病院の先生と予約しています。α-ブロック系でベタニスに匹敵する薬剤はありませんか。
高橋先生が、ベタニスを勧める理由は何なのかをお聞かせいただけませんか。
また、α-ブロック系の薬剤は排尿や頻尿治療に有効だと先生が言っておられるのに、どうして私にはベタニスなのか、知っておきたいのです。もしかしてベタニスはα-ブロック系の薬剤なのでしょうか。
お忙しい中、まことに無礼ですが、ご教授いただければ幸いです。
☪️回答
排尿障害の原因の膀胱出口の平滑筋の緊張を抑えるのがαブロッカーです。
排尿障害が原因で緊張している膀胱三角部の平滑筋を抑えるのが、頻尿治療薬であるベタニスです。
痛み症状は、頻尿の裏の顔と考えます。
同じ平滑筋でも、部位によって効果のある薬剤が違うのです。

投稿: 進藤 | 2017/08/08 18:26

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