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慢性前立腺炎と前立腺結石

慢性前立腺炎の患者さんの超音波エコー検査で前立腺結石あるいは前立腺石灰を認めることが多くあります。
前立腺結石のできる理由は、以前にブログの中で示しています。
尿道粘膜に取り込まれ前立腺結石になろうとする瞬間の写真も違うテーマで過去に掲載しています。

しかし、掲示板などを拝見すると、前立腺結石・石灰が炎症の原因だと思いこんでおられる人がいます。それを根拠に前立腺結石・石灰に抗生剤注射を実施している無謀な医師も存在するらしいのです。
抗生剤の静脈注射・皮下注射・筋肉注射は投与方法として認められていますが、それでも静脈炎。皮膚炎・筋肉炎を併発することがあります。組織内注射で有名なのが、陰嚢水腫の水腫内溶液穿刺後の抗生剤の水腫内の注射です。これは陰嚢水腫内に抗生剤という化学物質による炎症を起こさせ、水腫内粘膜を癒着させ水が溜まるスペースを消失させることに治療目的があります。つまり抗生剤で組織内に炎症を起こさせるのです。またこの治療で注射後、患者さんがとても痛がるのが特に有名です。前立腺内に抗生剤注射を行い、さらなる炎症を作り、痛める訳ですから、この治療を行っている医師の度胸には恐れ入ります。


内視鏡手術中に前立腺結石を採取することがあります。しかし、前立腺結石周囲に炎症所見を見ることは全くありません。前立腺結石はサイレント・ストーン(沈黙の石=症状のない石)です。前立腺結石=前立腺炎というのは全くの誤解です。慢性前立腺炎の患者さんに大した所見もないので、仕方なしに前立腺結石をスケープゴートにしているだけです。医師も適当で、慢性前立腺炎の原因を前立腺結石があるからと安易に診断することが多いので、このような誤解があたかも真実であるかのごとく流布されるのでしょう。

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コメント

最近ネットで感じた事です。前立腺の炎症は前立腺の中にあるような気がするのですが、どうでしょう? 細菌がいるいないは別として非細菌性の場合白血球のみ+20ぐらいあり培養には何も出ないパターンがあります。この場合、白血球は炎症部分に発生しますから細菌はないにしろ痛みは出るという理論です。しかしこの理屈は白血球基準値内の前立腺症には該当しないのが?です。んーということは炎症痕跡部分を取れば解決する気もするのですが、昔・昔
前立腺全摘出で悪化したケースを考えると
これも定かでない気もします。
私は、この病気の本質は最初は細菌性だったと思います。抗生剤で細菌はなくなったが前立腺機能を壊されて炎症(キズ)が残ってしまい、白血球が群がって痛みを出しているような気がしてなりません。
これを裏付ける根拠は何もありません。
残念ながら神経痛とよく似ている気もします。どうですか??????

【高橋クリニックからの回答】
白血球の存在だけでは痛みはありません。全身に白血球は存在し、外からの侵入者を待っているだけです。
白血球が原因で痛みが出るのは、組織内の細菌をたらふく捕食し、満腹になった時点で自爆した白血球が、強い刺激性の化学物質(細菌消化液)を組織内で散布するからです。その状態が炎症を引き起こすのです。白血球の存在=炎症ではありません。

何でもない白血球が検出される意味が分かりますか?膀胱出口や前立腺が振動するので緊急事態に備えて、前立腺内で待機している白血球の姿が想像できませんか?しかし細菌は浸入しないので、暇をもてあましている白血球がそこにいるのです。

投稿: ムーラン | 2008/07/04 17:45

高橋先生の排尿障害説も完全に肯定も否定もできないしムーランさんの説も同じだと俺は思います。つまり何が正しいかは誰にも分からないんじゃないでしょうか?要は自分の治療をしてくれてる先生を信頼してどの先生についていくか自分で決めることが大事だと思います。
高橋先生、漢方薬の免疫の話ですが、東洋医学でいう免疫はそういう表面的なものではなくもっと深いところの免疫だと言われました。花粉症や風邪の免疫過敏のことはおみとうしでした。
後は真実を知りたければ免疫の本を読みなさいと言われました。
ちなみにおケツについては根本原因も治療しながらおケツもとっているらしいです。
ですから俺はこの先生をとことん信じることにしました。

【高橋クリニックからの回答】
信じられる医師に出会えて貴方は幸せです。良かったですね。
ブログの中で解説しているように、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎に関する私の仮説が正しいとは限りません。ですから、私のことを信じる必要もありません。
貴方も信じられる医師に最後までついて行って下さい。

投稿: ゆう | 2008/07/04 18:07

本文と関係ない質問ですがお願い申しあげます。
術後 5ヶ月 経過した者ですが 残念ながら 関連痛がまだ消えてくれません。

ペインクリニックでは仙骨神経ブロックではなく、腰部硬膜外ブロックしかしてもらえません。

そこで 質問なのですが、 このまま ペインクリニックに通い、経過をみた方がいいのか? それとも我慢できる程度の痛みなら、ペインクリニックには通わず、時間が過ぎるのを待っていた方がいいのでしょうか?
お忙しい中、すいません。 回答 よろしくお願い致します。

【高橋クリニックからの回答】
ブロックを続ける方が良いでしょう。

投稿: | 2008/07/05 17:13

はいとことんついて行きたいと思います。

いずれの説が正しいにせよ同じことばかりをしていたのではらちがあきませんよね…。
なぜいつまで立っても一般泌尿器科は新しい治療方法を研究しようとしないで、効かないと分かっている、セルニルトンと抗生物質、抗炎症剤のオンパレードですぐに精神科に転科させるのでしょうか?患者側からすれば全く治す気がないように思われます。病気を治す気もないなら泌尿器科医などにならないで頂きたい。確かに命に関わる病気じゃないですよ、ですが半生に関わります。

投稿: ゆう | 2008/07/05 18:43

わかりました。ブロックを続けて経過をみます。回答ありがとうございました。

投稿: | 2008/07/06 01:19

神経ブロックのやりすぎは良くありませんよ。痛みが取れないから神経ブロックの継続だなんて効かない抗生剤の継続投与と何ら変わりませんよ。痛くてももーブロックはやめるべきです。体を壊します。

投稿: ムーラン | 2008/07/07 11:46

ムーランさん、僕は高橋先生に質問したのであって、ムーランさんに質問したわけではありませんよ。神経ブロックの継続で 体を壊すかどうかは、僕の通院しているペインクリニックの先生が判断する事だと思います。

投稿: | 2008/07/08 10:36

ブログの内容とは違いますが、質問です。

エブランチルによって、尿の勢いがよくなったのに、会陰部痛が改善されないというのはなぜなんですか?

【高橋クリニックからの回答】
病期のステージが上がれば、排尿障害が改善しても、膀胱三角部の過敏や脊髄神経増幅回路の自動運転を制御できないからです。

投稿: なーが | 2008/07/13 14:11

回答ありがとうございます。
ではもし神経ブロックによって痛みが改善された場合でも、エブランチルは続けていないと、またすぐに再発してしまいますよね?

【高橋クリニックからの回答】
はい、そうです。
排尿障害が常に新しい症状や脊髄神経増幅回路の形成を促すからです。

投稿: なーが | 2008/07/15 08:24

回答ありがとうございます。

もう一つ質問です。

以前、病期のステージが上がれば、排尿障害が改善されても、膀胱三角部の過敏や脊髄神経増幅回路の自動運転を制御出来ないからです。という回答をいただいたのですが、
いくら膀胱三角部が過敏で、脊髄神経増幅回路が形成されていたとしても、エブランチルによって排尿障害が改善されていれば、物理的刺激は無いので痛みは出ないような気がするのですが、どうですか?

高橋先生のおっしゃる自動運転とはどういう事ですか?

【高橋クリニックからの回答】
私たちの身体は、神経反射弓やホルモン・電解質・ケモメディエーターなどでフィードバックシステムなどのコントロールシステムが働き、無意識に自動コントロールされた精密機械のような存在です。順調にコントロールされている場合は、それぞれの階層が分をわきまえていますが、ひとたび異常になると、下位の階層システムであろうと、上位階層のシステムを無視し動き出します。その現象の表現が病気の症状です。
いくら排尿障害が元の原因だったとしても、完全に硬くなってしまった膀胱三角部を排尿障害を軽減するだけで、軟らかくなる筈もないでしょう。硬くなる前であれば、排尿障害を治すことで膀胱三角部の過敏さは元に戻ります。しかし、硬くなってしまい元に戻れない膀胱三角部は、排尿障害を治しても元に戻れません。
また、脊髄内に一度作られた増幅回路もソフトとして永久に脊髄内に存在します。
病気は絶えず少しずつ進みます。仏教用語で「諸行無常」です。止まってはいません。排尿障害を治して関連痛などの症状が治るのは、排尿障害が出現して周囲に機能的な障害を形成している間だけです。ひとたび器質性の後戻りできない障害を形成してしまった時には、排尿障害を治しても、器質的障害が原因で症状は一人歩きします。病気は単純ではないのです。原因が除去された完全に治るのは、風邪くらいでしょう。一般的な病気はもっと複雑です。ご理解いただけました?

投稿: なーが | 2008/07/15 22:46

私は高橋クリニックでエブランチルとデパスを処方してもらい、2ヶ月間のみ、会陰部痛が改善されなかったので、坐薬を処方してもらいました。エブランチルとデパスはまだ飲んでいますが。

そこで近くの大学病院の麻酔科で仙骨硬膜外ブロックを2回行いましたが、2回とも痛みが弱まる時間が短すぎたため(1時間弱)、中止して、次回、不対神経ブロックを一度局所麻酔薬で行い、効果があれば、アルコールで神経を殺すという治療をやります。この治療についてどう思われますか?

【高橋クリニックからの回答】
アルコールブロックは、神経組織を薬剤的に切断することです。神経は単純な配線ではありませんから、切断後思いも寄らない障害が出現することがあります。ですから麻酔薬のブロックはOKですが、アルコールブロックはお薦めしません。

投稿: なーが | 2008/07/17 13:21

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