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★ 慢性前立腺炎の要約 #2 ★

このブログの中で、どんなに詳細に解説しても、「私は慢性前立腺炎ではないのですか?細菌はいないのでしょうか?抗生剤治療をしなくてもよいのでしょうか?それとも本当に膀胱頚部硬化症なのですか?」と、再診の患者さんに何度も質問されます。

私から言わせていただくと、難治性の「慢性前立腺炎」は病名ではなく、「症状名」あるいは「症候群名」と思っていただいて結構です。
本当の細菌性の慢性前立腺炎は抗生剤・抗菌剤で容易に治ります。治らないのは、症状が細菌性慢性前立腺炎と同じであっても、細菌性の慢性前立腺炎ではないということです。慢性前立腺炎と同じ症状で細菌が原因でない場合には、全く違う病気だと考えてよいでしょう。検査に引っ掛からない細菌が前立腺に隠れていて、非細菌性の慢性前立腺炎になるのだとは考えずに、全く異なる原因が慢性前立腺炎に似た症状を発現していると考えた方がよいでしょう。バイオフィルムなどと呼ばれるカエルの卵のゼラチン物質のような存在をわざわざ持ち出す必要もないでしょう。

私は、非細菌性の慢性前立腺炎を次のような病態生理で成り立つものだと考えています。
【第1のステップ】
10代後半からの成長期の発育不良・発育不全あるいは脊椎麻酔の後遺症で膀胱頚部が障害を受け、機能性の排尿障害になる。

【第1.1のステップ】
機能性排尿障害=神経因性膀胱と同じ病態と考えられるので、この病態自体をどんな手段を講じても完治させることは原則としてできない。

【第2のステップ】
機能性の排尿障害が慢性的に繰返し続くと、生体の順応作用で膀胱頚部・膀胱出口に硬い線維組織・膀胱平滑筋の過形成を作る。空手で鍛えた拳ダコやボディビルのマッチョな筋肉と同じである。この時点で3D超音波エコー検査で証明可能である。

【第3のステップ】
膀胱頚部・膀胱出口が硬くなると(私が云う膀胱頚部硬化症)、器質性の排尿障害になる。

【第3.1のステップ】
機能性排尿障害から進んだ器質性排尿障害=膀胱頚部硬化症は、手術的に治すことができる。しかし器質性排尿障害を治しても機能性排尿障害はそのままである。ここに内視鏡手術後の再発の可能性がある。

【第4のステップ】
膀胱頚部硬化症=器質性排尿障害になると、排尿時に膀胱出口が強く振動し、下部尿路(膀胱三角部・膀胱頚部・前立腺)が振動エネルギーの被爆を受ける。

【第5のステップ】
下部尿路への振動エネルギーは、その神経支配である胸椎10番~腰椎1番と仙骨2番~仙骨4番の脊髄中枢を絶えず刺激する。この刺激が脊髄中枢内にニューロンの増幅回路を形成する。ここで頻尿・残尿感などの症状が発現する。慢性前立腺炎の「頻尿系」症状である。

【第6のステップ】
ところが、頻尿・残尿感などの症状発現増幅回路が脊髄内で形成されない人がいる。その場合、振動エネルギーの行き場がなくなり、止むを得ず既存の他の臓器や皮膚の神経回路にエネルギーが流れる。それが関連痛(シビレ・痒み・痛み・陰嚢掻痒症・頑固な肩こり・頭痛・舌痛症・線維筋痛症)である。慢性前立腺炎の「痛み系」症状と呼ばれる。
その他、自律神経症状(尿道分泌液過多・多汗症・めまい・ドライアイ・ドライマウス・シェーグレーン症候群)や知覚異常(幻覚臭・尿漏れ感)がある。その刺激は脊髄を介して免疫システムをも刺激し、蕁麻疹・アトピー性皮膚炎・喘息・花粉症・過敏性腸症候群・潰瘍性大腸炎などの原因不明のアレルギー疾患になる。突拍子もない支離滅裂な症状なので「気のせい」や別個の病気として誤診される。

【第6.1のステップ】
振動エネルギーの行き場がなくても、既存の神経回路と接続できない場合があり、生体は悶々としていることがある。そのような時に、たまたま性行為感染症・STDにかかったり、外科的手術で尿道にカテーテルを留置されたり、ぎっくり腰などの整形外科的疾患に罹患したりすると、「待ってました!」と云わんばかりに、その状態に関連した神経回路と接続し、症状が発現する。性行為感染症・STDから前立腺に感染と誤診される所以(ゆえん)である。

【第6.2のステップ】
振動エネルギー→脊髄→免疫システムという一連の流れに論理の飛躍があり、理解しにくいので、さらに説明を加える。免疫システムの担い手は白血球とリンパ球である。白血球にはアドレナリン・レセプターが、リンパ球にはアセチルコリン・レセプターが存在する。自律神経の交感神経が分泌するのがアドレナリンであり、副交感神経が分泌するのがアセチルコリンである。すなわち交感神経の興奮場所にはアドレナリンが分泌され白血球が興奮する。また副交感神経の興奮場所にはアセチルコリンが分泌されリンパ球が興奮する。白血球が異常興奮すれば、「自然免疫」が過剰反応し化膿しやすくなる。リンパ球が異常興奮すれば、「獲得免疫」が過剰反応しアレルギー反応が出やすくなる。

【第7のステップ】
身体のあらゆるシステムが総動員された状態であるから、振動エネルギーの発生源付近をフィードバック攻撃される。それは白血球・免疫抗体を使った攻撃(炎症)である。前立腺マッサージで前立腺液内に白血球が検出されたり、一見アレルギー症状と思われる間質性膀胱炎の所見が認められても決して不思議ではない。

【第7.1のステップ】
慢性前立腺炎を前立腺だけに限局した炎症と考えるから、治療効果が出ない。現在の泌尿器科医が行なっている抗生剤・抗菌剤の長期投与や前立腺マッサージは何十年も前からのかび臭い治療である。解剖学的・生理学的垣根を越えた身体全体に及ぶ広がりのあるシステマティックな病気だと考えれば、慢性前立腺炎の治療に光明が見える。そのことにいつ気がつくのだろう?

【第7.2のステップ】
日本の不景気の元凶は、日本だけにその原因があるのだろうか?19年前のバブル崩壊以降の超低金利政策、原油価格高騰による燃料・飼料・輸送費のコスト高、日本の無策だけがその原因とも思えない。アメリカを含めた石油企業の思惑・中東の不安定・世界の工場としての中国の台頭・レアメタルの争奪戦・温室ガス規制の各国の思惑・拝金主義者の世界戦略など、日本を超えた様々な問題が日本に影響を与えている。
日本を前立腺に置き換えて考えてみれば、前立腺だけの病気として治療するので、慢性前立腺炎が治らないは当然である。

【第8のステップ】
白血球の異常な活動は、組織内の常在菌を刺激し細菌の分裂増殖を促す。細菌数の増加は白血球を刺激するので、炎症悪化のサイクルを形成する。その結果、本当の細菌性慢性前立腺炎に移行し、前立腺マッサージで細菌の検出が可能となる。抗生剤・抗菌剤投与で細菌性炎症は一時的には沈静化するが、原因の本質を治療しないので、難治性の慢性前立腺炎となる。

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コメント

先生みたいに何でも答えてくれる医者は他にいませんね。本当に心強いですよ。本音を言えば私も先生の手術を受けたいのですが地理的な事情により不可能であります。
他のネット介したドクターはみんなこの疾病に嫌気がさしているようです。私も細菌説は否定的ですね。多分みんなテトラサイクリン系やマクロライド系で痛みの軽減があるのを知らないんです。この抗生剤は直接細菌をたたくのではなく痛みの軽減に効く場合があると医学書で見ました。だから
多分効いたり効かなかったりで錯綜するように思えます。先生は母校の慈恵医大で手術出来ないのですか?

【高橋クリニックからの回答】
大学の部外者が手術はできません。

投稿: ムーラン | 2008/07/28 15:46

私も日本の多くの泌尿器科医が慢前患者への抗生物質の長期投与させる治療は、耐性菌や菌交代を生むだけの間違いだと思います。
先生の考え方は、慢前患者に見られる様々な不定愁訴とつじつまが合う理論だと思います。
第5ステップまではエコー写真に基づき、動かしようのない事実だと思います。

第6ステップからの振動エネルギー論理は
どこかの大学や医療機関の研究論文から裏づけされたものですか?それとも先生の持論ですか?参考文献などを紹介してくれるとありがたいです。
【回答】
ご感想ありがとうございます。
振動エネルギー理論は、私のオリジナルの考えです。
ですから、世界中どこにもエビデンスはありません。
よって参考文献はありません。

投稿: | 2011/06/12 13:06

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