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排尿のメカニズム 膀胱三角部切開の意義(第200話)

前回、「排尿時の膀胱三角部の重要性#2」で膀胱三角部の切開について少し解説しましたが、ここでは、もっと具体的に解説しましょう。
Trigshema5【病的な膀胱三角部】
膀胱三角部は膀胱鏡検査で観察すると、通常、二等辺三角形を逆にした形に見えます。
ところが、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の患者さんの場合は、Y字型・T字型・台形型などさまざまな形状を呈しています。これは排尿障害による膀胱三角部の変形だと私は考えています。
このイラストはキツネが万歳しているように見えますが、Y字型の膀胱三角部を示すイラストです。

Trigshema6【膀胱頚部6時の切除】
膀胱頚部の膀胱出口にあたる部分、膀胱出口の6時の位置を切開・切除(赤線部分)します。
Trigshema7【膀胱頚部と膀胱三角部の伸展】
すると、膀胱三角部と膀胱頚部は切り離されて、膀胱三角部の前後方向(赤い矢印)の緊張がゆるみます。
この時点で、本来の膀胱三角部の形状に近づきました。
Trigshema8【膀胱三角部の切開】
次に、膀胱三角部の正中と左右の尿管口手前をイラストの赤いラインのように切開します。
Trigshema9【膀胱三角部の伸展】
正中切開により膀胱三角部が左右方向に緊張がゆるみました。
尿管口手前の切開により、膀胱三角部の斜め方向の緊張がゆるみました。
結果として、膀胱三角部の前後方向(Y軸)・左右方向(X軸)・斜め方向(Z軸としては多少の無理があるが・・・)、つまり立体的に緊張を緩めたことになります。
Trigshema10【排尿時の漏斗形成】
そこで、排尿時に膀胱三角部と膀胱頚部を含めた膀胱底部が漏斗状に変形して、解剖学的にも生理学的にも正常な形態に近づくので、臨床症状が軽快されるのだろうと考えています。

【補足】
今までの私の内視鏡手術は、膀胱頚部を切開して膀胱頚部の動きを自由にするのが、主な目的でした。膀胱三角部の切開手術は、あくまでも感覚器としての膀胱三角部を破壊するのが目的でしたから、切開の深さはそれ程深くはなかったのです。ただ感覚器としての連絡網を断てばよいのですから・・・。
ところが、今回のブログで示すように、膀胱三角部の動きがない膠着状態からの解放を目的に内視鏡手術を行なうようになりました。センサー(感覚器)を壊すのではなく、動きを作ってやらなければならず、自ずと切開の深さは深くなります。その分、手術は難しくなります。治療の完成度を高めれば高める程、手技が難しくなるのですから、自分で自分の首を絞めるようなものです。

以前は膀胱頚部切開は動きのための切開、膀胱三角部切開は感覚器を壊すための切開として内視鏡手術を行なって来ました。まだ確立した考えではありませんが、今は、膀胱頚部硬化切開も膀胱三角部切開も動きの束縛の解放と感覚器の破壊のための切開という気持ちに傾きつつあります。
この根拠については、おいおい詳しく解説します。お楽しみに。

兎にも角にも、今回のテーマで私の「慢性前立腺炎」ブログは第200番目のテーマになりました。コツコツと書き続けて・・・。
ちなみに「慢性膀胱炎・間質性膀胱炎」のブログは現在第112番目、「泌尿器科の常識・・・」は41番目、「トワイライト・・・」は31番目、「代替医療・・・」は10番目、「フォアダイスと・・・」は15番目、「前立腺肥大症」は28番目、「包茎・・・」は46番目、「開業医の・・・」は47番目、「性行為感染症・・・」は61番目になっています。4年間書き続けて全部で591テーマです。3日に1つの割合でテーマを書いています。この調子で行くと、あと3年で1000テーマになります。「継続こそ力なり」を信じて、これからも続けるつもりです。

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コメント

高橋先生こんにちは。
先の記事「排尿時の膀胱三角部の重要性#2」で現在の膀胱三角部への手術アプローチ方法を記載されておられますが、それをわかりやすくイラスト化して説明くださったのが今回の記事でしょうか?
【高橋クリニックからの回答】
そうです。

そこで質問ですが、このアプローチ方法にされてからの治療結果は今までの治療結果より良好でしょうか?
【高橋クリニックからの回答】
膀胱三角部を単なるセンサーあるいは感覚器として治療する方法よりも、今回のように膀胱三角部の動きを重要視する治療方法の方が結果が良好なので、今回掲載しました。

投稿: 山井 | 2008/02/10 15:48

先生、回答ありがとうございました。
これからも先生のご活躍を期待しています。

投稿: 山井 | 2008/02/10 18:18

素朴な疑問なのですが、手術で理想的な漏斗形成を行っても傷がふさがるように
元の状態に切った部分は元の状態に戻らないのでしょうか?

【高橋クリニックからの回答】
切り開いた状態でそのまま粘膜が再生されるので、元の形にはなりません。
なぜなら膀胱三角部には膀胱尿がたまるに従い、切り開いた部分に開くように圧力が常にかかるからです。そこの圧力が抜けるのは、排尿のわずかな時間のみだからです。
ところが、膀胱頚部は手術で切り開いても、通常閉じている時間がほとんどなので、傷が寄って来て狭くなるのです。いわゆる手術後の再狭窄になります。

投稿: | 2008/02/19 19:41

回答ありがとうございました。

投稿: | 2008/02/20 18:56

先生質問です。
以前膀胱頸部硬化症の手術を行ったのですが痛みが取れません。
手術前よりは痛みはだいぶ小さくなったのですが、それでも気になる日は一日中気になって寝込んでしまいます…。
注射も受けておりますが、再手術にも目が行ってしまいまして、気になるのが
再手術を行う場合金額はいくらになるのでしょうか。
【回答】
前回の約半分です。」

尿が出にくい・・・という訳ではなく、膀胱三角部の処置になるのかなと思います。
ご教示下さい。
(体調が回復されていないのにこのような質問を申し訳ございません。)
【回答】
水分を控えていますか?

投稿: | 2017/03/17 21:05

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