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慢性前立腺炎の3D画像

Bns3d18156m363【実例】
36歳男性の2D超音波エコー検査の所見です。
前立腺内に石灰(前立腺結石)が確認できます。
平成16年頃より左睾丸痛があり、近医で慢性前立腺炎の診断を受けました。
平成12年頃から、尿の勢いが悪いことを自覚しています。

Bns3d18156m36uro尿流量測定ウロフロメトリー検査では、尿の出は悪く、ご覧のようにスパイク状の排尿曲線で慢性前立腺炎・膀胱頚部硬化症の特徴的な所見です。
平成17年から通院しているこの患者さんは、ハルナールの服用のみで痛みなどの症状は消失しています。ですからお薬だけの3ヵ月毎の通院です。(調子が良いと半年は来ません)

Bns3d18156m36久しぶりに来院されたので、新しい超音波エコー検査のえじきになっていただきました。
3D画像では、膀胱出口が広く錯覚して見えるように、膀胱出口周囲が隆起しています。
また、膀胱三角部も平坦(台状)に隆起していて膀胱三角部に影響を与えていることも想像できます。

Bns3d18156m362器械というのは設計者の思惑を超越していることがあります。この3D・4D超音波エコーは、あらゆる方角から立体視することができるので挑戦してみました。
この3D画像は、前立腺の中から膀胱出口を覗いた所見です。ちょうど上の画像の裏から見た所見です。
画面の下に見える白っぽい塊は前立腺内の石灰(前立腺結石)です。
膀胱側から見た所見(上の写真)では、膀胱出口が広く見えていますが、前立腺側から覗くと膀胱出口に硬い開閉部分があるのが確認できます。
前立腺の実質の部分は、画像ソフトの処理の影響で飛んでしまっていますが、かえって膀胱出口が確認しやすくなっています。

慢性前立腺炎(膀胱頚部機能低下症)の手術後の話題になる術後再狭窄について、3D画像ではどのように観察できるかを述べましょう。

Bns3dop3m19866m39【実例】
この患者さんは慢性前立腺炎で手術を行なった39歳男性の術後3ヶ月を過ぎた所見です。
術前よりも尿の勢いは良いのですが、最近、手術直後よりも勢いが悪くなったと訴えています。
3D画像でも膀胱出口は開いているようには見えます・・・。
Bns3dop3m19866m392ところが、上記の膀胱出口の裏側から観察した3D画像では、膀胱出口が狭く「トックリ」の口か「ひょうたん」の口ようになっています。
Hyotan【瓢箪の一輪挿し】

Bns3dop3m19866m393拡大してみると、その構造が明瞭に判別できます。
肉厚で硬く狭くなっているようです。残念ながら再手術が必要でしょう。
今までの2D超音波エコー検査では、術後の狭窄は判別できませんでしたが、3D画像で何とか判別できそうです。

Bns19666m30【実例】
30歳男性で慢性前立腺炎の患者さんの3D画像です。
8年前から慢性前立腺炎と診断されています。症状は排尿中・排尿後の尿道先端から会陰部痛にかけての痛みです。α-ブロッカーのエブランチルを処方した所、症状は激減して、この1年間薬の服用のみで症状はコントロールされています。
3D画像で膀胱出口はわずかに凸凹しています。

Bns19666m302上記の裏から観察した3D画像です。
3D画像だと前立腺部分が透明になって観察され、筋肉と線維が明瞭に描出されます。膀胱出口の4時と6時の位置に硬そうなしこりが見えます。

Cu21202m32【実例】
32歳男性で非淋菌性非クラミジア性難治性尿道炎の患者さんの3D画像です。
原因不明の尿道炎の診断で、抗生剤を数ヶ月服用しているのですが、尿道全体の痛痒さが治らないので来院しました。亀頭部の赤いのも気になっています。
膀胱出口は周囲が盛上がっていますが、膀胱出口そのものは開いているように見えます。
Cu21202m322上記の裏から観察した3D画像です。
この角度で観察すると、膀胱出口に3箇所(3時・7時・8時の位置)に硬いしこりが観察できます。
難治性尿道炎症状ですが、実は膀胱頚部硬化症(膀胱頚部機能低下症)です。

Bns21205m22【実例】
22歳男性慢性前立腺炎の患者さんの正面像です。
Bns21205m22r22歳男性の3D背面像です。
この角度だと、12時を中心に硬い像が認められます。

Bns21218m47【実例】
47歳男性慢性前立腺炎の患者さんの3D正面像です。
Bns21218m47r47歳男性の3D背面像です。
この角度だと、5時から8時の位置に硬い像が認められます。

Cp21225m60hemato【実例】
血精液症で来院した60歳の男性です。
数年前から血精液症を自覚していましたが、地元の泌尿器科を受診しても異常なしという診断です。
最近では、射精する直前にゼリー状の出血を感じるまでになり、途中で射精を断念するそうです。
3D正面像では、膀胱出口の上(12時の位置)が膀胱側に盛上がっているように見えます。
Cp21225m60hematorところが、3D背面像では、膀胱出口5時・7時にシコリを確認できます。これが排尿障害の原因でしょう。

Cp21327m61cp【実例】
61歳男性です。1年3ヶ月前から、地元の大学病院で慢性前立腺炎と診断され、セルニルトン・クラビット・アビショット・牛車腎気丸・半夏厚朴湯・五淋散・黄連解毒湯を服用中。
症状は会陰部痛・亀頭部痛・肛門痛です。
1日10回の頻尿と夜間1回~3回の頻尿があります。
3D正面画像で膀胱出口6時の位置が硬化しています。
Cp21327m61cp23D背面画像でも、6時の位置に硬化像を認めます。
尿流量測定ウロフロメトリー検査で、最大排尿速度9.0ml/毎秒、平均排尿速度4.4ml/毎秒、自尿が252ml、残尿が134mlと強い排尿障害を認めます。

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コメント

いつも楽しみに、そして一つの希望の光として当BLOGを拝見させて頂いてる慢性前立腺炎の患者です。
さきに先生の考え方を懐疑的に感じていた時期もあった事も正直に述べておきます。しかし先生の限りない探求心とやっかいな病態解明に対する熱意には今では心より敬服しております。
大病院でMRI、CTなどを何度も試みました(と言うより最後はお決まりのように撮影させられました)。思い切ってその意味を訪ねると「癌の有無などの確認に一応やっている。命に関わる病気で無い事を理解して貰う為」と聞き、治療に関してのものでは無かった事に愕然とした思い出があります。
高橋先生はこの疾患の治療の精度向上、病態と推察の更なる一致を確認をなされるためにこの装置を導入されたのでしょうね。
私は頑固者の理系人間。ご自身の理論とDATAを整合させるスタイルに今は完全に惹かれています。語弊はあるかも知れませんが、人間は精密機械と信じております。「病は気から」ある意味正解でしょうが、少なくともこの病気が精神論(免疫力UPで治癒等)で片づけられる物でないと思っています。「気は病から」これが今の私の現状です。。。
少し遠方に住み、精神的、体力的にもお伺いするのを今は躊躇していますが、エネルギーを貯めていつか納得する治療を受けさせて頂けたらと思います。
「見える事」とにかく興味があります。自分に何が起こっているのか見てみたいです。
「精神的なもの、几帳面だから」これで片づけられるのはこりごりです。
ますますのご活躍を祈って、そしていつかお世話になりたく思います。その時はどうぞ宜しくお願い致します。
拙く間違えもある私のコメントでしょうが、画像分析に興奮し一筆させて頂きました。

【高橋クリニックからの回答】
ご声援のコメントありがとうございます。

コメントを読んだ私の感想をいくつか述べます。
医師は体裁としては理科系の職業ですが、中身はほとんど文系、それも芸術系の職業です。
フィーリングで物事を判断しています。しかし、データや最先端の医療器械を駆使しているので医師本人も自分は芸術系とは気がつかないのです。
ですから、貴方が経験したような無意味な検査を行なっても、平気であのようなことを何の疑問も持たないまま貴方に告げることができるのです。科学者であれば、無意味な検査を極力避けるのが本来の姿でしょう。

「病は気から」という言葉が登場したので「気」について少し説明しましょう。本来、漢方や中国医学で使用される「気」とは、精神的な気持ちの「気」ではありません。
ところが、日本には「気」という概念がなく、蒸気の「気」のように実体のない得体の知れない存在、つかみ所のない物、あるいはいい加減な存在という意味でこころ・気持ち・精神的と理解されています。
漢方では気を「先天の気」と「後天の気」に分けます。先天の気はもともと持って生まれた気のことで、「元気(原気)」といいます。後天の気は呼吸や食事によって得られた気のことで宗気(大気)、営気、衛気に分けられます。宗気は心肺で血管内を流れる営気と血管外を流れる衛気に分かれます。営気は主に内臓を衛気は主に体表を流れる気です。
気が五臓六腑を流れることで、心気、腎気、神気などと変化します。
気の流れが滞ったり、気が減少したり、気がたまったりすることで病気になると考えます。「病は気から」というのはこの意味なのです。十分な「気」がスムースに流れないから病気になるのだと考えるのです。日本のように気がおかしいから病になるのではありません。
貴方のおっしゃる通り「気は病から」が日本的な考え方では正解です。病を治さないでなぜ「気」が治るのでしょう。科学を売り物にしている医師が「気」のせいにすること自体、非科学的で矛盾をはらんでいることを自覚していないところに憤慨します。

確かに人間は精密機械です。それも自己修復能力のある生身(炭素系)の超複雑な精密機械です。遺伝子レベル・分子レベルの極微に至るまで合目的な仕事を担った精密機械ですから、「複雑系」理論に登場するような別次元のパターンを生じさせます。これは金属系・シリコン系の精密機械と似て異なる行動パターン・作用パターンをとるはずです。
理系の人間の考え方は、代表的なパターンのモデル(理論・仮説)を作り、それが何度繰返しても再現されることで、そのモデル(理論・仮説)が正しいことが実証されます。この考え方は科学そのものですし、ある意味正しいことです。しかし、そこで立証された数々のモデル(理論・仮説)同士が横のつながりや縦のつながり前後左右のつながりへと発展しないのが、今の科学の悪い所です。
私がブログの中で、基礎医学(生物学・解剖学・生理学・病理学)や化学・物理学はたまた歴史までを引き合いに出して整合性をとろうと努力しているのは、そのような欠点を排除して新しい次元の世界が見えるかも知れないと考えているからです。

3D・4D超音波エコー機器を子宮内胎児の顔や表情しか利用していないのは、横のつながりがない証拠です。私がたまたま思いついたのが新しい観点の発見かも知れません。コロンブスの卵です。

前立腺肥大症の3D画像に関しては、http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/bph/2007/09/d_df1d.html
を間質性膀胱炎の3D画像に関しては、
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2007/08/d_5f3f.html
をご覧下さい。

投稿: 会陰部痛患者 | 2007/09/07 12:48

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