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超音波エコー検査で見る膀胱頚部硬化症の排尿状態

Smallbph非細菌性慢性前立腺炎の原因である膀胱頚部硬化症が、排尿障害の原因だといわれてもピンと来ないでしょう。
旭化成工業株式会社の医師向けの広告リーフ(右写真)に「小さな前立腺肥大症の診断と治療」テーマがあり、超音波エコー検査で観察した、正常の前立腺と膀胱頚部硬化症の排尿の違いが写真に掲載されていたので、ここに紹介します。

【図1】
Ecohflow2_1
この写真は排尿障害があるが、前立腺肥大症がない患者さんの排尿時の超音波エコー検査(経直腸法)の所見です。上図のように膀胱出口が十分に開いているので、正常の開き具合と判断され、排尿障害の原因は膀胱機能低下だと診断されています。前立腺部尿道の開き具合と膀胱出口の開き具合は、膀胱出口の方が少し狭いように見えます。

【図2】
Ecohflow3
ところが、膀胱頚部硬化症(機能性・器質性)の場合は、膀胱出口が、上図のようにわずかにしか開いていません。さらに、前立腺部尿道は正常とされている【図1】の時よりも明らかに開いています。すると膀胱出口の相対的な開き具合は、前立腺部尿道よりもさらに狭いものになるので、ここにジェット流が発生しやい環境になります。

【解 説】
【図1】の膀胱出口が十分に開いているので、膀胱機能低下がこの患者さんの排尿障害の原因として述べられています。なるほどと理解できますが、ここに検査評価の盲点・誤解があります。
【図1】は排尿障害を訴えていない正常の人の超音波エコー検査ではないということです。正常の人であれば、恐らくは、膀胱出口が前立腺部尿道よりももっと大きく開いているかも知れません。この位の開きだったら正常だろうという「思い込み」があるのではないでしょうか?正常だろうから、排尿障害の原因は膀胱機能低下だという短絡的な発想が感じられます。
【図1】を正確に観察すると、膀胱出口の一番狭い直径は、前立腺部尿道の最大直径の約半分です。1/2の直径なのに膀胱出口が十分に開いていると云えるのでしょうか?
私から見れば、【図1】の患者さんも【図2】の患者さんも、程度の差こそあれ、どちらも機能性の膀胱頚部硬化症でしょう。でも【図1】の患者さんは膀胱機能低下ということでウブレチドなどの投薬を受け恐らく治らないでしょうし、【図2】の患者さんは膀胱頚部硬化症と診断されたので内視鏡手術で治るのです。検査の評価がいい加減だと、同じ病気でもこのように運命が分かれてしまうのです。

【図3】
Ecohflow4
本当の正常の排尿状態は、【図3】に示す通りです。この図は【図1】を私が手直ししたものです。膀胱出口は前立腺部尿道よりも開いていなければ、正常とは云えないでしょう。膀胱出口から前立腺部尿道にかけては漏斗状形成しなければなりません。膀胱出口よりも前立腺部尿道が開いている形状は漏斗ではありません。ここをいい加減にしていると、【図1】の患者さんのように、膀胱機能低下と誤診されてしまうのです。
【図1】も【図2】もちょっとした差です。ちょっとした差をいい加減に評価する医師が多いので、慢性前立腺炎で苦しまれる患者さんが後を絶たないのです。

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コメント

高橋先生いつもお世話になります。

この図2の状態は、前立腺部分から尿道先端方向にかけて、池のような状態となっています。
二足歩行の人間の場合、この部分に尿が残るのではないかと、思います。
そして、トイレで排尿後、椅子に戻って座り直した時、少し漏れて来るいわゆる尿漏れが起きるのではないかと思うのですが、いかがでしょう?
【回答】
画像に描出されている部分は、前立腺部尿道で、排尿後には前立腺の圧力で閉じてしまう所です。
いわゆる尿漏れの尿の溜まる部分は、この画像では写っていないもっと先の部分で、尿道球部と言う場所です。」

もし仮にそうだとすれば、膀胱頸部硬化症の場合、膀胱出口が狭いためジェット流が起き、前立腺部分の尿道が広がり池の様な状態を作ってしまう、と考えられます。
【回答】
尿道球部がそのような状態になります。」

さらに、仮にそうだとすれば、尿漏れがある男性は高い確率で膀胱頸部硬化症と判断できますが、いかがでしょうか?
【回答】
前立腺肥大症で神経因性膀胱でも同じ現象が起きます。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/urology/2005/04/pmd_1aa6.html
を参考にしてください。

投稿: | 2014/10/09 18:46

一つ前の質問者です。ご回答有難うございます。
私は約50日前に先生に内視鏡手術をしていただいたものです(後だしですみません)。
まとまった報告は薬の事もあるので一ヶ月単位で報告するようにします。

改善点はいくつもある中で、この「尿漏れ」が全くなくなりました。
以前はいくら排尿終わりがけに陰茎を振っても、踏ん張って出し切っても、椅子に戻ると、チョロっと出てきていました。
【回答】
内視鏡手術しても、この尿漏れが改善しない人もいますから、良かったですね。」

ただ、尿線割れがまだ継続してあります。例えれば、きしめんを縦にして出てくるような状態で排尿終末時には上下に割れます。
【回答】
膀胱頚部を縦型に切除していますから、膀胱出口はキシメン状態です。
当然、排尿はキシメン状になります。」

細かい事を気にしても仕方ないので、尿線が割れようが割れまいが、尿漏れが無くなったんだから、いい事だ、とかなりポジティブに解釈してます。

ただ、尿線が割れるのは、何故?と少し釈然としない心持ちでもあります。
【回答】
本来の生理的排尿形態ではないからです。
膀胱出口は縦に開いていて、その後、前立腺から尿道にかけて円形の断面だからです。

投稿: | 2014/10/10 15:35

素早いご回答有難うございます。

また一つ少し不安の混ざった疑問が私の頭から消え去りました。

投稿: | 2014/10/10 18:40

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