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前立腺結石の成り立ち

慢性前立腺炎の患者さんの多くに前立腺結石を発見できることは、先に例を挙げて説明しました。
では、なぜ前立腺結石が出来るのかを模式図を利用してもう少し詳細に述べましょう。
模式図をクリックすると大きな画面になります。
Calgenerate【1】正常
正常・健常な排尿では、前立腺部尿道内に何の障害も起こりません。

Calgenerate2【2】ジェット流の発生
ところが、膀胱頚部硬化症・膀胱出口閉塞症・前立腺肥大症中葉肥大では、膀胱出口が十分に開放しません。すると、前立腺部尿道内にジェット水流が生じます。

Calgenerate3【3】渦流の発生
ジェット水流は、尿道内の水圧分布に不均一を作ります。尿道内の水圧分布の不均一により、尿道粘膜に沿って渦流が生じます。渦流は、尿道粘膜にわずかですが障害を与えます。
渦流については以前に流体学的発想で詳細に述べていますから、興味があったらご覧下さい。

Calgenerate4【4】粘膜障害と石灰沈着
尿道粘膜障害部にさらに複雑な渦流が生じ、傷害された粘膜が中心核となり石灰が沈着し始めます。

Calgenerate5【5】石灰の増大・結石化
尿成分のリン酸塩・シュウ酸塩・カルシウムなどが次々に沈着し、石灰は結石状の大きな塊になります。大きくなった石灰・結石によってできた粘膜の凸凹により、渦流は消え、尿流は整流化します。

Calgenerate6【6】結石の前立腺内埋没
粘膜外に頭を出している石灰・結石は生体の修復適応作用により、粘膜に取り囲まれ、遂には粘膜下の前立腺組織内に埋もれてしまいます。すると、尿道粘膜は平坦になるので、再び渦流が発生し【3】の状態に戻ります。【3】から【6】の繰り返しが起き、結石の数が次第に増えていきます。

17139m46bns5【7】粘膜に取込まれる結石
内視鏡手術の際に偶然捉えた像です。【6】で説明したように、結石が粘膜下→前立腺組織内へと埋没する瞬間です。

Calc17902m60bns2【8】顕微鏡像
結石となった石灰は前立腺組織内に取り込まれ、右の顕微鏡写真のようになります。

ここで強調したいのは、前立腺結石が慢性前立腺炎の原因ではないということです。一般的に泌尿器科医は慢性前立腺炎の患者さんを診察する際に、レントゲンや超音波エコー検査で前立腺結石を発見すると、「これが原因です!」と指摘します。私の考えではこれは嘘です。本末転倒です。排尿障害があるために前立腺結石ができたのです。ですから、排尿障害を治さない限り慢性前立腺炎症状は治りません。前立腺結石を除去しても治りません。

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コメント

前立腺結石の生成過程を拝読して気づいたことがあります。排尿障害により、前立腺結石を作りやすい方は、腎結石、尿路結石で苦しんだ経験を持ってらっしゃるのではないでしょうか。尿の成分そのものが結石を作りやすいのではないかと思います。
【回答】
前立腺結石は流体力学的に発生するので、体質的原因の腎結石や尿路結石とは無関係です。

投稿: 京都在住者 | 2014/08/08 15:56

粘膜に取り込まれる結石の画像で中心の所に黒い穴のように映っているのは尿道でしょうか?この画像だと尿道の半分くらいは結石に邪魔されて排尿の通り道が半分くらいになってしまっているとの解釈でよろしいのでしょうか?
【回答】
結石が埋没しようとする粘膜の奥が黒く見えているだけです。
ここに写っている結石は1mm位の大きさです。
尿道粘膜の一部を拡大しています。
尿道の広さは、この画面全体の10倍以上の大きさになります。

投稿: | 2014/11/18 14:14

先生、回答ありがとうございます。

結石の大きさが一ミリですか。すごく細かいところまで良く写りますね。

投稿: | 2014/11/18 19:39

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