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超音波検査でみる膀胱頚部の「静脈瘤」と「鬱血(うっけつ)」

排尿障害が強く、排尿のたびに膀胱が力強く息んでいると、膀胱出口から前立腺にかけての膀胱頚部に圧力がかかります。その圧力が膀胱頚部周囲の静脈圧を上げます。すると、次第に静脈が拡張するようになり最終的には静脈瘤になります。膀胱頚部周囲の静脈瘤の発見=排尿障害の存在と考えられる訳です。
超音波エコー検査では、膀胱頚部(膀胱出口から前立腺にかけて)周囲のブドウの房状に黒く抜けた像として観察できます。
【膀胱頚部周囲の静脈瘤】
varix-cp
イラストの前立腺周囲の膀胱壁の中にブドウ房状の青い●が静脈瘤です。この静脈瘤を静脈のうっ滞と判断し、骨盤内静脈うっ滞症候群という病気で診断される患者さんがおられます。そして漢方で云う「瘀血(おけつ)」状態ですから、漢方医は桂枝茯苓丸などの瘀血(おけつ)治療薬を患者さんに処方するパターンが多いのが現状です。
瘀血(おけつ)が元凶ではなく、瘀血に至らしめる病態が元凶なのに本末転倒の治療がされる訳です。当然、薬は効きません。

【解剖図 ネッター解剖学アトラスから】
netter-m解剖図によれば、膀胱・前立腺周囲にはご覧のように静脈(青い部分)が確認できます。しかし、超音波エコー検査では確認できない程度の静脈です。ですからこれらの静脈が超音波エコー検査で確認できるのは異常なことです。

18406m46dr-varix46歳男性
平成12年から尿道の不快感を繰返す。肛門周囲の痛みがある。

17255m2727歳男性
16年6月から残尿感と尿道ムズムズ感で悩む。2軒の泌尿器科専門クリニック受診するも、慢性前立腺炎の診断で抗生剤投与のみで改善せず。小さな矢印で示したのが静脈瘤。

17257m1818歳男性
3年前から1時間~2時間に1回の頻尿である。地元の医師に「気のせい」「神経性」と診断された。超音波エコー検査で静脈が蛇行しているのが確認できる。

18339m2828歳男性
14歳から1時間1回の頻尿に悩ませられる。

18467m2020歳男性
小学6年生から尿の出が悪く、尿が途切れ途切れである。最近は排尿後に尿道のヒリヒリ感がある。

18511m3030歳男性
5年前から会陰部不快感とインポテンス。慢性前立腺炎の診断で抗生剤治療されるも改善せず。

18534m3333歳男性
右睾丸疼痛と陰部痛。京都大学病院で間質性膀胱炎か慢性前立腺炎と診断される。

18541m3535歳男性
10年前から慢性前立腺炎と診断される。残尿感が強く、頻尿にも悩まされている。地元の医師に精神的な問題と片付けられている。

18552m2222歳男性
平成15年から残尿感が強く、1回の排尿に10分から30分要する。地元の市民病院泌尿器科で慢性前立腺炎、他の病院精神科で神経性頻尿と診断される。5年前から尿の出が悪い。

【補足】
ご覧のように超音波エコー検査で膀胱・前立腺周囲の静脈瘤が確認できるのは、慢性前立腺炎患者さんの5人に1人の割合です。慢性前立腺炎患者さんの全員に確認できる訳ではありません。ですが検査する医師としては、静脈瘤を見つけ出そうと必死です。この必死の努力とただ検査しているだけとでは、診断能力に大きな違いが出ます。

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