超音波検査でみる膀胱出口周囲の硬化像
排尿障害が原因で膀胱出口の振動による膀胱出口周囲の硬化は、超音波エコー検査で確認できます。それは膀胱・前立腺の側面像で膀胱内に突出した「出っ張り」として見ることができます。
膀胱出口は排尿時に漏斗(ろうと)状に開く仕組みになっています。解剖学的に漏斗状に開かなければならない周囲に「出っ張り」のような邪魔な構造物が存在することは、病的と判断するべきでしょう。
しかし例外はあるもので、わずかな排尿障害で膀胱出口が振動していても、形態学的変化としてこの「出っ張り」が必ずしも観察できない方もおられます。それでも観察できた時にはラッキーで、膀胱出口が振動している=排尿障害の存在と考えてよいでしょう。
下に掲載した超音波エコー検査の像は、全て慢性前立腺炎症状で来院した患者さんのものです。側面で観察すると、黒く見える部分が膀胱の尿です。凹みのある部分が膀胱出口です。膀胱出口の上の膨らみと下の膨らみが硬化像です。膀胱出口の下の膨らみが上の膨らみに比べて小さいのは、そこが膀胱三角部に当たる部分なので構造上膨らまない分、膀胱三角部が硬くなり過敏になるのです。
31歳男性
会陰部痛、睾丸痛、大腿鼠径部痛、腰痛を訴える。平成16年から他医で慢性前立腺炎と診断される。
46歳男性
平成12年から肛門周囲の痛み、平成17年5月~7月に上半身に痛みが走る。
49歳男性
頻尿(1時間1回)、尿道のムズムズ感、排尿後から持続的に続く尿意頻拍感を訴える。大学病院で慢性前立腺炎と診断される。
20歳男性
1時間1回の尿意頻拍感、排尿後の尿道ヒリヒリ感、体の尿臭、射精時の痛みがある。小学6年生頃から排尿はタラタラと出が悪い。
28歳男性
急性副睾丸炎をきっかけの会陰部痛と患者さんは気にしていない1日15回の頻尿。
26歳男性
中学1年生からの頻尿(1時間1回)と尿の出の悪さ。
Residual Urine:残尿、 Prostate:前立腺です。排尿後の残尿が73mlありました。
【補足】
ご覧のように年齢に関係なく、慢性前立腺炎症状の患者さんには5人に4人の割合で膀胱出口周囲の硬化像(膀胱内への出っ張り像)を確認することが出来ます。しかし、この検査の見方は私のオリジナルですから、他の医師はこの所見を無視し、異常なしと判断するのです。
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コメント
彼氏が慢性前立腺炎と診断されました。前立腺炎でアルコールがダメと聞きましたがなぜダメなのでしょう・・コップいっぱいのビールでもダメなのでしょうか?彼とお酒を飲むのが唯一の楽しみなので先生に聞いてみようと思いました。それと一週間程前から37.4度ぐらいの微熱が続いています。平熱が高い人なのでそのぐらいの微熱では通常大丈夫なのですが、悪寒を感じると言っています。前立腺炎と悪寒は関係あるのでしょうか?それとも別の病気なのか・・・悪寒を慢性の前立腺炎で感じる(急性ならば別ですが)事はあるのでしょうか?
【高橋クリニックからの回答】
「炎」と名前のつく病気にアルコールはダメです。
虫垂炎や肺炎の患者さんにアルコールを勧めないでしょう?
悪寒と前立腺炎との関係は、この内容からだけでは分かりません。
投稿: ○野○子 | 2006/05/27 21:32