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患者さんからのレポート#8

高橋知宏先生

先日の手術給付金申請書類の件、ありがとうございました。 
さて、現在の排尿状態ですが、起床時は300-400ml位を20-30秒で排尿しています。夜間に、尿意で目覚めることは就寝前に多めに水分を摂取した時以外はほとんどありません。しかし、尿意がなくとも夜間覚醒した時には以前の習慣でトイレ行くことが多いです。この時、200ml以上出ることもあり、以前では考えられないことなので驚いています。
昼間は、100~150ml位溜まると軽い尿意があります。以前でしたら、トイレに立つのですが、今では十分に我慢できます。持続的な尿意は250ml前後で感じるようです。当然もっと我慢できるのですが、これも以前の習慣が残っているようで、やはり、早めに排尿してしまうことが多いです。(自宅での排尿はすべてカップに取り、量と色調をチェックしています。)
排尿以外の自覚症状ですが、時に極めて軽い違和感が恥骨上部を中心にある程度です。飲酒もしてみましたが、特に変化はありませんでした。
射精もしてみましたが、めでたく前に出てきました。また、以前は射精後1日程度、やはり恥骨上部を中心に違和感(重圧感)がありましたが、それがなくなったようです。
 
術後経過についてまとめてみました。

手術当日(尿バックを付けていました)
利尿に努めましたが、終日、肉眼的血尿で凝血塊も認められました。バルーンが入っているのに時々尿意を感じましたが、ロキソニンが効いていたのか座薬を使うほどのものではありませんでした。ウェストポーチタイプの尿バックは寝返りをしても全く気にならず、非常にコンプライアンスが良好で熟睡できました。

翌日(尿バックをはずしキャップになりました)
尿意をあまり我慢しないように、150-200mlで排尿していました。キャプになってからも凝血塊がかなり混入していましたが、肉眼的血尿は認められませんでした。体位、体動により、膀胱内でバルーンの先の当たる位置が変わるようで、亀頭部尿道、会陰部、恥骨上部などいろいろなところに関連痛(熱感、違和感?)を感じました。また、強い尿意を感じ排尿することがありましたが、この時の排尿量は必ずしも多くはありませんでした。(50ml未満のこともありました)

翌々日(バルーンを抜きました)
抜去後数回は凝血塊を伴わない肉眼的血尿が認められましたが、それ以降はなくなりました。一回排尿量は、200-250mlでした。だだ、排便に伴う排尿には肉眼的血尿が認められました(これは、術後5日目くらいまで続きました)。排尿開始時に若干の痛みを感じましたが、排尿中、終了時に特に痛みはありませんでした。排尿時以外の症状については、やはり体位、体動で強い尿意を感じることがありました。特に、洗面台等で体を前傾した時に我慢できないほどのものを感じました。(よく考えてみると、このような症状は術前にもありました。以前は、起床後、排尿が終わり、洗面台に向かっているうちに再び尿意を感じトイレに戻るということがしばしばありました。)このような状態が術後14日位まで続きましたが、1日ごとにその程度は軽くなっていきました。

術後15日以降になると、排尿にも慣れ、持続的な自覚症状もなく、たまに体位、体動に伴い尿意を感じることもありますが、我慢できる程度までになってきました。また、時々、明らかに混濁尿のときがありましたが、何日も続くことはありませんでした。

術後20日に突然、血尿がありました。連続3回でしたが、痛みは全くありませんでした。その後、古い凝血塊と組織塊のようなものが出てきました。その後は、尿に特に所見はみられていません。

1ヶ月経った現在、やはり体位、体動に伴い軽い尿意をたまに感じることがありますが、排尿状態は順調です。術前は、溜めてしまうと大変なので尿意にあまり関係なく2時間位の間隔で排尿していましたが、今は気付くと4-5時間行っていないということがよくあります。頭の中に張り付いていた「そろそろトイレの時間でしょ?」という張り紙がだんだんと剥がれてきている気がします。

最近、気付いたのですが、最後の10-20mlの排尿が極めてゆっくりで、終了後も軽く腹圧をかけると数ml出てくることがあります。これは、術前は残尿が常に存在し、膀胱容積が「0」になることがなかったために、術後でも膀胱が完全に収縮することがうまくできないことがあるためではないかと思っています。また、排尿後、尿道内に尿が残っていることがあります(陰茎を振ると、結構出てくることがあります)。これは、先の排尿スピードの低下と膀胱鏡検査で見つかった尿道狭窄が関与しているのではないかと思っています。また、時に尿線が排尿の終末期で分割することも、これらの関与かなとも思っています。よく考えるとこれらは、術前からあった症状ですが、「ポタポタ、トロトロ、一休み」が当たり前の排尿でしたのであまり気にならなかったのだと思います。

私の場合は、排尿障害がほとんどで、それ以外の多くの方が長年悩んでいるような多岐にわたる自覚症状は極めて軽微であったために、このような順調な術後経過をたどっているのかも知れません。しかし、逆にこれは手術操作自体の直接的な影響はこの程度であるということかもしれません。このような視点から、手術をされる方の参考になればと考え、まとめてみました。

また、一ヶ月位したら報告させていただきます。本当にありがとうございました。

2006/02/27  ○○○○

【補足】
この患者さんは、実を言うと私の同級生の医師です。以前から排尿障害があったのですが、薬物の治療効果も今一なので同級生の私を頼って来院してくれました。医師として同業者、それも同級生に頼られることはとても嬉しいことです。
手術後の治療経過も順調で、内心ホッとしています。患者さんが医師だけに誤魔化しが効かないのです。普段から、どんな患者さんに対しても誤魔化しはありませんが・・・。

18466m51bns
18466m51bns3上は、初めての診察時の尿流量測定ウロフロメトリー検査の結果です。全量307mlの尿を103秒かかって排尿しています。途切れ途切れの弱々しい排尿です。
右は、排尿直後の残尿量測定検査です。計算上133mlの残尿が認められます。

18466m51bns2手術後1週間の尿流量測定ウロフロメトリー検査の結果です。手術前と比較して勢いの良さが分かります。329mlの尿量で27.5秒で終わっています。格段の差です。

18466m51bns4その直後の残尿量測定検査の結果です。わずか30mlまで減少しています。以前が残尿133mlでしたから、術後4分の1以下になりました。残尿が少なくなった=膀胱の負担減少ですから、友人の下半身を中心とした自律神経の疲労は軽減される筈です。
下半身の自律神経の疲労回復は、全身の自律神経の緊張をも和らげます。すると全身の力がよみがえり、結果若返るのです。○○○○先生、楽しみにしていて下さい。


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