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メール相談 慢性前立腺炎編#5

「はじめまして。高橋先生。
HPを拝見させていただき、ご相談のメールをしたくて書きました。
6年ほど前のある日に、何の前触れも無くトイレが近くなりました。その時の症状としてはトイレにいっても30分と経たないうちに再度いきたくなり、その間も残尿感と漏れてしまいそうな感じが常にありました。病院で診察したところ特に異常も見当たらず、神経性のものと言われ、たいした治療もされないままに終わりました。そのご大学病院での尿道に管を差し込まれたり、前立腺マッサージをされたり、尿の勢い、残尿エコーとあらゆる検査を行いましたが特にこれといった異常はやはり発見できませんでした。
処方された薬と言えばセルニルトン、桂枝茯苓丸ぐらいで、あとは「検査では異常が無かったので精神的なもの、気にしないように」といわれました。唯一異常(?)としてみつかったのが骨盤内静脈うっ血しており血の流れが悪いと言われたぐらいです。
こちらのHPの内容を読んでいてまさにその症状、医師の診察内容など、そのとうりだと共感しました。現在の症状といたしましては、夜間はトイレに起きる事はありません。日中は1時間半から2時間でトイレにいきたくなります。また、亀頭のあたりに常にジンジンとした痛みとまではいかないのですが、強い不快感があります。トイレにいった直後は不快感が減少するんですが、暫くすると尿意と共に強くなってきます。去年の11月頃から今年の9月下旬あたりまで症状が全くと言っていいほどなく、自分でも完治したと思い、慢性前立腺のことすら忘れていたのですが・・・。不定愁訴で再発を繰り返すとは知っていましたが、やはりガックリとしました。どこのHPを見ても完治はしない一生付きあっていく病気とあり希望を失います。
先生のHPでの患者さんは手術により、完治それに近い程度まで症状が改善されたとあります。できれば今すぐにでも高橋先生に診察して頂いて、治るのであれば手術も受けてみたいと考えています。ですが、○○県に住んでいる為に通院すると言うのはなかなか簡単にいきません。どうすればよいのか悩んでいます。よろしければアドバイスをお願いします。失礼なお話ではあるんですが、手術にかかる費用なども教えていただけたら幸いです。
ご多忙のなか最後まで読んでいただいて感謝しております。ありがとうございます。
○○県在住 27歳 男」

【解説】

神経性のもの、精神的なもの、気にしないように
簡単な検査でこの診断を下されるのは問題です。

尿道に管を差し込まれたり、前立腺マッサージをされたり、尿の勢い、残尿エコー
ここまで検査するところは、大学病院でもなかなかありません。同じ症状で受診しても、簡単な検査で終わるのがほとんどです。

セルニルトン、桂枝茯苓丸
出ました!慢性前立腺炎といえば、抗生剤以外で処方される双璧の薬です。本当の慢性前立腺炎には効くのだと私も思ってます。

骨盤内静脈うっ血
慢性前立腺炎の病名のほかに、骨盤内静脈うっ滞症候群・前立腺症・前立腺疼痛症・陰部神経症などの病名があります。超音波エコー検査やMRI検査で前立腺を中心に静脈の拡張所見が認められますが、それはあくまでも結果的所見であって、会陰部が痛いという症状を画像で示したに過ぎません。うっ血が悪いのではなくて、うっ血する原因が問題なのですから、本末転倒の議論展開を行っているのが現状です。

亀頭のあたりに常にジンジンとした痛み、トイレにいった直後は不快感が減少
亀頭のジンジン感は、排尿により軽快するわけですから、膀胱刺激症状であることが分かります。

どこのHPを見ても完治はしない、一生付きあっていく病気
しっかりした検査もしないで安易にこういう結論を出す医師の何と多いことか!もっと地道に診察・検査・考察して欲しいものです。

さて、この男性は新幹線に乗ってわざわざ遠方から来院されました。カルテ番号16097
私もワンパターンですが、目一杯オシッコをためていただいて排尿障害検査を行いました。やはり排尿障害を認めました。でも以前の大学病院では、同じ検査を行っても異常が出なかったのです。チョッとしたコツで、膀胱・前立腺は真実を語ってくれます。

尿流量測定ウロフロメトリー検査でギザギザ山の長いグラフ曲線です。右の正常曲線とは異なります。
cp16097urf.jpg m51normal-urflw411ml.jpg

排尿直前の超音波エコー検査での膀胱です。
cp16097echo.jpg

1回目の排尿(尿量816mlでした)直後の残尿です。それでも残尿が何と213mlです。総量約1000mlためてたことになりますから、5分の1は残ったことになります。
cp16097echo2.jpg

2回目の排尿直後の残尿です。わずかですが残尿12ml存在します。ためていた尿量が少ないと残尿として残る率も少ないことが分かります。20分の1残ったことになります。毎回の尿量が少なければ膀胱の負担が軽減できる証明です。
cp16097echo3.jpg

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