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慢性前立腺炎CPの実例5

【実例5】
カルテ番号15642 ○○功一さん 45歳 男性 税理士の方です。
●症状:排尿障害と勃起不全
息み時間が長く、オシッコをしようとしても直ぐには出てこない、出てもチョロチョロしか出なくなった。以前から勃起不全(ED)の悩みがある。
●経過:
3年前から排尿障害があり病院を受診しましたが、尿検査で異常がないので慢性前立腺炎の診断を受けていました。地元の○○病院、性病クリニック、都内の○○労災病院を転々として治療に励んだが改善しませんでした。骨盤内静脈鬱滞症候群とも診断されました。○○記念病院では診療内科に紹介されたこともありました。
これまで飲んだお薬は、クラビット・セルニルトン・桂枝茯苓丸などです。
今回、7月17日に排尿障害が強く出現したので、インターネットで高橋クリニックを検索して7月20日来院しました。
●検査:
ウロフロ検査では、排尿息み時間26秒と長く、ギザギザ山の排尿曲線で排尿障害を認めます。
超音波エコー検査では、前立腺は15ccの比較的小さいサイズです。しかし、膀胱出口に直径6mmの小さい嚢(ふくろ)が確認できます。排尿直後に残尿18mlを認めました。
膀胱鏡検査で膀胱頚部内腔がひょうたん型になっており、これが超音波エコー検査で小さい嚢に見えた所見です。もちろん膀胱頚部硬化症・後部尿道炎・膀胱三角部炎・肉柱所見がありました。

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尿流量測定ウロフロメトリー検査では息み時間が長く、排尿曲線もギザギザです。

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超音波エコー検査では、膀胱出口に直径6mmの小さな嚢胞を認めます。

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超音波エコー検査で小さい嚢胞に見えたのが、この写真の凹んで見える部分です。ひょうたんを内側から観察するときっとこのように見えるでしょう。

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膀胱頚部が狭いと、膀胱頚部の6時の方向が吊り上って、柵形成(bar in the sky)が見られます。この患者さんも柵形成の所見が見られます。

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尿道括約筋から前立腺部尿道にかけて、粘膜がポリープ状に群生している所見が見られます。尿が尿道内をジェット流で流れると、乱流が生じこのようなポリープが発生します。膀胱頚部が狭いことによる2次的(間接的)所見です。

●治療:
私の診断結果を聞いて手術を決心しました。
●手術:
日帰り手術で内視鏡手術を行いました。
●結果:
オシッコの勢いは強くなり、息み時間も短縮しました。
●総合評価:
手術前の膀胱頚部は、ひょうたん型の特殊な形をしていました。膀胱出口は直径2mmで硬く口を閉ざしていましたが、手術後膀胱内腔が十分に確認できます。手術後の超音波エコー検査でも膀胱頚部がV字型に十分開いています。手術前と手術後のウロフロ検査では、その違いが明瞭です。患者さんの排尿の息み時間は、術前の26秒から15秒と改善し短くなりました。勢いも術前から比べると、一目瞭然です。
排尿障害が改善しただけではありません。勃起不全・EDも治り、「すぐ勃起して困っています」と笑顔で語っておられます。排尿障害が継続すると、下半身の自律神経が疲労を起こし勃起不全になることが、この患者さんでも証明できました。

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手術用電気メスの金属ループの直径が6mmですから、中心に見える膀胱出口がいかに狭いか分かるでしょう。また、手術後の開放感は気持ちいいものです。直径で1cm(10mm)は開いています。

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手術後、小さな嚢胞はなくなり、膀胱出口(膀胱頚部)はV字に十分開いています。

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手術前の尿流量測定ウロフロメトリー検査と比較すると、排尿までの息み時間が短縮され、排尿曲線も大きな一つの山になって勢いがよくなっています。

手術後お礼のメールが届いたので(2004年11月9日)、ここに掲載します。
「先日、お電話させていただきました通り、だいぶ排尿時痛もとれ、よくなってきました。運動の方もこの間10キロほど走っても大丈夫でした。今月末の○○マラソン(20キロ)にも出走してみようと思います。また、自転車は、今乗っているママチャリだと若干、股間に来るので(出血はしません)、サスペンション付、溝付サドルの特注自転車を注文して乗ることとしました。後、まだアルコールは試していませんが、3月経過後の12月を待って解禁しようと思います。
ここまで、回復できたのもひとえに先生のおかげと感謝しています。本当にありがとうございました。御礼といってはなんですが、地元の名物をお送りしましたのでご笑納ください。たぶん、息子さんが喜ばれると思います。先生の今後とのご活躍をお祈りしております。」

この患者さんは心の病気・精神科の病気とまで言われましたが、正しく診察・検査をすれば、上記のように明白な原因が分かります。(原因不明の場合もありますが...) これからも私自らおごることなく、診断能力を上げ、治療面でも腕を挙げて精進します。お楽しみを!

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