患者さんからのレポート#42その後
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以前に予告したように、10月29日に松本にて、右の内容で学会報告を行いました。
発表が終わり、そのセクションでの賞をいただきました。
座長の先生(東京医科歯科大学の増田均先生)から「勉強になりました」とおほめの言葉を受けました。
たまたま会場に来ていた知人に、ポスター前で記念写真を撮影してもらいました。
赤いリボンが受賞ポスターの目印です。
うれしそうでしょう。
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数独というパズルをご存知ですか?
小さなマスがが縦9個横9個合わせて81個あり、9個単位の大きなマスがやはり9個あります。
このパズルゲームのルールは簡単です。
1.9個単位のマスには、1から9までの数が入る。
2.縦の列には、同じく1から9までの数が入る。
3.横の列にも、同じく1から9までの数が入る。
4.上記のルールに沿うように、数を埋める。
ルールは簡単ですが、全体の整合性がとれるように埋めるのが、結構難しいのです。
縦の列1本が完成しても、横の列が数字が1個でも重なるのであれば不正解です。縦の列9本、横の列9本、大きな9マスがすべて整合しなければならないのです。
妻と私の二人は、夕食後競って、この数読をしています。
一生懸命に数独を解いている内に、『まるで臨床診断と同じだなぁ』と思うようになりました。数独は8割ほど解いたところで数字を埋められなくなってしまうことがあります。全体を完全にの整合できなくなるのです。もちろん途中で判断にミスがあったということです。病気に関して言えば、8割説明がつけば、その病気はほとんど理解されたと考えます。しかし、このゲームは、埋めた数字が、このルールにすべて整合しなければ、完成しないのです。
病気の診断も同じようなもので、特に慢性前立腺炎はその典型です。
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前立腺肥大症の新しい治療薬で「アボルブ」という商品名の新薬が8月から9月にかけて登場します。
この薬は5α還元酵素阻害剤で、男性ホルモンのテストステロンがDHT(ジヒドロ・テストステロン)に変化するのを抑えます。前立腺はDHTに依存していますから、DHTの濃度が少なければ、前立腺は委縮します。
5α還元酵素阻害剤で有名なのは「プロペシア」という育毛剤です。慢性前立腺炎に詳しい方ならば、一時期プロペシアが慢性前立腺炎に効果があるという情報が氾濫したのをご存じでしょう。
しかし、その後、鳴かず飛ばずでした。前立腺が委縮して小さくなるような薬でさえ、慢性前立腺炎を効果的に治すことができなかったのです。「慢性炎症」の場をなくすような治療でさえ、慢性前立腺炎症状を治せなかった事実から、慢性前立腺炎の本質が見えてくるでしょう。
このアボルブもDHTの産生を抑えます・
右のグラフに示すように、服用後、たった2週間でDHT濃度は本来の10%近くまで低下するのです。
DHTを抑えることで、前立腺の大きさの縮小率は、半年で25%(元の大きさの75%)、1年で33%(元の大きさの67%)も小さくなります。
もしも、慢性前立腺炎が、本当に前立腺そのものに依存しているのならば、炎症の場の前立腺組織が委縮と縮小は、症状の改善につながる筈です。本当の慢性前立腺炎の患者さんには朗報かも知れません。
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慢性前立腺炎と誤診され、昼夜を問わず尿漏れで来院された青年のその後の治療経過をご報告しましょう。
来院された時点で、膀胱の壁は凸凹の肉柱形成の状態です。尿が漏れるのに明らかな排尿障害の証拠といえます。
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掲示板に下記のような掲載があったので、ここで私の考えを述べさせていただきます。
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757 :お釈迦に説教:2009/06/04(木) 07:30:59 ID:P+jNoLgl0
椎間板ヘルニアの手術目的に入院し,手術前に当科を受診した31例に問診による排尿異常と尿流動態検査を施行した.
椎間板ヘルニアの脊椎レベルは,頚胸椎(C4-T10)14例,胸腰椎移行部(T11-L2)2例,腰椎(L2-S1)15例であった.
術前排尿症状は,閉塞症状11例(36%),刺激症状5例(16%)両症状5例(16%),無症状10例(32%)であった.
尿流動態検査では23例(74%)に異常が認められた.そのうち尿流率の低下は14例中6例(43%)に,30ml以上の残尿は31例中9例(29%)に,膀胱内圧曲線および外尿道括約筋筋電図異常が16例(52%)にみられた.
排尿機能異常は,肛門周囲知覚の低下と相関した.手術後の排尿機能は,22例に評価可能で,改善14例(64%),不変1例(4%),悪化2例(9%),術前後とも異常なし5例(23%)であった.
従って,手術治療を必要とする脊椎椎間板ヘルニアは神経因性膀胱を高率に合併し,肛門周囲知覚検査は,排尿障害の存在を予測する上で簡単でしかも有用な検査法であると考えられた.
また整形外科的手術による排尿障害の改善度は高く,悪化は少ないと考えられた.
この辺にもヒントがありそうな。。。T先生どうでしょうか
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7年前から亀頭包皮炎が治らずに、病院を転々とドクターショッピングされた40歳代の男性患者さんです。
亀頭がヒリヒリして不快で、この7年間で泌尿器科を3軒、皮膚科を4軒受診、治療を繰り返しています。診断は「亀頭包皮炎」「カンジダ性亀頭包皮炎」「気のせい」でした。4年前には包茎手術を行いましたが、結果、ヒリヒリ感は治りません。
亀頭を拝見しましたが、肉眼的な所見では異常を認めません。
患者さんとの会話の中で、「尿がたまると亀頭がヒリヒリすることがある」という言葉を聞き、排尿障害を疑いました。
超音波エコー検査2D画像で観察すると、御覧のように膀胱出口が膀胱内に飛び出しています。(IPP)膀胱頚部硬化症の所見です。
超音波エコー検査2D画像の正面像です。
うっ血静脈が確認できます。排尿障害による前立腺周囲の静脈拡張を強く疑います。
尿流量率検査(ウロフロメトリー)の所見です。
膀胱頚部硬化症のスパイク状の元気のない排尿曲線を示しています。患者さんは尿の勢いは若い時から変わっていないと言っておられます。
尿量219ml、残尿15mlです。前立腺の大きさは13ccで大きくはありません。
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お父上は65歳、ご子息は34歳の患者さんです。お二人でご一緒に来院されました。
お父上は、20年前に心臓のカテーテル治療を受けました。その際の膀胱留置カテーテル(俗にいうバルーンカテーテル)を抜いてから、慢性前立腺炎症状が出現しました。20年間慢性前立腺炎と闘ってきたことになります。
症状は、会院陰部痛・肛門痛・坐骨痛です。N医大病院・T大病院・J大病院・C大病院の泌尿器科と地元の泌尿器科クリニック・横浜の泌尿器科クリニック・飯田橋の泌尿器科クリニックをまわりました。肛門の病気?と思い、新宿の肛門科で有名な病院とA肛門科にも診察を受け治療しました。
最近、手と足のしびれがひどく気になり、頚椎手術で有名なD大病院で頚椎の手術をしましたが、しびれはまったく取れませんでした。
ご子息は、平成20年12月から早朝の下腹部の痛みを感じます。地元の泌尿器科クリニックで前立腺マッサージ後の検尿で白血球が1視野に17個認められ、細菌性慢性前立腺炎と診断されました。ガチフロ、クラビット、セルニルトンの投薬を受けましたが、軽快しません。飯田橋の泌尿器科クリニックで桂枝茯苓丸を処方されていますが、やはり治りません。
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60歳の男性が過去の包茎手術の傷痕が気になり、遠く四国から修正手術に来院されました。
実はこの患者さんは50歳の頃から腎不全で週に2回~3回血液透析するようになりました。19歳のころに急性腎盂腎炎にかかかり、その後、幾度か具合が悪くなり、遂には慢性腎炎、腎不全、血液透析になったのです。
ここで疑問が出てきました。患者さんは19歳の急性腎盂腎炎が慢性腎炎の原因で、それが元で腎不全になり、現在の透析をしなければならない体になったと信じています。
しかし、急性腎盂腎炎と慢性腎炎は直接関係はありません。経過を詳細にお聞きすると、主治医の内科医は、血液検査と尿検査だけで慢性腎炎、腎不全と判断しており、腎生検を実施していないのです。つまり組織学的に慢性腎炎と診断しないまま、血液透析に入らせたのです。
今回の来院した目的とは違いますが、真実を探るために超音波検査を無料で行いました。
【膀胱・前立腺の超音波検査】
腎不全で透析している患者さんですから、膀胱内に尿がたまっていません。尿がたまっていないと画像を読むのは難しくなります。
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50歳代の男性患者さんです。
25年も前から頻尿で苦しみ、有名な病院を転々とドクター・ショッピングされていました。そして先日高橋クリニックを受診しました。
現在、頻尿は就寝まで15回前後、就寝から起床まで3回~5回の頻尿です。
間質性膀胱炎?と診断されたかどうかわかりませんが、膀胱水圧拡張術を5回、8年前に私立の大学病院で開腹による膀胱拡大手術(大腸を切り貼りして膀胱に縫い付けて、膀胱容量の拡大を図る手術)を1回行っています。その後、症状はますます悪化しました。
2年前には、ある国立大学病院で、膀胱にボトックス注射を2回実施しましたが、結果頻尿は治りませんでした。
【超音波2D画像】
6時位置の膀胱括約筋はヘビが口をあけたように変形し、膀胱出口から距離を置いています。膀胱括約筋の上には膀胱三角部が肥厚し、硬化象も確認できます。膀胱頚部硬化症の所見です。
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このブログの全てを読めば、私の考えている「慢性前立腺炎」の真実が分かる筈です。しかし、ほとんど読まないで質問する方が多いので、「要約#3」として解説します。以前にも解説した「慢性前立腺炎の要約#1」、「慢性前立腺炎の要約#2」もご一緒にお読み下さい。理解が深まるでしょう。
難治性の慢性前立腺炎は微細で慢性的な排尿障害が本当の原因だと、私は信じています。本当の慢性前立腺炎は細菌性の炎症で、抗生剤の投与にて容易に治るものだと考えています。
長期に渡って治療しても治らないのは、細菌などの病原体が原因ではなく、全く違う原因であろうと私は考えます。その原因が患者さん本人も気がつかないささいな排尿障害です。
難治性の慢性前立腺炎には、大きく2つ(痛み・頻尿)、細かく5つのタイプが存在します。
【1】痛みタイプ
【2】頻尿タイプ
【3】自律神経タイプ
【4】混在タイプ
【5】うつ病タイプ
です。
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今回のように、あらためて2D画像を詳細に解析すると、今まで見えていなかったことが、見えるようになってきました。
下記のような所見が、排尿障害を見るための要素です。
1.膀胱括約筋の位置・厚み・形
2.膀胱三角部の厚み
3.硬化像の有無
4.静脈叢の発達
5.前立腺石灰・結石の有無
6.前立腺被膜の厚み
7.前立腺嚢胞の有無
8.膀胱壁肉柱の有無
9.前立腺の大きさ
10.膀胱出口の突出の有無
2D画像だけでも、これらの要素の陽性が多ければ、排尿障害を強く疑います。
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さまざまな2D画像の解析から、推理できることがあります。
それを仮説として、ここで披露しましょう。
まずは、2D画像では、ほとんど所見のない場合です。あっても、硬化像とわずかな粘膜の肥厚(主に膀胱三角部)です。
何らかの機能性排尿障害で、膀胱頚部にこのような所見で出現します。この状態を膀胱頚部硬化症1期とします。#10がこのタイプに相当します。
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