「陰嚢掻痒症」と排尿障害#2

以前に皮膚科の病気である「陰嚢掻痒症pruritic scrotum」について排尿障害と関係が深いと解説したことがあります。
今回、学会報告のデータを集計している際に「陰嚢掻痒症」が28例も集まっていることに気付きました。そこで「陰嚢掻痒症」のデータだけを簡単な統計にしてみました。

番号 氏名 年齢 大きさ 型   治療   転帰
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19286 Y氏 78才 24cc full α-ブロッカー 軽快
19427 T氏 55才 25cc boo α-ブロッカー 軽快
19639 I氏 29才 17cc bns α-ブロッカー 軽快
19995 K氏 46才 20cc bns α-ブロッカー 軽快
20266 O氏 48才 19cc bns α-ブロッカー 軽快
20309 I氏 67才 17cc boo α-ブロッカー 軽快
20501 O氏 20才 09cc bns   手術    軽快
20786 Y氏 62才 24cc boo   手術    軽快
20923 I氏 44才 21cc full    手術    軽快
21191 Y氏 57才 22cc boo α-ブロッカー 軽快
21344 I氏 59才 26cc boo α-ブロッカー 軽快
21389 S氏 63才 17cc bns α-ブロッカー 軽快
21741 I氏 65才 15cc bns α-ブロッカー 軽快
21908 H氏 43才 31cc bns α-ブロッカー 軽快
21929 S氏 53才 16cc bns α-ブロッカー 軽快
21941 I氏 61才 18cc full α-ブロッカー 軽快
22060 M氏 42才 22cc boo α-ブロッカー 軽快
22063 S氏 38才 15cc bns α-ブロッカー 軽快
22066 G氏 32才 16cc bns α-ブロッカー 軽快
22088 I氏 43才 18cc bns α-ブロッカー 軽快
22283 M氏 37才 28cc bns α-ブロッカー 軽快
22290 W氏 68才 25cc boo α-ブロッカー 軽快
22301 U氏 72才 15cc full α-ブロッカー 軽快
22365 I氏 30才 16cc bns α-ブロッカー 軽快
22431 S氏 64才 24cc bns α-ブロッカー 軽快
22488 I氏 39才 14cc bns α-ブロッカー 軽快
22489 T氏 62才 10cc bns α-ブロッカー 軽快
22495 T氏 41才 17cc bns α-ブロッカー 軽快
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陰嚢掻痒を主に訴える患者さんは28例で、平均年齢50歳(20歳~78歳)です。
罹患期間(病気発症から高橋クリニック受診するまで)は、平均2年11ヵ月です。
前立腺の大きさ平均は、19.3ccで正常が20cc~25ccとされていますから、正常域よりも小さいことになります。
排尿障害の形態は、膀胱頚部硬化症型(bns)が17例、膀胱出口閉塞症型(boo)が7例、前立腺肥大症型(full)が4例でした。
最大尿流速度の平均は15.7ml/秒(正常で少なくても20ml/秒以上、希望としては25ml/秒以上)、平均尿流速度の平均は8.0ml/秒(正常で少なくても10ml/秒以上、希望としては15ml/秒以上)でした。
我慢してもらって(正常であれば300ml~500ml)排尿したにもかかわらず、自排尿量の平均は247ml、排尿直後の残尿量測定平均が48ml(正常はゼロ)でした。
患者さんの28例中9人(32%)の方が過去に脊椎麻酔で虫垂炎手術(6例)・痔核手術(3例)を受けていました。先進国での虫垂炎手術罹患率は15人に1人(6.7%)以下ですから28人中6人(21.4%)の虫垂炎手術罹患率は3倍以上で有意に高い確率です。脊椎麻酔と排尿障害に深い関係を示唆するものです。

病気の原因も分からないまま、ただひたすらに皮膚症状(掻痒)のみに目が奪われるので治せないのです。皮膚症状は身体の警戒警報の場合があることを医師は注意する必要があります。

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間質性膀胱炎の膀胱鏡所見「点状出血」と慢性前立腺炎

間質性膀胱炎の診断基準にある「点状出血」について、とある掲示板で話題になりました。
話の展開の中で、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎の原因が排尿障害であると主張している私の考え方に矛先が向けられました。慢性前立腺炎の手術を多数行なっている私のブログの記載の中に「点状出血」の記載がないので、本当は、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎を別物として私は考えているという趣旨の内容だったと思います。

私は「点状出血」やそれに伴う「五月雨出血」を間質性膀胱炎の特異的な所見と考えていませんし、重要視しもていません。何故かといえば、前立腺肥大症・膀胱頚部硬化症(慢性前立腺炎)・慢性膀胱炎・間質性膀胱炎・神経因性膀胱といわれる患者さんの手術の際に、時折確認される程度のものだからです。
「点状出血・五月雨出血」=「間質性膀胱炎」とは認識していないからです。その程度にしか認識していない私が、慢性前立腺炎の手術の際に「点状出血があった!あった!」などとはブログの中で記載する訳もないでしょう。

間質性膀胱炎の診断基準の一つである「点状出血」について、その価値について未だ確立されていません。
Waxmanらの報告によると、間質性膀胱炎症状を有する患者さんのうち「点状出血」を認めたのは42%のみだったそうです。また、同じWaxmanらの別の報告で、卵管結紮(不妊手術)を受けた21歳から43歳の無症状(間質性膀胱炎症状のない)の女性20人に膀胱水圧拡張を行ったところ、45%に「点状出血」を認めたという報告です。(いずれも排尿障害プラクティス 間質性膀胱炎の最前線より)
つまり、「点状出血」の存在確認は、間質性膀胱炎の診断の参考にはなるが決定打ではないということです。

「診断基準」とは、原因などの全体像が定かでない病気に対して、臨床医が困るので便宜上「仮」に儲けた「一時的」な定義です。しかし困ったことに、一時的にもかかわらず恒久的な存在になることがしばしばです。「診断基準」で定義されたことが一人歩きをし、新しい知見を蹴散らしてしまうのです。自分たちで定義した狭い意味の言葉によって、思考が呪縛され奴隷に成り下がるのです。この現象は思考の弱さにあるのです。一旦定義すると、それ以上問題の事象を掘り下げなくなります。そしてその定義したことを安心の「拠り所」にしてしまうのです。「点状出血がなければ間質性膀胱炎ではない」などとトンチンカンな考え方を吐露するのです。
しかし、この現象は私も含めた全ての人間にみられる傾向です。これを思考の「慣性の法則」といいます。もちろん私のブログの中でも、そこここにこの現象はあるでしょう。常に用心をしなければなりません。

私は間質性膀胱炎も難治性の慢性前立腺炎も、その原因はどちらも「排尿障害」だと信じています。
間質性膀胱炎も慢性前立腺炎も過活動膀胱も神経因性膀胱も心因性頻尿も慢性骨盤内疼痛症候群も、原因の出発点に排尿障害があり、その行き先がそれぞれ異なった終着駅(症状の異なる病気)として認識されているに過ぎないと考えています。特に女性の場合、前立腺というショック・アブソーバーがなく、また性差のために必ずしも男性と同じ症状同じ検査結果が得られないのでしょう。逆に原因が同じであれば、男性も女性も全く同じ症状同じ検査結果が得られるのだと主張すること自体に、生物学的にも医学的にも無理があるのでは?と考えます。

私にご意見のある医師は、必ず本名を名乗りメールをお送り下さい。私は本名も所在を明らかにしているのですから、そうでないとフェアではないでしょう。ただし一般人はその限りではありません。
また、私のブログを時系列を無視して記述しようが私の勝手です。このブログは、正式な学会報告ではありませんし、文献的価値もないのです。ブログの一つ一つが私の作品です。それも常に未完成です。その未完成の作品を思いつくままに加筆します。いつ加筆されるか楽しみにして下さい。

大人気ない記述になりましたが、私はその程度の人間です。その程度におつき合い下さい。
さて、「点状出血」については、その成因について深く解説した文献はありません。現象の程度についての記載はあります。では、なぜ「点状出血」がおきるのかをここで少しずつ考えてみましょう。

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学会報告#3 2008年9月 第73回日本泌尿器科学会 東部総会

学会報告#1と、学会報告#2の続きです。

Post22タイプ4は古典的な前立腺肥大症のイメージです。
本来の前立腺の解剖学的構造を崩さないで腺腫が大きくなるタイプです。

Post232D画像では、膀胱出口の筋性粘膜は存在しており、前立腺全体の形状は球体に近い形です。

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学会報告#2 2008年9月 第73回日本泌尿器科学会 東部総会

学会報告#1の続きです。
Post12タイプ2は、膀胱出口閉塞型です。
これは、前立腺腺腫が膀胱内に侵入し、膀胱括約筋を無理矢理周辺に追いやったイメージの排尿障害です。
周辺の膀胱括約筋は塊となり弛緩できなくなります。
そのため尿道を含めた腺腫の部分が、膀胱括約筋によって嵌頓状態に陥り、排尿障害になるタイプです。

Post132D画像のです。
膀胱括約筋の塊りの間に腺腫がサンドイッチなっているのが観察できます。

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学会報告#1 2008年9月 第73回日本泌尿器科学会 東部総会

20080920poster本日、2008年9月20日(土)学会報告しました。
台風でどうしようと思っていたら、朝には台風一過で晴天で暑いこと!
発表内容を順次解説します。

Post1下部尿路の様々な症状で来院される患者さんがかなり多くいます。
その大半の患者さんはドクター・ショッピングされている方です。

Post2そのような患者さんを診察・検査すると、排尿障害を認めます。
前立腺は大きくない方が大半なので、前医に「気のせい」「慢性前立腺炎」などの誤った診断をされ、適切ではない治療を受けています。

Post3そこで、前立腺の大きさによらない排尿障害を証明できないかと考えていたところ、産科の超音波3D画像を思いついたのです。

Post4半年間に来院した患者さんのうち、排尿障害を認めた217例の男性患者さんを評価対象としました。

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会陰部痛と排尿中、尿が突然止まる!原因は?・・・「尿管瘤Ureterocele」

患者さんは28歳の大阪の男性です。
彼の悩みは、会陰部痛と排尿中に突如として尿が止まってしまう(尿線途絶)というものです。地元の市立病院で半年前から「慢性前立腺炎」の診断を受け、クラビットを服用していますが改善しません。
会陰部痛は症状に波がありますが、尿線途絶はいつも同じです。
半年も変化がないので、遠路はるばる大阪から高橋クリニックを訪問しました。

Ureterocele22398m283超音波エコー検査を行なうと、右のような丸い物体が2つ観察できます。大きい方は直径2cm以上です。さて何だと思いますか?
会陰部痛があるから慢性前立腺炎?それとも尿線途絶があるので膀胱頚部硬化症?

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学会報告の予告編 2008年9月日本泌尿器科学会東部総会

お台場のホテル日航東京にて、本年9月20日(土)午後3時ごろにポスター・セッションで報告します。
テーマは、「P-126番 超音波3D画像による前立腺の構造解析 適切な治療を目指して」です。

Sldmoku前立腺の「大きさ」だけで治療の適応を判断し決めている泌尿器科医の多いのが、今の臨床現場での現状です。前立腺が小さくても若い人でも排尿障害で苦しんでいる患者さんは存在する訳です。そのような患者さんは「気のせい」「年のせい」「非細菌性慢性前立腺炎」「下部尿路症」「過活動膀胱」「間質性膀胱炎」などと見当違いな診断をされるのが一般的です。排尿障害を自覚していない患者さんは特にそうです。
的確に診断されα-ブロッカーを処方されると症状が軽快できるのに、その他の薬を処方され患者さんが長期間苦しまれているのが現実です。
Post08tobuそこで、超音波3D画像で前立腺を分析することで、「大きさ偏重」の前立腺の一般的診断に「一石を投じる」目的で今回の発表を行ないます。
3D画像により、男性の排尿障害には四つの要素・要因があることが分かりました。この四つの要因が組み合わさって、患者さんの排尿障害に16パターンを作るのです。詳細は発表後に、ここで報告します。お楽しみに。
写真は、前立腺肥大症の尿道軸に垂直に断層撮影したものです。上の2D画像では、一見均一に観察できる前立腺肥大症も、3D画像で断層撮影すると、実は前立腺の線維筋性過形成が尿道の背側に沿って巻貝様に発育している構造が確認できます。

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慢性前立腺炎の症状#13 「抑うつ気分」「うつ病」

3年前から全身倦怠感と早朝身体を動かすのが嫌だという53歳の男性が来院しました。彼の訴えから考えられる病名は、「抑うつ気分」か「うつ病」です。
実は、その男性の妹さんからのご紹介です。妹さんは「原因不明の頻尿」で高橋クリニックを受診し、私が排尿障害を見つけ、α-ブロッカー(エブランチル)を処方したところ、症状が軽快しました。その妹さんが、長くわずらっている兄を心配し、私だったら、その原因が分かるだろう(泌尿器科医である私にです!)と紹介したのです。

その男性は「自律神経失調症」という病名を過去にもらい、以下の薬の処方を受けていました。

1.デパス
2.ハルシオン
3.十全大補湯
4.補中益気湯

デパスは皆さんご存知の、自律神経調節剤・抗不安剤・筋肉弛緩剤です。抗うつ作用はありますが、けっして抗うつ剤そのものではありません。
ハルシオンは睡眠導入剤です。良く眠れば疲れが取れ治ると主治医は考えたのでしょう。
十全大補湯・補中益気湯は、病後や老人の「腎虚」の患者さんに気を貯めるための処方です。

処方内容からは、主治医の診断は容易に想像できます。
しかし、上記の薬は一向に効かなかったので、現在は患者さんはこれらの薬を服用していません。

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★ 慢性前立腺炎の要約 #2 ★

このブログの中で、どんなに詳細に解説しても、「私は慢性前立腺炎ではないのですか?細菌はいないのでしょうか?抗生剤治療をしなくてもよいのでしょうか?それとも本当に膀胱頚部硬化症なのですか?」と、再診の患者さんに何度も質問されます。

私から言わせていただくと、難治性の「慢性前立腺炎」は病名ではなく、「症状名」あるいは「症候群名」と思っていただいて結構です。
本当の細菌性の慢性前立腺炎は抗生剤・抗菌剤で容易に治ります。治らないのは、症状が細菌性慢性前立腺炎と同じであっても、細菌性の慢性前立腺炎ではないということです。慢性前立腺炎と同じ症状で細菌が原因でない場合には、全く違う病気だと考えてよいでしょう。検査に引っ掛からない細菌が前立腺に隠れていて、非細菌性の慢性前立腺炎になるのだとは考えずに、全く異なる原因が慢性前立腺炎に似た症状を発現していると考えた方がよいでしょう。バイオフィルムなどと呼ばれるカエルの卵のゼラチン物質のような存在をわざわざ持ち出す必要もないでしょう。

私は、非細菌性の慢性前立腺炎を次のような病態生理で成り立つものだと考えています。
【第1のステップ】
10代後半からの成長期の発育不良・発育不全あるいは脊椎麻酔の後遺症で膀胱頚部が障害を受け、機能性の排尿障害になる。

【第1.1のステップ】
機能性排尿障害=神経因性膀胱と同じ病態と考えられるので、この病態自体をどんな手段を講じても完治させることは原則としてできない。

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慢性前立腺炎と前立腺結石

慢性前立腺炎の患者さんの超音波エコー検査で前立腺結石あるいは前立腺石灰を認めることが多くあります。
前立腺結石のできる理由は、以前にブログの中で示しています。
尿道粘膜に取り込まれ前立腺結石になろうとする瞬間の写真も違うテーマで過去に掲載しています。

しかし、掲示板などを拝見すると、前立腺結石・石灰が炎症の原因だと思いこんでおられる人がいます。それを根拠に前立腺結石・石灰に抗生剤注射を実施している無謀な医師も存在するらしいのです。
抗生剤の静脈注射・皮下注射・筋肉注射は投与方法として認められていますが、それでも静脈炎。皮膚炎・筋肉炎を併発することがあります。組織内注射で有名なのが、陰嚢水腫の水腫内溶液穿刺後の抗生剤の水腫内の注射です。これは陰嚢水腫内に抗生剤という化学物質による炎症を起こさせ、水腫内粘膜を癒着させ水が溜まるスペースを消失させることに治療目的があります。つまり抗生剤で組織内に炎症を起こさせるのです。またこの治療で注射後、患者さんがとても痛がるのが特に有名です。前立腺内に抗生剤注射を行い、さらなる炎症を作り、痛める訳ですから、この治療を行っている医師の度胸には恐れ入ります。


内視鏡手術中に前立腺結石を採取することがあります。しかし、前立腺結石周囲に炎症所見を見ることは全くありません。前立腺結石はサイレント・ストーン(沈黙の石=症状のない石)です。前立腺結石=前立腺炎というのは全くの誤解です。慢性前立腺炎の患者さんに大した所見もないので、仕方なしに前立腺結石をスケープゴートにしているだけです。医師も適当で、慢性前立腺炎の原因を前立腺結石があるからと安易に診断することが多いので、このような誤解があたかも真実であるかのごとく流布されるのでしょう。

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急性前立腺炎から慢性前立腺炎という誤解

年間400人近い慢性前立腺炎の新患の患者さんを診察しますが、急性前立腺炎から慢性前立腺炎に移行したという患者さんにほとんど遭遇しません。
急性前立腺炎から慢性前立腺炎に移行したという患者さんは、存在しても1%足らずでしょう。初めから慢性前立腺炎症状の方がほとんどです。恐らく「急性」と「慢性」という言葉のイメージから「急性→慢性」という根拠のない病態生理が常識となったのでしょう。誤解というものは恐ろしいもので、急性前立腺炎は細菌性ですから、慢性前立腺炎は「急性→慢性」という荒唐無稽の根拠から、細菌性でなければならなくなったのです。
慢性前立腺炎で悩んでおられる読者の中で、発熱があって、血尿があって、尿の出しぶりがあって、残尿感が強く、尿の最後の強い排尿痛がある急性前立腺炎になった方がどのくらいいるでしょうか。そのような記憶のある患者さんはほとんどいないでしょう。中には気がつかないうちに急性前立腺炎にかかったと言われる人もいますが、症状のない急性前立腺炎はありません。

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慢性前立腺炎の症状#12 「陰茎根元の痛み」

会陰部痛に続いて比較的多いのが、陰茎根元の痛みです。
今回、79歳男性で陰茎根元の痛みで来院された慢性前立腺炎の患者さんを内視鏡手術しました。ご紹介しましょう。
5年前から立っていると、陰茎根元が引張られるようにピーンと痛く、地元のメディカル・センター、大学病院、○○会○○病院、医院など4軒の泌尿器科を渡り歩きましたが改善せずに、今年の3月に高橋クリニックを受診しました。
1日の排尿回数は5回で夜間は起きません。
Bns21830m793初診時の尿流量測定ウロフロメトリー検査は、右のように前立腺肥大症と同じ排尿曲線です。要するに排尿障害を認めます。
前立腺の大きさは18ccで正常範囲内でず。大きさからいえば前立腺肥大症ではありません。

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関連痛再発の仕組み

Recurrence3再発の理由を以前に解説しましたが、関連痛の再発の仕組みをここでもう少し深く掘り下げましょう。
右のイラストは、手術をしたにもかかわらず、関連痛が再発をしてしまう仕組みを分かりやすく描いたつもりです。

手術前に、膀胱出口に存在した硬化組織は、脊髄神経と連絡しています。脊髄内の関連痛症状を形成する増幅回路とつながり関連痛症状が出現します。前回の「胃の痛み」の患者さんは、下部尿路の刺激が胃の感覚神経と混線して、胃の痛みとして症状が出ていたのです。

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慢性前立腺炎の症状#11 「謎の慢性胃炎」

Bns19122m4808063平成18年5月に来院した47歳の男性患者さんです。
平成11年頃から会陰部痛と左睾丸痛・腰痛があり、慢性前立腺炎の診断で、長らくセルニルトンを服用しながら経過を見ていた方です。18年の4月頃から、痛みが次第に強くなり改善しないために、その年の5月に高橋クリニックを初めて受診しました。
尿流量測定ウロフロメトリー検査では、ご覧のように、スパイク状の排尿曲線を示し、腹圧性の排尿曲線です。
Bns19122m48080622D画像では、前立腺が膀胱内に突出した形状で、前立腺内に石灰を認めました。
排尿障害による慢性前立腺炎症状と判断し、ハルナールを処方しました。1ヵ月後、痛み症状は半分以下になり、治療は有効で、3ヵ月後の症状は、0%~20%で患者さんも満足して通院を続けていました。

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患者さんからのレポート#40 静岡での朗報 

to:高橋知宏様
ご無沙汰しています。
その節は大変お世話になりました。
2007年4月に膀胱頚部の2度目の手術をして頂いた静岡県○○○○市にすむ○○○○(44歳)です。
私の場合は、尿の勢い、尿道の痛み、頻尿はありませんでしたが、椅子に座っていられないほど会陰部が痛いというものでした。
術後3か月経っても、会陰部の痛みは術前と変わらなかった為、もう一度先生のところで手術をして頂こうと、予約をしたのですが都合がつかず手術は流れてしまいました。かといって一生この痛みを我慢していくのは精神も耐え切れないと思い、近くで手術をして頂ける病院を探しました。
しかし先生と同じ考えを持っている医師はいませんでした。そこで、先生の考えを一回目に手術をして頂いた先生に話して、同じような手術をして頂くようにお願いしたところ、手術をして頂けるということで、3回目の手術をしたのですが、結果良くなりませんでした。
それでも、また同じ先生にお願いして4回目の手術を行いました。4回目の手術は、逆行性射精になってもよいから、六時の部分を徹底的に削ってくださいとお願いしました。するとどうでしょう今まで我慢できなかった症状が半分くらいになりました。
すでに手術から3ヶ月経ちまして、術前より痛みは2,3割になりました。(逆行性射精にはなりましたが)高橋先生の考えを信じてあきらめずにやってきてよかったと実感しています。手術をした先生も信じられない様でした。
高橋先生は、いまでも毎日忙しい日々をおくられていると思いますが、お体には気をつけて、無理をしないように体を大事にして頂きたいと思います。高橋先生の考えが早く世の中に広まって全国で悩んでいる患者が減る事を懇願するばかりです。
つたない文章で最後まで読んで頂いてありがとうございます。
手術を3回もして頂いた先生は、静岡市のしお医院の影山先生です。静岡で困っている人がいたら紹介してあげてください。とても親身になって相談にのってくれます。
それでは、失礼致します。
         from:○○○○

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★ 慢性前立腺炎の要約 ★

このブログをお読みになった難治性の慢性前立腺炎の方から、地元の泌尿器科医を紹介して欲しいという内容のメールが頻繁に届きます。
このブログに掲載されている慢性前立腺炎に関する考え方や治療法は、私独自のもので一般的ではありません。ですから鹿児島県鹿屋市の倉内先生以外に、ご紹介できる医師を存じません。
このブログの内容は210テーマ以上になりますから、全てを印刷(A4で500ページ以上の量)して主治医に手渡しても要領を得ませんし、現実的ではありません。
そこで、私の考え方や治療法を以下にまとめます。これを印刷して主治医にご相談下さい。質問があれば、医師からの電話での直接の質問もお受けします。
(院長直通:03-3771-8034 ただし午前9時~12時まで)

【考え方】
【1】何らかの原因で、膀胱出口や膀胱頚部の機能が不完全で、排尿時に膀胱出口が十分に開放しない。
【2】膀胱出口の周囲は粘膜・筋肉で構成され、ある程度の柔軟性がある。膀胱出口が十分に開放しないため、排尿時に下部尿路(膀胱三角部・膀胱出口・膀胱頚部)が振動する。その振動は自覚できない。
【3】その振動が慢性化し繰返し起きると、生体の防御・適応反応で、膀胱出口の線維化あるいは膀胱括約筋の過形成を促され膀胱出口が硬くなる。広い意味での「膀胱頚部硬化症」である。狭義の膀胱頚部硬化症は内視鏡手術後の線維化を意味する。
【4】硬くなったため、膀胱出口は柔軟性が欠如し、排尿時の下部尿路はさらに一層激しく振動することになる。
【5】この激しい振動は、刺激エネルギーとして下部尿路全体を絶えず刺激する。
【6】膀胱刺激知覚症状(特に膀胱三角部において)として、残尿感・頻尿症状がある。
【7】下部尿路の神経支配の脊髄を絶えず刺激することで、脊髄内の神経ネットワークが発達し、他の知覚経路や自律神経経路と接続するために、関連痛・自律神経症状が出現する。
【8】下部尿路の振動エネルギーによる器械的刺激により、前立腺は物理的炎症を起こす。細菌感染やアレルギーの炎症ではなく「物理的炎症」である。前立腺マッサージによる前立腺液検査で白血球・常在菌が認められても「物理的炎症」を否定できる根拠にはならない。
【9】前立腺内の白血球も常在菌も、物理的炎症の補助的存在であって、慢性前立腺炎の本質ではない。抗生剤・抗菌剤投与により白血球・常在菌が減少しても慢性前立腺炎の治癒には結びつかない。また、抗生剤・抗菌剤が効果があったとしても、補助的要素を加減しただけであって、本質の解決にはならない。
【10】白血球・常在菌の証明で「細菌性慢性前立腺炎」、白血球のみの証明で「非細菌性慢性前立腺炎」、白血球も常在菌も証明されない場合に「前立腺症」「慢性前立腺炎様症候群」、痛み症状が強い場合を「前立腺痛症」あるいは「慢性骨盤疼痛症候群」、抗うつ剤で自律神経症状が緩和されるので「うつ病」「陰部神経症」「自律神経失調症」と診断が篩い分けられているに過ぎない。また原因が不明なので頻尿・尿失禁があると「過活動膀胱」、さらに痛みが加わると「間質性膀胱炎」と診断されてしまう。真の「細菌性慢性前立腺炎」は存在するかも知れないが、あってもホンの一握りの患者であろう。医師の短絡的な病気定義分類という呪縛の犠牲者が多く出ないことを祈るしかない。

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再発の理由

Recurrence慢性前立腺炎を排尿障害が原因として内視鏡手術を行なっても、膀胱出口の再狭窄・再硬化を来たすことがあり、再手術をすることがあります。
前回のテーマで根治的治療の定義について述べ、根治手術を行なってもなぜ再手術を行うことがあるのかをここで解説します。

右のイラストは膀胱出口が自力で開放する能力(%)と排尿の際の膀胱内圧にどれだけ依存しているか(%)を便宜的にイメージしたものです。
実際には、恐らくはもっと複雑でしょうが、理解できればよいので、これで十分でしょう。

さて、排尿障害が原因の慢性前立腺炎の患者さんは、膀胱出口の自力による開放能力が健常の男性に比較して低下しています。すなわち100%ではない訳です。その能力の低下は検査では判定できません。なぜなら、排尿能力は、膀胱出口の開放能力と膀胱内圧の力の協力の結果ですから、通常の検査では正確には判定できません。膀胱内圧・筋電図・尿流量測定ウロフロメトリー検査・排尿時テレビレントゲンビデオ撮影でも様々な要因の協力の結果ですから、その要因の依存度を知ることはできません。

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根治的治療とは・・・

私の行なった手術が同一の患者さんに治るまで何回も繰返されるので、私の行なっている手術は「根治的」治療ではなく、対症療法・姑息的治療であるとコメントされたことがありました。
確かに「根治的」という言葉の響きから想像できるイメージは、「1回の手術で完全に治る」という感じでしょう。そこで根治的治療の定義を調べてみましょう。
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【医学大辞典 医学書院】
根治的治療
疾患の原因そのものを取り除くための治療のこと。姑息的治療、対症療法がその対極にある治療である。

根治手術
病巣を機能的または解剖学的に切除または修復して、疾患の原因を根本から治療する手術をいう。逆に原因を根本的に除去できない場合や、修復困難な場合に行なう手術を姑息手術という。悪性腫瘍の外科治療で原発腫瘍を全摘する際に、その所属リンパ節を全て含めて摘出する術式を根治的リンパ節郭清といい、わが国では胃癌や大腸癌などによく行なわれる。良性疾患に対しても本用語が用いられ、鼠径ヘルニア根治手術などがある。
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メール相談#22

突然のメール失礼いたします。いくつか質問とお考えを聞かせて下さい。

1) 前立腺症について
私は今前立腺症と言われております。検査では白血球基準内範囲で細菌反応なしであります。しかしもー10年以上もこの病気に苦しんでいます。最初は細菌性慢性前立腺炎でした次に非細菌性前立腺炎になりました。そして最後にこの前立腺症です。今は痛みがありひん尿はそうでもありません。高橋先生にお聞きしたいのは細菌→非細菌→前立腺症というパターンはあるのでしょうか?
【回答】
このパターンもあるでしょうし、非細菌→細菌→前立腺症でも、前立腺症→細菌→非細菌でも、どんなパターンでもありです。検査したときに細菌が培養されれば「細菌性」、細菌が培養できなければ「非細菌性」、「白血球」が確認できなければ「前立腺症」と診断されるだけであって、現在の教科書に沿った検査と診断結果というだけです。
もしも細菌が常在菌で、病気とまったく無関係であれば、培養された細菌は何の価値もありません。白血球しかりです。

細菌性の時は確かに細菌性でありました。抗生剤も多々飲んだのですが結局再発を繰り返すのみで一向に改善はありませんでした。検査はエコー・MRI・尿検査・尿流検査・内視鏡・尿道消毒を行いましたが改善なしです。
【回答】
再発を繰返すという事実で、細菌性を疑ってみる価値があります。
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【追加質問】 
すいません。上の文面で細菌性を疑うとありますが尿検査の培養では今ではまったく細菌が検出されません。
現状では医学的には前立腺症という事ですか?これでも抗生剤を飲まなければいけませんか?
【回答】
言葉が十分ではなかったですね。「細菌性」という「診断」を疑ってみる価値があるということです。
つまりは、細菌性も非細菌性も前立腺症も、その診断の根拠がとても希薄だということです。

【追加質問2】
細菌性を疑う価値があるという事ですか。培養検査で出ない細菌をどうゆふうに検査すればいいのですか?
又、今の状態でも抗生剤は必要なのでしょうか?唐突ですが痛み系の前立腺炎でも先生の手術で回復の見込みはありますか?
少しでも回復の見込みがあれば是非受けてみたいです。申し訳ございません細かく質問できず、よろしくお願い致します。
【回答】
まだ誤解されていますね。
「細菌性という診断を疑ってみる価値がある」すなわち「細菌性という診断が間違っている可能性があります」と、説明しているのです。ですから抗生剤は不要です。
慢性前立腺炎の症状を「痛み系」と「頻尿系」に分けていますが、本質的にはどちらでもよいのです。
例えば、胃潰瘍の患者さんを例に上げましょう。胃潰瘍の患者さんの症状は次のようです。
1.胃が痛い
2.胃がもたれる
3.ゲップが出る
4.胸が痛い
5.背中が痛い
6.大便が黒い
7.食欲がない
8.下痢する
9.慢性蕁麻疹が治らない
10.口臭が臭い
11.吐きやすい
12.吐血した
私が経験した患者さんの症状だけでこのくらいの数があります。そしてこれらの症状を患者さんは単独で持っているか、あるいは複数で持っているかの違いです。外科医は症状に合わせて治療するのではなく、原則として胃潰瘍を治療するのです。胃潰瘍を治療すれば、これらの症状は全て消えます。
慢性前立腺炎も同じです。症状は多彩ですが、症状に応じて治療するのではなく、慢性前立腺炎の原因を治療するのです。多彩な症状に応じて慢性前立腺炎の多彩な原因があるのではないので、一つの原因を治療すれば慢性前立腺炎症状は消えるのです。
手術に関する質問ですが、慢性前立腺炎の原因が手術で解消される場合に限って、手術の適応になります。ですから、貴方の慢性前立腺炎・前立腺症の原因が、私の手術適応の「隠れ排尿障害」でない限り、私には治療できません。
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こんなさなか自身で思った事を書きますと、前立腺前の括約筋近辺に痛みが走る場合がほとんである事と、前立腺外線部にしびれを感じる時があります。今後私は中医学的発想として前立腺外線と括約筋に間接的に刺激を与えて痛みの拡散が出来れば糸口が見つかるのではと考えるものです。
【回答】
自覚できる感覚と解剖学的位置は必ずしも一致しません。なぜなら関連痛は脊髄の中で神経が混線していますから、前立腺の右の刺激が左陰嚢感覚として出ることがあります。また前立腺の前の刺激が肛門感覚として出現することもあります。

高橋先生の理論は膀胱平滑筋の手術ですが、前立腺に接している筋肉の問題かと個人的には思う今日この頃です。
【回答】
正確には膀胱括約筋です。膀胱括約筋は前立腺に食い込んでいます。
「前立腺肥大症のブログ」の図をご覧下さい。

確かに細菌性であるか否かの論議は私自身も不明ではありますが、現代医学的なアプローチでは何ら解決すらされていないことを考えると細菌説はどうも?ですね。仮に耐性化された細菌としたなら症状は前立腺部位のみでとどまらないような気がします。
【回答】
全身の常在菌はほとんど耐性菌です。ですから「耐性」だから何?というのが私に印象です。「耐性」菌だから慢性前立腺炎は治らないというのであれば、抗生剤・抗菌剤による治療はお手上げです。

ただ言えることは性感染症であるクラミジアの既往を訴える方がほとんである事が疑問です。私なりに推測すればクラミジアによって前立腺機能が破壊されクラミジア菌は死んだが、その後の合併症で前立腺炎が存在するとしたらと考えるのです。前立腺全部とっても改善されない人がいる以上この理屈あっているような気がします。
【回答】
原因は何でもよいのです。ギックリ腰をきっかけに慢性前立腺炎になる方や全身麻酔を使用した腹部手術でカテーテルを尿道から留置した時から慢性前立腺炎になる方もいます。

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膀胱括約筋過形成症候群 Bladder-Sphincter Hyperplasia Syndrome

慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の患者さんの超音波3D画像をいくつも検討していくうちに、「膀胱括約筋過形成症候群 Bladder-Sphincter Hyperplasia Syndrome」という考え方が私の頭を占拠しています。もちろん私の造語です。常識ではありませんから、そのおつもりで・・・。
この考え方は、形態学的な観点からの名称ですが、機能面から見れば、前立腺肥大症も含めて「膀胱括約筋過緊張症候群 Bladder-Sphincter Supertension Syndrome」という名称が適切なのかも知れません。これもまた私の造語です。

慢性前立腺炎・膀胱頚部硬化症・膀胱出口閉塞症・膀胱頚部機能低下症・膀胱排尿筋内尿道括約筋協調不全・神経因性膀胱・前立腺肥大症・間質性膀胱炎・過活動膀胱・心因性頻尿・慢性骨盤内疼痛症候群・前立腺痛症・膀胱疼痛症など、これら全ての疾患が、自力・他力にかかわらず、膀胱括約筋の機能亢進に集約されます。

Bladdsphinc_2前立腺肥大症の場合は、腺腫が大きく膀胱側に突出するので膀胱括約筋はドーナツ状に周囲に追いやられ塊りとなって、常に前立腺を圧迫するようになります。図の右のように膀胱括約筋は、肥厚した堤防のようです。見かけ上膀胱括約筋の過形成ですが、筋肉が寄せ集まり団子状態になっただけで、本当の過形成ではありません。この状態は他力的な膀胱括約筋の機能亢進になります。
すると、前立腺肥大症がどんなに大きくても、膀胱内に突出しなければ(図の左)、膀胱括約筋は正常に働くので排尿障害にはならないのです。図では、左の前立腺肥大症の方が明らかに大きい前立腺ですが、小さい前立腺の方が排尿障害が強く出てきます。ここに前立腺肥大症の大きさだけでは排尿障害を評価できない根拠があるのです。

Wnlmorifice正常な男性の3D画像です。
膀胱括約筋が膀胱出口ギリギリまでありますから、正円の穴として膀胱出口が確認できます。
前立腺肥大症がたとえ大きくても、膀胱内に突出しなければ、上図の左の場合は、この正常の3D画像と同じように見えます。膀胱括約筋に開くだけの余裕があるのです。

Bph3d11624m5037ccpsa49これは前立腺肥大症の3D画像です。中央の大きなくぼみには前立腺が存在します。膀胱括約筋を明確に描写すると、前立腺組織はエコー画像上透明になってしまうので、このような映像になります。
中央のくぼみが大きければ大きいほど、前立腺が膀胱内に突出し、膀胱括約筋は周囲に追いやられドーナツ状になります。ドーナツ状に塊りになった膀胱括約筋は、これ以上緩みようがないので、常に膀胱出口を圧迫する形になり排尿障害になります。

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基本に戻って・・・現在の慢性前立腺炎の常識

慢性前立腺炎や間質性膀胱炎に思いを馳せて、私一人でブログを書いていると、次第にマニアックになっていく自分を見つけます。
そこで、反省として基本に戻ってみましょう。
慢性前立腺炎に関した記述を手に入る一般的な書籍でピックアップしてみました。
【注】に私の考えを添えます。

【ブリタニカ国際百科事典より】
前立腺炎
前立腺の感染性炎症で、急性と慢性とに一応分けられる【注1】。急性にも軽症から重症まであるが、おもな症状は発熱と頻尿および排尿痛で、ときに尿閉になる。急性が完全に治癒しないと慢性に移行する【注2】。慢性の症状は多種多様であるが、外尿道口から薄い膿様の分泌物【注3】が出て下着に付着する。頻尿、排尿後不快感、会陰部の鈍痛、性欲減退【注4】などである。前立腺結石【注5】があるときは、多少とも前立腺炎を合併しやすい。

【注1】
この文章を書いている方は正直な人です。一般的には急性と慢性をキッチリ区別して記載するのに、「一応」とことわっているのは、区別がつかないことがあることを意味します。
【注2】
時系列で見れば、急性→慢性ですから、このような考えが出るのは不思議ではありません。しかし、慢性→急性というパターンがある場合には、慢性前立腺炎の「急性造悪」と都合のいいように判断されます。
【注3】
慢性前立腺炎の症状で説明している尿道腺分泌過多のことです。
【注4】
性欲減退ではなく正確にはEDを意味するのでしょう。私の考えのように排尿障害があると陰部神経を酷使します。陰部神経は勃起にも関与していますから、排尿障害で疲れた陰部神経が勃起させることができなくなるのです。
【注5】
排尿障害があると前立腺結石ができます。前立腺結石=排尿障害=慢性前立腺炎症状になる訳です。

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患者さんからのレポート#37 3回目の手術経過

高橋先生様

 前略、お世話になります。○○です(診察カードNO・・536)。 先日は、お忙しい中,手術をしていただき有難うございました。

術後、一月半ほどたちましたので現状をお伝えさせていただきます。
術後の出血などはいつもどおりであまり気にするようなことなく過ごせました。(三度目なので血尿が出てもだいぶ慣れてきました。)現在は出血なども無く尿の勢いもいいです。マックスでおそらく30ミリリットル/秒位でてるようです。 

現在は痛みとしては右絵陰部あたりにまだ痛みがあります。術前に比べ半分くらいの痛みです。気にならないくらいの時もありますが、まだ少し痛みが残ってるようです。 
三度目の手術で感じたことは膀胱三角部の動きを感じることです。排尿や射精時もいつもとは違う動きを感じます。特に排尿時(貯まっている尿量に関わらず)これを感じると排尿もスムーズで勢いがいいです。逆に感じないときは腹圧をかけて排尿しているような感じが少しあります。 ちなみに逆行性射精は前回とあまり変わりません。(一応出ていますのでOKと考えたいです)

そのほか改善点は頭痛などはほとんど感じなくなりました。なんだか少し頭の回転がはやくなったような感じです。おかげで最近は読書の速度がかなり上がりました。非常に不思議な感じです。

また皮膚炎ですが残念ながらこちらも完治にはいたっておらず良くはなりましたが、関連痛と共に出てきたりします。塗り薬で症状を抑えている感じです。(前は薬を塗っても押さえ切れなかったので良くはなってきているのだと思います)

今回、しこりができた部分と、膀胱三角部の動きを意識して手術していただいたことで 前回2回よりもかなり良くなった感じがします。今回の手術で膀胱三角部の動きが重要であることを実感いたしました。こののまま絵陰部の痛みも薄れ消えてくれれば最高にうれしいです。昔のようにテニスなどのスポーツができるようになれるのではと希望もでてきました。
もしこのまま痛みが取れなければもう一度最後の??手術をしていただきたいとも考えています。もういちど三角部がさらに動きやすくなるようにしていただければ完治するのではと素人ながら感じております。

気軽に受診できないのが非常に残念ですが、術後三ヵ月後くらいには一度訪れたいとかんがえています。

もうすぐ、いよいよ学会発表ですね。心より成功と受け入れられることを願っています。 先生は私たち患者の希望の星です。先生は嫌かもしれません??が、治るまで先生についていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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患者さんからのレポート#39

高橋先生様

大変お世話になっております。診察券№・・193の大阪の○○です。

昨年9月12日に手術をしていただき6ヶ月が過ぎようとしていますので近況を報告させいただきます。
手術から約2週間後に大量出血があり市民病院で洗浄してもらいそれ以来出血はありませんでした。
その時の担当の先生は手術なんかしても意味が無いと明言されておりました。又、3日後に診察してもらった時は以前私に慢性前立腺炎と診断し気にせず気長に治しましょうとおっしゃった先生が担当で、そんな手術をしても病状を悪化させるだけだと明言されておりました。
事なかれ主義なのか頭が硬いのか権威に逆らえないのか自由にものを言えない体質なのか?何故聞く耳を持たないのか?せめて話を聞くぐらい聞いてくれても損はないと思うのですが・・・・・

3ヶ月を過ぎるまでは残尿感とジンジンする痛みがありましたが、不思議に3ヶ月を過ぎると軽減していきました6ヶ月が経過しようとしている現在は排尿後の残尿感はなくなりましたが違和感は少し残っている状況です。素人考えですが細胞の再生には時間がかかるし人間の体は複雑でアナログなのだなと考えております。
現在は一番辛い時期を100とすると30ぐらいです。しばらく様子を見てから診察をお願いしたく思います。
関連痛に関しては足の裏の痛みと睾丸痛、左脇腹痛はほとんどなくなりました。その他の変化としては風邪をひかなくなったことと足先などの冷えが軽減されたことです。(活力が沸いてきている気がします)

私の場合は排尿障害に全く自覚がありませんでしたので、何故自分が排尿障害なのか初めのうちは理解できず悩みましたが、先生の説明を何度も読みようやく全体像が理解できるようになってきました。
膀胱頚部硬化症は様々な病気と関連しているように思います。この病気が出現する前も鼻出血が止まらなかったり、血便が出たり、睾丸が痛くなったり足の裏が痛くなり歩けなくなったりと散々でした。ちょっとオーバーですがこれらも何らかの関連があったのではないかと思います。
一時は希望を失いかけていましたが仕事にも前向きに取り組めるようになり新しいプロジェクトを進めています。
先生には大変感謝しております。今こうして家族共々元気に生活できるのは先生のおかげです。

私は先生の治療方法は正しいと信じておりますし先生の治療方法が一刻も早く普及すればよいのにと願っております。
本当に本当にありがとうございました。先生もあまり無理をせずお体を大切にしてください。

P.S.いつもブログを楽しく拝見させていただいております。

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教科書の常識

インターネットでネットサーフィンしていると、たまに掲示板を見ます。
慢性前立腺炎の掲示板の中に、私の慢性前立腺炎の考え方や治療法が話題になることがあります。
泌尿器科の医師と思われる掲示板の主催者が、私の考え方や治療法に対して否定的であることが容易に分かります。

この医師に限らず、日本の泌尿器科医のほとんどが私の考えに否定的でしょう。その根拠に教科書に掲載されていないからという理由がありました。
教科書とは、広辞苑によると、「学習用教材として使用される図書」と定義されています。つまり、現在常識と思われる必要最低限の知識を得るための「学習用」の教材ということです。すなわちその分野で素人同然の者が学習するための教材です。ここには確定したことしか記述してはいけないことになります。信憑性が疑わしい新しい知識は当然書かれていません。

私は、泌尿器科医の医師になって29年、来年で満30年になります。この私が教科書通りの診断や治療を踏襲せずに、オリジナルのことを考えたとしてもとやかくいわれる筋合いではないでしょう。

さて、教科書に準じて行なう検査や診断及び治療は、世界共通の検査や診断及び治療になります。・・・

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排尿障害と肉柱形成

Cp16655m34_2「肉柱(にくちゅう)」とは珍しい名称でしょう。
膀胱鏡検査や内視鏡手術の際に、膀胱壁の症状として得られる所見です。膀胱壁は移行上皮粘膜・内縦走筋層・中輪状筋層・外縦走筋層・しょう膜から構成されています。
筋層だけで三層構造になっており、それ以外に斜走筋が混在しているので、いわゆる網目状になっています。
排尿障害が慢性的に継続すると、それぞれの筋肉は肥大し、筋肉のない部分(間質)は萎縮してしまうので、膀胱鏡検査では、筋肉が「肉柱」という所見で際立つことになります。
写真は、180cm以上の体格の34歳男性の内視鏡手術中の膀胱壁の所見です。下腹部痛・坐骨神経痛を訴える慢性前立腺炎の患者さんです。画面が何となく黄色に見えるのはビタミン剤を服用している尿の色です。
右膀胱体部の膀胱壁に網目状のスジが見えますが、これが「肉柱」です。
「肉柱」を見たら、必ず排尿障害があり、その治療を念頭に置かなければなりません。「肉柱」単独の病気はありません。
ところが「肉柱」を確認しても、「肉柱」単独で存在していると誤解している医師には「肉柱形成」としか目に映りません。

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排尿のメカニズム 膀胱輪状筋の真実

Bph3d11624m5037ccpsa49右の写真のように、前立腺肥大症の場合は、輪状筋がドーナツ状に確認できます。
健常者の膀胱底部は輪状筋の形がブーメラン状に観察でき、それが正常だと思っていました。
しかし、前立腺肥大症になると膀胱輪状筋がなぜ突然ドーナツ型の形状になるのかを疑問に感じていました。
Wnlmorificeそこでいろいろ考えた挙句、膀胱三角部と輪状筋の傾斜角度が異なるため、輪状筋の形は、その名の通り本当はドーナツ状の形状で、通常は膀胱三角部のために3D4D画像ではブーメラン状に観察されるのではないかと考えるようになりました。

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