カテゴリー「症例報告」の記事

膀胱水圧拡張術の効果(学会報告)

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間質性膀胱炎の治療として大学病院でも定番になっている膀胱水圧拡張術の効果について、報告がありました。
膀胱水圧拡張術を実施した患者さんのうち、20%に効果が持続し、40%に再手術を行ない、40%に術後薬剤の服用でしのいでいるようです。
再手術までの期間は、平均で12.4カ月です。早い人で3カ月チョッとです。

間質性膀胱炎の定番治療法の膀胱水圧拡張術が、この程度です。膀胱水圧拡張術が間質性膀胱炎の本質を捉えている治療法でないので仕方がないでしょう。

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膀胱水圧拡張術は、小さく萎縮した膀胱容量を脊椎麻酔下で水を無理矢理注入し、膀胱を強制的に拡張させる治療法です。欧米で考案され定番になっていますが、動物的な白人だから、鈍感で可能なのでしょう。
写真は、3回も水圧拡張術を受けて、逆に膀胱が萎縮してしまった患者さんの膀胱鏡の所見です。膀胱の粘膜の至るところに瘢痕形成が認められ、瘢痕した部分がくっつき、橋を形成(架橋形成)しています。これが、さらに膀胱容量が萎縮した理由です。


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繰り返す膀胱炎、実は異所性・子宮内膜症

今年になって、生理のたびに、決まって毎月のように膀胱炎を併発している患者さんの症例です。
実は8年前から、膀胱炎を繰り返していました。
おかしいと思い、婦人科や泌尿器科の医師に子宮内膜症ではないかと質問したところ、尿がキレイだから違うと診断され、悩んでいました。
過去に、私がブログの中で、子宮内膜症について解説していたので、、勇気を出して当院を受診しました。

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エコー検査では、膀胱後壁に、膀胱ではない凸凹した影が観察できます。膀胱腫瘍あれば、血流が観察できる筈ですが、確認できません。おそらく、子宮内膜症と思われます。

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超音波エコー検査所見に注釈をつけると、本来の膀胱壁のラインは赤い線で示したところです。
赤い線の内側から膀胱に向かっての部分(白い矢印で示す部分)が、問題の箇所です。

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心因性膀胱炎と診断された患者さん

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平成27年の春に腎臓癌の手術後から尿道のヒリヒリ感が治らない患者さんです。
様々な検査を行っても異常な所見は見つからないので、「心因性膀胱炎」という訳の分からない診断名が大学病院泌尿器科でつけられてしまいました。
漢方薬、ベタニス、ステープラ、ネオキシテープ、デパスなどの薬を処方され服用しても症状は変わりません。
悩んだ末、高橋クリニックを受診しました。
初診時のウロフロメトリー尿流曲線ではダラダラした尿の勢いで、明らかに排尿障害の所見です。この時の残尿量測定では216mlも確認できました。残尿がこれほど多いのにもかかわらず、残尿量測定もせずに安易に心因性膀胱炎と診断した前医に憤りを感じます。

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膀胱痛症候群(陰部疼痛症)

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先日の城南泌尿器医療連携セミナーで私がご紹介した症例の一つとして、膀胱痛症候群の一例を挙げました。
患者さんは32歳のご婦人です。お父様が一緒に来院されました。なぜなら、痛みのために歩けないので、お父様が自家用車で送られて来たのです。痛みは強い膣の痛みです。患者さんは目に涙を浮かべながら痛みに耐えています。

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突然の腹痛発作・・・実は膀胱破裂

高橋先生よろしくお願い致します。大阪からメールをしています。診察を希望しています。
私はメールでアピールをしているのではなく、遠方から行きますので今までの診察時間中に長々と先生にお話しを聞いて頂くよりも少しでも現在までの経過をお伝えしたかったのです。先日も血尿と膀胱付近が破れたのかと言うような疝痛が1月に2度起きています。トラムセットと言う鎮痛薬を出されただけでした。
新幹線での移動も実は痛みが来るかもと思い緊張します。しかし治さなくてはなりません。疝痛、血尿、痛みで転げまわる、鎮痛薬でその場を凌ぐ、ショックで放心してしばらく何も出来ない、そんなことを繰り返していられません。
早く伺いたいと思います。何卒よろしくお願い致します。
★★★★★★★★

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18歳からの頻尿

Boo21569f36536歳のご婦人です。
7年前に血尿が出る急性膀胱炎になりました。抗生剤で症状は軽快しましたが、その後3ヶ月~1ヶ月に1回膀胱炎症状になり始めました。
5年前には腎盂腎炎にかかり泌尿器科を受診して、膀胱鏡検査まで行ないましたが異常は認められませんでした。
この患者さんは、18歳の頃から(18年前)、頻尿があります。毎日16回以上(1時間に1回のペース)と夜間1回オシッコで目が覚めるというのです。
そして、ここ最近、尿が出にくいという感覚と2時間以上オシッコを我慢すると下腹部が重く痛くなるのだそうです。
さっそく、尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なうとグラフの如く腹圧性の排尿曲線を示し、排尿障害を疑います。

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慢性膀胱炎の実例5

【実例5】 カルテ番号15176 ○丘○○○さん41歳の場合
 3月17日急な頻尿の出現で苦しんでいたご婦人です。1時間に4回~5回の尿意頻拍が襲いトイレに走ってしまいます。語学が堪能でとてもチャーミングなキャリアウーマンの方です。海外出張も多く、飛行機に乗るのも苦痛で仕方がありません。通路側の席を確保しますが、飛行中絶えずトイレに行くので周囲の人の目が気になります。自宅近くの泌尿器科専門クリニックを尋ね下記のような薬を処方されましたが全く改善しません。
処方内容:
・抗生剤
・頻尿改善剤:ポラキス
・精神科薬剤:デパス・セルシン
・健胃剤:セルベックス

そこでは、始め慢性膀胱炎の診断でしたが、「治りが悪いので神経性頻尿でしょう。精神科を紹介します。」と近所の医師に言われ、ショックで慌ててインターネット検索で高橋クリニックを探し当て、4月10日当院を受診しました。
 会社で会議をこの患者さんが中心になって招集をかけるのに、会議中自分が何回もトイレに立つのがたまらないと訴えられました。何とかして欲しいとのこと。 
膀胱容量が小さく、診察時の尿流測定検査ができませんから、排尿障害の確認ができません。取り合えず、治療を始めました。これまでの治療は無効なので、異なる観点から進めます。
まず、膀胱と仙骨脊髄中枢の反射が過敏で悪循環を起こしているので仙骨神経ブロックを行いました。αーブロッカー・解熱鎮痛剤坐薬を試みました。すると、4日目の4月13日には極端な頻尿(本人曰く1日50回)は改善し、尿流量測定ウロフロメトリー検査ができるほど尿を我慢出来るようになりました。
検査を進めると次のようなことが分かりました。

【超音波エコー検査】
膀胱粘膜の肥厚を認めます。
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【尿流量測定ウロフロメトリー検査】 
曲線が変形した山型で排尿障害を疑います。
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【膀胱鏡検査】
膀胱頚部が狭く、10時の方向に炎症性ポリープを確認できる。膀胱三角部には白苔が存在し慢性膀胱炎の所見です。
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●術前診断:
排尿障害に起因する慢性膀胱炎・膀胱三角部炎が病態の本質です。頻尿は精神的な原因ではないことを説明すると、患者さんは手術を希望しました。

●治療:
膀胱三角部のレーザー光線照射と電気メスによる膀胱頚部の切開術を行いました。

●総合評価:
手術後、頻尿が1日10回以下にまで減って、患者さんは大喜びです。日常生活でオシッコのことを考えない時があって嬉しいと感想を述べられています。

膀胱頚部(膀胱出口)が手術後広く開いています。
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敏感な膀胱三角部をレーザーで治療しました。クレーター状になった部分は、直径3mmほどです。1ヵ月後にはきれいな粘膜で覆われます。
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尿流量測定ウロフロメトリー検査では、手術後まとまった曲線になりオシッコの勢いが良くなりました。
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慢性膀胱炎の実例4

【実例4】 カルテ番号13556○○○子さん28歳の場合
 1年以上前より1時間に6回の頻尿で苦しんでいたご婦人です。始終尿意頻拍が襲ってきて外出が出来ません。婦人科クリニック1軒と泌尿器科専門クリニックを2軒行かれましたが治りません。それまでの処方された薬は次のようです。
・抗生剤:クラリス・パンスポリンT
・頻尿改善剤:バップフォ・ポラキス
・精神科薬剤:グラダキシン・メイラックス・トフラニール
・排尿筋作用剤:ウブレチド
・漢方薬:猪苓湯合四物湯・四物湯
・健胃剤:ムコスタ・セルベックス
 膀胱容量が小さく、診察時の尿流測定検査ができませんから、排尿障害の確認ができません。取り合えず、治療を始めました。これまでの治療は無効なので、異なる観点から進めます。まず、解熱鎮痛剤坐薬を試みました。極端な頻尿(1時間に6回)は少し改善し30分~1時間に1回に減りましたが、直腸過敏のためか下痢症状が出現しました。そのため解熱鎮痛剤坐薬の治療は断念しました。 
 次に、仙骨神経ブロックを行い膀胱鏡検査と膀胱拡大術を試みました。膀胱鏡検査で膀胱三角部炎と膀胱頚部の狭いことが判明しました。膀胱拡大術で膀胱は400mlまで拡張でき、術後コンスタントに1時間に1回の頻尿になりました。でも彼女は覚悟を決め、手術をすることになりました。
 手術後、尿意頻拍は消失、頻尿も改善し波はありますが1時間~5時間に1回になり大喜びです。嬉しいことがもう一つあります。それはクラシック・オーケストラのメンバーであるボーイフレンドの演奏をトイレが近いためにホールで一度も聞いたことがなかったのですが、手術後、初めてジッと聞くことができたとメールで喜びのお便りがありました。
 患者さんもそうですが、医師である私も結構根気よく治療しているのがお分かりでしょう。でも患者さんが私について来てくれるから出来るのです。
●総合評価:
頻尿のため尿がためられずにウロフロ検査は手術前には出来ませんでした。膀胱三角部を治療し、膀胱頚部を開いたところ、手術後のウロフロでは尿が十分にためられるので見事なオシッコの勢いです。
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★下記に実例4の患者さんのお礼のメールを原文のまま掲載します。参考にご覧になって下さい。

「こんにちは。○/○に膀胱三角部炎の手術を受けました○○○子です。
 去年の1月に初めて急性膀胱炎になって以来、治ってもすぐ再発し症状は残りどこの病院に行っても、菌はいないから気のせい、の繰り返しでした。いろいろな薬を処方されましたが、薬を飲むと気分が悪くなりボーっとしてしまい、仕事にも遊びにも支障が出るし、毎日暗い気持ちでした。
 先生のサイトを見つけたときは、治療内容、方針とも他の病院とは全く違う印象を受け、希望が見えたように感じました。手術を受け、症状が実際に改善されたのには感動です。なにより人生に対し前向きになることができました。私の仕事は○○○で、普段はオフィスにいるのですがセールの時ショップにヘルプに行きます。これからは堂々と行くことができます。
 また、彼はクラシックの○○○なのですが、これで安心してコンサートにも行くことができます。まだ残っている感じはあるのですが、昨日言われた通り、少し我慢して、トイレに行く間隔をなるべくのばそうとしています。今後は、定期的に水圧拡張をお願いしたいと思っています。宜しくお願いいたします。本当に、どうもありがとうございました。
 先生は私の人生を変えてくれたと言っても過言ではありません。なんだか大袈裟になってしまいましたがお礼を言いたくてメールしてみました。」

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慢性膀胱炎の実例3

【実例3】 カルテ番号12691○○○々さん22歳の場合
 3年前より1日20回前後の頻尿で苦しんでいました。泌尿器科専門のクリニックを2軒、J大学病院婦人科、某ウィメンズクリニックを受診しましたが、特に異常なく、やはり精神的なものと診断せれあきらめていました。
 インターネットで高橋クリニックを知り来院されました。来院時に頻尿日誌をつけていただくと、1日21回の頻尿と1回の尿量の平均が120mlです。来院した当初は、私もまだ慢性膀胱炎の原因が排尿障害とは考えておらず、膀胱三角部炎にだけ注目していて、レーザー光線で敏感な膀胱三角部を焼灼しただけの治療を行いました。しかし、一時的に頻尿症状は軽快するのですが、数ヶ月すると、やはり元の頻尿症状に戻ってしまうのです。仙骨神経ブロックを行い膀胱拡大術を定期的に行いますが、行った直後2ヶ月程は頻尿が抑えられる程度で、また元の頻尿症状に戻ってしまいます。
 この女性も特に排尿障害を訴えていませんでしたが、尿流測定検査を行うと、明らかな排尿障害があり、またわずかではありますが残尿も認めました。そこで患者さんと話し合い、膀胱頚部の切開手術を行いました。すると、自覚していなかった排尿障害を手術後「こんなにおしっこの勢いが良かったんだ!」と初めて自覚できたのです。
●総合評価:
ウロフロ検査では勢いはあるものの、赤く記したように山が三つあります。これは、排尿障害が隠れていて腹圧を利用して排尿している証拠です。残尿は8mlと少なかったのですが、患者さんと十分にお話をして手術を行いました。膀胱頚部を広げると、手術後のウロフロは非常によくなり、患者さんの喜びに結びつきました。
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慢性膀胱炎の実例2

【実例2】 カルテ番号13542○○○奈子さん20歳の場合
 5年前より恥骨部・尿道の激痛が毎日3回突然襲ってきます。激痛の持続時間は30分です。その間ジッと我慢しなければなりません。S大学病院・K大学病院・A大学病院・某労災病院を転々と受診しましたが、特に異常なく、精神的なものと診断され、精神薬を処方され毎日を過ごしておられました。激痛がいつ襲ってくるか分からないので、外出や旅行ができずに悶々とした毎日を過ごしておられました。
 インターネットで慢性膀胱炎を手術で治すことを知り、藁をもつかむ気持ちで来院されました。この女性は頻尿症状は特になく、排尿障害も自覚していませんでした。検査してみますと、1回尿量が544mlと十分なのですが尿流曲線がギザギザの山型で裾野も広がっている排尿障害を認めました。また、残尿も50mlとかなりの量でした。
 治療により排尿状態は極めてよく残尿も5ml以下になりました。毎日3回あった激痛が早朝の始めの排尿後に1回だけに減少したのですが、その1回がなかなか治ってくれません。前述の「治療の難しさ第3の理由」の症例に属します。ここで、日常生活について更に詳しく聞くと、この患者さんは必要以上に水分を摂っていることが判明しました。「誤解の項目」でご説明したように、急性膀胱炎の治療として水分をたくさん摂るという方法がありますが、慢性膀胱炎の場合、細菌感染が原因ではないのでまったく無意味です。そこで寝る前の大量の水分摂取を止めていただきました。すると早朝排尿後の激痛がなくなり、安定してきたのです。やれやれ・・・。
●総合評価:
ウロフロ検査では一見尿の勢いは良いのですが、超音波エコー検査で残尿を測定すると残尿50mlと大量です。手術で狭い膀胱頚部を広くしました。手術後のウロフロではご覧のように勢いがさらによくなり、残尿はわずかに2mlになりました。
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