「高橋先生、こんにちは。今回初めて、頻尿についてのご相談のメールをお送りさせていただきます。
私は小6のときから、14年半頻尿に悩む26歳の女性です。もともと、トイレは近い方でした。小学校の低学年(おそらく1年生)のときから、学校の健康手帳の『小便が近い』という項目に○をつけていた記憶があります。ですが、とくに不便なことはなく、決して苦にしたことはありませんでした。残尿感や排尿困難も全くありませんでした。
悩むようになったのは、小6の冬に授業中トイレにいくのを我慢したことをきっかけです。そのときは、病院には行かなかったので、今となってはわかりませんが、ひょっとしたらそのときは、細菌性の急性膀胱炎になっていたのかもしれません。それ以降学校では、毎放課トイレにいかないと持たなくなってしまいました。授業中行くときもありました。
中学1年の9月頃、初めて市内の市民病院の泌尿科に行きました。尿検査では異常はありませんでした。「思春期で精神が不安定なのでしょう」というようなことを言われたと思います。薬を出されましたが、母に「病気ではなかったのだから、あまりこういう薬は飲まないほうがいい」と言われ薬は飲みませんでした。異常はないと言われてからほんの少しの期間でしたが、トイレがそれまでより遠くなった時期がありました。ですが、その後1.2年生の間は、また毎放課トイレに行ってました。授業中に行く時も何回もありました。その頃の夜間排尿は1回(4~5時間もってました)でした。
中学3年になってから、日中2時間毎になりました。そのときは夜7時間眠っていられました。その後、高校に入学し、5月ごろからまた調子が悪くなってきて、秋には1時間毎になってました。高校の間はずっと毎放課トイレにいってました。1年の夏に隣市にある内科に行ったとところ「尿検査で異常はないので、多分精神的なものだろうから、神経科に紹介状を書こうか?」と言われました。そこでは、漢方薬を出されました。
1年の冬に、隣市の市民病院の泌尿科に行きましたが、尿検査をして特に異常はないと言われ、膀胱の緊張を取る薬を出されましたが効きませんでした。
大学に入って授業が90分になり、最初のころはかなりつらかったのですが、3週間ぐらい経った頃から、慣れたのかなんとか我慢なしで、授業中の90分がもつようになっていました。ですが、常に1時間半毎になったというわけではありませんでしたが。
8月頃、外出中、無理な我慢してしまった後、尿の色がピンクのような色になったことがありました。2・3日で普通の尿に戻ったため、病院には行きませんでした。無理な我慢をしたため、膀胱か尿道に負担がかかり、毛細血管が切れて血が尿に混じったのではないかと、そのとき思いました。
夏休みが明け、後期が始まってから、また我慢しないと授業中もたないときが出てきて、ずっと無理に我慢してしまったためか、膀胱のあたりがすごく痛くなってしまい、トイレも15分毎になってしまったので、、仕方なくまた、市内の市民病院の泌尿科に行きました。
それまでの経緯を、医師に話したところ、一度検査をしてみた方がいいといわれ、とりあえずその日は、薬を出されました。1週間ぐらいしたら、1時間近くもつようになりました。排尿してもすっきりしないことを言うと、排尿直後膀胱をエコーで見て、残尿はないと言われました。それから、膀胱内圧を測る検査(2回)とレントゲン検査を受けました。レントゲン検査では、尿道から空気を200ml流し込んだ状態で、かなりの激痛を感じ、後日レントゲン写真を見ると膀胱の上の部分がいびつに膨れていました。(いびつに膨らんでしまっていると、その医師が言ったのです)
その検査から数日の間は血尿とかなりの排尿痛が続きました。検査直後に医師から、「しばらくの間おしっこ赤いけど、心配しなくていいから。」と「しばらくおしっこするとき痛いかもしれないけど」ということは聞かされていました。
その医師は、膀胱が普通の人より小さいことを揚げ、手術(膀胱を一旦切って、たとえば腸の皮か何かでつなげて大きくする手術)をすれば治る、と言いました。でも、「こっちとしても、若い女の子の身体に手術の後は残したくないので、慎重にならざる負えないんだけど。」と言い、またいろいろと内服薬が出され、尿意を感じてから、5分我慢するように言われました。
ですが、薬を飲んでも効果がなく、常におしっこをしたいような感じがあることをいうと、「これだけ薬を出して全く効かないってことはないと思うけど。腑に落ちないのは、普通の膀胱と比べて確かに伸びの悪い膀胱ではあるけど、それでも膀胱自体は伸びようとしているのに、まわりから縮もうとする力が働いている」と言われました。
念のため「手術をしても、ずっとしたような感じは残るんじゃないですか?」と聞くと、「そりゃ残るだろうね、ただ時間が経って(尿がたまっていって)段々痛くなってくるっていうのはなくなると思うけど」と言われ、「どうしたら自信がつくか」とか言われたので、結局精神的なものということかと思い、それ以来通院はやめました。
平成11年の10月頃から、排尿間隔が、15分~20分毎なってしまい、平成12年の8月から13年の11月頃まで、精神科に通ってました。最初はカウンセリングを受けてましたが、効果がなかったため辞めました。精神科医から、膀胱訓練を勧められ、30分我慢するようにと言われました。4ヶ月ほどかかって30分毎になりましたが、途中から続けられなくなり、またもとの15分毎にもどってしまいました。結局精神科も辞めました。
どうにもならないものと諦めて数年すぎ、平成17年2月膀胱が苦しくなってきてしまい、どうしようもなくなり、3月2日、また市内市民病院の泌尿科にいきました。7年以上前のカルテがまだ、とってありました。今回の主治医は、7年前の検査結果を見て、「内圧の検査で漏れそうだ・限界だと感じる数値が普通の人の5分の1」だといいました。レントゲンの検査時に出血と腎臓への逆流があったことから、間質性膀胱炎の可能性があると言われました。ちなみに腎臓への逆流はそのとき初めて聞かされました。その日は、バップフォー(1回1錠を3回)出されました。次の日起きたら、膀胱の苦しさはだいぶ楽になっていました。
その2週間後(3月16日)腎臓をエコーで見たところ、「これで見る分には、腎臓はちゃんと機能してます。逆流はしてない、あったとしても少しでしょう。」と言われました。その日から、バップフォーが1回2錠の朝晩2回になりました。その2日後に膀胱に強めの痛みを感じました。その後も5~10分膀胱や恥骨に痛みを感じる日が出てきました。ですが、痛み感じていない時に関しては、病院に行く前と比べて楽になっていたことは確かでした。
4月15日の夜から丸1日尿道の痛みが治まらなくなりました。それからバップフォーを飲むのをやめました。痛みに関して言うと、この時期が一番大変だったと思います。波はありながらも、今はこの時より楽なことは確かです。
その後ゴシャジンキガンという、漢方薬を飲みましたが、効果はなく、6月21日から24日まで、間質性膀胱炎の検査入院をしました。結果間質性膀胱炎ではないということでした。
内視鏡検査の最中に「膀胱三角部・・・慢性膀胱炎だね・・血管の・・・もちょっとあるね」と医師2人が話しているのが聞こえました。術後、「水圧拡張をしてみた結果、膀胱壁が裂けていって血が出るといった、間質性膀胱炎の典型的な所見ではなかったので、間質性膀胱炎ではないから。血尿にもなっていないし。ただ、膀胱粘膜が普通の膀胱と比べて・・・・だったので、組織検査に出しました」と言われました。
水圧拡張の効果は全くありません。術中・術後は激痛を味わいましたが、その後、余計悪化したということも今のところ特にありません。夜間排尿も以前と変わりなしです。
今日病院に行ってきたので、「膀胱三角部と聞こえましたが、膀胱三角部に炎症とかあったんですか?」と聞いてみたところ、「炎症なんて別になかったよ。ただその部分の血管が少しだけど・・・だったので、そこの膀胱組織を少し取ったけど。」ということでした。膀胱組織を検査に出した結果を聞いてみると、間質性膀胱炎の人の膀胱組織から出るような異常は私の場合、なかったということです。
現在の主治医が言うには、今後は、ここでは、薬を出していくことしかできないから、直接膀胱に薬を入れる治療もここではできないということでした。
内圧やレントゲン検査も本当はやった方がよかったのかもしれないけど(7年以上経っているので)、痛かったっていうからやらなかった。また、やっていってもいいんだけど、よその病院にいってまたやらなきゃいけないんだったら、最初からそっちでやったほうがいいし。後は、少しづつ我慢して拡張していくとか。。と言われました。
それは以前やって、途中までは効果があってもその後だめになってしまって、それからはいくらやってみても出来なかったことを言いました。
間質性膀胱炎の人が飲んで、効く人には効くアレルギーの薬を飲んでみるか聞かれましたが、とても効果があるとは思えなかったので、断わりました。
急いで結論は出さなくてもいいから、よその病院に行くのなら、紹介状は書くし、必要な資料も送るので、そういった手続きはちゃんとやらせてもらいますので、と言ってくれました。
私は○○県○○市に住んでいるので、先生のクリニックに行くのは大変なのですが、やはり高橋先生に診ていただきたいので、母とも相談して、何とか頑張って東京に行くことを考えています。
今回は、まずこれまでの経緯を高橋先生に知っていただきたくてメールをお送りさせていただきました。本当に長い文章ですみません。お忙しい中すみませんが、お返事の方よろしくお願い致します。 ○○○○ 」
【解説】
小6のときから
慢性膀胱炎・間質性膀胱炎;・心因性頻尿の患者さんは経過が長いのが特徴です。膀胱出口の発育と膀胱出口を除く膀胱全体の発育のアンバランスが、この病気の本質だと考えています。ですから思春期の時期から発病する方が多いようです。
毎放課トイレにいかないと
10代頃から頻尿で、こうのようなエピソードが多く聞かれます。
尿検査では異常はありませんでした。「思春期で精神が不安定なのでしょう」
尿検査で異常がなければ、ほかに病気はないのか!と、この医師に声を大きくして叫んでやりたいですね。また、思春期で精神が不安定だと頻尿になる理由を言ってみろ!とも。
「尿検査で異常はないので、多分精神的なものだろうから、神経科に紹介状を書こうか?」
神経科の医師が迷惑です。泌尿器科的に病気があるのに、原因の全てを神経科にゆだねるのですから。
膀胱が普通の人より小さい
生まれた時には、全ての人が膀胱は小さいのです。小さくなった理由を調べなければなりません。
膀胱自体は伸びようとしているのに、まわりから縮もうとする力が働いている
この医師は、解剖学と生理学を理解していません。膀胱はほとんどが筋肉でできている袋です。ですから、抑制神経の働きで抑えなければ、縮もうとするのは当たり前なのです。なぜ?抑制神経が働かなくなったかを深く考える必要があります。
普通の人の5分の1
だから、頻尿なのです。頻尿の訳を数字で置き換えているだけです。この結果を考えれば、当時の貴方は、一般の人の5倍以上の頻尿だということが分かります。一般の人の排尿回数は1日4回から8回ですから、貴方は20回から40回トイレに行くことになります。膀胱の現時点の状態を示しただけで、病気の原因を示しているわけではありません。そういう意味で、意味のない検査になります。
腎臓への逆流があった
逆流があるのは、膀胱内圧が上がり易いということを意味します。
恥骨に痛みを感じる
恥骨の痛みは、膀胱の関連痛です。
「膀胱三角部・・・慢性膀胱炎だね・・血管の・・・もちょっとあるね
恐らく、膀胱三角部に所見があるのでしょう。
間質性膀胱炎の典型的な所見ではなかったので
現在の間質性膀胱炎の診断の流れは、典型的な所見のない間質性膀胱炎患者さんを救い出そうというのが主流です。
炎症なんて別になかったよ。ただその部分の血管が少しだけど・・・だったので
血管が少し...を「炎症」といいます。
よその病院に行くのなら、紹介状は書くし、必要な資料も送るので、そういった手続きはちゃんとやらせてもらいますので
診断と治療の放棄です。これ以上貴方を診ることができないと言い換えたことになります。
【その後のメール相談と回答】
「高橋先生、こんにちは。○○○○です。お答えありがとうございました。
現在の症状についてです。
『下部尿路症』に書かれていることは、全て当てはまっています。起きている間は、15分おきぐらいにトイレにいっています。騙し騙しで、30分近く間を空けられることもたまにはあります。入浴を挟んで、1時間以上空けられることも結構あります。膀胱付近が常にすっきりせず、不快感があります。痛みに関しては、この1週間ぐらいの間は、『痛み』というほどのものは特に感じていません。バップフォーを飲み続けたのが良くなかったのでしょうか?排
尿障害が原因の頻尿の場合は、バップフォーは症状を悪化させる場合があるそうですが。4月15日にバップフォーを飲むのをやめ、5月に入ってからは、波はありながらも痛みに関しては段々楽になっていきました。
【回答】
確かに、バップフォが排尿障害を増悪させる場合があります。
夜間は、1時間~2時間おきです。ウトウトして、眠りに入っていけそうでも、尿意を感じて、目が覚めてしまって、それを何回か繰り返さないと、眠りに入っていけない夜もよくあります。
排尿までに時間がかかります。排尿し始めてからも、時間がかかります。一度の排尿に何度もお腹に力を入れないといけないときもよくあります。トイレに行って戻ってくると、15分~20分経っていることもよくあります。
排尿し終えたつもりでも、あまりの残尿感がひどさに、もう一回息んでみると、また尿が出てくるときもあります。先に出した分よりも多い量の尿がでるときもあります。
【回答】
この症状からも、膀胱出口が排尿時に十分に開いていないことが分かります。
入院中の蓄尿で、1回の排尿の量は、100~200mlでした。拡張術の翌日、管を抜いてから、(管を抜いた直後は、抜いたときの刺激で強い尿意を感じますが、実際は膀胱には尿はたまっていないはずだと思って我慢していました)、その後もう限界と感じてトイレに行ったときは、500ml溜まってました。その後は拡張前と全くかわりませんでした。トイレに入ってから30分以上時間がかかり、やっと尿が出ても、50mlしか出てないときもありました。
極端な頻尿になってから(5年以上前から)、座っている状態から立ち上がった拍子に、トイレに行きたくなることも、出てきました。
*『間質性膀胱炎の典型的な所見ではなかったので現在の間質性膀胱炎の診断の流れは、典型的な所見のない間質 性膀胱炎患者さんを救い出そうというのが主流です。』と言うのは、間質性膀胱炎でない人も間質性膀胱炎ということにして、間質性膀胱炎としての治療を行っているということでしょうか?
【回答】
違います。典型的な間質性膀胱炎は検査で容易に診断できるのですが、検査で正常と診断された人の中には、間質性膀胱炎への移行中の人が存在していて、「気のせい」にされているのではないかということです。だからそのような患者さんを早期に見つけて治療しようという考え方が広まりつつあります。
実際、間質性膀胱炎の人に処方するアレルギーの薬をすすめられましたし、また、転院先として、信州大学病院の他、間質性膀胱炎の治療で有名な公立甲賀病院をすすめられましたが。
【回答】
私は間質性膀胱炎という病気は仮の姿で、本質は排尿障害、膀胱出口閉塞症、機能性膀胱頚部硬化症だと信じています。現在の間質性膀胱炎の治療であるIPD内服や膀胱水圧拡張術は、排尿障害を治さないで行うのであれば、逆効果だと考えています。排尿障害を治さないで膀胱をバカにする治療ですから。
高橋先生に実際診ていただくことになった場合の質問をさせていただきます。
現在の病院から、紹介状(は、あまり意味がないかもしれませんが)や、過去の資料は、高橋先生の元へ、送ってもらったほうがいいのでしょうか?
【回答】
紹介状のみで結構です。紹介状をいただければ、貴方を検査した結果を返信でき、この病気の正しい検査の仕方と考え方を広めることができるからです。
私は、○○県に住んでいますが、初診のときは、日帰りのつもりで行けばいいのでしょうか?(初診のときは、都内の宿泊施設をとらなくてもいいのでしょうかという意味です)
【回答】
日帰りで診察・検査・診断が行えます。
手術中の痛みについてです。膀胱鏡検査のときは、触っている感じはあっても、痛みは全くありませんでした。
水圧拡張のときは、500mlぐらいまで生理食塩水が入ったときは、「ぶくぶくっと水がいっぱい膀胱(というかお腹)に入ってきたなあ。麻酔なしだったら、この時点で、きっと物凄くいたいんだろうなあ」と思ってました。ですが、その後痛みを感じはじめ、水の量が増える程にどんどん痛みは強まっていき、800mlぐらい入った時点では、物凄い激痛になり、900mlぐらいで、やめになりました。それを3回繰り返すのですから、かなりの苦痛でした。3回目の生理食塩水が抜かれていくと、痛みは楽になっていきました。その後は、全身の倦怠感を感じ、半分意識もない状態になりました。
【回答】
恐らく硬膜外神経ブロック麻酔で仙骨2番~4番の膀胱三角部が効いていたので、膣の痛みは消失していたのでしょう。ところが膀胱全体の感覚は胸椎12番前後の高さです。麻酔の高さが不十分であれば、膀胱水圧拡張術時には膀胱の痛みとして感じます。また、その痛みを我慢していれば、交感神経が緊張状態になっており、膀胱水圧拡張術終了時には放心状態になります。
病室に戻され、段々意識が戻ってくると同時に、膀胱.尿道・恥骨・膣に強い痛みが出てきました。
術中、一番痛んだのは膀胱でしたが、術後は、膣に一番強い痛みを感じました。(昔から、尿意を無理に我慢をしているときに一番痛んでくる場所が、膀胱や尿道ではなく膣なのが不思議でしたが、関連痛と言う言葉を少し前に知ってから、納得がいきましたが。)
【回答】
硬膜外神経ブロック麻酔が切れて、膀胱三角部の感覚がよみがえれば、膀胱水圧拡張術で十分刺激された訳ですから、関連痛の痛みの反動は強いものになります。
その後、少ししてから主治医に、麻酔用の腰に刺さっている管から、痛み止めを入れてもらい、それからは、段々痛みが和らぎ楽になっていきました。
その夜は、当たり前のことですが、尿道に管が通っていることによる不快感というか痛みがずっとありました。夜中に看護士さんが、「おしっこ見ますね」といい2回ぐらい見てくれました。膀胱を押されても特に痛みは感じませんでしたが、管が引っ張られると痛みを感じました。
翌日、管を抜きに来た医師(主治医は週1しかいないので、主治医ではなく主治医と一緒に検査・手術を行った医師)に、「麻酔をかけるので、痛みに関しては心配しなくていいと言われていたので、安心していたのですが、あんなに痛いものだとは思いませんでした。」と言うと、「そんなに痛かった?まあ、痛みの感じかたは人それぞれだからね。」と言われました。
【回答】
麻酔の高さが十分高ければ、膀胱水圧拡張術時でも痛みはありません。ところが麻酔の高さは人によって上がり易い方もおられるし、なかなか上がらない方もおられるので一概にはいえません。
もし、何らかの排尿障害があったとして、先生に手術をしていただくことになった場合なのですが、術後の痛みは仕方ないのですが、術中の痛みに関してが心配です。耐え切れずに、動いてしまったら、危ないですよね。
【回答】
膀胱水圧拡張術のように、膀胱を極端に膨らませなければ痛みはありません。
私は、麻酔が効きにくい体質なのでしょうか?水圧拡張で、こんなに痛みを感じるのは、おかしいのでしょうか?他の患者さんは、どうなのでしょうか?
【回答】
おかしくはありません。
私の場合は、硬膜外麻酔手術というものでした。それと、頻尿に悩むようになったのは、小6のときからですが
、その前から、人よりもトイレが近かったのは、何か意味があるのでしょうか?
【回答】
関係ありません。
最後にもう1つ伺いたいことがあるのですが、7年前の医師が言った、『膀胱を一旦切って、たとえば腸の皮か何かでつなげて大きくする手術』、このような手術が本当に存在するのでしょうか?その膀胱は、ちゃんと機能するのでしょうか?
【回答】
存在します。完全には機能しません。
今回も大変長いメールになってしまいました。
お忙しい中大変恐縮ですが、お返事の方、またよろしくお願致します。
【3回目のメール相談と回答】
「高橋先生、こんにちは。○○○○です。お忙しい中、ご回答いただきましてありがとうございました。
紹介状についてですが、現在の医師にはどのように言って、書いて貰えばいいのでしょうか?ただ、他の病院で診てもらうので、ということだけ伝えればいいのでしょうか?
【回答】
主治医が紹介状を書きますよと、言っているのですから、どのように言ってと、貴方が悩む必要はないのではないでしょうか。貴方自身のことですから、どのように対処するかは貴方がご自分で考えなさい。
頻尿に悩むようになった小6のときよりも前から、もともと人よりもトイレが近かったのは、病気とは全く関係なく、あくまでも『人よりもトイレが近い体質』に過ぎなかったということでしょうか?
【回答】
私は最初の解説の中で、
『慢性膀胱炎・間質性膀胱炎;・心因性頻尿の患者さんは経過が長いのが特徴です。膀胱出口の発育と膀胱出口を除く膀胱全体の発育のアンバランスが、この病気の本質だと考えています。ですから思春期の時期から発病する方が多いようです。』
と答えています。膀胱の「成長のアンバランス」が問題だと言っています。「トイレが近い体質」とは言っていません。体質と漠然とした言葉の一言で済まされると、私たち外科系の医師には治す余地がなくなることになります。
手術をしていただいた場合の、術後についてです。先日市民病院で受けた、水圧拡張術の後は、尿道に管が通してあって下着がつけられないため、『T字帯』というもの(指示されて病院内の売店で買ったもの)を付けましたが、先生のクリニックでは、どうなのでしょうか?
【回答】
このような質問は、手術で貴方を治せると判断した後に考えることですし、枝葉末節のことです。病気を治すという方向性からは逸脱します。もし、この枝葉末節のことが気になって仕方ないのであれば、手術治療はあきらめるべきです。
術後は1日間膀胱カテーテルを尿道に留置するということですが、翌日また来院して、先生に抜いていただくのでしょうか?また、管を抜くまでの間は何もしなくて放っておいてもいいのでしょうか?(市民病院では、夜中に看護士さんが膀胱を押してましたが)すみませんが、またご回答の方、よろしくお願い致します。
【回答】
手術後の細かい事柄は、先のお話です。
【4回目のメール相談と回答】
「 高橋先生、こんにちは。○○○○です。
前回のメールでは、いろいろと失礼な質問をしてしまいまして、本当にすみませんでした。
紹介状についてですが、「どのように言って書いてもらったら・・」と伺ったのには、理由があるのです。
最近の新聞に載っていた記事なのですが、ある男性医師が、『紹介状は担当医と十分に話し合って、そこで決めた医療機関あてに書いてもらう事が大切です』ということを言っていました。
今回は、現在の担当医の(おそらく)知らない病院あてに、紹介状を書いてもらうことになるので、ただ単に、「他の病院に行くので、紹介状を書いてください」とだけ言えばいいのか、高橋先生の独自の治療方針を詳しく話して(もしくは、高橋先生のHPの記事を見てもらうなどして)、そのうえで、紹介状を書いてもらったほうがいいのか?ということを伺いたかったのです。私の質問の仕方が悪かったと思いますが、どっちにしても、自分で判断すべきことでした。
【回答】
紹介状であれば何でも結構です。その内容は問いません。
術後のことについても、愚問をしてしまったようで、すみませんでした。もちろん手術を受けることになるかどうかは、診察も受けていない今の段階では、全く分からないことです。家から、とても遠い病院にかかるということで、つい遠い先のことにまで、いろいろと気を回しすぎたようです。
【回答】
はい。
前回のメールでは、本当にいろいろと、失礼なことを伺ってしまいまして、本当に申し訳ありませんでした。
実際に診察していただくことになった際には、よろしくお願い致します。 ○○○○ 」
★★★実際に、この患者さんがお母様と一緒に、関西から右写真のような紹介状を持参で来院されました。
診察・検査結果から当院での診断と今後の治療方針を下記のように報告書としてまとめ、紹介先病院にご報告しました。
結論として、このブログで何回も述べているように、やはり排尿障害が存在しており、その排尿障害が膀胱に慢性的な負荷を掛け間質性膀胱炎?として患者さんを苦しめていたと考えました。
一般的に、臨床医はダメになってしまった膀胱が諸悪の根源として検査・治療が行われます。私は、他に原因があって膀胱がダメになったと考えます。他の医師は検査結果の排尿障害をダメになった膀胱の症状としてとらえますが、私は排尿障害が膀胱をダメにしたととらえています。
【報 告 書】
○○○○市民病院 泌尿器科 ○○○○ 先生 御侍史
患者氏名:○○○○様 ご紹介いただき、誠にありがとうございます。
平成17年8月3日に来院されました。当院での検査結果をご報告申し上げます。
検査:
1.超音波エコー検査
膀胱出口上部周囲に膀胱内側に向かって隆起所見を認めました。
膀胱出口が十分に開かないことによる排尿時の物理的刺激(振動)に対する生体順応反応(膀胱出口内側の平滑筋肥厚)と思われます。
この肥厚は、膀胱出口をはさんで反対側の膀胱三角部にも影響を与えていて、頻尿の原因になっているともの考えます。
2.尿流量測定ウロフロメトリー検査
排尿開始時間:2分以上(正常10秒以内)
排尿量:421ml
排尿時間:70秒(正常30秒以内)
平均排尿速度:6ml/秒(正常15ml以上)
排尿グラフ性状:腹圧性排尿
かなりの排尿障害を認めます。排尿開始遅延が2分以上と著しいことから、膀胱全体の排出力の低下よりも膀胱出口の開放不全を強く疑います。
3.残尿量測定検査
自尿421ml直後の残尿は144mlでした。
結果としてダメになってしまった現在の膀胱に関して、現時点での詳細な機能評価はあまり意味がないでしょうが、膀胱の疲弊が示唆されます。

診断:
以上の結果から、長年にわたる膀胱出口閉塞症bladder outlet obstruction(機能性膀胱頚部硬化症)の慢性的で軽微な排尿障害が膀胱の疲弊を作り、同時に膀胱三角部の肥厚あるいは変性とそれに伴う易刺激性が頻尿を形成しているものと考えます。膀胱部痛は膀胱三角部の易刺激性が作る脊髄レベルでの関連痛が病態と推察します。
膀胱出口閉塞症の原因としては、成長期の膀胱出口発育不全が考えられます。
治療計画:
膀胱出口閉塞症の治療としてα―ブロッカーであるエブランチルの処方を試みます。
保存的治療で改善が認められなければ、内視鏡手術(経尿道的膀胱出口切開・切除手術)を試みることを患者さんとお母様にお話しいたしました。
ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
高橋クリニック 高橋 知宏
〒143-0027東京都大田区中馬込2-22-16
TEL:03-3771-8000 FAX:03-3771-8033
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