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感謝のメール

私は〇〇歳で高校で教師をしている者です。
〇〇月初旬から頻尿や残尿が続き、昔からお世話になっている婦人科にかかっていましたが、抗生物質が効かないと、「気のせい」とか「気にしないように」と言われて、途方にくれました。

血行が悪いからだろうかと、マッサージグッズを買い込んで足裏をマッサージしたりすると少しよかったりした日もあれば、また凄くトイレに行きたくなったりして、集中力がなくなり90分授業の現在の学校ではやっていけない・・・と途方にくれました。

〇〇〇の授業中にトイレが我慢できなくなり、授業を中断してトイレに行ったものの全くでなくて、おなかが痛くなり、背中とわき腹が痛くなって。

最後は歩けないくらいになって救急病院へ行ったら尿管結石でした。

今は大分楽になっていますが、まだ膀胱の中に4ミリくらいの石があるらしいので膀胱について検索していて、先生のホームページを拝見しました。

頻尿がどれほど辛いか、気持ちとは関係なく、本当に辛いことを伝えても精神科にかかったほうがよいのではと言われたり。
先生が、「決して気のせいではないです」と書いてくださっているのを見て本当に感動いたしました。

私は現在尿管結石の治療で薬を飲んでいて、頻尿の症状はほとんどなくなりました。
ただ足のほてりとしびれはまだあり、その件についても先生の記事が参考になりました。

今回は違いましたが、また尿管結石ではなくて頻尿症状が出てしまったときは先生にお世話になれる!ととても明るい気持ちになれました。

今後も多くの患者さんのためにご活躍いただけますようにお願い申し上げます。
先生のご健康とご活躍を心から祈念いたします。
   〇〇〇〇(〇〇県〇〇〇〇市)

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メール相談のお礼

謹啓

2010年7月・・日回答をいただきました。ありがとうございました。お礼が遅れてしまいました。
2010年7月・・日付「膀胱、尿のトラブルについて」という件名でお便りをいたしました、北海道〇〇〇〇市の〇〇〇〇です(52歳・女性)。

<昨年7月以来、今年の6月初旬まで4度ほど「排尿痛」を繰り返し、現在四軒目の病院で加療中であること(6月・・日からでしたが)>は既に書いたところです。
「出血膀胱炎」と言われたり、「尿は綺麗になった」とも言われているのに、加療を続けて50日経ての7月末になっても「排尿痛」は治まりません。「どうしてか、分からない」と言います。

8月・日になって4,5日の日程で入院してくれというので、・・日まで入院しました(前立腺肥大の治療に定評のある病院らしいのですが、女性は私と痴呆がかった「神経因性膀胱」の再入院だというお婆さんの2人だけでした)。「脊椎麻酔下で膀胱内にある最後まで消えないでいる、2つの赤い斑点模様部分をパンチ研削して悪性かどうか生研に出す」と言うのです。このとき、おそらく「膀胱水圧拡張術も行った」と思われます。

術後8月・・日行くと、つぎのような検査の結果書を見せられました。
「株)〇〇〇〇病理研究所による検査結果=2ヶ所からのパンチ生検であり、いずれもほぼ同様の所見です。粘膜上皮は剥離消失しており、間質の血管増生、拡張が強く、右片部では強い出血を伴っている。間質にはリンパ球、形質細胞、好酸球の浸潤が中程度にあり、トルイジンブルー染色で肥満細胞は炎症細胞の約1%程度であり、著しい増加とはいえない。間質に線維増生も伴っている。間質性膀胱炎の生検所見として矛盾はしません。生検片内には悪性細胞は認められませんが、上皮が完全に脱落しているため、sampling error の可能性は否定できません」でした。
最終的な診断としては「間質性膀胱炎であり、処方薬は「猪苓湯」、そして痛みは再び起きるだろう」と言うのです。2週間後の9月・日には訪院するように指示されました。

しかし、「夫は今後この病院での治療はダメだ」と言います。この夫の判断には高橋先生の一連のブログを拝見して得た知識によるものだと思います。感謝の意を込めながらご報告する次第です。
と申しますのは3回目の発症(今年の2月の初旬)のとき初回と同じ病院に行ったことを先便でお話しましたが、実は、固有の担当医の他にたまたま「〇〇〇〇医大(後で知ったのですが〇〇〇〇病院の助教でした)」から派遣されていた医師に当たりました。その先生は「エブランチル」を処方されました。(担当医からは「猪苓湯合四物湯」だけでした)。
夫は高橋先生の「慢性膀胱炎・間質性膀胱炎」に関する一連のブログにを注目して拝見しているようで、特に「膀胱頚部硬化症による排尿障害が原因」説を支持しているようでしたが、その時点では先生の「内服薬による治療効果の編」まで読み進んではなかったのでしょう、薬の特別な有効性について何も言いませんでしたから。3回目の発症もはっきりした病名も治療法も判然としないまま、やがて治まりました。

6月・日、4回目の発症の際にも初回の病院へいきましが、固有の担当医は辞めて全日程が「〇〇〇〇医大派遣医師」とだけ表示があるのです。不安なので継続通院はヤメと考えながら、それでも一応受診しました。前回通りでいいですねということで「猪苓湯合四物湯」と「エブランチル」でした。

薬に疑問をもちつつ一週間後、今の病院に薬持参で行ったわけですが、「この薬の処方は解からない」というのです。また、夫は私のたびたびの「排尿痛」の発症に心配して「膀胱頚部硬化症・間質性膀胱炎」と書いたメモを渡してくれて、看護師に呼ばれたらこれを心配していると見せなさいと言ったのでした。「全然違うでしょう」という返事にホッとしたことを覚えています。最終的には「間質性膀胱炎」と言い、「痛みがだいぶ治まった」と告げると「膀胱を洗ったから」と言ったそうです。全然解かっていない、と「内服薬による治療効果」を今は知った夫はそう言います。 

長々と書きましたが、手術はともかく今の病院を変えて「エブランチルによる治療」を続けたいと考えています。高橋先生のなみなみならぬ努力が一日も早く認められんことを切に願っております。

ありがとうございました。どうかご健勝で、頑張ってください。失礼します。 

敬白

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メール相談#8 膀胱出口のう胞

高橋先生へ

初めまして長野県〇〇市の〇〇(3・歳・女性)と申します。
膀胱、尿についてのトラブルをネットで調べて、先生のホームページにたどり着きました。

症状は
① 尿道の口がいつも“ツーン”とした感じと、ショーツに当たっている感じがします。過敏になっています。
② 排尿しても残尿感があります。
③ 排尿しても5分ぐらいすると又トイレに行きたくなる時があります。1時間ぐらい行かなくても平気な時もあります。
④ 昼間のトイレの回数は20回ぐらいです。夜は3回~0回です。
⑤ 排尿時、おしっこが左に向かって出ます。太ももに当たってしまうこともある位かなりそれます(数年前から)

4月2日〇〇市内の病院の〇〇病院の内科に罹りました。
診断は、尿検査から膀胱炎と分かり、抗生物質を処方してもらいました。
4月7日:その後も違和感は改善されないので、泌尿器科のある〇〇腎臓クリニックに罹りました。
やはり、尿検査から軽度の膀胱炎と診断されて、違う抗生物質を処方してもらいましたが、改善されず
4月13日(昨日):膀胱鏡の検査をしてもらいました。尿道にカメラを入れる時に「狭いね」と言われましたが膀胱内は異常はありませんでした。それで処置で尿道を広げたと言っていました。特にメスを入れたわけではありませんでした。

「これで大丈夫」と言われましたが、それでも今現在改善されていません。
だんだん気持も落ち込みがちになってきてしまって、家庭や仕事に支障が出ないうちにと思い相談させてもらいました。

相談内容は
① 長野県内出来れば近いところで先生のような診察、検査、手術等に取り組んでいらっしゃる病院(先生)があったら紹介して頂きたいと言うこと。
② ①が無ければ、先生に診て頂きたいのですが、〇〇市から出かけるので、一日で診察と可能な限りの検査を受けてみたいのですが出来るか?と言うこと。
③ このような症状が長く続くと、もしもポリープなどがあった場合、悪性の腫瘍になる可能性があるのか?と言うこと。

お忙しいところ読んで頂いてありがとうございます。
長くなりましたが、以上です。お返事頂けたら幸いです。よろしくお願いいたします。

長野県〇〇市 〇〇

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上記の内容のメールが届き、実際に患者さんが来院されました。
Boocyst23216f352dまず、超音波エコー検査を行いました。
パッと見て、膀胱出口に丸い影が見えます。何でしょう。
写真を拡大してみましょう。

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泌尿器科医からのメール

高橋先生   〇〇〇〇市の〇医院の〇〇〇〇です

以前患者さんに紹介されて、サイト読ませていただきました。
先生の膀胱頚部硬化症ではななく、閉塞であるという意見におおむね賛同しているものです。

女性でも同様の変化は観察できますか?
【回答】
50%位の確率で観察できます。

3Dエコーで、膀胱頚部が肥厚している人にはTUIは効果あると考えますか?
【回答】
はい。

55歳の女性で、他院でICの疑いで、水圧拡張を行ったりしていますが頻尿と排尿困難で受診されました
痛みがないので、ICではないと思いました。
αブロッカーを使用すると腹痛でだめでしたが、御主人が処方されているユリーフを内服したところ、残尿が減って調子がいいようです(ずっとは続けれれませんね・・・)。
ただ、まだ1日15回以上の頻尿と、トイレに行っても出ないことがあるような排尿困難は持続しています

TUIを行う余地あるとすれば、尿道鏡の所見でどんなものがあれば、いいと判断されていますか?
【回答】
一般に「炎症性ポリープ」の存在が、排尿障害を示唆します。

P/Fstudyでは閉塞はあります。
3Dエコーやってみたいと思っています。先生のお使いの機種はなんですか?
【回答】
GE社のボルソンEです。

お時間のあるとき、是非教えてください。
よろしくお願いします。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 医療法人 〇〇〇〇
泌尿器科 〇〇〇〇医院
          〇〇〇〇  
TEL:       FAX:
mobile:090- -
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【補足】
TUIはTrans-Urethural Incisionの略で、経尿道的切開手術を意味します。

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メール相談 慢性膀胱炎編 #7

「高橋先生、こんにちは。今回初めて、頻尿についてのご相談のメールをお送りさせていただきます。

私は小6のときから、14年半頻尿に悩む26歳の女性です。もともと、トイレは近い方でした。小学校の低学年(おそらく1年生)のときから、学校の健康手帳の『小便が近い』という項目に○をつけていた記憶があります。ですが、とくに不便なことはなく、決して苦にしたことはありませんでした。残尿感や排尿困難も全くありませんでした。

悩むようになったのは、小6の冬に授業中トイレにいくのを我慢したことをきっかけです。そのときは、病院には行かなかったので、今となってはわかりませんが、ひょっとしたらそのときは、細菌性の急性膀胱炎になっていたのかもしれません。それ以降学校では、毎放課トイレにいかないと持たなくなってしまいました。授業中行くときもありました。

中学1年の9月頃、初めて市内の市民病院の泌尿科に行きました。尿検査では異常はありませんでした。「思春期で精神が不安定なのでしょう」というようなことを言われたと思います。薬を出されましたが、母に「病気ではなかったのだから、あまりこういう薬は飲まないほうがいい」と言われ薬は飲みませんでした。異常はないと言われてからほんの少しの期間でしたが、トイレがそれまでより遠くなった時期がありました。ですが、その後1.2年生の間は、また毎放課トイレに行ってました。授業中に行く時も何回もありました。その頃の夜間排尿は1回(4~5時間もってました)でした。

中学3年になってから、日中2時間毎になりました。そのときは夜7時間眠っていられました。その後、高校に入学し、5月ごろからまた調子が悪くなってきて、秋には1時間毎になってました。高校の間はずっと毎放課トイレにいってました。1年の夏に隣市にある内科に行ったとところ「尿検査で異常はないので、多分精神的なものだろうから、神経科に紹介状を書こうか?」と言われました。そこでは、漢方薬を出されました。

1年の冬に、隣市の市民病院の泌尿科に行きましたが、尿検査をして特に異常はないと言われ、膀胱の緊張を取る薬を出されましたが効きませんでした。

大学に入って授業が90分になり、最初のころはかなりつらかったのですが、3週間ぐらい経った頃から、慣れたのかなんとか我慢なしで、授業中の90分がもつようになっていました。ですが、常に1時間半毎になったというわけではありませんでしたが。

8月頃、外出中、無理な我慢してしまった後、尿の色がピンクのような色になったことがありました。2・3日で普通の尿に戻ったため、病院には行きませんでした。無理な我慢をしたため、膀胱か尿道に負担がかかり、毛細血管が切れて血が尿に混じったのではないかと、そのとき思いました。

夏休みが明け、後期が始まってから、また我慢しないと授業中もたないときが出てきて、ずっと無理に我慢してしまったためか、膀胱のあたりがすごく痛くなってしまい、トイレも15分毎になってしまったので、、仕方なくまた、市内の市民病院の泌尿科に行きました。
それまでの経緯を、医師に話したところ、一度検査をしてみた方がいいといわれ、とりあえずその日は、薬を出されました。1週間ぐらいしたら、1時間近くもつようになりました。排尿してもすっきりしないことを言うと、排尿直後膀胱をエコーで見て、残尿はないと言われました。それから、膀胱内圧を測る検査(2回)とレントゲン検査を受けました。レントゲン検査では、尿道から空気を200ml流し込んだ状態で、かなりの激痛を感じ、後日レントゲン写真を見ると膀胱の上の部分がいびつに膨れていました。(いびつに膨らんでしまっていると、その医師が言ったのです)
その検査から数日の間は血尿とかなりの排尿痛が続きました。検査直後に医師から、「しばらくの間おしっこ赤いけど、心配しなくていいから。」と「しばらくおしっこするとき痛いかもしれないけど」ということは聞かされていました。

その医師は、膀胱が普通の人より小さいことを揚げ、手術(膀胱を一旦切って、たとえば腸の皮か何かでつなげて大きくする手術)をすれば治る、と言いました。でも、「こっちとしても、若い女の子の身体に手術の後は残したくないので、慎重にならざる負えないんだけど。」と言い、またいろいろと内服薬が出され、尿意を感じてから、5分我慢するように言われました。
ですが、薬を飲んでも効果がなく、常におしっこをしたいような感じがあることをいうと、「これだけ薬を出して全く効かないってことはないと思うけど。腑に落ちないのは、普通の膀胱と比べて確かに伸びの悪い膀胱ではあるけど、それでも膀胱自体は伸びようとしているのに、まわりから縮もうとする力が働いている」と言われました。
念のため「手術をしても、ずっとしたような感じは残るんじゃないですか?」と聞くと、「そりゃ残るだろうね、ただ時間が経って(尿がたまっていって)段々痛くなってくるっていうのはなくなると思うけど」と言われ、「どうしたら自信がつくか」とか言われたので、結局精神的なものということかと思い、それ以来通院はやめました。

平成11年の10月頃から、排尿間隔が、15分~20分毎なってしまい、平成12年の8月から13年の11月頃まで、精神科に通ってました。最初はカウンセリングを受けてましたが、効果がなかったため辞めました。精神科医から、膀胱訓練を勧められ、30分我慢するようにと言われました。4ヶ月ほどかかって30分毎になりましたが、途中から続けられなくなり、またもとの15分毎にもどってしまいました。結局精神科も辞めました。

どうにもならないものと諦めて数年すぎ、平成17年2月膀胱が苦しくなってきてしまい、どうしようもなくなり、3月2日、また市内市民病院の泌尿科にいきました。7年以上前のカルテがまだ、とってありました。今回の主治医は、7年前の検査結果を見て、「内圧の検査で漏れそうだ・限界だと感じる数値が普通の人の5分の1」だといいました。レントゲンの検査時に出血と腎臓への逆流があったことから、間質性膀胱炎の可能性があると言われました。ちなみに腎臓への逆流はそのとき初めて聞かされました。その日は、バップフォー(1回1錠を3回)出されました。次の日起きたら、膀胱の苦しさはだいぶ楽になっていました。

その2週間後(3月16日)腎臓をエコーで見たところ、「これで見る分には、腎臓はちゃんと機能してます。逆流はしてない、あったとしても少しでしょう。」と言われました。その日から、バップフォーが1回2錠の朝晩2回になりました。その2日後に膀胱に強めの痛みを感じました。その後も5~10分膀胱や恥骨に痛みを感じる日が出てきました。ですが、痛み感じていない時に関しては、病院に行く前と比べて楽になっていたことは確かでした。

4月15日の夜から丸1日尿道の痛みが治まらなくなりました。それからバップフォーを飲むのをやめました。痛みに関して言うと、この時期が一番大変だったと思います。波はありながらも、今はこの時より楽なことは確かです。
その後ゴシャジンキガンという、漢方薬を飲みましたが、効果はなく、6月21日から24日まで、間質性膀胱炎の検査入院をしました。結果間質性膀胱炎ではないということでした。

内視鏡検査の最中に「膀胱三角部・・・慢性膀胱炎だね・・血管の・・・もちょっとあるね」と医師2人が話しているのが聞こえました。術後、「水圧拡張をしてみた結果、膀胱壁が裂けていって血が出るといった、間質性膀胱炎の典型的な所見ではなかったので、間質性膀胱炎ではないから。血尿にもなっていないし。ただ、膀胱粘膜が普通の膀胱と比べて・・・・だったので、組織検査に出しました」と言われました。
水圧拡張の効果は全くありません。術中・術後は激痛を味わいましたが、その後、余計悪化したということも今のところ特にありません。夜間排尿も以前と変わりなしです。

今日病院に行ってきたので、「膀胱三角部と聞こえましたが、膀胱三角部に炎症とかあったんですか?」と聞いてみたところ、「炎症なんて別になかったよ。ただその部分の血管が少しだけど・・・だったので、そこの膀胱組織を少し取ったけど。」ということでした。膀胱組織を検査に出した結果を聞いてみると、間質性膀胱炎の人の膀胱組織から出るような異常は私の場合、なかったということです。
現在の主治医が言うには、今後は、ここでは、薬を出していくことしかできないから、直接膀胱に薬を入れる治療もここではできないということでした。
内圧やレントゲン検査も本当はやった方がよかったのかもしれないけど(7年以上経っているので)、痛かったっていうからやらなかった。また、やっていってもいいんだけど、よその病院にいってまたやらなきゃいけないんだったら、最初からそっちでやったほうがいいし。後は、少しづつ我慢して拡張していくとか。。と言われました。
それは以前やって、途中までは効果があってもその後だめになってしまって、それからはいくらやってみても出来なかったことを言いました。
間質性膀胱炎の人が飲んで、効く人には効くアレルギーの薬を飲んでみるか聞かれましたが、とても効果があるとは思えなかったので、断わりました。
急いで結論は出さなくてもいいから、よその病院に行くのなら、紹介状は書くし、必要な資料も送るので、そういった手続きはちゃんとやらせてもらいますので、と言ってくれました。

私は○○県○○市に住んでいるので、先生のクリニックに行くのは大変なのですが、やはり高橋先生に診ていただきたいので、母とも相談して、何とか頑張って東京に行くことを考えています。
今回は、まずこれまでの経緯を高橋先生に知っていただきたくてメールをお送りさせていただきました。本当に長い文章ですみません。お忙しい中すみませんが、お返事の方よろしくお願い致します。  ○○○○ 」

【解説】
小6のときから
慢性膀胱炎・間質性膀胱炎;・心因性頻尿の患者さんは経過が長いのが特徴です。膀胱出口の発育と膀胱出口を除く膀胱全体の発育のアンバランスが、この病気の本質だと考えています。ですから思春期の時期から発病する方が多いようです。

毎放課トイレにいかないと
10代頃から頻尿で、こうのようなエピソードが多く聞かれます。

尿検査では異常はありませんでした。「思春期で精神が不安定なのでしょう」
尿検査で異常がなければ、ほかに病気はないのか!と、この医師に声を大きくして叫んでやりたいですね。また、思春期で精神が不安定だと頻尿になる理由を言ってみろ!とも。

「尿検査で異常はないので、多分精神的なものだろうから、神経科に紹介状を書こうか?」
神経科の医師が迷惑です。泌尿器科的に病気があるのに、原因の全てを神経科にゆだねるのですから。

膀胱が普通の人より小さい
生まれた時には、全ての人が膀胱は小さいのです。小さくなった理由を調べなければなりません。

膀胱自体は伸びようとしているのに、まわりから縮もうとする力が働いている
この医師は、解剖学と生理学を理解していません。膀胱はほとんどが筋肉でできている袋です。ですから、抑制神経の働きで抑えなければ、縮もうとするのは当たり前なのです。なぜ?抑制神経が働かなくなったかを深く考える必要があります。

普通の人の5分の1
だから、頻尿なのです。頻尿の訳を数字で置き換えているだけです。この結果を考えれば、当時の貴方は、一般の人の5倍以上の頻尿だということが分かります。一般の人の排尿回数は1日4回から8回ですから、貴方は20回から40回トイレに行くことになります。膀胱の現時点の状態を示しただけで、病気の原因を示しているわけではありません。そういう意味で、意味のない検査になります。

腎臓への逆流があった
逆流があるのは、膀胱内圧が上がり易いということを意味します。

恥骨に痛みを感じる
恥骨の痛みは、膀胱の関連痛です。

膀胱三角部・・・慢性膀胱炎だね・・血管の・・・もちょっとあるね
恐らく、膀胱三角部に所見があるのでしょう。

間質性膀胱炎の典型的な所見ではなかったので
現在の間質性膀胱炎の診断の流れは、典型的な所見のない間質性膀胱炎患者さんを救い出そうというのが主流です。

炎症なんて別になかったよ。ただその部分の血管が少しだけど・・・だったので
血管が少し...を「炎症」といいます。

よその病院に行くのなら、紹介状は書くし、必要な資料も送るので、そういった手続きはちゃんとやらせてもらいますので
診断と治療の放棄です。これ以上貴方を診ることができないと言い換えたことになります。

【その後のメール相談と回答】
「高橋先生、こんにちは。○○○○です。お答えありがとうございました。

現在の症状についてです。
『下部尿路症』に書かれていることは、全て当てはまっています。起きている間は、15分おきぐらいにトイレにいっています。騙し騙しで、30分近く間を空けられることもたまにはあります。入浴を挟んで、1時間以上空けられることも結構あります。膀胱付近が常にすっきりせず、不快感があります。痛みに関しては、この1週間ぐらいの間は、『痛み』というほどのものは特に感じていません。バップフォーを飲み続けたのが良くなかったのでしょうか?排
尿障害が原因の頻尿の場合は、バップフォーは症状を悪化させる場合があるそうですが。4月15日にバップフォーを飲むのをやめ、5月に入ってからは、波はありながらも痛みに関しては段々楽になっていきました。
【回答】
確かに、バップフォが排尿障害を増悪させる場合があります。

夜間は、1時間~2時間おきです。ウトウトして、眠りに入っていけそうでも、尿意を感じて、目が覚めてしまって、それを何回か繰り返さないと、眠りに入っていけない夜もよくあります。
排尿までに時間がかかります。排尿し始めてからも、時間がかかります。一度の排尿に何度もお腹に力を入れないといけないときもよくあります。トイレに行って戻ってくると、15分~20分経っていることもよくあります。
排尿し終えたつもりでも、あまりの残尿感がひどさに、もう一回息んでみると、また尿が出てくるときもあります。先に出した分よりも多い量の尿がでるときもあります。
【回答】
この症状からも、膀胱出口が排尿時に十分に開いていないことが分かります。

入院中の蓄尿で、1回の排尿の量は、100~200mlでした。拡張術の翌日、管を抜いてから、(管を抜いた直後は、抜いたときの刺激で強い尿意を感じますが、実際は膀胱には尿はたまっていないはずだと思って我慢していました)、その後もう限界と感じてトイレに行ったときは、500ml溜まってました。その後は拡張前と全くかわりませんでした。トイレに入ってから30分以上時間がかかり、やっと尿が出ても、50mlしか出てないときもありました。
極端な頻尿になってから(5年以上前から)、座っている状態から立ち上がった拍子に、トイレに行きたくなることも、出てきました。

*『間質性膀胱炎の典型的な所見ではなかったので現在の間質性膀胱炎の診断の流れは、典型的な所見のない間質 性膀胱炎患者さんを救い出そうというのが主流です。』と言うのは、間質性膀胱炎でない人も間質性膀胱炎ということにして、間質性膀胱炎としての治療を行っているということでしょうか?
【回答】
違います。典型的な間質性膀胱炎は検査で容易に診断できるのですが、検査で正常と診断された人の中には、間質性膀胱炎への移行中の人が存在していて、「気のせい」にされているのではないかということです。だからそのような患者さんを早期に見つけて治療しようという考え方が広まりつつあります。

実際、間質性膀胱炎の人に処方するアレルギーの薬をすすめられましたし、また、転院先として、信州大学病院の他、間質性膀胱炎の治療で有名な公立甲賀病院をすすめられましたが。
【回答】
私は間質性膀胱炎という病気は仮の姿で、本質は排尿障害、膀胱出口閉塞症、機能性膀胱頚部硬化症だと信じています。現在の間質性膀胱炎の治療であるIPD内服や膀胱水圧拡張術は、排尿障害を治さないで行うのであれば、逆効果だと考えています。排尿障害を治さないで膀胱をバカにする治療ですから。

高橋先生に実際診ていただくことになった場合の質問をさせていただきます。
現在の病院から、紹介状(は、あまり意味がないかもしれませんが)や、過去の資料は、高橋先生の元へ、送ってもらったほうがいいのでしょうか?
【回答】
紹介状のみで結構です。紹介状をいただければ、貴方を検査した結果を返信でき、この病気の正しい検査の仕方と考え方を広めることができるからです。

私は、○○県に住んでいますが、初診のときは、日帰りのつもりで行けばいいのでしょうか?(初診のときは、都内の宿泊施設をとらなくてもいいのでしょうかという意味です)
【回答】
日帰りで診察・検査・診断が行えます。

手術中の痛みについてです。膀胱鏡検査のときは、触っている感じはあっても、痛みは全くありませんでした。
水圧拡張のときは、500mlぐらいまで生理食塩水が入ったときは、「ぶくぶくっと水がいっぱい膀胱(というかお腹)に入ってきたなあ。麻酔なしだったら、この時点で、きっと物凄くいたいんだろうなあ」と思ってました。ですが、その後痛みを感じはじめ、水の量が増える程にどんどん痛みは強まっていき、800mlぐらい入った時点では、物凄い激痛になり、900mlぐらいで、やめになりました。それを3回繰り返すのですから、かなりの苦痛でした。3回目の生理食塩水が抜かれていくと、痛みは楽になっていきました。その後は、全身の倦怠感を感じ、半分意識もない状態になりました。
【回答】
恐らく硬膜外神経ブロック麻酔で仙骨2番~4番の膀胱三角部が効いていたので、膣の痛みは消失していたのでしょう。ところが膀胱全体の感覚は胸椎12番前後の高さです。麻酔の高さが不十分であれば、膀胱水圧拡張術時には膀胱の痛みとして感じます。また、その痛みを我慢していれば、交感神経が緊張状態になっており、膀胱水圧拡張術終了時には放心状態になります。

病室に戻され、段々意識が戻ってくると同時に、膀胱.尿道・恥骨・膣に強い痛みが出てきました。
術中、一番痛んだのは膀胱でしたが、術後は、膣に一番強い痛みを感じました。(昔から、尿意を無理に我慢をしているときに一番痛んでくる場所が、膀胱や尿道ではなく膣なのが不思議でしたが、関連痛と言う言葉を少し前に知ってから、納得がいきましたが。)
【回答】
硬膜外神経ブロック麻酔が切れて、膀胱三角部の感覚がよみがえれば、膀胱水圧拡張術で十分刺激された訳ですから、関連痛の痛みの反動は強いものになります。

その後、少ししてから主治医に、麻酔用の腰に刺さっている管から、痛み止めを入れてもらい、それからは、段々痛みが和らぎ楽になっていきました。
その夜は、当たり前のことですが、尿道に管が通っていることによる不快感というか痛みがずっとありました。夜中に看護士さんが、「おしっこ見ますね」といい2回ぐらい見てくれました。膀胱を押されても特に痛みは感じませんでしたが、管が引っ張られると痛みを感じました。
翌日、管を抜きに来た医師(主治医は週1しかいないので、主治医ではなく主治医と一緒に検査・手術を行った医師)に、「麻酔をかけるので、痛みに関しては心配しなくていいと言われていたので、安心していたのですが、あんなに痛いものだとは思いませんでした。」と言うと、「そんなに痛かった?まあ、痛みの感じかたは人それぞれだからね。」と言われました。
【回答】
麻酔の高さが十分高ければ、膀胱水圧拡張術時でも痛みはありません。ところが麻酔の高さは人によって上がり易い方もおられるし、なかなか上がらない方もおられるので一概にはいえません。

もし、何らかの排尿障害があったとして、先生に手術をしていただくことになった場合なのですが、術後の痛みは仕方ないのですが、術中の痛みに関してが心配です。耐え切れずに、動いてしまったら、危ないですよね。
【回答】
膀胱水圧拡張術のように、膀胱を極端に膨らませなければ痛みはありません。

私は、麻酔が効きにくい体質なのでしょうか?水圧拡張で、こんなに痛みを感じるのは、おかしいのでしょうか?他の患者さんは、どうなのでしょうか?
【回答】
おかしくはありません。

私の場合は、硬膜外麻酔手術というものでした。それと、頻尿に悩むようになったのは、小6のときからですが
、その前から、人よりもトイレが近かったのは、何か意味があるのでしょうか?
【回答】
関係ありません。

最後にもう1つ伺いたいことがあるのですが、7年前の医師が言った、『膀胱を一旦切って、たとえば腸の皮か何かでつなげて大きくする手術』、このような手術が本当に存在するのでしょうか?その膀胱は、ちゃんと機能するのでしょうか?
【回答】
存在します。完全には機能しません。

今回も大変長いメールになってしまいました。
お忙しい中大変恐縮ですが、お返事の方、またよろしくお願致します。

【3回目のメール相談と回答】
「高橋先生、こんにちは。○○○○です。お忙しい中、ご回答いただきましてありがとうございました。

紹介状についてですが、現在の医師にはどのように言って、書いて貰えばいいのでしょうか?ただ、他の病院で診てもらうので、ということだけ伝えればいいのでしょうか?
【回答】
主治医が紹介状を書きますよと、言っているのですから、どのように言ってと、貴方が悩む必要はないのではないでしょうか。貴方自身のことですから、どのように対処するかは貴方がご自分で考えなさい。

頻尿に悩むようになった小6のときよりも前から、もともと人よりもトイレが近かったのは、病気とは全く関係なく、あくまでも『人よりもトイレが近い体質』に過ぎなかったということでしょうか?
【回答】
私は最初の解説の中で、
『慢性膀胱炎・間質性膀胱炎;・心因性頻尿の患者さんは経過が長いのが特徴です。膀胱出口の発育と膀胱出口を除く膀胱全体の発育のアンバランスが、この病気の本質だと考えています。ですから思春期の時期から発病する方が多いようです。』
と答えています。膀胱の「成長のアンバランス」が問題だと言っています。「トイレが近い体質」とは言っていません。体質と漠然とした言葉の一言で済まされると、私たち外科系の医師には治す余地がなくなることになります。

手術をしていただいた場合の、術後についてです。先日市民病院で受けた、水圧拡張術の後は、尿道に管が通してあって下着がつけられないため、『T字帯』というもの(指示されて病院内の売店で買ったもの)を付けましたが、先生のクリニックでは、どうなのでしょうか?
【回答】
このような質問は、手術で貴方を治せると判断した後に考えることですし、枝葉末節のことです。病気を治すという方向性からは逸脱します。もし、この枝葉末節のことが気になって仕方ないのであれば、手術治療はあきらめるべきです。

術後は1日間膀胱カテーテルを尿道に留置するということですが、翌日また来院して、先生に抜いていただくのでしょうか?また、管を抜くまでの間は何もしなくて放っておいてもいいのでしょうか?(市民病院では、夜中に看護士さんが膀胱を押してましたが)すみませんが、またご回答の方、よろしくお願い致します。
【回答】
手術後の細かい事柄は、先のお話です。


【4回目のメール相談と回答】
「 高橋先生、こんにちは。○○○○です。
前回のメールでは、いろいろと失礼な質問をしてしまいまして、本当にすみませんでした。

紹介状についてですが、「どのように言って書いてもらったら・・」と伺ったのには、理由があるのです。
最近の新聞に載っていた記事なのですが、ある男性医師が、『紹介状は担当医と十分に話し合って、そこで決めた医療機関あてに書いてもらう事が大切です』ということを言っていました。
今回は、現在の担当医の(おそらく)知らない病院あてに、紹介状を書いてもらうことになるので、ただ単に、「他の病院に行くので、紹介状を書いてください」とだけ言えばいいのか、高橋先生の独自の治療方針を詳しく話して(もしくは、高橋先生のHPの記事を見てもらうなどして)、そのうえで、紹介状を書いてもらったほうがいいのか?ということを伺いたかったのです。私の質問の仕方が悪かったと思いますが、どっちにしても、自分で判断すべきことでした。
【回答】
紹介状であれば何でも結構です。その内容は問いません。

術後のことについても、愚問をしてしまったようで、すみませんでした。もちろん手術を受けることになるかどうかは、診察も受けていない今の段階では、全く分からないことです。家から、とても遠い病院にかかるということで、つい遠い先のことにまで、いろいろと気を回しすぎたようです。
【回答】
はい。

前回のメールでは、本当にいろいろと、失礼なことを伺ってしまいまして、本当に申し訳ありませんでした。
実際に診察していただくことになった際には、よろしくお願い致します。  ○○○○ 」

★★★実際に、この患者さんがお母様と一緒に、関西から右写真のような紹介状を持参で来院されました。17662f26boo5
診察・検査結果から当院での診断と今後の治療方針を下記のように報告書としてまとめ、紹介先病院にご報告しました。
結論として、このブログで何回も述べているように、やはり排尿障害が存在しており、その排尿障害が膀胱に慢性的な負荷を掛け間質性膀胱炎?として患者さんを苦しめていたと考えました。
一般的に、臨床医はダメになってしまった膀胱が諸悪の根源として検査・治療が行われます。私は、他に原因があって膀胱がダメになったと考えます。他の医師は検査結果の排尿障害をダメになった膀胱の症状としてとらえますが、私は排尿障害が膀胱をダメにしたととらえています。

【報 告 書】
○○○○市民病院 泌尿器科  ○○○○ 先生 御侍史
患者氏名:○○○○様 ご紹介いただき、誠にありがとうございます。
平成17年8月3日に来院されました。当院での検査結果をご報告申し上げます。

検査:
17662f26boo21.超音波エコー検査
膀胱出口上部周囲に膀胱内側に向かって隆起所見を認めました。
膀胱出口が十分に開かないことによる排尿時の物理的刺激(振動)に対する生体順応反応(膀胱出口内側の平滑筋肥厚)と思われます。
この肥厚は、膀胱出口をはさんで反対側の膀胱三角部にも影響を与えていて、頻尿の原因になっているともの考えます。

17662f26boo2.尿流量測定ウロフロメトリー検査
排尿開始時間:2分以上(正常10秒以内)
排尿量:421ml
排尿時間:70秒(正常30秒以内)
平均排尿速度:6ml/秒(正常15ml以上)
排尿グラフ性状:腹圧性排尿

かなりの排尿障害を認めます。排尿開始遅延が2分以上と著しいことから、膀胱全体の排出力の低下よりも膀胱出口の開放不全を強く疑います。

17662f26boo33.残尿量測定検査
自尿421ml直後の残尿は144mlでした。

結果としてダメになってしまった現在の膀胱に関して、現時点での詳細な機能評価はあまり意味がないでしょうが、膀胱の疲弊が示唆されます。

17662f26boo4

診断:
以上の結果から、長年にわたる膀胱出口閉塞症bladder outlet obstruction(機能性膀胱頚部硬化症)の慢性的で軽微な排尿障害が膀胱の疲弊を作り、同時に膀胱三角部の肥厚あるいは変性とそれに伴う易刺激性が頻尿を形成しているものと考えます。膀胱部痛は膀胱三角部の易刺激性が作る脊髄レベルでの関連痛が病態と推察します。
膀胱出口閉塞症の原因としては、成長期の膀胱出口発育不全が考えられます。

治療計画:
膀胱出口閉塞症の治療としてα―ブロッカーであるエブランチルの処方を試みます。
保存的治療で改善が認められなければ、内視鏡手術(経尿道的膀胱出口切開・切除手術)を試みることを患者さんとお母様にお話しいたしました。

ご紹介ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

高橋クリニック 高橋 知宏
〒143-0027東京都大田区中馬込2-22-16
TEL:03-3771-8000 FAX:03-3771-8033

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メール相談 慢性膀胱炎編#2 その後

「メール相談 慢性膀胱炎編#2」の患者さんのその後の経過をお話しましょう。

手術を予定して1月13日に来院されました。ところが膣炎を起こしており、膣から膿性のオリモノが大量に排出していました。無菌の状態で手術を行いたい執刀医にとっては、膿が出ている状態は敬遠したくなります。患者さんとお話をして、膣炎を婦人科で治療してから手術しましょうと、手術を延期しました。

「お忙しいところ申しわけありません。カルテNO.○○○73の○○○○です。
1/13の手術中止後、産婦人科に行き膣分泌物の細菌検査をしました。産婦人科の先生から検査報告書を高橋先生の方に渡しなさいと言われたので、一応メールで結果をお知らせしようと思いメールさせていただきました。どこまで書けばいいのかわからないので、報告書そのままを書きます。

<固定検査>         <菌量>
1.Candida albicans     (2+)
2.E.coli            (2+)
3.Enterococcus faecalis  (2+)
4.Corynebacterium sp.  (1+)
5.Gardnerella vaginalis   (1+)
6.デーデルラインカン菌(常在菌)(2+) 

1.カンジタ アルビカンス
各種領域にあいて、表在性真菌症、深在性真菌症をおこす。間擦疹、乳児寄生性紅斑、指間びらん症、爪囲爪炎、特に免疫不全患者において口腔カンジタ症、尿路カンジタ症、膣炎、肺炎、眼内炎、などの日和見感染をおこす。 11.99%(生殖器)
2.イ コリィ 大腸菌
ヒトの感染症では最も普通にみられる病原菌で、UTI、菌血症で最も高頻度にいられる起因菌です。新生児髄膜炎や呼吸器感染症などの感染症の起因菌である場合が多く、感染型の食中毒をおこす。 8.76%(生殖器)
3.エンテロコッカス フェカーリス
腸管内の常在菌で尿路感染症、創傷感染症、及び腹部内膿瘍の起因菌として認められる。毒素因子を持つことが考えられている。本質的に多剤耐性を示し、抵抗力の低下した患者に対して重篤な感染症をおこすことがある。 7.56%(生殖器)
4.コリネバクテリューム属
皮膚・口腔咽頭および鼻粘膜の常在菌。高齢者などの易感染者において呼吸器感染症などの報告がある。 3.23%(生殖器)
5.ガードネレラ バギナリス
膣常在菌である。細菌性膣症の有無に関わらず女性の直腸に存在する。 16.42%(生殖器)

以上のような事が書いてありました。
産婦人科の先生は「カビだ」と言ってますが、以前カンジタ膣炎になってしまった時は陰部が痒かったのでわかりますが、今回は全く痒みがなく(痒みがない事はいいました)、以前と症状が全く違うのでまた疑問を感じてしまってます。現在、「確かにちょっと膣炎っぽいね」って事で、洗浄と膣剤を入れに通院しています。他には特に何も言われてません。27日の手術予定日までに間に合うかどうかもわかりません。

質問があるのですが、膣と膀胱(または尿道?)がくっついているかいないかを調べるにはどんな検査をするのですか? どうも気になったもので…。失礼します。」

「お忙しいところ申しわけありません。
カルテNO.○○○73の○○県の○○○○です。
お電話しようかとも思いましたが、言う事がまとまらなくなりそうだったので、メールをさせていただきました。
1ヶ月以上前から続いている膿のようなおりもの?が今だに治まりません。陰部の痛みも不安定に続いています。
しびれを切らして15日(火)に産婦人科を変えて受診しましたが、またも「カビ」による膣炎と診断されました。
「膣になにか変わったことはなかったですか?」と失礼ながらも婦人科の先生に尋ねたのですが、「なにもないですよ」とのこと。(どんなふうに膣を診て「なにもない」と診断したのかはわかりませんが…)
またも膣剤を入れて今現在様子を見ているのですが、28日の手術の事を考えるとさすがに心配になってきました。ここまで治まらないと、ほんとは膣炎じではないんじゃないかと疑ってきてしまいます。
1月13日に高橋先生が言った「膣と膀胱がくっついていたら…」という言葉をふと思い出し離れません。

婦人科専門じゃないのはわかっていますが、高橋先生でしたらどんな考えになるのでしょうか?他に疑いのある病気とか思い当たる事はありますでしょうか?出来ればご意見をお願いします。
あと、1月13日にクリニックに来院した時、出来る範囲で内診をしていただきましたが、膀胱憩室?と思われるものは膣の入り口から何センチぐらい奥のところにあるのですか?すみませんが教えてください。 失礼します。」

以上の経過から、治りの悪い膣炎は、膀胱憩室が原因で膣が刺激されて膿の排出をしている可能性があると考えました。憩室ではなく膿瘍(のうよう)の可能性が高いと考えたのです。そのためには、膀胱頚部の切開ばかりでなく、膿瘍にも治療しなければ、この患者さんは治らないだろうと思い始めました。
生理などのこともあり、結局延びに延び、2005年4月8日に手術になりました。

16173f30opこの写真は、ナイフ形電気メスで膨瘤した膀胱粘膜に穴を開ける瞬間です。この一瞬は勇気が要ります。なぜなら膨瘤しているからその真下び膿瘍があると常識的に考えられますが、もし私が思いもよらない他の理由で膨瘤していたとしたらと考えると恐ろしい!電気メスの後の粘膜が2箇所傷が付いています。これはためらい傷です。本来尿管口がある位置の凹みに電気メスを穿刺しましたが、何の反応もないので、尿管口の穿刺を断念しました。そして一番膨瘤している頂点にこれから挑もうとしているところです。

16173f30op2刃渡り3mmの電気メスを3mm、5mmと進めて行くうちに目的の膿瘍の壁は開きました! 
直後、白い「もや」が陽炎のように排出します。「もや」の正体は膿です。憩室ではなく膿瘍だったのです。
予想通りで、ほっと一安心です。

16173f30op3穴を十分に広げてから、電気メスの先端を穴から離すと、写真のように勢いよく膿が吹き出てきます。
噴出す膿の「もや」は、まるでオーロラのように幻想的です。
膀胱内に溜まった還流液を吸引しながら観察しています。

16173f30op4さらに膣から膿瘍を圧迫すると、ご覧のように膿のかたまりが溶岩のように噴出します。
指を使って膿瘍内の膿を十分に排出させます。
出来れば結石も出てくれたらなぁと思いながら、一生懸命にしごきます。

16173f30calcli膿瘍の中の膿がなくなった段階で、膿瘍の中のスペースを観察すると結石を見つけることができました。
手術用のループ鉗子を使って膿瘍の内壁から結石を注意しながら剥がす操作をしました。
すると、ヒョイッと穴から飛び出てきました。

16173f30op6内視鏡から出る流水の力で膿瘍のスペースから結石が勢いよく噴出する瞬間です。
一瞬の映像なので、結石がぶれていますが幽霊ではありません。
視野から一瞬結石を見失うので緊張します。

16173f30op5一瞬ではありますが、結石を見失いました。
しかし、容易に結石を見つけました。
これは膀胱内に落ちた結石を採取しているシーンです。
結石をこぼさないように、丁寧にループ鉗子に乗っけている場面です。

16173f30cal手術後、採取した結石を測定しました。
色調は黄色で表面は平滑です。
大きさは4mm×3mm×2.5mmのでした。
この結石は性状から、尿路結石です。
尿路結石であることからすると、この膿瘍は尿管末端の拡張した「成れの果て」でしょう。

16173f30deve結果的に膀胱壁に直径5mmの大きさの穴を開け、膀胱と膿瘍スペースの尿の出入りを自由にしました。
これで、このスペースに膿がたまることはないでしょう。
この写真では、スペース内にまだ血塊を認めます。

16173f30op7膿瘍の中の空間を十分に洗浄しました。
当然、血塊も除去しました。
過去において恐らく尿管であっただろう膿瘍の内壁がきれいに観察できます。
もうここには膿はたまらないでしょう。
長年苦労した尿管に敬意を表します。

16173f30op8この患者さんの病気の大本は、排尿障害です。
膀胱頚部の開きが悪いので炎症を繰り返し、もしかすると膀胱尿管逆流症にもなり、左尿管口が閉塞したのかも知れません。
この写真は、膀胱頚部を尿道から観察した所見です。直径6mmのループ型電気メスと比較して、膀胱頚部の内腔が2mmほどしかないことが容易に判断できます。

16173f30op9電気メスで膀胱頚部を切開して開いた所見です。
直径6mmの電気メスのループが余裕で通ります。
横径で6mm、縦径で12mmに拡大しました。


採取した膿の細菌培養結果:
E.coli(大腸菌)
S.epidermidis(表皮ブドウ球菌)

採取した結石分析の結果:
リン酸カルシウム96%
炭酸カルシウム  4%

手術後の尿流量測定ウロフロメトリー検査結果:
cc16173urfl29 16173f30opuro
左のグラフは初診時で、右のグラフは今回の手術5日目です。
初診時は、227mlの尿量を70秒掛けてゆっくり排尿しています。ダラダラといつまでも終わらないのが、グラフの性状で容易に判断できます。しかも、この時の残尿量測定検査では224mlの尿が残っていました。
手術5日目のグラフでは、137mlの尿量を16秒で終了しています。残尿量測定検査では、わずか10mlです。

【手術後のお便りめーる】
「高橋先生こんばんは。お忙しいところ失礼します。
4月8日に手術を受けたNO.○○○73○○県の○○○○です。そのせつは本当にお世話になりました。ありがとうございました。
手術後、麻酔の副作用による頭痛は12日に痛み出してからきっちり1週間で治まり、20日から出勤出来るようになりました。今現在の状態ですが、尿と一緒にかさぶたのようなものが時々出ますが、尿がピンクになったりティッシュに血が付くような事はありません。
尿意が来る時と排尿する時・排尿した後に傷がしみるような痛みがあります。(術前に経験していた痛みの種類ではないです) 残尿感や尿意頻拍はある時とない時があります。1日の排尿回数は4.5回と安定してきました。
手術してからまだ1ヶ月も経ってないので、出血に気をつけてこのまま様子を見ながら過ごして行こうと思います。
また何かあったらメールさせていただきます。よろしくお願いします。 失礼します。」

【その後の御礼のメール】

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メール相談 慢性膀胱炎編#6

「高橋先生、
はじめまして。○○○○と申します。たまたま先生のホームページを拝見させて頂き、相談させて頂くことにしました。どうか、アドバイスよろしくお願いします。
私は現在22歳の女性で、現在大学4年生です。ちょうど大学に入学した頃から頻尿に悩むようになりました。当初は初めて親元を離れるストレス、なれない大学生活による精神的不満が原因だと思っていました。しかし一向によくなる気配はなく、2002年の3月、ちょうど1年生が終わる頃に、実家の近くにある泌尿器科にいきました。しかし膀胱炎ではない、やはり精神的なものだろう・・・と言われるだけでした。それから早3年、自分でもいつか治る、と信じてここまできましたが、症状は改善されません。
トイレはもちろん近いのですが、白っぽい尿がよくでるのです。ましてお茶などをそんだあとは、15分から30分おきにトイレに行き、一見水のような尿がでます。また夜間の頻尿もひどく、ここ3年は、夜中にトイレに起きずに眠ったことは2回くらいです。急激に尿意におそわれる時と、尿の量は少しなのですが、残尿感に耐えきれず起きる時があります。1度トイレに行くと、頭の中で考えしまい、結局あまり眠れないのです。
特に最近は寒いせいか、昼間も夜もトイレが近く、残尿感もひどいのです。インターネットで同じ悩みを持つ人の意見を拝見すると、やはり専門の医院でないと「異常なし」の一言で終わらせてしまうようで、専門の先生の助言が必要だと実感しております。このままだと旅行にも行けないし、映画に行くのも怖いままです。是非先生のアドバイス、よろしくお願いします。
私は東京在住ではないので、先生の医院を訪れることは難しいのですが、1月の終わりに東京に行かねばならなくなりました。その際、時間と都合が合うようでしたら、1度先生の診断を受けたいと思っています。通うことは無理ですが、1度診断していただくことは可能でしょうか?
よろしくお願いします。」

【解説】
膀胱炎ではない、やはり精神的なものだろう
メール相談の他の方の内容をご覧になって分かると思いますが、安易に「精神的」「心因性」と診断が下ります。私たち人間は心の病気で簡単に頻尿になる生き物なのでしょうか?心と膀胱には、そうなる必然性があるのでしょうか?そうではないと私は考えます。

白っぽい尿がよくでる
塩類尿になると白濁することがあります。食事で取った塩分が尿中にたくさん排泄されると塩類尿になります。

お茶などをそんだあとは、15分から30分おきにトイレに行き、一見水のような尿がでます
水分を摂取したら直ぐに尿にはなりません。私たちはミルク飲み人形ではありません。水分を摂取したことが、膀胱の敏感さを高めて条件反射的に排尿したくなるのです。

夜間の頻尿もひどく、ここ3年は、夜中にトイレに起きずに眠ったことは2回くらいです
急性膀胱炎などの細菌性膀胱炎の場合は、夜間頻尿にはなりません。

特に最近は寒いせいか、昼間も夜もトイレが近く、残尿感もひどい
寒さは膀胱過敏さを刺激します。

1度診断していただくことは可能でしょうか?
もちろんOKです。

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メール相談 慢性膀胱炎編#5

「アメリカに○1年すんでおります日本人です。airmailで土曜日にメールを出しましたが、先生のwebsiteに 通信のアドレスがあることを見つけて、出来るだけ早くお返事を戴きたいと、airmailで出した手紙と似たような内容ですが、もう一度おくります。文字化けにならない事をいのっています。

高橋先生、
私は57歳のアメリカ在住○1年の日本女性です。膀胱の問題で苦しんでいます。私は膀胱炎によくなる性質で、今年の5月末に膀胱炎になったと思い泌尿器科に行った所、菌はなく、Estrace Cream(ご存知とは思いますが、ホルモンのクリームで処方箋は一回2mg)をわたされました。二回使用したんですが、少しかぶれたので、中止。酒類、コーヒーや酸味の多いものを止めたら、2-3週間で治ってしまいました。それで 元の食生活にもどりました。ところが、8月の終わりにまた同じ症状があらわれました。
診ていただいた医者の一人に私は間質セイ膀胱炎だといわれましたが、他の二人の先生はそうではないとおっしゃいました(皆同じofficeに属していて急いでいる時はその日の当番の先生に診てもらうしかなく、3人の違う先生に診ていただく事になってしまいました)。私は排尿をある程度我慢できるのが間質性膀胱炎と違います。自分で訓練して、今では排尿を長い時は4時間から5時間ぐらい我慢できますが、今でも朝起きてから教えに出る前の2時間ぐらいは、排便もあって30分に一回ぐらい排尿します。始めの頃は痛みが強くて寝ていないといけないような時もありました。症状が悪い時は排尿中並びに排尿後に膀胱炎と同じ痛み、症状が良い時は排尿中に痛みは無く、排尿後に普通の膀胱炎の軽いような痛みが5分から1時間ぐらいあります。勿論尿検査では菌は検出されませんでした、培養もしましたが何も出ませんでした。その時にひょんな事から服用したAllegra(ご存知とは思いますがアレルギーの薬です)が割りと効きました。でもそれもある程度で、効き目が止まってしまって、また痛みが出てきて、先生のサイトをみて、前に処方箋で出したいただいた、Estrace Creamを処方箋の半分の1mgを1週間挿入したら とても効果があり、80-90%治ったと思われました。それで使用を中止したら、又悪くなったので継続したら、良くなりました。1週間クリームを使用したら、とても調子がよくなったので、いい気になって、以前のように運動等をして、食べ物も酸味のもの等をたべだし総合ビタミンも服用しだしましたら又症状が悪くなってきました。

質問:ホルモン療法というのは、Estrace Creamによる治療なんでしょうか?それとも飲むホルモン剤による治療なんでしょうか。一体どれ位の量をどれ位の期間続けるべきなんでしょうか。Estrace Cream の方が局所治療に効くと聞きました。
婦人科の先生にも診ていただいて、一応超音波撮影もしましたが、異常はありませんでした。私は過去3回(最後は2000年の5月)開腹手術をしました。82年に子宮と卵巣の一つ、94年に大腸の癒着(前の手術が原因)で腸を10cmほど除去、2000年に最後の卵巣を除去しました。全身麻酔(こちらの医者は全身麻酔でないとしないそうです)で膀胱の中を見てもらったら、もっと状況がわかるとおもうんですが、怖くて出来たらもっと体にやさしい方法でなおしたいと思っています。80年代中ごろから膀胱の問題が始まり、Urethral Syndromeという事で抗生物質を数年一日1錠服用しました(macrodantine)、今から考えるとゾットしますが。90年代には大学院生として座って勉強ばかりしていて頻尿がひどくなり、麻酔なしで尿管をストレッチしてもらった事もありますがいずれも2年ぐらいで症状が収まりその後普通の生活をしていました。5-6年前ぐらいから頻尿がひどくなって来ていました。それから急性腎盂円も99年に一度しましたがそれ以来ありません。先生の説明を読んでいますと、どうも慢性膀胱炎のような気がいたします。それから腰から下が運動不足のセイなのかそれとも先生がおっしゃるように、下半身の神経が影響を受けているのか、下半身に異様感があります。排便は大体正常です。

お忙しいと思いますが、もしお返事いただければ幸いです。私のe-addressです。
○○@○○○.org (○○○)
○○@○○.com (自宅ですがサーバーをかえるかもしれませんので○○に送っていただいた方がたしかだと思います。又文字化けもかんがえられますので、念の為日本の妹宅にも送っていただければ幸いです)
○○@○○.ne.jp (妹宅)
敬具  ○○○○
私は先生のクリニックの近くに1970年代初めにしばらく住んでいた事があります。懐かしいですがキット随分かわったでしょうね。」

【解説】
Estrace Cream
エストロゲン(卵胞ホルモン)剤です。更年期を過ぎると外性器が女性ホルモン低下のために萎縮して炎症を起こします。そのために陰部の痛みや熱感、痒みがでたり、尿道狭窄・尿道炎がでることがあります。治療としてエストロゲン軟膏や内服・シールを貼るなどの治療があります。

間質セイ膀胱炎だといわれました
間質性膀胱炎と診断するためには、膀胱鏡検査で点状出血やコイル状血管などを確認する必要があります。

Allegra
アレグラは抗アレルギー剤です。炎症性サイトカンをブロックする作用があります。日本では間質性膀胱炎の治療剤として、保険適応の認可を受けていませんが、抗アレルギー剤のIPDが頻繁に利用されています。

一体どれ位の量をどれ位の期間続けるべきなんでしょうか。
女性ホルモン低下による膀胱萎縮性慢性膀胱炎の場合は、膀胱の老化現象として考えれば理解しやすいです。膀胱そのものが女性ホルモン低下に適応できないと、慢性膀胱炎症状が出現します。適応できるまで女性ホルモンの補充療法を行うのが理想ですが、目安としては10年ほどでしょう。ただし個人差がありますから正確にはお答えできません。内服治療でも外用薬でもどちらでも構いません。

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メール相談 慢性膀胱炎編#4

「高橋先生
こんにちは、頻尿で悩んでおります○○と申します。インターネットのサイトを拝見致しまして、ご相談しようと思いメール致しました次第です。お忙しいと思いますが、もしお時間がありましたらアドバイス頂けましたら、と思います。

私は42歳の女性です。今年の7月下旬に突然頻尿になりました。ひどい時は7分間隔と言う時もありました。1日に30回程度トイレに行っておりました。しかし、睡眠中は1度もトイレに行くことはありませんでした。10年ほど前に膀胱炎を患ったことがありましたので又それかと思い、最初は内科で診てもらいました。しかし、尿検査をしました所、尿に異常は無いとのことでした。それで念のために抗生物質を処方され、2,3日飲んでおりましたがいっこうに頻尿は止まらないので、近くの大学病院の泌尿器科にかかりました。そこで尿検査をしましたところやはり何も異常が無いとのことで、就寝中はトイレに行かないのだから、精神的なものだと言われました。これが8月の上旬です。
ここで精神的なものだと言われてからは数日で頻尿が止まりました。止まったこともあって自分でも「精神的なものだったのかもしれない」と思いました。
9月の頭、自治体の検診で尿検査をしましたところ菌と白血球が出たということで、内科の診療所の先生に「膀胱炎ですね」と言われ、抗生物質を一定期間飲むことになりました。8月下旬はあまり極端な頻尿は起こっておりませんでしたが何となくいつもよりトイレが近いとは思っておりました。薬を飲むと頻尿も止まりました。が、薬を飲み終えて数日経つと、また頻尿になってきました。そこで抗生物質を追加してもらい、また飲むと頻尿が止まりました。
10月の中旬にまた頻尿になりました。そこで自治体の検診を行った診療所に又行き、そこで尿検査をしますと、また尿には異常は無いとのことでした。先生も首をかしげてらっしゃいました。
7月から11月までずっとこんな調子で毎月一定の期間頻尿が起こります。夜トイレに行くことが2、3回だけありました。いつもひどい時は10分間隔くらいになります。
そこで自分で気が付いたのですが、頻尿になる期間は生理が終わって直ぐから2週間~20日間ほどの間なのです。生理が始まる前2週間ほどは全く頻尿は起こりません。こんな風に生理と連動していると思われる頻尿というのはよくあることなのでしょうか?どんなケースなのでしょうか?
この先頻尿が続いて行った場合どうすればよろしいでしょうか?婦人科なども考えればいいでしょうか?(11月の下旬に(←頻尿時ではありませんでした)自治体の婦人科検診を受けましたが子宮筋腫の疑いは無いとのことでた。)
何かアドバイス等ありましたらご指導頂きたいと思います。長々と稚拙な説明で申し訳ありません。お忙しい中、お手を煩わせますが、よろしくお願い致します。 ○○」

【解説】
1日に30回程度トイレに行っておりました。
このくらいの頻度でトイレに行くのは、日常生活に支障が出ます。患者さん本人も行きたくて行くのではないのに、気にしないようにしなさいと答える医師がいるのにはあきれ返ります。

睡眠中は1度もトイレに行くことはありませんでした。就寝中はトイレに行かないのだから、精神的なものだと言われました
残念ながら細菌性急性膀胱炎の患者さんも夜間には1度もトイレには起きません。では急性膀胱炎の患者さんは精神的ですか?この医師は、プロの医師ではなく素人の一般人としての常識を述べたに過ぎません。

検診で尿検査をしましたところ菌と白血球が出た
ご婦人は排尿の時に、陰部全体を尿で洗いながら排尿しています。ですから気をつけて中間尿を採尿しなければ、陰部の白血球も細菌も尿に混入してしまいます。

生理と連動していると思われる頻尿というのはよくあることなのでしょうか?
いろいろな原因で膀胱が過敏になっていると、様々な状況やタイミングで症状が出ます。貴方の場合は、たまたま生理と連動しているだけです。それ以上の意味はないでしょう。

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メール相談 慢性膀胱炎編#3

「こんにちは。 先生のホームページを見て、メールさせて頂いています。
10月の中旬頃から、突然の頻尿に襲われ、改善せずに今にいたっております。9月中旬に風邪をひき、その後9月後半にカンジタになってしまい、婦人科にかかりました。カンジタのほうは完治した、と言われたのですが、10月の中旬ごろから急に頻尿が始まりました。カンジタが終わったと思ったら、今度は頻尿だったので、何か婦人科系に原因があるのかと思い、婦人科を受診したところ、簡単な尿検査のみで「膀胱炎」と診断され、5日間セフゾンを服用しました。 5日間服用しても、初めのうちは感じなかった残尿感がでてきたので、そのことを告げると、違う種類の抗生剤を5日間処方され、これで治らなかったら泌尿器科に行くようにとすすめられました。
そして、その薬の服用後も症状は中々改善されなかったので、今度は泌尿器科に受診しました。そこでは、尿検査を行い、「細菌は認められません。急性膀胱炎をしたばかりなので、過敏になっているだけでしょう。様子を見ててください」と言われ、1週間ほど、様子を見ることにしました。そして1週間後、今度はまた外陰部がかゆい気がしたので婦人科にかかると、「カンジタ」再度発症。 そして、また「膀胱炎」にもなっているといわれました。 今度は「クラビット」とを7日間処方され、服用しました。 服用して2日間後ぐらいから、「今度こそ完治か!」と思えるほど快調だったのですが、生理が始まると同時にまた頻尿と残尿感に襲われだしました。そして、その2日後ぐらいから、今までにないないほどの頻尿と残尿感。 トイレに行っても、全然すっきりせずにすぐに行きたくなります。 「尿意を感じたら我慢せずにすぐにトイレに行くように」と言われてましたが、いつでも尿意を感じるので、水分を取るのがいやになってきました。 そして、頻繁に行ってるせいか、尿も出が悪く、少しずつしか出ません。 今日、クラビットの服用が終わったのでまた婦人科にいくと、カンジタの検査のさいに、超音波で見た先生から「残尿があるので、ここでは調べられないから泌尿器科に行ったほうがいい」と言われました。 
そして、婦人科の検査が終わった足で、泌尿器科へ。 ここでも、まず尿をコップで取り順番を待ちました。 朝、9時に家を出るときにトイレに行き、産婦人科でも取り(9時半ごろ)、そして、泌尿器科で3回目のトイレ(10時半ごろ)。 そして、診察の際に先生に「残尿がある」と婦人科で言われたことを告げると、残尿検査を行いました。 管をいれて、残尿をとったところ70mlほどありました(11時ごろ)。 先生曰く、「尿検査の結果、尿はきれいです。残尿も大した量じゃないので、精神的なものでしょう。あまり気にしないように。」と言われ、あまりにも気になるときように、「バッフフォー」を処方されました。(他の検査は何もありませんでした。 内視鏡のことを聞いてみたら、本当にそうい慢性の膀胱炎があるひとは、夜も頻尿に襲われます。といわれました)そして、管で残尿を取ったばかりのはずなのに、その直後からものすごい残尿感。(トイレに行って、刺激を受けるとますます行きたくなります) 家に帰って、すぐ
にトイレに行くと、100mlほどの尿がでました(11時20分ごろ)。起きてるときは、ずっと残尿感があり、とても不快です。 ただ、就寝中だけは、何も感じることなく眠ることができます。夜中に尿意を感ぜずに寝ることができるということは、やはり精神的なものなのでしょうか?
バッフフォーは頻尿は改善されるが、排尿障害が出ることもあるということなので、飲んでいいものかどうか悩んでます。 また、尿意を感じても、少しは我慢して貯めてから行くようにしがほうがいいのでしょうか?先生のご意見を聞かせていただければ、幸いです。
先生の病院にかかりたいのは山々ですが、現在○○県○○に在住のため、通うことはできません。○○にどこかいい泌尿器科さんはご存知じゃありませんでしょうか? お願いごとばかりで申し訳ありませんが、よろしくお願いします。」


【解説】

急性膀胱炎をしたばかりなので、過敏になっているだけでしょう。
急性膀胱炎の後に、膀胱刺激症状が残る方が確かにおられます。しかし、非細菌性慢性膀胱炎の隠れていた患者さんが、急性膀胱炎を契機に症状が発症されるのも事実です。

生理が始まると同時にまた頻尿と残尿感
風邪や生理や急性膀胱炎を切っ掛けに、慢性膀胱炎の症状が露見するのです。

残尿をとったところ70mlほどありました
前立腺肥大症の高齢者の男性で、手術の適応を決めるのが、残尿50ml以上です。貴方は70mlですか...。

残尿も大した量じゃないので、精神的なものでしょう。あまり気にしないように。
大した量の残尿です! 精神的な病気では残尿はたまりません。残尿70mlは事実なのに、なぜ精神的なものと言えるのでしょう?これは詭弁です。この医師がほかに病気が思いつかないのでしょう。

慢性の膀胱炎があるひとは、夜も頻尿に襲われます。
細菌性の慢性膀胱炎の場合に、夜間頻尿に襲われますが、必ずしも全員がそうではありません。また、非細菌性慢性膀胱炎の場合には、どちらともいえません。夜間頻尿のある人もいればない人もいます。その中間も存在します。病気と症状は必ずしも典型例ばかりではありません。

○○にどこかいい泌尿器科さんはご存知じゃありませんでしょうか?
私の慢性膀胱炎に関する考え方は、私のオリジナルなので他に同じような診療を行っている医師を存じ上げません。

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