休診のお知らせ
【休診日】
8月17日(月曜日)〜8月20日(木曜日)は夏休みの休診です。
【診療時間】
月曜日〜土曜日: 午前中9時~12時診療を行います。
ただし、火曜日・木曜日のみ、午後4時〜午後6時も診療を行います。
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1. 概要
間質性膀胱炎とは、「膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い、頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱痛などの症状を呈する疾患」(間質性膀胱炎診療ガイドラインによる)である。
その病型はハンナ型(ハンナ病変を有するもの)と非ハンナ型(有しないもの)に大別され、ハンナ型は内視鏡的にも病理学的にも明確な異常所見を有し、症状的にもより重症である。中高齢の女性に多いが、男性や小児にもみられる。
原因は不明で、膀胱粘膜の機能障害や免疫学的機序が想定されている。頻回な排尿や膀胱の痛みによる苦痛から生活の質は大きく損なわれる。確立した治療法はなく、対症的な治療に留まる。再燃と寛解を繰り返し長期にわたる医学管理が必要となる。
2.原因
原因は不明であるが、膀胱粘膜の機能障害、免疫学的な異常反応、尿中の毒性物質などが想定されている。
3.症状
症状は、頻尿・夜間頻尿、尿意亢進、残尿感、膀胱不快感、膀胱痛などが主体である。
その種類や程度は多岐にわたるので、症状の特定や程度の規定は困難である。膀胱の不快感や痛みは膀胱に尿がたまった時や冷えた時のほか、刺激物の摂取や精神的なストレスでも悪化する。痛みの部位は膀胱・尿道が多いが、膣・外陰部・腰部などにも波及することもある。時に、線維筋痛症、シェーグレン症候群、過敏性腸症候群などを合併する。日常生活には多大の障害が生じる。
4.治療法
対症療法としては、病態説明や食事指導が用いられる。内服治療薬としては、鎮痛薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、ステロイドなどが用いられる。内視鏡的な治療としては、膀胱水圧拡張術が広く用いられる。その際に膀胱内にハンナ病変を認めた場合は、その電気またはレーザーによる焼灼術も行なわれる。膀胱内への薬物注入治療として、ヘパリン、DMSO、ステロイドなどが用いられる。ボツリヌス毒素の膀胱壁内注入も行なわれることがある。いずれの治療にも抵抗性で症状が強い症例に対しては、膀胱全摘術と尿路変更術が行なわれる。
5.予後
膀胱水圧拡張術またはハンナ病変の焼灼術により、約半数の症例で症状の寛解をみる。しかし、長期的
に寛解するのは一部の症例に限られ、多くの症例では、再治療や追加治療が必要となる。これらの治療に
も拘らず耐えがたい症状が持続する症例は膀胱全摘術が適応となる。
「膀胱痛症候群」指針を発表
英国2学会が合同
国際医学短信2017年2月21日 (火)
英国産婦人科学会は先頃、膀胱痛症候群(bladder pain syndrome)診療ガイドラインを発表した。英国内の同症候群指針は初めてで、英国ウロギネコロジー学会が共同で作成に当たった。
同学会によると、膀胱痛症候群の定義は「原因が特定できない排尿症状〔頻尿、尿意切迫感、夜尿症、膀胱充満に伴う疼痛(bladder filling pain)〕を伴う骨盤/膀胱内の疼痛、圧迫感や不快感が6週間以上継続すること」。
患者数は女性が男性の2-5倍と多く、米国での有病率は2.3-6.5%と推計されている。
新指針では既往の問診や身体診察を含む初期診療の方針に言及。膀胱痛症候群には除外診断が必要で、排尿日記や食事日記、尿路感染症を除外するための尿検査を考慮してよいとの推奨も盛り込まれている。
指針ではまた、膀胱痛症候群は実際の症状と同様、患者の生活やQOLなどに影響をもたらす病態であると強調。持続性の膀胱痛症候群に対しては、パートナーや家族の協力、臨床精神科医、患者サポートグループ、認知行動療法などへの早期アクセスを考慮すべきと勧告している。治療としては食事指導やストレスマネジメントを挙げている。食事の変更は有効である可能性があり、カフェイン、アルコール、酸性の飲食物を避けることも考慮すべきと述べている。ストレスマネジメントには定期的な運動が推奨される一方、鍼治療のベネフィットに関するエビデンスは限定的との見解が示されている。この他、指針では膀胱痛症候群の疼痛に対しては鎮痛薬の使用を勧告。薬物治療やその他の治療が奏効しない場合の外科治療も取り上げている。
インターネット配信のニュースで興味ある事例があったので、ここでご紹介します。
「尿は無菌」はウソだった! :研究結果© 株式会社メディアジーン 提供
尿には、尿素、水分、ナトリウム、カリウムやその他の化学成分が含まれています。無人島やジャングルなどを舞台にしたサバイバル番組を見過ぎた人だけでなく、医師までもがこれまでずっと、尿は無菌だと考えてきました。ところが、尿は体外に排出された時点で無菌状態ではないことがわかったのです。
米国微生物学会の学術誌『Journal of Clinical Microbiology』で発表された研究によると、健康な女性と、過活動膀胱(膀胱が過敏になり自分の意思に関係なく収縮する)を患っている女性の両方から尿サンプルを集めて検査した結果、健康な女性であっても、膀胱と尿に生きた細菌が存在することが確認できたそうです。
これまでは、尿サンプルから細菌が検出された場合、医師は何らかの尿路感染症だと判断していました。しかし、「尿は無菌である」という見方が誤りであることが研究で証明されたのはこれが初めてではありません。
尿は無菌という通説が生まれたのは、検査室で実施される通常の検査環境であれば、健康な人間の尿サンプルから「臨床的に有意な」数の細菌コロニーは検出されないだろうという考え方があったからです。細菌が検出されたとしても、皮膚や、滅菌されていないものと接触したせいだとみなされていました。
同じ研究チームがさらに研究を行ない、その結果を米国微生物学会に報告しています。この追跡研究では、84人の女性から尿サンプルを採取し、一般的な検査手法と、より有用なEQUC(Expanded Quantitative Urine Culture)と呼ばれる手法で培養しました。その結果、サンプルの70%以上に細菌が含まれていたのです。ところが、見つかった細菌の90%は、一般的な検査手法であらかじめ「陰性」とされていたもので、従来の手法には限界があることが示されました。
こうした結果からさらに明らかになったのは、過活動膀胱を患う女性の膀胱内に存在する細菌は、健康な女性の膀胱内にある細菌とは異なっており、種類も多様であったことです。研究チームは、膀胱に存在する細菌は消化器官で見つかる菌とかなり似た働きを持っており、正常な菌バランスの変化が過活動膀胱の発症の背後にあるのではないかとの仮説を立てています。これにより、尿路感染症や失禁といった膀胱疾患の予防や治療に対する医療関係者や研究者の取り組み方が変わると、泌尿器学学会誌『European Urology』に掲載された論文で研究チームの1人が述べています。
Urine is not sterile: use of enhanced urine culture techniques to detect resident bacterial flora in the adult female bladder | Journal of Clinical Microbiology
Stephanie Lee(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)
【備考】
細菌が原因でない過活動膀胱や間質性膀胱炎の患者さんが、過去の既往の中で、尿中に細菌が認められるからと言って、その都度、細菌性の膀胱炎と診断され、繰り返し抗生剤や抗菌剤を処方され続けている患者さんが多く存在します。
細菌の有無が誤診を生んでいることに、今頃気づいたことになります。
カフェインと頻尿について記事が出ていました。
レギュラーコーヒーとカフェイン抜きコーヒーが泌尿器科症状に与える影響
米国ロマリンダ大学医療センター泌尿器科のAndrea Staack氏らは、コーヒー摂取頻度が低い、またはコーヒーを頻繁に摂取する健康な若者を対象に、レギュラーコーヒーとカフェイン抜きコーヒーが泌尿器科症状に与える影響を検討するプロスペクティブな二重盲検、並行群間比較試験を実施した。
方法
•試験外ではカフェイン入り飲料の摂取を制限している被験者49人を対象とした。
•5日間のカフェイン摂取禁止期間を完了した後、被験者はレギュラーコーヒー(カフェイン含有量450 mg/日)またはカフェイン抜きコーヒー(カフェイン含有量12 mg/日)を5日間摂取した。
•食事調査、泌尿生殖器系の悩みに関する調査および間質性膀胱炎の問題と症状の指数(ICPI、ICSI)により、カフェイン摂取歴および泌尿器症状を評価した。
間質性膀胱炎/膀胱痛症候群(IC/BPS)患者と過活動膀胱(OAB)患者の症状にかなりの重複が見られることが、米国の研究で明らかになった。
本研究結果によりこれら2つの疾患が一連の過知覚膀胱症候群に相当する可能性が高まったと、Washington University School of Medicine(ワシントン大学医学部、ミズーリ州、セントルイス)のH Henry LaiらはJournal of Urology誌で述べている。
本研究では、IC/BPS(間質性膀胱炎/膀胱疼痛症候群)の診断を受けた患者26例、OAB(過活動膀胱)患者53例、健常対照者30例の3群について検証を実施した。全被験者は、疼痛、頻尿、尿意切迫感、尿失禁という4つの重要な症状について、妥当性が確認された質問票による評価を受けた。
各症状の有病率には群間差が認められることをLaiらは見いだした。例えば、重度の疼痛症状の有病率は、OAB患者群に比べてIC/BPS患者群で有意に高く、健常対照群で最も低かった。
一方で、尿失禁症状の有病率は、IC/BPS患者群に比べてOAB患者群で有意に高く、健常対照群で最も低かった。
頻尿および尿意切迫感の重症度はいずれも、IC/BPS患者群とOAB患者群での差は認められず、両群とも健常対照群に比べて高かった。
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