カテゴリー「間質性膀胱炎の検査」の記事

間質性膀胱炎のエコー所見

Ice1間質性膀胱炎のご婦人患者さんが全国から大勢来院されます。その患者さん達は、内視鏡検査のみに異常が認められ、その他の検査では異常なしと言われます。その結果、原因不明の間質性膀胱炎と診断されるのです。

私は間質性膀胱炎の原因がすべて超音波エコー検査で確定できます。初めのイアスとが正常のエコー所見です。膀胱出口が閉じています。膀胱排尿筋が膀胱出口に向かっています。

 

 

Ice2  2枚目のイラストが間質性膀胱炎の患者さんのエコー所見です。。
❶膀胱出口部分が膀胱側に突出します。
❷膀胱出口が「Vの字」に常に開いています。
❸膀胱出口が突出したので、相対的に膀胱三角部が厚くなります。
❹排尿筋の走行が乱れ厚くなります。
❺膀胱のエコー側面像では、正常では膀胱括約筋は見えません。排尿障害が増強すると、膀胱括約筋が肥大して、エコー側面像で確認できるのです。
❻尿道周囲結石、尿道周囲の静脈瘤は慢性的排尿障害の結果です。
❼膀胱三角部から膀胱出口にわたって粘膜の硬化像が認められます。

9e3a89b714fb48699af37528a9de76e8 これらの所見は、一つでもあれば、長期間にわたって排尿障害が続いた証明になります。したがって症状に左右されずに排尿障害の治療を積極的に行うべきです。性別に関係なく、排尿障害の治療薬であるユリーフ・シロドシン、ハルナール・タムスロシンを飲むべきなのです。これらのクスリは、前立腺を緩めるのではなく、男女共通の膀胱括約筋を緩めてくれるのです。

写真は間質性膀胱炎の膀胱のエコー写真です。

一般の医師は、そんな知識もないのです。私だけのおかしな考え方です。(笑)




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残尿量正常値の意味

一般的に泌尿器科医が、残尿量の正常範囲は50ml以下と判断しています。

ところが、この数値は嘘です。解剖学や生理学の教科書には、排尿後の残尿量はゼロ(0ml)が正常と明確に記載されています。にもかかわらず、臨床の泌尿器科医は、何故50mlまで正常と断定するのでしょう。臨床医学と基礎医学は違うのでしょうか?

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これには、ある訳があるのです。
今でこそ前立腺肥大症の手術は一般的で、日本中どこの泌尿器科でも実施されている手術です。内視鏡手術、レーザー光線手術などいろいろです。出血もなく、私などは日帰り手術で行っています。
ところが、その昔、前立腺肥大症の手術は開腹手術でした。イラストで示すように、下腹部を切開して前立腺を露出します。前立腺被膜に平行に6か所に太い縫合糸で事前に予防的止血縫合をします。前立腺被膜下の動静脈を予め縛って止血することで、術中術後の出血を出来るだけ抑えるための処置です。止血縫合糸の間を切開して前立腺を摘出するという方法です。

この方法が確立するまで、前立腺手術には術中・術後も、かなりの出血でした。そのため、大量の輸血や出血死する患者さんがいました。当時の日本は、泌尿器科の専門医は確立されておらず、外科医が前立腺の手術を行っていました。ある外科医が臨終間際に息子の外科医に遺言を残したそうです。「前立腺だけは、手を出すな!」と。泌尿器科専門医が確立された後も、安全な手術法は確立されていませんでした。そのため、どうしても手術しなければならない程、具合の悪い人だけを手術することにしたのです。

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そのための具体的な基準の一つに、排尿障害の程度を決めたのです。それが、残尿50ml以上だったのです。つまり、無暗やたらに手術での被害者を作らないための方策が、残尿50ml以上だったのです。
その50ml以上の基準が独り歩きして、残尿量50mlまでは正常=排尿障害なしと間違った解釈に進んでしまったのです。

基礎医学の生理学・解剖学に記載されている様に、排尿直後の残尿量は、ゼロ(0ml)が基準です。残尿量が、例え10mlであっても正常ではなく、排尿障害が必ず存在します。

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排尿日誌

Img_0347私は慢性腎不全になり、3年前から日々のデータを毎日記録しています。
体重、血圧、血糖、排便の有無、主な食事内容、腹膜透析の廃液量、血液透析前後の体重変化、血液データなど多岐にわたるデータです。最初の頃はエクセルに清書しながら記録していました。その記録を主治医に毎月提出していました。これらデータを観察することで、病気の進行を回避できるヒントが得られるかも知れないと、淡い気持ちで常に記録していました。

しかし、どんなに詳細にデータを記録しても、そこから分かることは何もなく、ただひたすら自分の体調が良くも悪くも推移しているのを傍観しているだけでした。データを取れば、物事の本質が見えてくるというのは、目標を決めた実験だけです。私たち医師は理科系の人間ですから、データを取れば何でも分かると誤解しているのです。臨床現場は、目的を持った実験現場ではないですから、理科系の常識が通用しません。

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過活動膀胱などの頻尿の患者さんに、排尿日誌を付けるように指導する専門医がいます。泌尿器科学会でも排尿日誌の記録を推奨しています。病気の原因も追求せずに、患者さんの 「心の問題」が病気の主な原因と思って実施しているだけです。患者さんにとっては、何の役にも立ちません。患者さんに、頻尿をただひたすら「自覚」させるだけです。精神科医ならともかく、外科医である泌尿器科医師が何をやっているんだ!と私は思います。排尿日誌を付けている方は、1週間付ければ十分です。

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膀胱炎症状の形状変化

膀胱炎症状すなわち慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症と呼ばれる患者さんが新患で毎日1人以上来院します。毎月20人以上、年間で300人以上来院します。

そのような患者さんのほとんどが、尿検査、細菌培養検査、超音波エコー検査、膀胱内視鏡検査のいずれか、あるいは複数の検査をすでに実施されて、異常なしと判断されています。
泌尿器科医師は、実は正式に超音波エコー検査を習っていません。超音波専門医は画像を観ているだけで、問題意識を持って患者さんを診ていません。ですから、超音波エコー検査が異常なしと判断されていても、全く信用出来ないのです。私は救急病院で身につけた超音波エコー検査技術を駆使して、患者さんを診て、超音波エコー検査をリアルタイムで実施しています。問題意識を持って見ているので些細なことも大きく見えてしまうのです。

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この写真のエコー検査結果のように、膀胱括約筋の方向が膀胱出口ではない方向(緑の矢印)に向かうため、必然的に膀胱三角部が厚くなり、それに比例するように症状が強くなります。
三角部を数値で正確に把握することは、なかなか難しいのです。なぜかと言えば、形状が複雑だからです。膀胱の内側から見て三角形で、超音波エコー検査では、側面像と正面像しか把握できません。誰もが正確的に測ることのできる部分は、三角部の厚さを一番表現している膀胱出口と膀胱括約筋の先端との距離(赤い矢印)です。正常は膀胱出口に向かっで5mmです。これだけでは膀胱三角部を正確には把握できるではありませんが、誰でも測定できるのは、これしかないでしょう。
この測定値と症状の関連性を調べてみました。
症状を数値化するために、症状1つが1点としてスコアを加算します。
ただし、頻尿8回〜10回1点、頻尿11〜20回まで2点、頻尿21〜30回まで3点、‥‥とします。
夜間頻尿は、1回1点、2回2点、3回3点‥‥とします。

Cc35235f27ps【症例❶27歳#35235】
症状スコア:4点
(恥骨の痒み、膣の痒み、肛門の痒み、頻尿8回)
経過:2ヵ月前から症状出現。
緑の矢印:膀胱括約筋の方向、本来は膀胱出口に向かうはず
赤の矢印:膀胱出口=膀胱括約筋の距離:7mm

Cc35278f75ps【症例❷75歳#35278】
症状スコア:3点
(膀胱疼痛、頻尿9回、夜間頻尿1回)
経過:4年前から発症、膀胱疼痛症、老人性膣炎、膀胱炎の診断で、ホルモン剤、抗生剤、リリカを処方されるも改善せず。
緑の矢印:膀胱括約筋の方向、本来は膀胱出口に向かうはず
赤の矢印:膀胱出口=膀胱括約筋の距離:16mm
距離が長い割にはスコア点数が少ないが、通常の処方では、なかなか改善しません。そのため裏処方により症状は軽快しました。


Cc35641f67ps【症例❸67歳#35641】
症状スコア:4点
(陰部のムズムズ感、陰部の圧迫感、陰部のチクチク感、頻尿10回)
経過:2ヵ月前から発症、過活動膀胱と診断され、ウリトス、ベシケアを処方される。
赤の矢印:膀胱出口=膀胱括約筋の距離:9mm


Cc34637f60ps【症例❹60歳#34637】
症状スコア:4点
(恥骨の痛み、頻尿30回)
経過:8年前に発症、大学病院で「気のせい」「冷え性」と診断。
赤の矢印:膀胱出口=膀胱括約筋の距離:8mm

Cc34754f49ps【症例❺49歳#34754】
症状スコア:4点
(膣の痛み、膣の痒み、頻尿10回以上)
経過:4ヵ月前から発症、カンジダ性膣炎と診断されたが治らない。
赤の矢印:膀胱出口=膀胱括約筋の距離:9mm

Cc35698f72ps【症例❻72歳#35698】
症状スコア:3点
(陰部のムズムズ感、下腹部の痛み、頻尿10回)
経過:3ヵ月前から発症、公立病院・大学病院受診し、「何でもない」という診断。
赤の矢印:膀胱出口=膀胱括約筋の距離:14mm
距離が長い割にスコア点数が少ないですが、通常処方する治療薬では、なかなか改善しません。

Cc33532f61ps【症例❼61歳#33532】
症状スコア:5点
(尿道口の痛み、頻尿18回、夜間頻尿3回)
経過:乳癌手術後にカテーテル抜去してから膀胱炎症状出現し、治らない。
赤の矢印:膀胱出口=膀胱括約筋の距離:15mm
やはり通常処方する治療薬では、なかなか改善しません。裏技を使用し現在経過観察中です。


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間質性膀胱炎の膀胱鏡所見「点状出血」

間質性膀胱炎の診断基準にある「点状出血」について、とある掲示板で話題になりました。
話の展開の中で、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎の原因が排尿障害であると主張している私の考え方に矛先が向けられました。慢性前立腺炎の手術を多数行なっている私のブログの記載の中に「点状出血」の記載がないので、本当は、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎を別物として私は考えているという趣旨の内容だったと思います。

そのことに関して、「慢性前立腺炎」のブログで詳細に解説しました。内容が重複しますが、本来の間質性膀胱炎のブログページに掲載します。

間質性膀胱炎の診断基準の一つである「点状出血」について、その価値について未だ確立されていません。
Waxmanらの報告によると、間質性膀胱炎症状を有する患者さんのうち「点状出血」を認めたのは42%のみだったそうです。また、同じWaxmanらの別の報告で、卵管結紮(不妊手術)を受けた21歳から43歳の無症状(間質性膀胱炎症状のない)の女性20人に膀胱水圧拡張を行ったところ、45%に「点状出血」を認めたという報告です。(いずれも排尿障害プラクティス 間質性膀胱炎の最前線より)
つまり、「点状出血」の存在確認は、間質性膀胱炎の診断の参考にはなるが決定打ではないということです。

「診断基準」とは、原因などの全体像が定かでない病気に対して、臨床医が困るので便宜上「仮」に儲けた「一時的」な定義です。しかし困ったことに、一時的にもかかわらず恒久的な存在になることがしばしばです。「診断基準」で定義されたことが一人歩きをし、新しい知見を蹴散らしてしまうのです。自分たちで定義した狭い意味の言葉によって、思考が呪縛され奴隷に成り下がるのです。この現象は思考の弱さにあるのです。一旦定義すると、それ以上問題の事象を掘り下げなくなります。そしてその定義したことを安心の「拠り所」にしてしまうのです。「点状出血がなければ間質性膀胱炎ではない」などとトンチンカンな考え方を吐露するのです。
しかし、この現象は私も含めた全ての人間にみられる傾向です。これを思考の「慣性の法則」といいます。もちろん私のブログの中でも、そこここにこの現象はあるでしょう。常に用心をしなければなりません。

私は間質性膀胱炎も難治性の慢性前立腺炎も、その原因はどちらも「排尿障害」だと信じています。
間質性膀胱炎も慢性前立腺炎も過活動膀胱も神経因性膀胱も心因性頻尿も慢性骨盤内疼痛症候群も、原因の出発点に排尿障害があり、その行き先がそれぞれ異なった終着駅(症状の異なる病気)として認識されているに過ぎないと考えています。特に女性の場合、前立腺というショック・アブソーバーがなく、また性差のために必ずしも男性と同じ症状同じ検査結果が得られないのでしょう。逆に原因が同じであれば、男性も女性も全く同じ症状同じ検査結果が得られるのだと主張すること自体に、生物学的にも医学的にも無理があるのでは?と考えます。

さて、「点状出血」については、その成因について深く解説した文献はありません。現象の程度についての記載はあります。では、なぜ「点状出血」がおきるのかをここで少しずつ考えてみましょう。

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膀胱出口の3D画像

以前から間質性膀胱炎や慢性膀胱炎の患者さんの検査を行い、詳細に説明しますが、膀胱出口が硬いというイメージがピンと来ない方がほとんどです。
何か良い手立てはないものかと頭を痛めていたところ、産科で使用される子宮内の赤ちゃんのリアルな表情を描出する3D・4D超音波エコー検査に可能性を見つけ器械を購入しました。
購入のいきさつに関しては、「開業医のこぼれ話」に掲載しています。また、その後の経過に関しては「慢性前立腺炎」のページに掲載しています。

Boo21133f24_2【実例】
大学病院で「心因性頻尿」と診断された、24歳のご婦人の尿流量測定ウロフロメトリー検査の所見です。
248mlの尿を54秒もの時間をかけてチョロチョロと排尿しています。残尿は87mlと大量です。
大学病院は何を検査したのでしょうね?
Boo21133f24e_2お決まりの超音波エコー検査では、膀胱出口の上にこんもりした盛り上がりが確認できます。これを膀胱出口周囲の硬化像の証拠として私は理解していますが、超音波エコー検査の側面像では想像しにくいでしょう。
Boo3d21133f24_2この超音波エコー検査を3D(立体)画像処理したのがこの写真です。
小さな穴のように見えるのが、膀胱出口です。膀胱出口を囲むように盛上がっているのが、上記の超音波エコー検査の側面像で確認できる膀胱出口周囲の硬化像です。
Boo3d17956f62【実例】
この写真は、62歳女性で1日排尿回数が最大61回だった患者さんの術後2年の3D写真です。上記の写真と比較して、膀胱出口が広く拡大しているのが分かります。この患者さんは現在、1日5回の排尿回数になりました。

Boo3d19157f45uterus検査中にたまたま見つけた子宮筋腫の膀胱圧迫像です。
膀胱出口周囲が左右対称ではないのは、子宮筋腫の圧迫で膀胱右側が盛上がっているからです。
このようにハッキリ観察できますが、子宮の圧迫による排尿障害や膀胱刺激症状はありません。

★夕刊フジ(10月2日号)でこの事が取り上げれました。

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尿流量測定ウロフロメトリー検査とエコー画像

排尿障害を診断する検査として、尿流量測定ウロフロメトリー検査はとても重要な検査です。通称ウロフロと呼ばれています。
Uroflownl【正常なウロフロ】日常診療のための泌尿器科診断学㈱インターメディカから複写、以下同じ)
正常なウロフロの排尿曲線は、上向きに凸の放物線に近い曲線です。一番高い部分を境にほぼ左右対称のシンメトリーです。
これ以外の排尿曲線は何らかの排尿障害があると考えます。

 

Uroflowall【いろいろな尿流曲線】 患者さんの排尿状態を定性的にも定量的にも評価できる簡単な検査にもかかわらず、この検査を行なわない泌尿器科医がとても多く、そのために排尿障害で苦しんでいる患者さんが不当評価=誤診されてしまうのです。
UroflowbB型排尿曲線 しかし、尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なっても適正に評価されないことがあります。
右のイラストは、排尿曲線のB型と呼ばれる曲線を示しています。このB型曲線は、ご覧のように小刻みな波の集合体が大きな波を形成しています。
B型とは、Bladder Neck SclerosisBNS膀胱頚部硬化症の頭文字のBです。

 

Uroflowb2B型曲線の説明文は、右のようです。
膀胱頚部硬化症や慢性前立腺炎に多く認められる曲線だと記してあるでしょう。
つまり、排尿障害が病気の本質である膀胱頚部硬化症の排尿曲線と、炎症が病気の本質と思われている慢性前立腺炎の排尿曲線が同じであることに不思議な感じを受けませんか?
排尿曲線が同じであれば、同じタイプの排尿障害と考えるべきでしょう。同じタイプの排尿障害が同じ病気ではないと考える方に無理があると思えませんか?そうなのです。教科書的にも膀胱頚部硬化症=慢性前立腺炎を暗示しているにも関わらず、誰一人としてそのように病気を見ていないのです。(この曲線の論文は、出典が1981年泌尿器科紀要からです。)
慢性膀胱炎・間質性膀胱炎のご婦人も、この膀胱頚部硬化症型の排尿曲線になります。

 

尿流量測定ウロフロメトリー検査の分類が、前立腺を中心にしていることから、尿流量測定ウロフロメトリー検査=男性のための検査と思われているかも知れません。けっしてそのようなことはありません。
しかし、実際にご婦人のウロフロ検査を行なう医師が少ないので、そのように誤解するのも無理からぬことです。

 

排尿障害を調べるために、自分でできる方法として排尿量を排尿時間で割ると平均排尿速度が計算できます。しかし、平均排尿速度がどんなに良くても、このようなスパイク状の排尿曲線を知ることができません。平均排尿速度が良いから、排尿障害はないと思わないで下さい。

 

 

【患者さんの感想】 レポート25の会員 NO、・・・87です。
高橋先生お世話になっております。
ウロフロメトリーの記載を拝見させて頂きました。
僕も 排尿障害が病気の本質である、膀胱頚部硬化症の排尿曲線と、炎症が病気の本質と思われている、慢性前立腺炎の排尿曲線が同じであることに、素人ながら不思議な感じを受けます。
非細菌性慢性前立腺炎という病気は、僕は無いと思います。きっと高橋先生のホームページを泌尿器科医の医師は見ていると思います。 素人に生意気な事を言われたくないと思うと思いますが、僕は高橋先生の考えと同じです。興奮して、思わずメールしてしまいました。高橋先生がよろしければ、ブログに記載して下さい。
PS、 メールアドレスがかわりましが、会員NO、・・・87の○○○○です。
今後とも お世話になると思いますが、どうかよろしくお願い致します。

 

【参考】 排尿曲線のノコギリのようなスパイク状の波は、スパイク一つ一つが腹圧をかけている証拠です。繰返し何回も腹圧をかけないと排尿できないという膀胱頚部硬化症や慢性前立腺炎の病態を表現しています。
Bns18987m24ちなみに、感想を寄せていただいた患者さんは、どんなにひどい排尿曲線かな?とお思いでしょう。実は右に示すようにほぼ正常の排尿曲線でした。このような患者さんの場合、残尿量測定検査で排尿障害を確認します。実際、排尿曲線は正常でも、残尿量は63mlでした。

 

【正常型】 Uroflownこれは正常の排尿を示す排尿曲線です。
上向きに凸の放物線に近い曲線です。
尿量200ml以上で最大排尿速度25ml/秒以上かつ平均排尿速度15ml/秒以上を正常型とします。(この値は、男性用の正常値ですから、女性の場合はもっと良くなければなりません。)
波形が同じでも、排尿速度がどれか一つでも正常値に満たなければ、排尿障害と判断します。
この基準をいい加減に判断するので、排尿障害があっても異常なしと誤診するのです。
N型とはNormal正常の頭文字のNです。

 

M51normalurflw411ml正常型の排尿曲線です。
実は51歳の時の私の排尿曲線です。勢いがいいでしょう。
立ち上がりの急な角度、ノッチはありますがギザギザ曲線とはいえない波です。
頂点を境にほぼ対称(シンメトリー)です。
F49normalurflw202ml49歳ご婦人の正常型の排尿曲線です。
私の排尿曲線よりも数段上です。
一般的に、ご婦人の排尿曲線は、尿道が男性の20cmに対して4cmとはるかに短いので、男性の排尿曲線よりも尿の勢いが良くなるのです。

 

【前立腺肥大症・尿道狭窄型】 Uroflowo前立腺肥大症や尿道狭窄による排尿障害の場合に見られる排尿曲線です。
尿道が硬くて開かないので、このような排尿曲線になります。腹圧をかけても排尿速度は上がりません。ですから膀胱頚部硬化症型のように鋭いスパイク曲線にはならないのです。
膀胱頚部硬化症も器質化すると、前立腺肥大症型と同じ排尿曲線になります。
O型は、Obstraction閉塞性の頭文字Oを意味します。

 

【神経因性膀胱型】 Uroflowa膀胱の力がなくなった神経因性膀胱などの排尿障害の排尿曲線です。膀胱出口は前立腺肥大症よりも開くのですが、持続して腹圧をかけることができないので大きな山の排尿曲線が一旦は終了してしまいます。
前立腺肥大症型と区別がつきにくいことがあります。
A型は、Akinetic無力性の頭文字Aを意味します。

 

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下記に、最近2ヶ月以内に慢性膀胱炎・間質性膀胱炎症状で初診・再診で来院された患者さん60名(作業が大変なので少しずつ掲載します)の初診時のウロフロ検査の結果を示します。間質性膀胱炎患者さんの全員が、このノコギリ様スパイク状の排尿曲線(膀胱頚部硬化症型)になるとは限りません。
慢性膀胱炎・間質性膀胱炎患者さんの排尿曲線は、ほとんどが膀胱頚部硬化症型ですが、女性なのに前立腺肥大症型(台形型)が結構な割で存在します。
また、膀胱頚部硬化症型と前立腺肥大症型を足して2で割ったような混合型も存在します。つまり台形でノコギリスパイク型です。
正常型でも尿の勢いがない場合は、不完全な正常型とします。
5人に1人は正常型の排尿曲線です。
初診時の超音波検査所見と排尿曲線を対比すると何か見えてくるかも知れません。
そこで、膀胱出口を真横から観察した超音波検査所見も提示して考えてみましょう。患者さんの中には、男性の前立腺肥大症のように膀胱出口が見える女性もおられます。慢性前立腺炎の同じテーマの写真と比べると興味深いと思います。 ●年齢
●病歴
●過去の病名
●症状
●排尿曲線の型
●初診時検査直後の残尿量
●超音波検査所見
の順に記載します。ただし、十分な情報がない場合もあります。
頻尿(1日10回以上)の場合は、頻尿を症状として自覚していることを示します。
また、(頻尿1日10回以上)の場合は、若い時から頻尿で頻尿が当然だと思い、症状として自覚していないことを示します。

 

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【実例】 Boo20645f28★28歳女性
病歴:2年
過去の病名:間質性膀胱炎
症状:残尿感、頻尿(1日10回)
排尿曲線:正常型
残尿26ml
Boo20645f28e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出中等度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像あり

 

Boo20637f59★59歳女性
病歴:
過去の病名:気のせい
症状:頻尿(1日30回以上、夜間6回)、排尿痛(尿道・膣)、下肢のモヤモヤ感
排尿曲線:正常型
残尿87ml

 

Boo20637f59e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像著明

 

Boo20563f29★29歳女性
病歴:12年
過去の病名:心因性頻尿
症状:尿意切迫(30分に1回)、頻尿(1日20回以上)
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿5ml
Boo20563f29e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口の硬化像あり
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
尿道結石あり

 

 

Boo20481f37★37歳女性
病歴:1ヶ月
過去の病名:慢性膀胱炎
排尿曲線:不完全な正常型
残尿108ml
Boo20481f37e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出中等度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo20459f34★34歳女性
病歴:4か月
症状:頻尿(1日10回)、排尿痛
排尿曲線:正常型
残尿129ml
Boo20459f34e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出なし
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
Boo20446f44★44歳女性
病歴:5年
症状:頻尿(1日17回)、残尿感
排尿曲線:正常型
残尿27ml
Boo20446f44e超音波検査所見:
膀胱出口の硬化像あり
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
尿道結石あり

 

Boo20441f65★65歳女性
病歴:2日
症状:下腹部不快感
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿10ml
Boo20441f65e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出中等度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
尿道結石

 

Boo20438f57★57歳女性
病歴:7年
過去の病名:急性膀胱炎(毎月1回~2回)
症状:頻尿(1日15回以上)
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿15ml
Boo20438f57e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口の硬化像あり
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
Boo20151f52★52歳女性
病歴:20年
過去の病名:間質性膀胱炎(膀胱水圧拡張術)、異常なし
症状:尿漏れ感覚、下腹部痛、頻尿(1日16回、夜間1回)
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿:5ml
Boo20151f52e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo19845f39★39歳女性
病歴:36年
過去の病名:心因性頻尿、慢性膀胱炎、気のせい
症状:頻尿(1日40回~50回、夜間6回)
排尿曲線:
前立腺肥大症型、1回尿50ml以下で正確に判断できず
Boo19845f39e超音波検査所見:
膀胱内の尿がわずかのため不明瞭

 

Boo19765f56★56歳女性
病歴:5ヶ月
過去の病名:慢性膀胱炎?(25歳で精査するも病名なし、硝酸銀の膀胱注入を受ける)、心因性頻尿、過活動膀胱
排尿曲線:不完全な正常型
残尿71ml
Boo19765f56e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口の硬化像あり
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
Boo19702f63★63歳女性
病歴:7ヶ月年
過去の病名:急性虫垂炎手術、3年に1回の急性膀胱炎、間質性膀胱炎
症状:頻尿(1日10回以上、夜間2回)、尿道痛、右下腹部痛、左手シビレ、左右の膝下のシビレ、首の痛み、肩甲骨の痛み、明るい場所で涙が多分泌
排尿曲線:神経因性膀胱型
残尿120ml
Boo19702f63e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口の硬化像あり
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo19686f35★35歳女性
病歴:1年
過去の病名:急性膀胱炎
症状:頻尿(1日15回以上)、残尿感、膣の痛み、尿道痛
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿15ml
Boo19686f35e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像あり

 

Boo19680f27★27歳女性
病歴:6年
過去の病名:間質性膀胱炎
症状:頻尿(1日15回以上)、下腹部痛、尿道不快感
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿8ml
Boo19680f27e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出中等度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像あり
Boo19541f51★51歳女性
病歴:4年
症状:頻尿(1日20回)、尿漏れ
排尿曲線:正常型
残尿なし
Boo19541f51e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像あり
Boo19514f58★58歳女性
病歴:4年
過去の病名:繰り返す膀胱炎、繰り返す腎盂腎炎
症状:下腹部痛、残尿感、頻尿(1日10回、夜間2回)、尿失禁(月に5回)
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿225ml
Boo19514f58e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出なし
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo19511f41★41歳女性
病歴:3年
過去の病名:気のせい、分からない、間質性膀胱炎
症状:頻尿(1日25回、夜間5回)、陰部の痛み、排尿痛
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿26ml
Boo19511f41e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
尿道結石あり

 

 

Boo19255f41★41歳女性
病歴:1ヶ月
症状:尿意切迫、のどの不快感、全身倦怠感、陰部のかゆみ
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿7ml
Boo19255f41e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出高度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
Boo19157f44★44歳女性
病歴:2年
過去の病名:慢性膀胱炎
症状:尿意切迫
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿23ml
Boo19157f44e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出中等度
膀胱出口の硬化像あり
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
尿道結石あり

 

Boo18984f38★38歳女性
病歴:4ヶ月
過去の病名:間質性膀胱炎、分からない
症状:恥骨の痛み、膣の痛み、(頻尿1日10回以上)
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿40ml

 

Boo18984f38e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出なし
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像あり

 

Boo18934f52★52歳女性
病歴:30年
過去の病名:急性膀胱炎(年に3回以上)
症状:頻尿(1日15回以上)、尿意切迫
排尿曲線:不完全な正常型
残尿58ml
Boo18934f52e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
尿道結石
膀胱出口の硬化像
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
Boo18893f37★37歳女性
病歴:3ヶ月
過去の病名:急性膀胱炎
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿16ml
Boo18893f37e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
尿道結石
膀胱出口の硬化像あり
Boo18186f71★71歳女性
病歴:7年
過去の病名:慢性膀胱炎、腎盂腎炎
症状:尿が出にくい、尿の混濁
排尿曲線:神経因性膀胱型
残尿212ml
Boo18186f71e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出高度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo17614f48★48歳女性
病歴:4年
過去の病名:急性膀胱炎
症状:残尿感、息み時間が長い、(頻尿1日10回)
排尿曲線:不完全な正常型
残尿28ml
Boo17614f48e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像あり
Boo17956f60★60歳女性
病歴:3年
過去の病名:間質性膀胱炎
過去の治療:膀胱水圧拡張術2回
症状:頻尿(1日60回、夜間10回)
排尿曲線:正常型
残尿64ml
Boo17956f60e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口の硬化像あり
膀胱三角部の肥厚

 

Boo17576f40★40歳女性
病歴:20年
過去の病名:神経性頻尿
症状:頻尿(1日15回以上)、就寝前に5分後と6回
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿143ml
Boo17576f40e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo16546f24★24歳女性
病歴:5ヶ月
過去の病名:慢性膀胱炎
症状:尿意切迫
排尿曲線:前立腺肥大症型
75ml
Boo16546f24e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出中等度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo16143f28★28歳女性
病歴:6ヶ月
過去の病名:異常なし
症状:下腹部痛、夜間尿意切迫(月1回)、早朝の排尿障害
排尿曲線:膀胱頚部硬化症型
残尿18ml
Boo16143f28e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口の硬化像あり
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo14600f38★38歳女性
病歴:7年
過去の病名:神経性頻尿
症状:頻尿(1日10回)
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿34ml
Boo14600f38e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出なし
膀胱出口周囲の静脈瘤あり
膀胱出口の硬化像あり

 

Boo13926f25★25歳女性
病歴:1年
過去の病名:神経性頻尿。ビダール苔癬
症状:頻尿(1日10回以上)
排尿曲線:前立腺肥大症型
残尿11ml
Boo13926f25e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出高度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

Boo9733f33★33歳女性
病歴:15年
過去の病名:気のせい
症状:頻尿(1日15回)
排尿曲線:前立腺肥大症型
32ml
Boo9733f33e超音波検査所見:
膀胱出口の膀胱内突出軽度
膀胱出口周囲の静脈瘤あり

 

 

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頻尿とMRIの所見

患者さんは40歳代のご婦人です。1時間に1回の頻尿で20年前に「神経性頻尿」と診断されました。
平成17年に高橋クリニックを受診しました。当時の症状は、入眠前の5分毎に1回の頻尿(続けて5回~6回)、日中2時間~3時間に1回の排尿回数が気になると1時間毎に1回の頻尿になるというものです。
検査の結果、排尿障害があり、おなじみのエブランチルを処方した所、症状が軽快した患者さんです。もちろん、現在もエブランチルを服用しておられます。
子宮内膜症のMRI検査を最近受けたので、フィルムを持参されました。ちょうど頻尿原因の所見がありましたので、患者さんの承諾を得て、ここに供覧します。
Boo17576f41mri患者さんが上向きに寝ている状態で、画面の左側が頭側で画面の右側が足側です。画面の上がお腹で画面の下がおしりです。
体を縦割りにして、断面を観察している状態です。
水分の多い部分と脂肪の部分が白っぽく表現されています。

Boo17576f41mri2膀胱出口を中心に拡大した写真です。膀胱出口が膀胱内に突出している状態が鮮明に映し出されています。一般的には、この部分は平らですから、明らかに異常な所見です。私が超音波エコー検査で膀胱頚部硬化像としている所見です。
膀胱出口周囲が白っぽく観察できるのは、静脈瘤が存在しているからでしょう。

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超音波検査でみる膀胱頚部の静脈瘤

排尿障害が強く、排尿のたびに膀胱が力強く息んでいると、膀胱出口を中心とした膀胱頚部に圧力がかかります。その圧力が膀胱頚部周囲の静脈圧を上げます。すると、次第に静脈が拡張するようになり最終的には静脈瘤になります。膀胱頚部周囲の静脈瘤の発見=排尿障害の存在と考えられる訳です。
超音波エコー検査では、膀胱頚部(膀胱出口周囲)周囲の膀胱壁のブドウの房状に黒く抜けた像として観察できます。

【膀胱頚部周囲の静脈瘤】
varix-cc
イラストの膀胱出口周囲の膀胱壁の中にブドウ房状の青い●が静脈瘤です。この静脈瘤を静脈のうっ滞と判断し、骨盤内静脈うっ滞症候群という病気で診断される患者さんがおられます。そして漢方で云う「瘀血(おけつ)」状態ですから、漢方医は桂枝茯苓丸などの瘀血(おけつ)治療薬を患者さんに処方するパターンが多いのが現状です。
瘀血(おけつ)が元凶ではなく、瘀血に至らしめる病態が元凶なのに本末転倒の治療がされる訳です。当然、薬は効きません。

【解剖図 ネッター解剖学アトラスから】
netter-f解剖図によれば、膀胱出口周囲にはご覧のように静脈(青い部分)が確認できます。しかし、超音波エコー検査では確認できない程度の静脈です。ですからこれらの静脈が超音波エコー検査で確認できるのは異常なことです。

18399f45varix45歳女性
21年前から頻尿で苦しむ。現在1日30回、夜間3回。

f17605f3131歳女性
平成17年1月より残尿を指摘され、自己導尿を薦められる。膀胱炎になったため現在自己導尿中。

f17614f4848歳女性
残尿感と1時間~2時間に1回の頻尿。4年前の夏の膀胱炎症状から残尿感が続く。病院を受診しても尿がきれいだから「気にしないように」と告げられた。

f17664f5151歳女性

f18591f3939歳女性
1時間1回の頻尿と尿意頻拍感。平成17年9月より神経性膀胱障害(神経因性膀胱?)と診断される。

f18596f2525歳女性
3年前から恥骨疼痛、腰・大腿・臀部の熱いような不快感、1時間に1回の頻尿。国立国際医療センターを受診し、心因性頻尿と診断される。

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超音波検査でみる膀胱出口周囲の硬化像

boo-vib排尿障害が原因で膀胱出口の振動による膀胱出口周囲の硬化は、超音波エコー検査で確認できます。それは膀胱の側面像で膀胱内に突出した「出っ張り」として見ることができます。
膀胱出口は排尿時に漏斗(ろうと)状に開く仕組みになっています。解剖学的に漏斗状に開かなければならない周囲に「出っ張り」のような邪魔な構造物が存在することは、病的と判断するべきでしょう。
しかし例外はあるもので、わずかな排尿障害で膀胱出口が振動していても、形態学的変化としてこの「出っ張り」が必ずしも観察できない方もおられます。それでも観察できた時にはラッキーで、膀胱出口が振動している=排尿障害の存在と考えてよいでしょう。
下に掲載した超音波エコー検査の像は、全て慢性膀胱炎・間質性膀胱炎症状で来院した患者さんのものです。側面で観察すると、黒く見える部分が膀胱の尿です。凹みのある部分が膀胱出口です。膀胱出口の上の膨らみが硬化像です。膀胱出口の下が膨らんでいる患者さんはほとんどいません。そこは膀胱三角部に当たる部分なので構造上膨らまない分、膀胱三角部が硬くなり過敏になるのです。

17533f2222歳女性
頻尿(1時間に1回)、下腹部不快感、中学生の頃から年に10回の膀胱炎を繰返す。

17542f2626歳女性
頻尿(1日10回前後)、朝と晩の排尿後の不快感、3年前から年に4回の膀胱炎を繰返す。

17614f4848歳女性
30歳から頻尿(1日10回以上)、陰部の痛みと肛門の不快感を訴える。

17335f5959歳女性
頻尿(1時間1回~2回)、なかなか尿が出ない(息み時間が長い)、4年前から膀胱炎を年に2回繰返す。

18728f51boo51歳女性
朝一番の尿の出が悪い。

18826f33boo33歳女性
18歳頃から頻尿(1時間1回)、いきみ時間が長く、排尿時間も長い。

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