カテゴリー「間質性膀胱炎の考え方」の記事

泌尿器科の病気の全体像

Lutstotal泌尿器科の病気には、数多くの原因不明の病気がたくさんあります。原因不明のまま治療します。でもそれは、根治的治療ではなく、対症療法なのです。実は、根本的原因が患者さんの自覚しない排尿機能障害が原因なのです。患者さんが訴えもしない排尿機能障害を医師が調べもせずに、目の前の症状だけに振り回されて、さまざまな病名・病気が作られるのです。

ここで示した病気・病名は、それぞれ私が何十人も実際に治療して、治した経験のある患者さんばかりです。

原因が1つなのに、こんなにたくさんの病気になってしまうのは、脊髄神経回路=生きたソフトウエアに依存するからです。情報量の多さによって、ソフトウエアが次々にバージョンアップ(過剰更新)するからです。ただし、そのバージョンアップが、患者さんに警告するだけでなく、苦しめ悩ませるから原因不明の病気になってしまうのです。

排尿機能障害→【無自覚】

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膀胱出口の肥厚➡︎➡︎➡︎膀胱出口の過敏

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       ⬇︎⬇︎⬇︎              脊髄神経回路の工夫

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    排尿障害→【自覚】 ❹過活動膀胱:頻尿・尿失禁

       ⬇︎⬇︎⬇︎                ❺間質性膀胱:頻尿・痛み

❶前立腺肥大症            ❻慢性前立腺炎:痛み・しびれ

❷神経因性膀胱            ❼膀胱疼痛:痛み

❸PSA髙値                 ❽慢性骨盤疼痛症候群:痛み

                                 ❾陰嚢掻痒症:かゆみ

                                 ➓❶カンジダ性膣炎:かゆみ

                                 ➓❷慢性胃痛症:痛み

                                 ➓❸坐骨神経痛:痛み

                                 ➓❹舌痛症:痛み

                                 ➓❺幻臭症:臭い

                                 ➓❻頸肩腕症:痛み

                                 ➓❼四肢振戦:運動神経

                                 ➓❽四肢しびれ:知覚神経

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切迫性尿失禁の本質

過活動膀胱の代表的な症状が「切迫性尿失禁」です。尿意を感じたと同時に尿意切迫感になり、急にオシッコが漏れてしまうのです。切迫性尿失禁のメカニズムについて解説します。

Bulubulu男女問わず、排尿機能障害が存在すると、膀胱出口周辺に物理的負担がかかります。膀胱出口が排尿時に十分に開かないでオシッコする訳ですから、腹圧が膀胱出口に必要以上にかかるのです。すると膀胱出口は細かく振動します。ちょうど、空気を吸って口から吹く時に口を閉じ気味にすると、唇(くちびる)がブルブル振える現象と同じです。結果、膀胱出口周辺の平滑筋(内臓筋)が振動します。この現象が長期間にわたって何度も繰り返し起きることで、平滑筋が次第に増殖して過敏になるのです。

膀胱出口周辺の平滑筋は、膀胱括約筋と膀胱三角部なのです。これら平滑筋は尿意のセンサーでもあります。膀胱に尿(オシッコ)が十分に溜まると、その圧力が膀胱出口周辺の平滑筋を刺激するので、尿意が生じてオシッコをするようになるのです。ところが、排尿機能障害によって、膀胱出口周辺の平滑筋が予想以上に敏感になると、わずかな尿の圧力で尿意を感じてしまうのです。

 

Ansinoabinc_20190827160701脊髄神経回路を介して、尿の圧力情報が脳中枢に伝達されます。脳中枢は、情報の回数を蓄積します。時間の経過とともに情報はかなりたまります。仮に例えば、3時間で20パルスの情報が脳中枢に伝達するとします。(イメージで言うと、トン・トン・トン・・・と3時間です。)一定のライン(閾値)を超え、20パルスが溜まると「尿意」を感じます。個人差がありますが、200〜300mlです。さらに時間が経過すると次のライン(閾値)を超え、50パルスが溜まると「尿意切迫感」として感じます。400〜500mlです。膀胱に尿が溜まると、膀胱内の圧力が高まるので、3時間かけて20パルスで尿意を感じてから、さらに2時間ほどで、30パルスが溜まります。結果、20+30=50パルスになるのです。すぐにオシッコに行くのです。これが基本的な生理反応なのです。

 

Ansinoabinc2_20190827160701ところが、排尿機能障害のために膀胱出口周辺の平滑筋が過剰に敏感であると、膀胱内の水圧(尿圧)に関係なく情報パルスが短時間で脳中枢に伝達されるのです。当然ですが、脳中枢の情報の蓄積速度も速くなります。例えば、1時間で20パルスの速さです。(イメージで言うと、トトトトトト・・・)そのため、短時間20パルスの情報刺激で尿意を感じます。膀胱内のオシツコの量は少ないけれど、平滑筋が敏感なので、さらに短時間で情報パルスが等比級数的に増加するのです。短時間で正常と同じ20パルス回数になるので尿意を感じるのです。さらに短時間で30パルスの追加があり尿意切迫感も感じるのです。これが過活動膀胱の裏の仕組みなのです。この状況が繰り返し起きると、生体内は無駄な時間やルートを省こうとします。それが、いわゆる条件反射です。この条件反射によって、初めの尿意と尿意切迫感が近接し、さらに時間が経過すると、尿意切迫感と排尿近接して、結果、切迫性尿失禁になるのです。

❶【初めの尿意→我慢→尿意切迫感→我慢→排尿】(1枚目のイラスト)というルートを省略して、

❷【初めの尿意→尿意切迫感→我慢→排尿】次第に、

❸【初めの尿意≒尿意切迫感→我慢→排尿】(2枚目のイラスト)そして最後に、条件反射が完成されて、

❹【初めの尿意=尿意切迫感→排尿】すなわち、切迫性尿失禁になるのです。

治療としては、尿意情報の速度を抑えるために、β作動薬(ベタニス・べオーバ)や抗コリン剤(ベシケア・トビエース)を使用するのです。これだけで、症状が軽快する患者さんもおられます。しかし、膀胱出口周辺の平滑筋が過敏になった原因である排尿機能障害を治療しなければ、難治性過活動膀胱になってしまうのです。

これまでの解説は、全て私のオリジナルです。教科書的な内容ではありません。教科書的な解説では、過活動膀胱を完璧に理解出来ないので、私の想像力で、矛盾のない整合性を得られました。膀胱の情報は常に神経で伝達されます。その神経情報が、私たちのようにスマフォで話しているとは思えません。また、症状が激しいから、神経のエネルギーが倍以上に強くなったとも思えません。生命エネルギーですから、常に一定(フォメオスターシス)の筈です。そう考えると、一定のエネルギーで情報を伝達するためには、単位時間当たりのパルスの数で表現するしかないでしょう。脳中枢は単位時間当たりのパルスの数で判断するように、おそらく作られているのでしょう。

皆さん、いかがですか?切迫性尿失禁について、素人でも理解できたでしょう?単なる膀胱の過敏さだけが、過活動膀胱→切迫性尿失禁を作っている訳ではないのです。生命の幾重にも重なる複雑なシステムが病気を作っているのです。ひとつひとつの症状・現象を正確に考察すれば、複雑な現象も理解出来るようになります。

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難治性過活動膀胱の実態

Oabsystem過活動膀胱と診断されて、抗コリン剤(ベシケア・トビエースなど)やβ3作動薬(ベタニス・ベオーバ)を処方されても治らない患者さんが、悩んだ末にインターネットで当院を探し当てて遠方から来院される方が多くいます。
過活動膀胱の治療薬を服用しても治らないので、主治医から「気のせいですよ!」「ストレスが原因です!」と診断される方が多いのです。治らないのは、それなりに理由がある筈で、気のせいやストレスが原因ではありません。第一、過活動膀胱そのものの原因も泌尿器科学会では定かではないのに、そんな診断をして結果が得られないから、すべてを患者さんのせいにすること自体が医師として情けないことです。

抗コリン材やβ3作動薬は、膀胱、特に膀胱三角部の興奮を鎮めるお薬です。しかし、その治療はあくまでも対症療法です。原因を治していないので治る訳がありません。まるで虫歯の治療を痛み止めだけで治療しているのと同じです。膀胱の訴える症状は、基本的に排尿に問題を抱えているからと連想し想像するべきです。排尿困難ほどの明確な症状がなくても、微妙な排尿障害でも、人によっては強い関連症状を作るのです。ある意味で、患者さんの個性です。医師から見れば、軽微な排尿障害であっても強い症状を作る人がいるのです。標準診断、標準治療にこだわっていると、患者さんを救うことはできません。

Oab36619f56pp過活動膀胱の治療は、膀胱三角部の興奮を鎮める抗コリン剤・β3作動薬はもちろんのこと、排尿機能障害の治療薬であるα1ブロッカーの併用が必須です。ハルナール、ユリーフ、フリバス、エブランチルが代表です。

ここで症例をご紹介しましょう。患者さんは56歳のご婦人です。平成29年3月に頻尿と下腹部の痛みで「膀胱炎」と診断され、その後から頻尿(20回)と尿意切迫感などで地元の泌尿器科を何軒か受診しましたが、細菌感染は認められず、「過活動膀胱」の診断で抗コリン剤を処方されましたが治りません。そこで1年半経過した平成30年8月に当院を初診で訪れました。

超音波エコー検査では、写真のように膀胱排尿筋が膀胱出口に向いていません。(黒し→)これは排尿機能障害の後遺症です。相対的に膀胱三角部が厚く肥厚し(赤い↔)、膀胱三角部の形状も台座のように厚く広いスペースになっています。膀胱三角部は尿意センサーですから、頻尿症状・尿意切迫感=過活動膀胱症状が出現しても不思議ではありません。

そこで、排尿機能障害の治療薬であるα1ブロッカーと頻尿治療薬であるβ3作動薬を処方しました。すると、20日後には頻尿が20回→6回に激減しました。1カ月後には排尿回数が3回、痛みはほぼ無くなりました。難治性過活動膀胱も原因の本質を把握すれば、容易に軽快するのです。

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尿失禁の原因

Stressinc中年以降になると、ご婦人で咳やクシャミなどでオシッコを漏らしてしまう方がいます。医学用語で『腹圧性尿失禁』と呼びます。その原因は明確ではなく、ほとんどが「歳のせい」と思われています。

このような患者さんをエコー検査で調べてみると、過活動膀胱や間質性膀胱炎の患者さんと同じ所見が得られます。つまり、膀胱排尿筋が膀胱出口には向いていなく、外側の尿道口の方向に向いていて、さらに膀胱三角部が厚くなっています。結果、排尿機能障害が隠れていることが分かります。

Stressinc2膀胱の出口は、二重構造になっています。手前が膀胱括約筋で外側が尿道括約筋です。自分の意志(随意神経=運動神経)尿道括約筋が開くと、自動的(不随神経=自律神経)に膀胱括約筋が開くのです。

Stressinc3しかし、何かの原因で膀胱括約筋が自動的に開かないと、尿道括約筋が開いても十分に排尿が出来なくなります。この状態が何年も何十年も繰り返し繰り返し行われることになります。

当然、必要以上の腹圧が毎回かかります。すると膀胱の下端のラインが少しずつ下位に下がります。また、尿道括約筋も次第に下位に下がります。

Stressinc4そして、下位の位置で次第に膀胱や尿道括約筋が固まり固定されてしまうのです。その状態は、ちょうど排尿の際の膀胱の位置と尿道括約筋の形に似てくるのです。そのため、咳やクシャミで腹圧が少し高まるだけで、尿が漏れてしまう腹圧性尿失禁になるのです。

腹圧性尿失禁の手術は、テフロン糸やテフロンパッチなどで膀胱の下端を吊り上げる手術なのです。でも、執刀医は、何故下がったのかを考えずに手術しているだけです。当然として、元の位置に戻るので、オシツコのでは悪くなり、患者さんは苦しむのです。

もしも、手術後オシッコが出にくくて辛ければ、α1ブロッカーを服用してください。出来れば、前立腺肥大症の排尿障害の治療薬であるユリーフ・シロドシンがおススメです。しかしながら、男性向けのクスリですから保険適応外です。

保存的の治療手段としては、骨盤底筋の訓練をして、尿道括約筋の位置を上に挙げることと、α1ブロッカーを服用してください。

ですから、排尿機能障害が原因の「頻尿や尿意切迫感」のある人は、早めに治療しないと、必ず腹圧性尿失禁になるのです。

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排尿機能障害の証拠

排尿機能障害が原因で、見せかけ上の様々な病気が発症します。前立腺肥大症、慢性前立腺炎、慢性尿道炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症、慢性骨盤疼痛症候群などです。

これらの病気の検査で排尿機能障害を確認するための、尿流曲線検査ウロフロメトリー、膀胱内圧測定検査を行っても、極端な後遺症が出なければ、異常と認められません。明確に確認される場合は、その時点で「神経因性膀胱」と診断されだけです。それまでは、初めのたくさんの病気として苦しまれるだけなのです。そして、神経因性膀胱と診断されても、治療方法がないのです。

そのような経過にならないように、事前に知るべきなのです。その検査が、エコー検査なのです。そこで、エコー検査の主な特徴的な所見を解説しましょう。

Ef77601868eb4e1c82f3ee62ccc752b3❶膀胱出口がVの字:健常であれば、膀胱出口は少し凹んでいるか、ほぼ平の筈です。ところか、排尿機能障害が長期間継続すると、出口の周囲が膀胱サイドに飛び出てくるのです。

Oab36619f56pp❷膀胱排尿筋の走行異常:膀胱括約筋に柔軟性が無くなり、排尿する際に膀胱出口が開かないまま、尿道括約筋の方向にオシツコの度に引っ張られます。すると、膀胱排尿筋が出口と一緒に尿道サイドに引っ張られるので、膀胱排尿筋の方向が偏位するのです。この偏位が、膀胱三角部に影響を与えるのです。

6e0bc90c56b14b66a8f85be81f86547b❸膀胱排尿筋の形態変形:引っ張られる力のエネルギーベクトルの幅が広いと、膀胱排尿筋が変形してしまいます。ヘビの口だったり、お団子状になるのです。この写真では、まるでヘビが大きな口を開けているように見えます。患者さんの苦しんでいる姿を見ると、ヘビに憑かれているように思えて仕方がありません。

❹膀胱三角部の肥厚:膀胱排尿筋が引っ張られると、膀胱粘膜と膀胱排尿筋の間に隙間が空きます。生体ですからスペースをそのままにはしません。そこに周囲の細胞が増殖して埋め合わせをするのです。それが膀胱三角部の肥厚です。

Calprostpp❺前立腺結石:膀胱出口が十分に開かないで排尿すると、尿道内に流れる尿流は、ジェット流になります。ジェット流は尿道粘膜に傷害を与え、粘膜がボロボロになったために、そこに尿中のシュウ酸リン酸カルシウムが付着して石灰が出来ます。石灰が大きくなると尿道が塞がるので、それを避けるために石灰が少しずつ前立腺に吸収されます。それが積もりに積もって前立腺結石なるのです。

Calurethpp❻尿道周囲結石:前立腺結石と同じ理由で、ご婦人の尿道周囲にも石灰・結石が蓄積します。写真は、なかなか治らない慢性膀胱炎で来院した37歳のご婦人の超音波エコー所見です。尿道の知覚に明確な結石が認められます。

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❼膀胱頸部の静脈瘤:一般的に瘀血(おけつ)と呼ばれる状態です。排尿時に膀胱出口が十分に開かないと、排尿の圧力(腹圧・膀胱圧力)がすべて膀胱出口=膀胱頚部に物理的負荷がかかります。当然、膀胱頚部周囲の血流が悪くなり、うっ血状態になります。その結果、静脈が拡張して、静脈瘤になるのです。写真の赤い矢印がすべて静脈瘤です。瘀血に対して血流を良くするために、漢方薬である桂枝茯苓丸を処方されますが、原因を解決しないで、血流だけを良くして何の効果があるだ?と思います。

Bnspp❽膀胱出口の硬化像:排尿の際に、膀胱出口が十分に開かないでオシッコをすると、膀胱出口はブルブル震えて振動します。その状況が毎日何回も何年も起きれば、膀胱出口は振動に負けないように硬くなるのです。硬くなればなるほど膀胱出口の振動は強くなりますから、膀胱出口はますます硬くなるのです。その結果、エコー検査の所見では、出口部分が白く見えるのです。

61c385b29a234f628b9234a0f1e47f27❾前立腺肥大症:前立腺の健常な大きさは、20CCです。これを少しでも超えたら前立腺肥大症と診断されます。この写真は、大きさが60CCを超えています。さらに膀胱出口がVの字で膀胱三角部が膀胱側に飛び出ており、膀胱排尿筋が膀胱出口から距離があり、だるま状に収縮しています。

以上のどれか一つでも所見があれば、排尿機能障害が隠れていると判断して治療するべきです。

 

 

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過活動膀胱の本質

1281924cabbc424887604ef6e614a355原因不明の「過活動膀胱」という病気があります。頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁が主な症状です。特にご婦人に多くて、男性の場合は、前立腺肥大症が原因とされていますが、前立腺肥大症の治療を行なってもなかなか治らない場合には、やはり原因不明の過活動膀胱と診断されてしまうのです。ご婦人の8割の患者さんに腹圧性尿失禁があると言われています。

これらを客観的に考察すると見えてくるものがあります。まずは、男性の場合は、前立腺肥大症の患者さんには発症する前から排尿機能障害が隠れているのです。その排尿機能障害が原因で、膀胱出口の真裏に存在する前立腺に負担をかけるので、その対抗処置として、前立腺が次第に大きくなり前立腺肥大症になるのです。

次に、女性の場合の過活動膀胱の患者さんの8割に腹圧性尿失禁があるとされています。では、なぜ腹圧性尿失禁が発症するのだと思いますか?実は、何十年にもわたって排尿機能障害が隠れていたので、オシツコの度に強い腹圧かけるのです。すると、骨盤底筋が次第に下垂してしまい尿道括約筋がゆるんでしまい、遂には咳やクシャミどなどのチョッと腹圧をかけるとオシツコが漏れてしまう「腹圧性尿失禁」になってしまうのです。

男性の過活動膀胱にもご婦人の過活動膀胱にも排尿機能障害が隠れているのです。その排尿機能障害が、膀胱にも負担をかけたため、膀胱が過敏になるのです。その負担のかかった膀胱の場所が、膀胱出口と連続している膀胱三角部です。

過活動膀胱のガイドラインや解説のアルゴリズムをご覧になれば分かるように、排尿機能障害ついては、全く無視しています。患者さん本人が、排尿困難を自覚していなければ、排尿機能障害はないと単純に考えるのです。人間の体は単純ではありません。排尿機能障害が存在しても、それらしい症状が出ない人もいるのです。だから、体は違う表現で訴えようとするのです。それが、過活動膀胱の症状なのです。例えば、刑事ドラマで一見良心的な人物が、実は殺人鬼だったという場合と同じです。一見問題ないと思われるところに、原因が隠れていると思わなければならないのです。

Ilastennzetu2一般の泌尿器科医師は、膀胱の知覚過敏は膀胱全体で感じているからと思い込んでいるので、その原因が分からず、膀胱の粘膜全体の変性あるいは生物活性物質が放出されたことによると、いい加減で適当に解釈しているのです。

C5f84ea5ac444d9692432b0c49bfbd68そのようなことが、前立腺肥大症や腹圧性尿失禁に結びつく訳もありません。にも関わらず、整合性のないことは「原因不明」として泌尿器科学会は済ませているのです。有名大学の有名医師は、受験を勝ち進んで来たパソコン的頭脳の持ち主、つまり計算能力と記憶力が高いだけです。病気に対して必要な想像力や発想能力が乏しいので、素人でも考えられる事象のデータを集めて学会報告しているだけです。科学者とはとても思えません。

 

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膀胱三角部から見た二足歩行と四足歩行

Bladderposition_1 膀胱のセンサー部分である膀胱三角部は、イラストのように膀胱出口の真裏(お尻側)にあります。膀胱は内臓の中で一番下に位置していますから、イスに座る時や立って歩行している際には、内臓全ての重さを受けることになります。そして、圧力のかかっている膀胱の一番圧力がかかるのはイラストで分かるように膀胱三角部です。

ところが、横になって寝ると膀胱にかかる内臓の重さは、ほぼ無くなります。その一例が急性膀胱炎の患者さんは、昼間起きている際には頻尿や残尿感、尿意切迫感で苦しみますが、夜に寝ると頻尿が出なくるのは、過敏になつている膀胱三角部に内臓の重さがなくなるからです。

Bladderposition2さて、四つ足動物(四足歩行)は、イラストで示すように膀胱がその他の内臓と同じ平面上に位置しますから、膀胱には内臓の圧力がかかりません。ですから、四つ足動物で頻尿になることはほとんどないと言えます。ですから、頻尿や残尿感で苦しまれている方は、周囲の視線を無視して四つん這いになれば、多少の症状は軽減できます。

Bladderposition3夜間頻尿で苦しんでいる患者さんは、横になってていても頻尿症状が消えないのです。その理由は膀胱の内圧力に関係なく、膀胱三角部が興奮しているからです。何故かといえば、隠れた排尿機能障害で膀胱三角部が厚くなり平滑筋が常に興奮している場合と、前立腺肥大症の中葉肥大で膀胱三角部が下から圧迫されている場合に分けられます。

写真は中葉肥大型の前立腺の超音波エコー所見です。赤い線で記した膀胱三角部が前立腺に下から強く圧迫されています。当然、オシッコがたまっていなくても、頻尿や残尿感が出ます。

 

 

 

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膀胱・直腸の違いで分かる病気の本質

膀胱と直腸は、元々は同じ臓器だったのです。
以前にも、膀胱の発生学的構造について解説しました。そこでおさらいです。

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まずは、胎児の4週の時点で、膀胱の基礎が出来上がります。それが、「総排泄腔」です。その形はとてもシンプルです。総排泄腔の前に「へその緒」が繋がっています。総排泄腔の前後の真ん中辺りにクビレが生じます。これを「尿直腸中隔」と呼びます。イラストでは「中隔」と示しています。
胎児の6週に成ると中隔というクビレがドンドン深くなっていきます。深くなるに連れ、総排泄腔の前は膀胱に、背後は直腸になろうと変形します。つまり、膀胱と直腸は、発生の途中では同じ臓器だったのです。ですから、出産後に成長して成人になれば、別の臓器と思われますが、神経的には脊髄神経で繋がっている方もおられます。その証拠に、膀胱炎になると便意を催すヒトもいれば、下痢すると頻尿になるヒトも存在します。
胎児の7週に成ると、尿直腸中隔は完成して膀胱と直腸は完全に分離独立します。膀胱の末端は、体壁皮膚の外側まで通過して「尿道」になります。胎児の11週には男性の場合は、この尿道から芽が出て、それが「前立腺」になります。背後の直腸は、大腸(S字結腸)の末端と接続して、大腸は直腸まで連続します。

ここまで見ると、膀胱も直腸も、ほぼほぼ同じ臓器です。何が違うかと言うと、膀胱は腎臓・尿管と繋がり尿を溜め排泄し、直腸は消化器官末端の大腸と繋がって大便の通り道です。尿管の粘膜細胞である移行上皮が膀胱の粘膜として広がり、大腸の粘膜細胞の円柱上皮が広がり直腸の粘膜になるのです。最初は同じ臓器なのに、粘膜細胞は異なるのです。
さて、ここで疑問が生じます。オシッコが出なくなる「神経因性膀胱」の原因は、膀胱の力が無くなったから尿が出なくなると言われています。しかし、直腸の力が無くなったから大便が出なくなる病気は存在しません。もともと直腸には、そのような力がある構造でもなく、大便の塊を腹圧をかけて押し出す際に、便意を感じてチョコっと力を補助するだけです。直腸の筋肉はただ単に蠕動(ぜんどう)運動するだけです。膀胱もほぼ同じで、尿を溜める時に膨らみ、尿を出す時に一滴も残らず閉じるだけの力があればよく、肝心の排出力は腹圧をかけて尿が出るだけです。ではどうして、「神経因性膀胱」という病気で尿が出なくなるのでしょうか。それは、生まれは同じ双子の臓器ですが、膀胱出口の構造が直腸の出口よりもシンプルではないからです。

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ここで、先ず直腸の出口=肛門の仕組みを見てみましょう。内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が隣り合わせで接しています。排便の際には、外〇〇括約筋が開きますが、内〇〇括約筋は軽く収縮します。なぜなら、直腸の縦走筋と協力して、直腸を漏斗状に姿を変えて大便が出やすくするのです。ここで容易に分かることは、内〇〇括約筋が頑張っても骨格筋である外〇〇括約筋には負けてしまうので肛門は容易に開くのです。

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直腸と比較すると、膀胱の出口は少し複雑です。
内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が上下に位置しているのです。
排泄物が液体の膀胱の場合は、直腸と同じに隣接していると、尿が漏れ出てしまうからです。しかし、排尿時は、直腸と同じ動きをします。外〇〇括約筋が開こうとすると、内〇〇括約筋が収縮して同時に膀胱縦走筋が収縮します。その相互作用で膀胱の頸部は漏斗状に姿を変えて排尿しやすくなります。
ところが、直腸と違い、内と外〇〇括約筋が上下に位置していて、外〇〇括約筋の力が内〇〇括約筋に十分な伝わりません。そのため、微妙なバランスで内〇〇括約筋が開くことになります。もしも、このバランスが乱れれば、内〇〇括約筋は十分に開かず、排尿障害になるのです。

つまり、直腸は内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が並行に位置し、膀胱は内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が縦に位置しているのです。力の強さは、骨格筋・随意筋である外〇〇括約筋の方が、内臓筋・不随意筋である内〇〇括約筋よりもはるかに強いのです。ですから、並行に並んでいる直腸の場合は、内〇〇括約筋は外〇〇括約筋の言いなりです。そのため、外〇〇括約筋が開くと内〇〇括約筋が容易に開いてしまうのです。しかし、ある程度の距離を置いて縦に並んだ膀胱の場合は、内〇〇括約筋が自己主張するので、外〇〇括約筋の言いなりにならないのです。その程度は、歳を重ねるごとに強くなり、また男性の場合は前立腺が大きくなるほどに強くなるのです。

便秘などの大便の出が悪いのは、大便の固さに問題があるのです。しかし尿は液体ですから、出の悪さは膀胱出口の開閉だけに依存しています。内尿道括約筋(膀胱括約筋)と外尿道括約筋の連携プレイが問題になるのです。神経因性膀胱は膀胱全体の筋肉の力がないからと言うのは「嘘」です。『治らないんだ😞』と詐欺被害者になってしまいます。騙されてガッカリしないでください。ですから、神経因性膀胱などの治療には、内尿道括約筋を緩める薬や手術で内尿道括約筋をカットしてあげればいいのです。

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慢性膀胱炎と慢性前立腺炎の見方

Lutsimg
この記事は、泌尿器科の専門医に読んで頂きたいですね。

慢性前立腺炎の症状は、下部尿路症LUTS (Lower Urinary Tract Syndrome)の一部です。他には、前立腺肥大症、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症などです。

これら下部尿路症の症状の中心にあるのが、膀胱の症状です。頻尿、残尿感、痛み、下部尿路周辺の痛み・痒み・シビレ・不快感です。この症状の組合せによって、病気が決まると考えます。例えば、
①前立腺肥大症は、尿の出が悪くて、頻尿や夜間頻尿があって、前立腺が大きい場合です。
②慢性前立腺炎は頻尿・痛みがあって、前立腺が小さく年齢も比較的若い場合です。
③慢性膀胱炎は頻尿・残尿感があって、年に何回も症状が起きて、尿検査で白血球や常在菌が発見される場合です。
④過活動膀胱は頻尿・尿意切迫感があって、検査に異常がない場合です。
⑤間質性膀胱炎は頻尿・痛みがあって、膀胱粘膜に異常所見が認められた膀胱です。
⑥膀胱疼痛症は痛みが主で、ハッキリした原因かない膀胱です。

どうですか?このように並べて比較すると、症状は、ほぼほぼ同じで、チョッとした検査結果の違いにしか見えませんね?症状の作成の元は膀胱ですが、原因の違いによって症状の違いが出るのではなく、膀胱を神経支配している仙骨神経の仙髄2番〜仙髄4番レベル(人によっては腰髄4番〜仙髄5番)の神経回路が作る違いです。
Blackbox
症状の多様性は、膀胱と排尿障害の程度と脊髄神経回路との組合わせの結果です。それが、病気の多様性を作るのです。排尿障害が強くて前立腺が大きいと前立腺肥大症、前立腺が大きくないと神経因性膀胱、前立腺のないご婦人も神経因性膀胱と診断されます。排尿障害はそれ程でもなく前立腺が小さいと慢性前立腺炎、前立腺のないご婦人の場合は過活動膀胱、頻尿と痛みで間質性膀胱炎、痛みだけだと膀胱疼痛症と診断されます。

慢性前立腺炎の患者さんは、医師が「炎症」と言う固定観念に縛られて、ひたすら炎症を抑えるクスリ、抗生剤・抗菌剤・セルニルトン・エビプロスタットを処方するのです。しかし、慢性前立腺炎の本質は排尿障害と膀胱の過敏さですから、炎症の治療で治る訳がありません。積極的に排尿障害の治療と膀胱刺激症状の治療をすればいいのです。

排尿障害による慢性膀胱刺激の患者さんは、定期的に頻尿や残尿感などの膀胱の症状が出現し、さらに尿検査で白血球やバイ菌が確認されるので、膀胱「炎」と誤診断されます。

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排尿障害が原因のいろいろな病気

医師になって約40年(正確には39年)、それまで蓄積した臨床体験から、一見、排尿障害と無関係に思える病気の原因が、排尿障害と密接に関係している事が分かりました。
原因を分かりにくくしているのが、膀胱や前立腺を神経支配している、脊髄神経回路だったのです。
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脊髄神経回路は、人によってさまさまな症状を作ります。医師は、その神経回路の様子を想像出来ませんから、たくさんの原因不明の病気を創るのです。その発想の貧弱さが、結局は患者さんたちを苦しめて来たのです。

①排尿「機能障害」→膀胱括約筋の肥大・膀胱三角部の過敏

②膀胱括約筋の肥大→排尿障害の悪化→前立腺に負担→前立腺肥大症→排尿障害がさらに悪化

③前立腺に負担→PSA値の上昇→前立腺癌を疑われる→前立腺針生検

④膀胱に負担→膀胱の疲弊→膀胱の弛緩→神経因性膀胱→治らない病気と誤解

⑤膀胱の疲弊→膀胱の萎縮→間質性膀胱炎→水圧拡張術→さらに萎縮が進む

⑥膀胱三角部の過敏→神経回路の興奮→❶慢性前立腺炎❷慢性膀胱炎❸過活動膀胱❹膀胱疼痛症❺慢性骨盤疼痛症候群❻線維筋痛症❼舌痛症❽慢性胃痛症❾幻臭症➓坐骨神経痛→気のせいと誤解

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