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間質性膀胱炎の粘膜所見の理由

1bdb1e8606cd4e2ab0f4fc0ab3666958  私の考えでは、間質性膀胱炎の原因が排尿機能障害が原因だと考えています。では、間質性膀胱炎の特徴的所見である、膀胱粘膜に毛細血管の蛇行と点状出血とハンナ型粘膜潰瘍が出来るのでしょうか?

 排尿障害があると、膀胱は少ない尿量でオシッコを出そうとします。なぜなら尿量が多いと、対応して大きく開く筈の膀胱出口が十分に開かなで、圧力をかけると膀胱内圧が高くなるのです。膀胱は尿が溜まらないように頻尿になるのです。それが長期間継続すると、膀胱は次第に小さく萎縮するのです。つまり膀胱壁の縦走筋と輪状筋も伸び縮みが低下します。萎縮によって粘膜の収縮と伸展の許容範囲も狭くなります。当然、膀胱粘膜に血液を供給する毛細血管も次第に短くなるのです。(写真は間質性膀胱炎ガイドラインのハンナ型潰瘍)

129ac98404e7409593dc70e1a9e1b2ff  このような状態が継続すると、粘膜と毛細血管とのバランスが崩れて来ます。結果、粘膜の一部が粗血状態になり、粘膜が壊死を起こします。それが「ハンナ型潰瘍」なのです。また、膀胱水圧拡張術で膀胱を無理やり膨らませると、伸び縮みの少ない毛細血管が切れてしまい、「点状出血」になるのです。(2枚目の写真は点状出血)

B85dbfec4b1b410181a43d22a28eef29  膀胱水圧拡張術により膀胱を無理やり膨らませるので、縮んでいた膀胱壁の筋肉(縦走筋・輪状筋)も切れて損傷します。損傷部分は生体反応で線維化が起こり、さらに伸び縮みが悪化します。ですから、膀胱水圧拡張術を行えば行うほど、膀胱は萎縮して小さくなります。(3枚目の写真は、前立腺肥大症の手術の際に認められた点状出血です。間質性膀胱炎の症状はありません。)

Ich_20200806094801  ではなぜ点状出血やハンナー型潰瘍が出来るのかイラスト描いて考えてみましょう。

膀胱の粘膜は移行上皮と言う細胞で作られています。、膀胱が収縮している場合は、3層の厚い層になっているのです。しかも細胞が縦に並んでいるのです。しかし、膀胱に尿が溜まると膀胱は拡張します。もしも収縮してる時も1層だけであれば、膀胱粘膜は当然裂けてしまいます。そこで拡張した際には、いくつもの層が、それぞれが横に伸びて次第に薄くなるのです。ですから膀胱粘膜が避けることはないのです。

 

Ich2_20200806094801  ところが、排尿機能障害があり、膀胱三角部が過敏になると、尿が溜まることが少なくなり、膀胱が拡張しなくなるのです。寝たきりのご老人の足の筋肉が萎縮して歩けなくなるのと同じです。ひどい人だと、100㎖も溜められなくしまいます。すると、膀胱の筋肉である縦走筋・輪状筋が萎縮して、筋肉が十分に伸びたり縮んだりできなくなります。当然、筋肉が伸びなくなると、膀胱粘膜にも萎縮が起こり、線維化する膀胱粘膜細胞が生まれます。

 繊維化した細胞の周囲の細胞に癒着してしまいます。その際に、膀胱水圧拡張術で膀胱を無理やり膨らませると、それぞれの細胞に血液を供給していた毛細血管が切れてしまいます。それが点状出血になるのです。医師が尿を我慢しなさいと命令すればするほど、点状出血は増えていきます。さらに血管が切れて血液供給されない粘膜細胞は壊死を起こします。それが増えて、ハンナー型潰瘍と診断されるのです。

 私程度の街中の無名の一開業医ですら、こうやっていろいろ考えるのですから、有名な先生たちも、もっと考えて、原因不明の病気とするな!

 

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コメント

61才の男性です。
2017年6月に経尿道的前立腺切除術(HoLEP)を受け、その影響か尿道狭窄を起こし、2018年9月に狭窄部をバルーンで拡げる手術をおこないました。その後、取りきれていない前立腺が垂れ下が来ているという事で、2019年1月に再度経尿道的前立腺切除術(HoLEP)を受けました。
また、尿が出にくくなり、検査したところ膀胱頸部硬化症と診断され、2019年10月に尿道狭窄内視鏡手術で膀胱頸部を切開しました。12月頃から頻尿と排尿痛が現れました、細菌性膀胱炎と膀胱癌の検査したところ慢性の膀胱炎の可能性があると言うことで膀胱鏡の検査で間質性膀胱炎と診断されました。
主治医は水圧拡張術を勧めますが、ネットで調べると効果は3ヶ月程しか続かないと出ているので受けたくありません。
今は、痛み止め(アセトアミノフェン)とトリプタノールとユリーフOD錠を処方して貰っています。
ネットで先生のご意見を伺ってとても納得いたしました。
9月9日(水)に受診したいと思いますのでよろしくお願いします。
【回答】
了解しました。

投稿: 櫻井 | 2020/09/07 23:18

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