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エコー検査で分かる膀胱出口の秘密構造

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エコー検査で膀胱出口を観察すると、側面像で見えるのは、一般的に膀胱三角部と膀胱排尿筋だけです。ところが、排尿機能障害が強く長期間であると、側面像に膀胱括約筋が観察されます。膀胱出口の正面像では、イラストで示すように、左右に膀胱括約筋(青色)常に確認できます。12時と6時の位置には膀胱括約筋は無い筈なのです。6時には膀胱三角部があるので、ないのは当然です。

 

Bsph5_20200103104401 それから考えると、排尿機能障害が強く長期間であると、左右の膀胱括約筋が次第に前後左右に肥大し大きくなり、12時の方向に伸びてイラストで示すように、左右が融合するのです。結果、側面像で膀胱括約筋が容易に確認できるのです。6時方向は膀胱三角部が排尿機能障害で次第に肥大して太く大きくなるので、膀胱括約筋はブロックされるのです。そのため、側面像でも下の位置には膀胱括約筋が観察できないのです。

膀胱括約筋が12時の位置で完璧に癒着・融合している場合と、癒着していない場合とでは、膀胱出口の開き具合が当然異なります。膀胱括約筋が12時の位置で筋肉が無ければ、膀胱出口は伸縮性があり開きやすいのです。しかし左右が12時の位置で癒着・融合ていれば、筋肉の硬さで容易には開かないでしょう。

D2d14a115c7c4fbabc470ab37674338b 以上から、膀胱括約筋の形は完全な円形ではなく、最大で【1時〜5時】と【7時〜11時】に存在するだけです。下部尿路症(慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱・前立腺肥大症・膀胱疼痛)の患者さんの初診の際には、必ずエコー検査で側面像を観察しましょう。側面像で膀胱括約筋を見つけたら、「排尿機能障害」を確認したことになるのです。この写真では、膀胱括約筋はほぼ見えません。ところが、いろいろな患者さんを拝見すると、膀胱括約筋がハッキリと見えるのです。

もちろん患者さんによっては、12時の位置に膀胱括約筋が確認出来なくても、排尿機能障害が隠れている人も、膀胱括約筋が確認できても排尿機能障害のない人もいます。人はいろいろですからね。

Bsph1pp 【症例①】#22853男性29歳   以前から睾丸が痛くて何軒も泌尿器科で診察を受けましたが、「慢性副睾丸炎」と診断されて、治療を受けるも全く治らなかったのです。そこでインターネットで当院を見つけ来院されました。側面像で膀胱括約筋が白く確認できます。

 

Bsph2pp 【症例②】#22808男性65歳   頻尿・尿意切迫感の症状で悩まれた高齢者です。地元の泌尿器科で前立腺肥大症だから仕方がないと診断されたのです。膀胱括約筋が白く確認できます。膀胱三角部も発達しているので、頻尿・尿意切迫感が生じるのです。αブロッカーとβ3作動薬で症状は軽快しました。

 

Bsph3pp 【症例③】#22707男性45歳 尿道口の痛みがなかなか治らず、非細菌性慢性尿道炎と診断された患者さんです。抗生剤をいくつもたくさん内服しましたが治らないのです。膀胱括約筋が白く確認できます。膀胱三角部も発達しています。αブロッカーとβ3作動薬で尿道口の痛みは無くなりました。

慢性前立腺炎のエコー所見  http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/2007/03/post_b4e1.html

間質性膀胱炎のエコー所見  http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2007/03/post_b4e1.html

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