α1-ブロッカーの速効性の理由
前立腺肥大症で、頻尿や排尿困難の患者さんに、α1-ブロッカーを服用すると、数日で効果が出てきます。かなりの速効性です。
前立腺肥大症が排尿障害になる理由は、次の通りです。
前立腺肥大症で組織密度が高くなり硬くなった前立腺が、尿道を圧迫して排尿障害になるからです。さらに、前立腺内の平滑筋のα受容体を介して、交感神経の指示通りに緊張するので、前立腺がますます硬くなります。
α1-ブロッカーを使って、α1受容体をブロックしますから、交感神経の指示が抑えられ平滑筋の緊張が軟らかくなります。そのため、尿道の圧迫が取れて尿が出やすくなるというものです。
しかし……です……前立腺が小さい患者さんで排尿障害の患者さんにも効果があります。さらに、ご婦人にα1-ブロッカーを服用していただくと、何と前立腺のないご婦人にも効果があるのです。
したがって、前立腺が軟らかくなったから、尿道が圧迫されないで、排尿がスムーズになると言うのは、ある意味で「いい加減」な理論です。目に見えない現象を発想の貧弱な専門家が、自分たちが想定した動物実験や臨床治験で得られた結果を公表して、自分たちの理論が、あたかも真実かのごとく思い込んでいるのでしよう。
では、既存の排尿のメカニズムを解説しましよう。
一般的に考えられている排尿のメカニズムは、イラストのように①尿道括約筋が開く②膀胱が収縮する③膀胱出口が二次的に開く④尿が流れ出る、とされています。尿道括約筋は、通常は尿が漏れないようにしまっていて、排尿時に開いて、膀胱の圧力で膀胱出口が開くいて排尿すると思われています。
この理論が、誰が見ても一見正しいと思われるのが、病気の本質が見えてこなくなる原因です。しかし、こんなにも単純なメカニズムでオシッコが本当に出るでしょうか?尿道括約筋が開くだけで、こんなにも簡単に前立腺と膀胱出口が開いてくれるでしょうか?
この理論が正しければ、
①前立腺が小さい患者さんで排尿障害で苦しんでいる患者さんは、膀胱の力が弱くなった神経因性膀胱と診断されます。
②ご婦人でも、排尿障害の患者さんは、やはり神経因性膀胱と診断されます。
でも、α1-ブロッカーを服用していただくと、膀胱の力が戻る訳でもないのに排尿障害は改善します。
また、前立腺肥大症がとても大きな患者さんでも、排尿障害のまったくない人もいます。この理論では、説明ができません。
続く……。
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