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膀胱の基礎医学#4①(臨床医学的観点)

膀胱の発生学、解剖学、生理学を利用して詳細に解説しました。
これらの知識をフルに使って病気を観察すると、適確な治療法を見い出すことができます。
膀胱に関わる病気は次の通りです。
❶急性膀胱炎
❷慢性膀胱炎
❸過活動膀胱
❹膀胱疼痛症
❺膀胱尿管逆流症
❻神経因性膀胱
❼間質性膀胱炎
❽尿管瘤
❾膀胱結石
❿膀胱憩室
⓫膀胱子宮内膜症
⓬膀胱腫瘍


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❶急性膀胱炎
一番有名な誰でも知っている、細菌が原因の膀胱炎です。抗生剤・抗菌剤で治ります。
出産前のご婦人の性行為後が原因のほとんどです。中高年のご婦人の急性膀胱炎は稀です。
また、臨床的には一見急性膀胱炎ですが、実は本質が異なる方も……。

❷慢性膀胱炎
急性膀胱炎-様症状が繰り返し定期的に出現する膀胱炎です。原因は性行為ではありませんし、細菌が認められないこともしばしばです。後で述べる子宮内膜症が原因のことがあります。

❸過活動膀胱
細菌感染もなく、年中の頻尿や尿意切迫・尿失禁で苦しまれています。ハッキリした原因もなく対症療法のための病名です。

❹膀胱疼痛症
頻尿や尿意切迫はあっても、悩むほどではありません。ただ痛みが持続したり、発作的に出現します。
痛みの場所は、性器、膣、肛門、下腹部など様々です。婦人科や泌尿器科や外科などで精密検査をしても理由が分からずに、やはり原因不明です。

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❺膀胱尿管逆流症
腎臓→尿管→膀胱へと尿の流れは一方通行です。
ところが、尿管口の逆流防止弁作用が不完全だと、排尿時に膀胱の尿が膀胱→尿管→腎臓へと逆流してしまいます。その結果、急性腎盂腎炎を発症します。見方を換えれば、腎盂腎炎を起こした経験のある人は膀胱尿管逆流症があることになります。
この写真は、ラジオアイソトープを利用した膀胱尿管逆流症の患者さんの検査結果です。画面の右下が排尿直後の所見です。膀胱内に残尿が認められます。つまり、膀胱尿管逆流症の患者さんには、実は排尿障害が隠れているのです。

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❻神経因性膀胱
膀胱の排尿筋が弱くなったから排尿出来なくなったと言われてしまう患者さんです。
ところが、排尿の際に膀胱にかかる圧力は、膀胱内の尿の重力、腹腔内の内臓全ての重圧、腹筋による圧力、最後に膀胱の排尿筋の力で駆出するのです。排尿筋の力がなくなったくらいで尿が出ない訳がありません。オシッコが出ないのは、膀胱出口が十分に開かないからです。
この写真の患者さんは60代で、ある大学病院で神経因性膀胱と診断された方です。どう見ても前立腺肥大症です。前立腺肥大症の治療もしないで、毎日6回の自己導尿をさせられました。


❼間質性膀胱炎
極端な頻尿と痛み症状で、内視鏡検査で特有?の所見を認めて、診断されます。治療法は、膀胱水圧拡張術ですが、原因治療ではないので、対症療法に過ぎません。
しかし、間質性膀胱炎をはじめ、上記の慢性膀胱炎・過活動膀胱・膀胱疼痛症・膀胱尿管逆流症・神経因性膀胱の患者さんのほとんどに、本人が自覚しない排尿障害が隠れています。その排尿障害を治療すれば、症状は軽快します。

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❼尿管瘤
原因不明の膀胱炎や前立腺炎の患者さんを調べてみると見つかるのが尿管瘤です。
先天性の尿管末端の不良が原因です。尿管末端が風船のように膨らんで、膀胱を刺激するので症状が出るのです。この写真は、左右両方に認めた尿管瘤の患者さんの3Dエコー所見です。

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実際に内視鏡検査で確認した両側尿管瘤です。


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コメント

高橋先生
先生への相談を何処へして良いか分からず、個人的に送れるリンクも無いので此処へは初めて相談させて頂きます。
私は平成20年、丁度10年前に排尿障害の手術を先生にして頂いた者です。
その節は本当にお世話になりました。
あの時の手術後、膀胱の状態が落ち着くまで波があり、1年以上かかったと思います。
それまで不安な時、辛い時数回先生にメールで相談をし、その都度、今は時間が治療です、と励まされ、症状が辛い時はエブランチルと座薬を頓服の様に服用し、数日かかることもありましたが症状が楽になり私にとって、この二つの薬は私にとってはお守りの様な薬でした。
以後何度かクリニックへ電話をし薬を発送して頂いていましたが、その後数年、薬を送って頂く間隔も徐々に長くなり今日までのこの3,4年は薬をお願いすることもなくなっていました。
ところが先日、2,3日前に先生の手術後以来、本当に10年ぶりに急性膀胱炎になってしまいました。
週が明けて今日、急いで近所の内科で抗生物質を処方してもらい、今服用中ですが10年前の術前の、あの時の悪夢、、菌が消えても症状が何年も残ってしまうかもという事態が怖くてたまりません。
今日処方された抗生剤はレボフロキサシン250を1日1回2錠です。
今日一回服用しましたが、夜になっても排尿後のツンとする痛みがまだあります。
24日の土曜に尿の検査を再びしに病院へ行きますがきっと菌はなくなっていると思います。
それでもまだ辛い症状が残っていた場合、クリニックへ電話をしてまたエブランチルとインテバン坐剤を送って頂く事は可能でしょうか。
それとも、一度伺って直接先生にお話ししたほうが良いのかとも思っています。
再手術は今、考えていません。
何せ10年前の患者でカルテNOがとても古く、今なってと申し訳なく思っています。
カルテNO21943
です。
★回答
一度作られた症状のソフトウェアは、体の中で永遠に残ります。
例えば、梅干しを食べたことのある人は、その後20年梅干しを食べなくても、梅干しを一目見れば、酸っぱい唾液が出るでしょう?
それと同じで、それが、作動しないように、水分を控えて、時々薬の服用が大事です。
10年では、期間が空き過ぎです。
一度来院してください。

投稿: YN | 2018/02/19 19:06

ご回答有難うございます。
術後10年経っていても、この様な事態を防ぐ為に断続的にでも薬は継続して服用するべきだったのですね。
坐薬や薬を飲んでいなかったこの4年程は術後続いていた傷の治りかけの様なあの辛かった不快症状も出ず、これで完治だと思っていました。
尿の我慢や冷えが重なり今回の突然の膀胱炎は僅かに出血と混濁が有り抗生剤を処方されましたが、私が恐れているのはその後です。
土曜日まで服用し菌がなくなるにつれ、今の膀胱の自覚症状がどの様に変わって行くか、それとも軽減し症状が無くなるのか、今週経過見て来院させて頂こうと思っています。
先生も、お身体をご自愛しながらの診療なので休診日は前もってクリニックへ問い合わせれば良いでしょうか?
【回答】
はい。」

診察カードは初診の時からのこのNOのものを出しても構いませんか?
【回答】
はい。」

来院する事になった際は薬での治療を希望しています。その時はどうか宜しくお願い致します。

投稿: YN | 2018/02/19 23:44

はじめまして。40代女性です。
慢性膀胱炎に悩まされて
こちらのサイトにたどり着きました。
通えない距離ではないので
一度診察に伺おうと思っているのですが
1つだけ質問させて下さい。

私は、不整脈が不定期にあり、
酷い時は、非持続性の心室頻拍が出ます。
しかし基礎疾患がないため、
薬はかえって違う不整脈を誘発する恐れも
あるとのことで、薬は服用していません。

こちらでは
αブロッカー薬を服用するという
治療法が紹介されていたのを拝見しました。

投薬だけで、膀胱炎の悶絶の症状が
緩和されるなら、
今すぐにでも治療したい気持ちになりますが、

もし投薬という場合、
私のような不整脈持ちでも
服用できるお薬がありますでしょうか?

ご相談に乗って頂けたらありがたいと
思います。
よろしくお願いいたします。
★回答
αブロッカーは、元々血圧の薬で、それを膀胱用に改良したものです。
血圧が下がると不整脈が必ず出るわけではありません。
その他にベタニスもオススメです。

投稿: sw | 2018/02/24 20:58

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