繰り返す無菌性膀胱炎、実は膀胱過敏症

中高年のご婦人で、膀胱炎症状を繰り返す方が多く見られます。
尿検査で白血球や細菌が認められ、抗生剤・抗菌剤の投与で尿は直ぐにきれいになるのですが、残尿感や頻尿や違和感がいつまでも残り、悩まれる患者さんが多くおられ、ます。

このような患者さんの場合、その病気は膀胱炎ではなく、膀胱過敏症である場合がほとんどです。
原因不明の慢性膀胱炎、間質性肺炎、神経性膀胱炎、心因頻尿、神経因性膀胱、膀胱疼痛症、気のせい、歳のせいと誤診されてしまうのです。

膀胱炎症状＝膀胱炎ではありません。
一般的に、ご婦人の膀胱炎は、必ず性行為の後に生じます。性行為の既往がなくて膀胱炎症状は起こりません。それを医師が症状だけで膀胱炎と誤診するところに、患者さんを悩ませる原因があるのです。

性行為がなくて膀胱炎症状が出現した場合、膀胱過敏症と考えるべきです。その場合、尿中の白血球や細菌検査は無意味です。何故なら、過敏さに対する生体反応で白血球は増加しますし、白血球が増えると常在菌は殺されるので常在菌は増えるからです。膀胱の過敏さを抑える治療方針で患者さんの悩みはコントロールできます。

通常、過活動膀胱の治療薬(ベタニス・ベシケア・トビエース・ウリトス）と、排尿障害の治療薬（エブランチル）で十分に治療は可能です。何故、排尿障害の治療薬？
とお思いでしょう。何故なら、膀胱過敏症の原因のほとんどが、患者さんが自覚していない隠れ排尿障害が原因だからです。