「尿は無菌」はウソだった!:研究結果
インターネット配信のニュースで興味ある事例があったので、ここでご紹介します。
「尿は無菌」はウソだった! :研究結果© 株式会社メディアジーン 提供
尿には、尿素、水分、ナトリウム、カリウムやその他の化学成分が含まれています。無人島やジャングルなどを舞台にしたサバイバル番組を見過ぎた人だけでなく、医師までもがこれまでずっと、尿は無菌だと考えてきました。ところが、尿は体外に排出された時点で無菌状態ではないことがわかったのです。
米国微生物学会の学術誌『Journal of Clinical Microbiology』で発表された研究によると、健康な女性と、過活動膀胱(膀胱が過敏になり自分の意思に関係なく収縮する)を患っている女性の両方から尿サンプルを集めて検査した結果、健康な女性であっても、膀胱と尿に生きた細菌が存在することが確認できたそうです。
これまでは、尿サンプルから細菌が検出された場合、医師は何らかの尿路感染症だと判断していました。しかし、「尿は無菌である」という見方が誤りであることが研究で証明されたのはこれが初めてではありません。
尿は無菌という通説が生まれたのは、検査室で実施される通常の検査環境であれば、健康な人間の尿サンプルから「臨床的に有意な」数の細菌コロニーは検出されないだろうという考え方があったからです。細菌が検出されたとしても、皮膚や、滅菌されていないものと接触したせいだとみなされていました。
同じ研究チームがさらに研究を行ない、その結果を米国微生物学会に報告しています。この追跡研究では、84人の女性から尿サンプルを採取し、一般的な検査手法と、より有用なEQUC(Expanded Quantitative Urine Culture)と呼ばれる手法で培養しました。その結果、サンプルの70%以上に細菌が含まれていたのです。ところが、見つかった細菌の90%は、一般的な検査手法であらかじめ「陰性」とされていたもので、従来の手法には限界があることが示されました。
こうした結果からさらに明らかになったのは、過活動膀胱を患う女性の膀胱内に存在する細菌は、健康な女性の膀胱内にある細菌とは異なっており、種類も多様であったことです。研究チームは、膀胱に存在する細菌は消化器官で見つかる菌とかなり似た働きを持っており、正常な菌バランスの変化が過活動膀胱の発症の背後にあるのではないかとの仮説を立てています。これにより、尿路感染症や失禁といった膀胱疾患の予防や治療に対する医療関係者や研究者の取り組み方が変わると、泌尿器学学会誌『European Urology』に掲載された論文で研究チームの1人が述べています。
Urine is not sterile: use of enhanced urine culture techniques to detect resident bacterial flora in the adult female bladder | Journal of Clinical Microbiology
Stephanie Lee(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)
【備考】
細菌が原因でない過活動膀胱や間質性膀胱炎の患者さんが、過去の既往の中で、尿中に細菌が認められるからと言って、その都度、細菌性の膀胱炎と診断され、繰り返し抗生剤や抗菌剤を処方され続けている患者さんが多く存在します。
細菌の有無が誤診を生んでいることに、今頃気づいたことになります。
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コメント
はじめまして。HPを拝見し、ご連絡いたしました。
3年ほど前に過度にトイレを我慢し、膀胱炎になりました。その時以来、3ヶ月に1度くらいのペースで膀胱炎が再発しています。
最初に発症したときとは違い、少し我慢しただけで頻尿・下腹部の違和感を感じ、病院で「膀胱炎」と診断されます。
また、右足の爪先からふくらはぎにかけてしびれも感じています。膀胱炎になると特にしびれが強くなります。
繰り返す膀胱炎を治す方法はありますでしょうか?また、右足のしびれは明らかに膀胱炎と関係があると考えておりますが、他病院では無関係と言われてしまいます。こちらについてのご意見いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
【回答】
もともと膀胱に問題が隠れていて、初めのエピソードで、隠れていた症状が顕在化したものと考えます。
細菌感染ではないので、抗生剤は効きません。
隠れた排尿障害の治療と、過敏になった膀胱の治療が必要です。
しびれは膀胱刺激症状の関連痛です。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/cat7079404/index.html
をご覧ください。
投稿: ゆきぴー | 2016/08/21 01:52
高橋先生
先日相談させていただいたゆきぴーです。
お忙しいところ早速ご返信をくださり、ありがとうございます。
抗生剤は効かないとのことで驚いております。抗生剤を飲んで一時的にはよくなっても、再発していたのはそれが原因だったのですね。
また、足のしびれが関係あると言ってくださったのは先生が初めてです。
改善される見込みがあるとよいのですが。
近いうちに受信させていただきます。よろしくお願いいたします。
投稿: ゆきぴー | 2016/08/21 23:41
はじめまして。49才です。
相談させて下さい。今年六月下旬に膀胱炎かなぁと思い(前にも経験あり腹部に違和感あり)最初婦人科で抗生剤貰い飲みました。良くならず泌尿器科に行って尿検査したら少し汚れているので抗生剤二日間飲み下痢が凄く中止しましたが尿検査の結果菌は無いと言われました。けれど膀胱、尿道の違和感や不快感 、 デリケートゾーンのムズムズたまに痛みからの尿意が三ヶ月たっても消えません。頻尿は水分量を取るとありますがそれほどでもありません。
試した薬はフラボキサート、ベタニス、漢方薬です。調べたら間質性膀胱炎と言うのかなと思い連絡しました。この違和感や不快感で外にも行けない状況で頭がおかしくなりそうです。よろしくお願いします
【回答】
膀胱が過敏な状態です。
排尿障害が原因でしょう。
投稿: ゆみこです | 2016/09/14 20:21
すぐにお返事頂いて涙が出るほど嬉しいです。
今は外にも行けない状況ので遠くまで行けません。薬物治療で治りますか?お薬の名前は教えていただけませんか?勝手言ってすみません…
【回答】
エブランチル、ベタニスです。
場合によっては、男性用の前立腺肥大症の薬でユリーフを自費で服用していただくこともあります。
投稿: や | 2016/09/14 22:24
高橋先生、前にも相談したゆみこです。
最近は尿意が無い状態になりましてこの前胃腸が悪くて吐き気止めと胃腸を動かす点滴しましたらおしっこが全然出なく?出ても量が凄く少なくなりました…今日は胃カメラで鼻からの麻酔をしましたら尿が凄く少ないです…
とても今怖いです…
こんなに膀胱が反応した場合何か方法有りますか?よろしくお願いします
【回答】
直接あなたを診察している訳ではないので、あなたの病状を正確に把握していません。
したがって、残念ながら、これ以上のアドバイスはできません。
投稿: ゆみこです | 2016/10/17 20:57
高橋先生、ご迷惑かけてすみませんでした。ありがとうございました。
投稿: ゆみこです | 2016/10/19 14:56
先生こんにちは。いつもお世話になっています。
先生、もし時間がおありでしたら新居弘章先生のブログを見て見てください。顎位異常症が間質性膀胱炎、慢性前立腺炎の原因とおっしゃられております。大変興味深いです。
投稿: 匿名希望 | 2016/12/25 13:28
高橋先生、昨年の9月に診察していただいたこじまと申します。膀胱頸部硬化症と診断していただき、処方していただいたエブランチル、ベタニスを服用し多少、症状が緩和しましたが職業柄、デスクワーク、バイクに乗る機会が多く最近になって症状が悪化しました。具体的には、陰嚢の違和感、痛み、会陰部痛になります。薬の長期服用により効果が薄れてきたように感じます。トイレに行く回数は1日平均7,8回くらいですので、頻尿はおさまったように思います。すぐにでも診察を受けたいと思っております。その際、ブログでも紹介された仙骨ブロック注射についてもご説明いただきたいと思います。ご回答よろしくお願い致します。
【回答】
しばらくは内服治療のみです。
現在、私は入院中ですので、ブロックも出来ません。
投稿: こじま | 2017/02/22 17:29