膀胱痛症候群(陰部疼痛症)
先日の城南泌尿器医療連携セミナーで私がご紹介した症例の一つとして、膀胱痛症候群の一例を挙げました。
患者さんは32歳のご婦人です。お父様が一緒に来院されました。なぜなら、痛みのために歩けないので、お父様が自家用車で送られて来たのです。痛みは強い膣の痛みです。患者さんは目に涙を浮かべながら痛みに耐えています。
昨年の8月に排尿後に突然膣が痛くなりました。近くの大学病院の婦人科に入院、精査治療しましたが治りません。泌尿器科にも診てもらいましたが、「膀胱炎」の診断で抗生剤が処方されるだけで治りません。結局9日間入院しましたが「陰部疼痛症」の診断で退院しました。
初診時の膀胱の超音波エコー検査所見です。
超音波エコー検査は、各部に名称をつけながら観察しないと理解できません。
そこで超音波エコー検査所見の各部に名称をつけていきます。
膀胱出口と尿道括約筋の間が尿道(白い直線)になります。白い影が膀胱括約筋になります。膀胱括約筋は尿道に対して直角に交わるはずですが、この患者さんの場合、斜めから交差しています。
膀胱括約筋が尿道側に偏移したということは、膀胱三角部(赤い台形部分)が厚くなったということです。膀胱三角部は膀胱の中で一番敏感な部分ですから、通常極端な頻尿になります。この患者さんの場合、生来10回程度の頻尿があったそうです。恐らく頻尿の裏返しの症状で痛み症状になったのでしょう。
検査の為、排尿したら、痛みが急激に増し、待合室でうずくまって動けない状態になりました。
もう一度診察室に入ってもらい、急きょ仙骨神経ブロックを行いました。処置後、30分ほどで痛みが軽減したので、お父様の車に乗り帰ることができました。
2週間後、お父様と来院されました。お顔には笑みがこぼれているではありませんか!聞くと、痛みが半減して、歩けるようになったとのこと。
1か月後には痛みは完全消失し、親子でとても喜ばれていました。
今年の2月になり、まったく普通の生活ができるようになりました。そして吉報をいただきました。無事に結婚できたのでした。初診時に結婚前であったが、心配で結婚できないとおっしゃっていましたが、無事に結婚できたとお父様も大喜びでした。
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コメント
間質性膀胱炎になり、毎日30回以上トイレに行きます。さらに尿が出にくく、少しでも溜まると痛みが出て、おしっこをする度に激痛です。
元気もなくなり、死にたいくらいです。
どこで診て貰えばいいかも分かりません。
助けて下さい。
【回答】
私の治せる間質性膀胱炎を診断しなければなりません。
まずは、いらしてください。
投稿: yu.ri | 2016/12/12 18:48