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「間質性膀胱炎・過活動膀胱・慢性膀胱炎」に誤解されたご婦人の膀胱頚部硬化症50例

男性の慢性前立腺炎のブログの中で紹介しているように、原発性膀胱頚部硬化症による排尿障害が慢性前立腺炎の原因だと私は論じています。ご婦人の間質性膀胱炎・慢性膀胱炎・過活動膀胱・心因性頻尿・神経因性膀胱も全く同じ原因だと私は信じています。
そこで、ここに実例を挙げて解説したいと思います。目標50例です。2年後の平成24年4月の泌尿器科学会の報告までに間に合えばよいのですが・・・どのようなことになりますか・・・。リアルタイムで掲載していきます。

【1】
Oab24303f50患者番号24303 50歳のご婦人です。
25年前から年に2回膀胱炎を繰り返す、その都度、1ヵ月くらい残尿感と尿道口のジクジク感が残ります。
1年前くらいから、1日20回以上の頻尿で苦しんでいます。地元の泌尿器科での診断は「過活動膀胱」でした。そのご婦人の2D超音波エコー検査の所見です。

Oab24303f50pp超音波エコー検査所見に注釈を付けました。
ご婦人の場合、男性に比較して膀胱括約筋の肥厚は目立ちません。その分、膀胱三角部は厚く肥厚して見えます。膀胱出口は明確に見えていて、硬化像も伴っています。
膀胱出口・括約筋間距離は8.7mmと男性患者さんと比較すると短い方ですが、5mmを超えていて異常です。ご婦人の場合、前立腺という臓器がないので、男性ほどには膀胱出口・括約筋間距離が長くなりません。前立腺の存在は、必要以上に膀胱出口・括約筋間距離を過大に表現してくれます。

【2】
Cc24238g33患者番号24238 33歳のご婦人です。
8年前から膀胱炎を繰り返しています。年に2回くらいでしたが、3年前からは月に2回、1年前からは週に2回膀胱炎症状を繰り返します。
彼女の悩みは突然の襲う尿道口の針を刺すような痛みです。泌尿器科を4軒受診しましたが原因不明です。
2D超音波エコー検査では膀胱出口に硬化像が認められ、膀胱出口・括約筋間距離は11.5mm(正常5mm前後)と長めです。

Cc24238g33flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のようにダラダラした排尿曲線を示しています。
自尿は432mlありましたが、残尿は100mlも残っていました。

Cc24238g333d3D超音波エコー検査では、膀胱出口の硬化像が、鳥のクチバシのように観察できます。

Ic24352f30【3】
患者番号24352 30歳のご婦人です。
14歳頃より膀胱炎を発症、20歳過ぎからは年に5回~6回膀胱炎を繰り返します。地元で「過活動膀胱」の薬を処方されましたが効きません。間質性膀胱炎で有名な医療機関を受診し、「間質性膀胱炎」の診断で、精神安定剤を処方されました。
2D超音波エコー検査では、膀胱出口の突出が際立って見えます。膀胱出口・括約筋間距離は8.6mm(正常5mm前後)と長めです。

Ic24352f30flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ご覧のようにダラダラした排尿曲線です。
自尿は174mlと少ないですが、残尿は50mlとかなり多めです。

【4】
Oab24336f59患者番号24336 59歳のご婦人です。
4年前から膀胱炎症状で、常に尿意切迫感を感じています。特に椅子に座ると感覚が強くなるので、少し浮かすように工夫して座るそうです。一般的には「過活動膀胱」と診断される症状です。
夜間の頻尿が6回とかなり多く困っています。朝から就寝まで15回ほどの排尿回数です。
2D超音波エコー検査では、患者さんが十分に尿をためた状態で来院されていなかったので、ご覧のように膀胱出口近辺しか観察できませんが、その異常さは十分に伝わります。
膀胱出口の突出と膀胱三角部の肥厚・粘膜の硬化像が分かりますし、膀胱出口・括約筋間距離は10.7mm(正常5mm前後)と、ご婦人にしては長めです。
当然ながら、今回は尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は行えませんでした。

【5】
Bns24372f26患者番号24372、26歳のご婦人です。
平成21年6月から膀胱炎症状で繰り返し複数の医療機関にかかっています。
患者さんの症状は1日10回以上の頻尿と週に数回襲ってくる強い尿意切迫です。何ヵ月も抗生剤を処方されましたが治りません。しまいには『気のせい』とまで診断されてしまいました。
超音波エコー検査では、膀胱三角部表面の硬化像と膀胱出口の膀胱内への突出が認められます。膀胱括約筋も肥厚しています。
膀胱出口・括約筋間距離は12mm(正常5mm前後)と長めです。明らかに膀胱頚部硬化症の所見です。

Bns24372f26flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は、ご覧のように頼りない勢いの排尿曲線です。
自尿129mlですが、残尿75mlと大量です。明らかに排尿障害が存在します。
主要下部尿路症スコアは7点でQOLは6点と苦しみを十分に表現しています。

【6】
F59bns23069患者番号23069、59歳のご婦人です。
平成20年3月ごろより、下腹部の不快感・下肢の冷えとムズムズ感・陰部全体の鈍い痛みを感じ、地元の泌尿器科で慢性膀胱炎と診断され治療を受けましたが治りません。
1日の頻尿は8回~13回です。
平成21年3月初診時の超音波エコー検査では、膀胱出口の突出像が目立ちます。膀胱三角部の表面には硬化像を認めます。
膀胱出口・括約筋間距離は17mmと女性としてはかなり長い方です。

F59bns23069flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、ギザギザの勢いのない排尿曲線を認めます。
α-ブロッカーの治療により、1日の排尿回数は7回以下にはなりましたが、下半身の不快感や痛み症状に波があり落ち着きません。
ついに、本人の強い希望で、平成22年5月に内視鏡手術を実施しました。

【7】
F35bns23828この患者さんも内視鏡手術(平成22年4月実施)を選択したご婦人です。
マラソン中に強い尿意を感じるために、十分走れないのが悩みでした。地元の泌尿器科で「過活動膀胱」と診断されステープラ、ベシケアの内服を続けていましたが改善せずに高橋クリニックを受診しました。α-ブロッカーの服用で走れるようにはなたのですが、患者さんが満足しません。
超音波エコー検査では、膀胱出口の突出と膀胱三角部表面の硬化像が認められます。膀胱括約筋も肥厚しています。
膀胱出口・括約筋間距離は9mmと長めです。

F35bns23828flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は、ギザギザの膀胱頚部硬化症型の排尿曲線です。残尿は5ml以下です。

F35bns23828op内視鏡手術直前の膀胱出口の所見です。ポリープをいくつも確認できます。ポリープは膀胱出口が十分に開かない状態で排尿した時に生じる乱流で粘膜表面に陰圧がかかり、粘膜がポリープ状に成長しておきます。ポリープの確認で膀胱出口の開放不全を示唆しています。

F35bns23828op2内視鏡手術直後の所見です。
膀胱出口から、手術した膀胱三角部の奥まで直視できるようになりました。


F61bns24454【8】
患者番号24454、61歳のご婦人です。
1ヵ月前から早朝に下腹部の重い感覚があります。1日の排尿回数は5回~6回、10年前から夜間に1回排尿で眼が覚めます。
超音波エコー検査では、膀胱三角部が台状に肥厚しています。膀胱出口・括約筋間距離は10mmと長めです。

F61bns24454flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、勢いのない、それでいてギザギザの排尿曲線です。残尿は4ml以下でした。
水分(お茶・コーヒーを含む)を2リットル前後摂取されているので、控えるように指示して、さらにα-ブロッカーを処方しました。
主要下部尿路症スコアは4点、QOLは4点です。間質性膀胱炎症状スコアも4点でした。

【9】
F65bns23506患者番号23506、65歳のご婦人です。
平成19年5月に頻尿が出現し、地元の病院で「間質性膀胱炎」と診断されました。
平成20年2月に地元の日赤病院で膀胱水圧拡張術を受けましたが、1ヶ月後には再び頻尿に戻りました。
平成20年5月~7月にDMSO(ジメチルスルフォキシド)膀胱注入を9回、平成21年5月と7月に同じく2回実施しましたが、頻尿症状は変わりません。
平成21年8月初診時の1日の頻尿は朝から就寝まで25回~30回、夜間頻尿は5回です。
超音波エコー検査では、膀胱三角部の肥厚と硬化像が認められます。膀胱出口・括約筋間距離は10mm(正常は5mm前後)と長めです。膀胱括約筋の先端もホウキのように毛羽立っています。すべて膀胱頚部硬化症の所見です。超音波エコー検査のため頑張ってためていただいたのですが、60ml程度しかためることができません。

F65bns23506flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)は、ご婦人とは思えない排尿曲線の低さです。
自尿は45mlしかないのに、残尿は16mlもありました。
α‐ブロッカーを処方して半年以上経過を見ていますが、頻尿は1日10回~25回と安定せず、夜間頻尿は3回に安定しています。患者さんは内視鏡手術を希望なさって、先日、ご子息と来院されました。

F36bnsi24391【10】
患者番号24391、36歳のご婦人です。
平成21年9月ごろより、陰部の痒みが出るようになりました。
「男性の陰嚢掻痒症の原因が排尿障害によるものだという」私の記事を読み高橋クリニックを受診されました。
超音波エコー検査では、膀胱出口表面の硬化像と膀胱出口・括約筋間距離が12mmと長めに描出されています。

F36bnsi24391flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、勢いのない排尿曲線です。
間質性膀胱炎症状スコアは10点(6+4)です。
排尿障害による陰部掻痒症と診断し、α-ブロッカーを処方しました。
治療1ヵ月で、痛痒かった症状が痛みが消え痒みも軽減しています。7カ月間ジーパンをはくことができなかったのですが、ジーパンをはくことができるようになったと喜ばれています。さらに下肢の弁慶の泣き所近くにあった血が出るような湿疹も治ってきたのです。
間質性膀胱炎症状スコアは6点(3+3)に軽快しています。

Ic24678f51【11】
患者番号24678、51歳のご婦人です。
15年前から下腹部痛と頻尿になりました。平成16年に間質性膀胱炎と診断され、膀胱水圧拡張術を受けましたが、出血と痛みで苦しんだだけで症状の改善を見ません。平成22年1月になり下腹部の痛みが強くなり、当院を受診しました。
超音波エコー検査では膀胱三角部が6mmと厚く観察されます。一般的に膀胱三角部は超音波エコー検査では観察されません。
膀胱出口・括約筋間距離が12mm(正常5mm)と長くなっています。排尿障害を強く示唆します。

Ic24678f51flow尿流量測定検査(ウロフロメトリー)です。前立腺肥大症型の弱々しい排尿曲線です。自尿は177mlでしたが、残尿は69mlもありました。

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