膀胱頚部硬化症の内服薬による治療効果
間質性膀胱炎や慢性膀胱炎・過活動膀胱の原因と信じている(私だけ?)膀胱頚部硬化症は、超音波エコー検査で容易に観察できます。
この写真は、20代後半のご婦人の超音波エコー検査所見です。
初診の4か月前から恥骨の上がムズムズして気分が悪くなりました。婦人科を受診しても「気のせい」と診断されます。不思議なことに生理中にはムズムズ感が消えるのです。中学生頃(15年前)から排尿した後に、尿道にムズムズ感があったのですが、誰にも言わずに過ごしてきました。しかし、4カ月間恥骨のムズムズ感が消えないので高橋クリニックの診察に来院されました。
この写真は膀胱出口を中心に側面から観察した写真です。黒く見えるのが膀胱にたまった尿です。写真の上がおなか側で下が背中側になります。特徴的なのは膀胱出口が膀胱側に山のようにせり出していることです。
上の写真では、超音波エコー検査を読まない泌尿器科医にもおそらく分からないので注釈をつけました。
膀胱出口の山全体に硬化像が確認できます。膀胱括約筋も厚くなっています。
排尿障害を認めたので、患者さんの悩まれている症状は、膀胱頚部硬化症による膀胱刺激症状と診断し、α-ブロッカーであるエブランチルを処方しました。
エブランチル服用後1ヵ月で、ムズムズ感は50%になりました。さらに3ヵ月薬を服用され、症状は20%~30%に落ち着きました。症状の出現頻度も1ヵ月に5日程度まで少なくなりました。
11ヵ月経過した時点では、ムズムズ感は10%前後まで改善しました。
久しぶりに超音波エコー検査を実施しました。すると、驚くなかれ硬化像の減少と膀胱括約筋の正常化が観察できたのです。
上の写真に注釈を付けました。
膀胱出口の全体を覆っていた硬化組織が半分近く消失しているのです!また、厚く発達した膀胱括約筋も正常化して薄くなっているのです!このままいくと膀胱頚部硬化症はかなりのところまで治るかも知れません。
今現在、患者さんの主要下部尿路症スコアは初診時12点から現在1点に、同じくQOLは6点から1点に改善しました。
膀胱頚部硬化症の患者さんに、日頃私は「薬の服用で症状は軽快するかも知れませんが、膀胱頚部硬化症は手術以外では治りません。」と豪語していたのですから、この所見を見てビックリです。考え方を変える必要が出てきたのでしょう。
3D超音波エコー検査で観察すると、直感的に理解できます。
この写真は初診時の3D画像です。膀胱出口の山のせり出しが顕著です。
治療11ヵ月後の3D画像です。
膀胱出口の山は低くなり、せり出しの裏が凹んで観察できます。この凹んだ部分が、硬化組織の消失した部分です。
膀胱三角部も薄くなっているので、3D画像では膀胱出口の下の部分が凹んで見えます。初診時の3D画像では、膀胱三角部も全体的に硬化していたので、膀胱括約筋との区別がつきません。
| 固定リンク
コメント
うれしいです。昨年8月に手術してなかなか良くならず、頚部硬化症の可能性があるから再手術といわれ、考えてたところですが
良くなることもあるということですね。
投稿: れいな | 2010/04/12 23:16
膀胱頸部硬化症は手術をすればなおるのでしょうか!?
【回答】
100%ではありません。
投稿: | 2014/02/22 15:59
2年ほど前の前立腺肥大の手術(ホレップ)を受け、中々改善せず色々な薬を飲んだのですが駄目で、今年8月に膀胱頚部硬化症と言う事で2回目の手術(TuR-p)を受けたのですが、未だ思わしくなく、相変わらず頻尿と禍活動と尿が出難いという状況が続いております。最近別な医者にベシケヤを処方されましたが、尿が極端出にくくに出にくくなり止めました。普段は夕方から夜にかけて尿が出にくく、昼間はでていたのですが、今は一日中出難い状態です。因みに排尿の状態は尿線は細く、時に散らばり、時に二本になって出ます。何か良くなる手立てはありませんでしようか?最近は夜も良く眠れません。宜しくお願い致します。
【回答】
おそらく、尿道括約筋近くの前立腺組織が十分に除去されていないからでしょう。
やはり再度TURが必要でしょう。
投稿: ○○司 | 2015/11/17 15:06