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膀胱三角部の秘密

Femalebladder
【ネッター解剖学アトラス 南江堂から 膀胱解剖図】
膀胱の一部である膀胱三角部は、解剖学名から膀胱そのものと思ってしまいます。医師ですらそうですから、一般の人であればなおさらでしょう。
慢性膀胱炎も間質性膀胱炎も、その影には排尿障害が存在して、その排尿障害が膀胱三角部を刺激するから頻尿や関連痛などの膀胱刺激症状が発現するのだというのが、私の理論です。
膀胱の中で、膀胱三角部がなぜ敏感なのかは、誰も知りません。また、知ろうともしませんでした。
膀胱平滑筋の理論を持ち出して、あれこれと考えてもみました。でも膀胱の他の部分と比較して、膀胱三角部が敏感だという根拠は、どこにもないのです。

ところが・・・


・・・来年の泌尿器科学会のスライド原稿を作成している時に、Campbell-Walsh Urologyから図を引用しながらツラツラながめていると、フッと見えてきたのです。
Trigone
【Campbell-Walsh Urologyから 膀胱三角部の解剖】

膀胱そのものだと思い込んでいた膀胱三角部は、図のように左右の尿管が広がりながら真ん中で融合した組織なのです。膀胱三角部は膀胱のど真ん中に存在しているにもかかわらず、実は尿管そのものなのです!!!

膀胱三角部は尿管の形を変えた組織ですから、膀胱の他の部分と違って当たり前です。膀胱の他の部分が鈍感な割には膀胱三角部が敏感である理由が、やっと理解できました。

さらに上図を観察すると、膀胱三角部の尿管組織は膀胱頚部(膀胱出口)まで伸びています。排尿障害で膀胱出口が振動すれば、膀胱三角部が振動するのは当たり前なのです。

Boo21280f40
上の写真は、40歳の頻尿のご婦人の3D画像です。膀胱出口が丸く見えずに四角に見えるのが異常所見です。
これに関しては、別の機会に説明しましょう。
さて、画像の中程が黒く抜けていますね?ここの部分が問題の膀胱三角部に当ります。周囲のセピア色の部分は、すべて膀胱平滑筋です。つまり膀胱三角部の直下は、膀胱平滑筋がほとんどない状態なのです。(ただし、ご婦人の場合です。男性の場合は、膀胱三角部の平滑筋は発達しています。その理由は参考をご覧になって下さい。)

Trigonhasei右のイラストは発生学の専門書(ムーア 人体発生学 医歯薬出版)からコピーしたものです。
膀胱のほとんどが尿生殖洞から発生しているのに対して、膀胱三角部は中腎管(発生途中の一時的な腎臓)からの発生です。
発生の違いは、膀胱三角部が膀胱全体の感覚より敏感である理由にもなります。

【参考】
膀胱三角部の重要性
膀胱三角部の重要性#2

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コメント

先生こんにちは。
お体の方はどうでしょうか。
以前膀胱頸部硬化症の手術を行いましたが、痛みが取れません。
膀胱三角部が敏感な所なら、膀胱三角部を出来る限り(必要な部分だけ残すイメージです)処置すると、痛みが軽減する可能性はあるのでしょうか。
【回答】
可能性はあります。

投稿: | 2017/05/04 17:36

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