心因性頻尿で4年

4年前から「心因性頻尿」の診断で治療されていますが、治らない50歳代のご婦人です。1日13回と夜間1回の頻尿です。
尿がたまると、動悸がして後頚部が痛くなりますが（関連痛と関連痛に準じた自律神経症状）、排尿すると症状は落ちつきます。
地元に大学病院と泌尿器科開業医を受診しましたが、「心因性頻尿」と診断され、次のような処方がされています。
ドグマチール・パキシル・セルシン・ブラダロン・ルボックス・グランダキシン・清心連子です。

尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なうと、腹圧性のギザギザの排尿曲線で力のないグラフです。案の定の排尿障害です。
自尿は317ml、残尿は30ml（正常は0）です。
２D側面画像です。
膀胱出口がチョッと盛上がっています。
排尿障害結果の膀胱出口周囲の2次的変化です。
２D正面画像でも盛り上がりが確認できます。
膀胱出口周囲の膀胱壁に静脈瘤も確認できます。

この３D画像を見ると、今まで見えなかった所見が確認できました。

３D正面画像です。
膀胱出口周囲の盛上がりは、12時の位置で確認できます。
しかし、膀胱出口の奥10時～11時にシコリが確認できます。
正面画像の線画風強調画像です。
矢印部分がシコリです。
３D背面画像でも正面像の裏の位置、この写真の1時の位置にシコリの影が見えます。
このシコリは私が初めて気がついた病変ですから、確固たる根拠になる文献はありませんが、恐らく膀胱平滑筋（輪状筋）の肥厚（厚く硬くなった）の所見でしょう。
背面画像の線画風強調画像です。

このシコリは膀胱頚部機能低下症独自の所見ではありませんが、長期間、膀胱頚部機能低下症になると排尿時の振動で膀胱平滑筋が肥厚するのだと考えます。膀胱頚部機能低下症は何十年も前から存在したのですが、膀胱出口の膀胱平滑筋の肥厚でさらに排尿障害が強くなるので、症状が4年前に発現したんだと考えると納得がいくでしょう。

ここまで検査で容易に異常が見つかるのに、「心因性頻尿」と診断した医師の頭を使わない流れ作業的な診察が目に浮かびます。