膀胱出口の3D画像
以前から間質性膀胱炎や慢性膀胱炎の患者さんの検査を行い、詳細に説明しますが、膀胱出口が硬いというイメージがピンと来ない方がほとんどです。
何か良い手立てはないものかと頭を痛めていたところ、産科で使用される子宮内の赤ちゃんのリアルな表情を描出する3D・4D超音波エコー検査に可能性を見つけ器械を購入しました。
購入のいきさつに関しては、「開業医のこぼれ話」に掲載しています。また、その後の経過に関しては「慢性前立腺炎」のページに掲載しています。
【実例】
大学病院で「心因性頻尿」と診断された、24歳のご婦人の尿流量測定ウロフロメトリー検査の所見です。
248mlの尿を54秒もの時間をかけてチョロチョロと排尿しています。残尿は87mlと大量です。
大学病院は何を検査したのでしょうね?
お決まりの超音波エコー検査では、膀胱出口の上にこんもりした盛り上がりが確認できます。これを膀胱出口周囲の硬化像の証拠として私は理解していますが、超音波エコー検査の側面像では想像しにくいでしょう。
この超音波エコー検査を3D(立体)画像処理したのがこの写真です。
小さな穴のように見えるのが、膀胱出口です。膀胱出口を囲むように盛上がっているのが、上記の超音波エコー検査の側面像で確認できる膀胱出口周囲の硬化像です。
【実例】
この写真は、62歳女性で1日排尿回数が最大61回だった患者さんの術後2年の3D写真です。上記の写真と比較して、膀胱出口が広く拡大しているのが分かります。この患者さんは現在、1日5回の排尿回数になりました。
検査中にたまたま見つけた子宮筋腫の膀胱圧迫像です。
膀胱出口周囲が左右対称ではないのは、子宮筋腫の圧迫で膀胱右側が盛上がっているからです。
このようにハッキリ観察できますが、子宮の圧迫による排尿障害や膀胱刺激症状はありません。
【実例】
1日20回以上の頻尿と尿道から膣にかけての痛みで、初診から手術を希望で来院した46歳のご婦人の3D正面画像です。
膀胱出口の12時の位置に薄い膜のような所見が認められます。
上記の患者さんの3D背面画像です。
尿道側から観察しても膀胱出口12時の位置にシコリが観察できます。
正面像よりも膀胱出口を大きくふさいでいるように見えます。
【実例】
数年前から原因不明の両肩・両腰・両臀部の痛みで、整形外科で鎮痛剤と痛み止めの注射を定期的に行なっている53歳のご婦人です。
現在、足のシビレがあります。過去に原因不明の両手のシビレもありました。
症状と過去の既往から「線維筋痛症」と診断される患者さんです。
お聞きすると1日15回以上の頻尿がありました。
3D正面画像で膀胱出口11時と5時ににシコリが観察できます。
上記の3D背面画像では、正面像の裏に当る部分にシコリの影が確認できます。
| 固定リンク
コメント