患者さんからのレポート#10
高橋先生、昨年はいろいろとお世話になりました。
術後半年以上経過し、ほぼ安定したようなので術後のレポートを送らせていただきます。
長文で申し訳ないのですが、私自身がそうであったように、私のレポートが少しでも今この病気で苦しんでいて手術を考えている人への参考になればと思います。
(術前の症状)
排尿回数1日10回以上(ほぼ毎日)
調子が悪い日は30分毎にトイレに行く。夜中3回以上起きる事も。
排尿後からずっと続く(ほぼ1日中)尿道付近の痛み、ヒリヒリ、灼熱感。
痛みと共に常にある残尿感。
切迫性尿失禁もあり、尿パッドを使う事もしばしば。
症状が酷い時は、夜も寝られず座っていても立っていても辛く、仕事にも支障をきたし遊んでいても落ち着かず、もう生きている事自体が苦痛でした。
(病気の経緯)
仕事上でトイレに行きづらい事が月に数回あり、極限まで我慢してやっとトイレに行くとスムーズに排尿できず、全部出し切るまでに何分もかかりました。
そんな事を数年間繰り返して、今から4年位前からでしょうか、徐々に頻尿気味になり仕事に支障をきたすので、地元の泌尿器科に行きました。
尿検査に異常はないけど一応抗生物質と頻尿改善にバップフォーを処方されましたが、あまり効果を感じられず症状は進行していきました。
最初は頻尿だけでしたが、だんだん排尿後にヒリヒリと排尿痛を感じるようになり、これはおかしいとネットで調べ間質性膀胱炎では?と思い、地元で間質性膀胱炎に詳しい先生のいる総合病院へ行きました。
やはり尿検査は異常なしでしたが、間質性かを調べるために膀胱鏡検査を行いましたが間質性の所見はなしでした。
この時の膀胱鏡検査がとても辛く、健康な膀胱にかえって傷を付けているんではないかと思ってしまいました。検査後の排尿時の出血によって貧血を起こしましたし・・・。
結局この病院でも原因がわからず、抗生物質とバップフォーの処方でした。
間質性を疑った頃から高橋クリニックの事は知っていたのですか、遠方である事からなかなか受診できずにいました。
初めて高橋クリニックを訪れたのは今から2年前で、その時の検査で残尿が認められ排尿障害である事がわかり、エブランチルを処方してもらいました。
エブランチルは多少尿の出を良くしてくれますが、排尿痛や残尿感には効果が見られず、この頃から内視鏡手術を考えるようになりました。
その後1年程は月の半分以上はある排尿痛と残尿感に何とか耐えていましたが、昨年の5月高橋クリニックで募集していた治験に参加する事を決めました。
薬が実薬だったのかわかりませんが、エブランチルよりも効いているようで治験中は快調な日が多かったです。
治験薬が実際に販売されるのはまだ先の話なので、それまでの間ハルナール(注:前立腺肥大症の排尿障害の薬、現在保険外適応です。この方は自費で購入していました。)で代用する事になりました。
(手術決意~術後の状況)
ハルナールの効果も他の薬よりはまし程度で、私の膀胱はもう薬でどうにかなる状態ではないと痛感しました。
何とか土日を入れて4日の休みを取れそうだったので、とにかく先生に手術をお願いする事にしました。
手術の予約は翌年まで一杯だったのですが、治験に参加したので優先的に10月下旬に手術してもらえる事になりました。
いざ手術が決まると全く不安はなく、手術の日が待ち遠しかったです。
手術の状況はHPで先生が説明されている通りでしたが、私は今一麻酔の効きが悪く、切除のたびに多少痛みを感じ楽しむというわけにはいきませんでした。
それでも先生が緊張をほぐすためにいろいろ話しかけてくれたり、BGMの小田和正の美声のおかげでそんなに苦痛を感じず手術を終える事ができました。
久しぶりに自分の膀胱内を見ると、以前とは明らかに違っていました。
先生のHPでよく見る炎症性ポリープや白苔変性などが見事に揃っていて、膀胱出口もかなり狭い状態で、何故あれほどの残尿感や排尿痛が生じていたのかが納得できました。
切除が終わり出血を止め、尿道にカテーテルを付け、麻酔が醒めるまで横になって休み、尿の捨て方を教わって徒歩でホテルに戻りました。
夕食はホテルの隣のファミレスでしっかり食べ、出血しないようにホテルで横になっていました。
出血はなかったのですが、カテーテルをはずした後の最初の排尿時はちょろちょろとしか尿が出ず、そんな状態が2日位続いたので(尿閉)という言葉が頭に浮かびました。
翌日から出勤だったのでとても不安でしたが、出勤当日の朝の排尿時から少しずつ尿の出が良くなりました。(腫れがひいてきたのでしょうか)
術後最初の仕事を順調にこなし家に帰り休んでいると、急に膀胱の辺り(下腹部)と尿道口の辺りに激痛(術前の痛みとは違います)が走りました。
あまりの痛みに身動きも取れず、痛みが落ち着くまでじっとしていましたが、尿意を感じたので不安な気持ちでトイレに行き排尿しました。
出始めに詰まった感じがありダラダラと排尿が続き、排尿の終わり頃に「ポン」とまるで何か栓が取れたようになり、残りの尿が先程よりスムーズに出ました。
流す前に便器の中を見ると、ブヨブヨの粘膜のような(少し血の混じった)2センチ位の物体がありました。(これは血の塊だそうです)
その後も(激痛→血の塊)が3回あり、その度にだんだん尿の出が良くなり回復していくのがわかりました。
術後2週間の時に診察に伺い、まだ少し血の塊が残っているよとの事でしたがその分もしばらくして出て、1ヶ月後には上記の症状は一切出なくなりました。
結局、心配していた出血や尿閉はありませんでした。
(術後1ヶ月後~現在の状況)
術後の新しい症状として、排尿後の下腹部の鈍痛と膀胱辺りのひきつれるような痛みというか不快感がありました。(しばらくすると治まりますが)
6ヶ月経過した現在は、排尿後のひきつれを感じる事がほとんどなくなり、排尿回数は1日5~6回程度で安定しています。
残尿感、夜間排尿なし、術前の膀胱の灼熱感はものの見事になくなりました。
あと術前はいつも固くなっていた下腹部が元の柔らかさに戻りました。
術後辛い時期もありましたが、それを乗り越えられたのは術前の痛みや残尿感が耐え難いものだったからだと思います。
あまり症状の重くない人が手術を受けると、術後が辛いかもしれません。
正直言って、手術によってここまで治ると期待してはいませんでした。
決して先生の事を信頼していなかったのではなく、この病気は治らないものなのだと自分で決め付けていたのです。でも高橋先生の存在を知らず、手術を決断しなかったら、きっと今でも病気で苦しみ続けていたでしょう。
今こうやってまた平穏に毎日を過ごせるのは、すべて先生のおかげだと感謝しています。本当に有難うございました。
近いうちに診察に伺う予定ですが、とりあえずレポートを先に送る事にしました。
相変わらずお忙しいと思いますが、先生ご自身の健康を大切にして下さい。
○○県○○市 ○○○○
【補足】
●膀胱出口のポリープ
膀胱出口には柳の木のようにたくさんのポリープが観察できます。
これは、膀胱出口が十分に開かないことによる排尿中のジェット流が作る乱水流のためです。
●膀胱鏡検査所見
膀胱出口から膀胱三角部にかけてポコポコとたくさんの濾胞(ろほう)が観察できます。これを慢性膀胱炎の所見と一般にはいわれます。その原因は?というと慢性の炎症があるからだ!と禅問答のような答えが返ってきます。
私は、膀胱出口の排尿障害の振動が膀胱三角部を刺激し、膀胱三角部粘膜の変性を誘発するのだと考えています。
●手術直前の膀胱出口
直径5mmの電気メスと比較すると、膀胱出口は直径が約2mmです。
●手術直後の膀胱出口
手術直後には、膀胱出口が10mm×10mm以上になりました。術前と比較すると、面積にして25倍です。
●手術後の排尿曲線
手術前の排尿曲線と比較して、排尿曲線が左右対称で尿の切れが良くなっています。
●手術後の超音波検査所見
膀胱出口を横から観察した所見です。術前の超音波検査所見と比較して十分に開放されています。
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