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慢性膀胱炎・間質性膀胱炎の病気深度と治療深度

間質性膀胱炎や慢性前立腺炎の患者さんを診察し治療すると、様々なパターンに遭遇します。
簡単に治る人もいれば、正直なかなか治らない人もいます。
私の治療の技量によるところも当然ありますが、病気の進み具合(病気深度)に関係する所が大きいように思えます。病気深度が深ければ、治療も深く掘り下げなければなりません(治療深度)。現在、私の頭の中のイメージを下記のように図式化しました。

例えば、火傷・熱傷の治療と比較すると分かりやすいです。
熱傷Ⅰ度は、表皮の発赤程度を示しますが、冷却のみで治療も容易です。後遺症も残さず、正常な皮膚になります。
熱傷Ⅱ度は、水泡やびらん状態のやけどです。細菌感染に注意しながら表皮や皮下組織の再生を促すように積極的な治療が必要です。やけどの跡は残り、場合によっては引きつれやケロイドになります。2次的な形成手術が必要になります。
熱傷Ⅲ度は、熱障害が筋層まで及ぶ状態で、極端な場合、炭(炭化)した状態です。壊死した組織を切除して、皮膚筋肉血管移植が必要になります。移植した部分も移植で切除された部分も、大きな傷になり、後遺症として傷が残ります。
「やけど」とごく普通に聞きなれた障害でも、熱の深達度によっては、治療法も全く異なるのです。

間質性膀胱炎や慢性前立腺炎を点や平面で考えると、病気の本質も治療法も点や平面で行われて出口が見つからなくなります。三次元・立体的に病気を考えると、出口が見つかるかも知れません。

現在、私の頭の中のイメージを下記のように図式化しました。

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排尿障害から来る本来の症状(尿が出にくい・残尿感・軽い頻尿)であれば、ハルナールやエブランチルなどのαブロッカー服用で症状がコントロールできます。その時点で内視鏡手術を希望されれば、単純な手術で治療できます。

しかし、自覚・無自覚のまま排尿障害を長く放置すれば、病気が深く進行します。すなわち度重なる排尿障害の刺激で膀胱三角部が肥厚します。膀胱三角部の肥厚は常に脊髄神経を刺激します。そうなると脊髄神経ネットワークが発達して、極端な頻尿や関連痛症状が出現します。会陰部痛・膣痛・肛門痛・大腿シビレ・足痛などなどです。
αブロッカーや単純な内視鏡手術では症状が改善しません。
例えば、前立腺肥大症患者さんが内視鏡手術で前立腺を切除しても、症状が改善しないことがあるのはこのためです。この場合、さらに一歩進んで、膀胱三角部減張切開手術を行なわないと症状の改善をみないのです。

さらに病気が深く進行すると、脊髄神経ネットワークの発達から脊髄神経ネットワークの混線・混乱を招きます。脊髄神経内に関連痛発作の爆弾を抱えているようなものです。高度な内視鏡手術で膀胱三角部減張切開手術を行なっても、膀胱の感覚のすべてが消失するわけではないので、わずかな膀胱刺激が出現しても脊髄内の爆弾回路にスイッチが入ってしまうとイメージしていただければよいでしょう。
その場合は、デパスなどの精神科・心療内科領域のお薬の処方や定期的な仙骨神経ブロックなどを行なわなければなりません。
また、2度目・3度目の内視鏡手術の可能性もあります。

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コメント

2つほど質問があります。お忙しいとは思いますがよろしくお願い致します。

1,「わずかな膀胱刺激」とありますが、それはどんなことですか?
【高橋クリニックからの回答】
膀胱から来る情報のことです。

2,そのわずかな膀胱刺激で脊髄の回路にスイッチが入った時の膀胱内部(粘膜など)には何か(充血、炎症など)が起きたり(起こったり)してますか?
【高橋クリニックからの回答】
膀胱からの情報でフィードバック現象が起きれば、その反応として充血・炎症などが生じることがあります。ですから、充血も炎症も原因ではなく、その結果です。

投稿: 匿名 | 2007/07/12 13:42

お忙しい中お返事ありがとうございました。

投稿: 匿名 | 2007/07/18 20:10

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