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症状♯ 「シェーグレン症候群と間質性膀胱炎」

シェーグレン症候群は耳慣れない病名でしょう?症状は特徴的で、涙が出ない(眼乾燥)と唾液が出ない(口腔内乾燥)です。関節リウマチと同じ自己免疫疾患と考えられています。
日本の届出では4万2千人、潜在的には10万人いるとされています。
涙が出ないので目の灼熱感・掻痒感があります。唾液が出ないので発話困難・嚥下困難になることがあります。治療として人工涙の点眼や人工唾液のスプレーの対処療法です。日常生活に支障が出る病気です。

さて、なぜシェーグレン症候群のお話をしたかというと、間質性膀胱炎で悩まれていた秋田県在住の60歳代のご婦人(#19188)が、たまたまシェーグレン症候群も20年間わずらっていたのです。1日10回以上の点眼と口腔内スプレーを日課としていました。ちなみに、間質性膀胱炎は10年間悩まれています。

10年前に初め急性膀胱炎と診断され、膀胱鏡検査を行ないましたが、ただ炎症所見があると言われただけでした。
その後、地元の労災病院で組織検査を行いましたが、悪性所見はないということで、病名がないまま対症療法を2年間受けていました。
その後、慢性尿道炎の診断で、漢方薬治療を5年間ズ~と受けていましたが、苦しんでいる症状は変わらずに、娘さんがこのブログを発見して当院を受診しました。

この患者さんの頻尿はすごくて、1日30回~50回!、夜間は5回~20回!です。グレープフルーツジュースやオレンジジュースなどの柑橘系果物を食すると、症状は悪化します。また、排尿痛があり、尿道・会陰部や下腹部がとても痛くなるのです。
今までの病歴と現在の症状から、一般的な泌尿器科医であれば間質性膀胱炎と診断するでしょう。
検査では案の定、排尿障害を認め、エブランチルを処方しました。2ヶ月の服用で、頻尿が1日15回、夜間は5回に減少しましたが、手術を強く希望されたのです。

昨年の11月に内視鏡手術を行ないました。膀胱容量はとても小さく120mlです。膀胱の壁は、以前の組織検査のため3箇所以上に痛々しい引きつれ瘢痕がありました。
しかし、術後の経過が思わしくなく、カテーテルを抜いても思うように自分で排尿できなかったので、手術後18日間カテーテル留置することになりました。(通常は1日間です。)

先日、手術後2ヶ月経過した時点で来院されました。
頻尿は・・・残念ながら・・・未だ改善せず、1日25回で夜間6回~15回です。しかし尿道・会陰部痛などの痛みが全くなくなりました。しかもオレンジなどの柑橘系を食しても症状が悪化しないのです。食事に気を使わなくなったそうです。
さらに喜ばしいことがありました。20年間悩んでいたシェーグレン症候群が軽快したのです!丸1日、目薬も人工唾液もし忘れてしまう日が出てきたのです。現在、目薬が1日0回~2回、人工唾液スプレーが1日0回~1回です。以前は10回以上の点眼・スプレーしていたのですから、症状が10分の1になったともいえるのです。
手術前に、「もしかすると、シェーグレン症候群が良くなるかも知れないよ。期待してね。」と告げていたので、患者さんは理由が分からず驚くばかりです。

シェーグレン症候群が改善するだろうと私が予言した理由に関しては、後日解説しましょう。

Sjogren【補足】
調べてみると、シェーグレン症候群と間質性膀胱炎の報告が幾つかありました。

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コメント

シェーグレンが治ったなんて、驚きです。
外分泌腺と腎臓は共通点が多いですが、その関係で予測されたのですか???不思議です。
続きを楽しみにしています!

【高橋クリニックからの回答】
もっと大局的な観点から仮説を立てて、推論し予測したのです。
その仮説を近日中にはご紹介します。

http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2007/02/post_89b6.html
をご覧下さい。

投稿: akira | 2007/02/07 22:29

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