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アトピー性皮膚炎と膀胱炎

膀胱炎を繰返す19歳のご婦人が来院されました。30分~2時間に1回の頻尿と尿意切迫・残尿感が強く、他の医療機関で抗生剤(クラビット)やエブランチル、バップフォを処方されたのですが、全く治らないそうです。細菌検査ではマイナスです。
来院時の尿流量測定ウロフロメトリー検査は正常範囲内ですが、残尿量測定検査で残尿を34ml認めました。排尿障害が原因の膀胱炎症状と判断して、内服治療を行ないました。しかし改善しないので、患者さんの強い希望もあり内視鏡手術を行ないました。
手術前からアトピー性皮膚炎のことを伺っていましたが、白い肌に唐突に皮膚炎所見に違和感を感じました。以前にも排尿障害の手術後、頑固な首の痛みがなくなった男性患者さんを経験したことがあるので、承諾を得て術後から来院するたびに写真撮影を行ないました。
下記の写真は、経時的な左腰部と左前腕の皮膚所見です。
【手術後1日目】
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痒くて掻いてしまうので、所々に掻き壊しの赤い点々が散見できます。

【手術後7日目】
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術後1週間ですが、書き壊しの所見がなくなりました。皮膚表面のツブツブ感が軽快しているように見えます。

【手術後2ヶ月】
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手術後2ヶ月(60日)経過しています。頻尿は2時間に1回程度に落ち着き、尿意切迫や残尿感も30%程度に落ち着きました。そして皮膚の所見には驚くばかりです。皮膚炎の所見が改善しツブツブ感がなくなり色も薄くなっています。痒みは全くないそうです。

【考察】
排尿障害の治療を行なうと、一見全く無関係と思われた病気や症状が軽快することがあります。皮膚や臓器を含めた体の全ての器官が血液・リンパ・ホルモン・神経などで深く密接にリンクしているのです。ですから、高々膀胱だけの障害であっても、全身に影響が出て、それぞれの器官での何らかの障害になるのです。
この患者さんのように、膀胱炎とは一見無関係なアトピー性皮膚炎が改善したのは、嬉しい的中でした。slow diseaseの典型例です。

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