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慢性膀胱炎の実例5

【実例5】 カルテ番号15176 ○丘○○○さん41歳の場合
 3月17日急な頻尿の出現で苦しんでいたご婦人です。1時間に4回~5回の尿意頻拍が襲いトイレに走ってしまいます。語学が堪能でとてもチャーミングなキャリアウーマンの方です。海外出張も多く、飛行機に乗るのも苦痛で仕方がありません。通路側の席を確保しますが、飛行中絶えずトイレに行くので周囲の人の目が気になります。自宅近くの泌尿器科専門クリニックを尋ね下記のような薬を処方されましたが全く改善しません。
処方内容:
・抗生剤
・頻尿改善剤:ポラキス
・精神科薬剤:デパス・セルシン
・健胃剤:セルベックス

そこでは、始め慢性膀胱炎の診断でしたが、「治りが悪いので神経性頻尿でしょう。精神科を紹介します。」と近所の医師に言われ、ショックで慌ててインターネット検索で高橋クリニックを探し当て、4月10日当院を受診しました。
 会社で会議をこの患者さんが中心になって招集をかけるのに、会議中自分が何回もトイレに立つのがたまらないと訴えられました。何とかして欲しいとのこと。 
膀胱容量が小さく、診察時の尿流測定検査ができませんから、排尿障害の確認ができません。取り合えず、治療を始めました。これまでの治療は無効なので、異なる観点から進めます。
まず、膀胱と仙骨脊髄中枢の反射が過敏で悪循環を起こしているので仙骨神経ブロックを行いました。αーブロッカー・解熱鎮痛剤坐薬を試みました。すると、4日目の4月13日には極端な頻尿(本人曰く1日50回)は改善し、尿流量測定ウロフロメトリー検査ができるほど尿を我慢出来るようになりました。
検査を進めると次のようなことが分かりました。

【超音波エコー検査】
膀胱粘膜の肥厚を認めます。
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【尿流量測定ウロフロメトリー検査】 
曲線が変形した山型で排尿障害を疑います。
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【膀胱鏡検査】
膀胱頚部が狭く、10時の方向に炎症性ポリープを確認できる。膀胱三角部には白苔が存在し慢性膀胱炎の所見です。
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●術前診断:
排尿障害に起因する慢性膀胱炎・膀胱三角部炎が病態の本質です。頻尿は精神的な原因ではないことを説明すると、患者さんは手術を希望しました。

●治療:
膀胱三角部のレーザー光線照射と電気メスによる膀胱頚部の切開術を行いました。

●総合評価:
手術後、頻尿が1日10回以下にまで減って、患者さんは大喜びです。日常生活でオシッコのことを考えない時があって嬉しいと感想を述べられています。

膀胱頚部(膀胱出口)が手術後広く開いています。
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敏感な膀胱三角部をレーザーで治療しました。クレーター状になった部分は、直径3mmほどです。1ヵ月後にはきれいな粘膜で覆われます。
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尿流量測定ウロフロメトリー検査では、手術後まとまった曲線になりオシッコの勢いが良くなりました。
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