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慢性膀胱炎の検査と診断

慢性膀胱炎の検査には、次の五つの項目があります。

●尿検査
●超音波検査
●尿流量測定ウロフロメトリー検査
●残尿測定検査
●膀胱鏡・尿道鏡検査

尿検査
 尿には様々な物質や成分が含まれています。異常な成分として、タンパク・赤血球・白血球・細菌・カビ・円柱などが上げられます。慢性膀胱炎の場合には、今までお話した通り正常の方がほとんどです。ですから、この尿検査だけでは病気の診断には不十分です。

超音波検査
 痛くない検査として有名な超音波検査で、膀胱内の結石・腫瘍などを確認することができます。慢性膀胱炎の場合には、膀胱粘膜が厚くなります。特に膀胱三角部の粘膜の厚みが増加した所見と、粘膜下に浮腫が認められます。ただ、超音波検査の経験があり正常と診断されたとしても、漫然と検査をする医師が存在しますから、その診断の信憑性は疑問です。
●写真:膀胱粘膜の肥厚と粘膜下の浮腫が確認できます。

尿流量測定ウロフロメトリー検査
 慢性膀胱炎の検査で他の病院で行われないのが、この尿流測定検査です。通称「ウロフロ uro-flow-metry」と呼びます。簡単に言うとおしっこの勢いを診る検査です。一般的に前立腺肥大症の男性患者さんの排尿障害の診断に利用されています。

●写真:治療前と治療後の尿流測定検査結果です。縦軸が尿流速度(ml/秒)で横軸が排尿時間(秒)です。スタートスイッチを押してから排尿開始までの時間も重要になります。
 排尿障害がある場合、尿流曲線のグラフの山は高さが低く、裾野が広く、頂がなくギザギザの山脈になります。治療後は、山の高さが高く大きな山型のグラフになります。
治療前 ccpreuroflw.jpg

治療後 ccposturoflw.jpg

残尿測定検査
 排尿後に、超音波検査で膀胱に尿が残っていないか(残尿)を確認し、残っていればその量を測定します。尿流測定検査とこの残尿測定検査の2つで排尿障害の存在を証明できます。
●写真:治療前の残尿は38ml、治療後の残尿は4mlです。

膀胱鏡検査
 内視鏡検査を初めて行ったのが泌尿器科医であったことをご存知ですか?内視鏡検査=泌尿器科専門医なのです。しかるに、最近の泌尿器科専門医はこの膀胱鏡検査を行いません。検査を行わないから、慢性膀胱炎の所見が確認できずに「心因性頻尿」などと誤診してしまうのです。
●写真:若年型慢性膀胱炎に多い膀胱粘膜白苔変性が主体の膀胱白板症3例です。また、膀胱内尿道口狭窄によって二次的に生じる炎症性ポリープ3例です。
leuko.jpg

尿道鏡検査
 尿道鏡検査は尿道の長い(約20cm)男性のための検査で、尿道の短い(4cm前後)女性には意味がないと思われていました。しかし女性にも全て尿道鏡検査を行うと、今まで見えていなかった事実が次第に見えて来ました。
●写真:内尿道口の開きが十分でないと、膀胱からの尿流がジェット流になります。ジェット流の環境では乱流が生じます。その乱流を整流化させるために、生体反応としてポリープ状の尿道粘膜の変性が起き、写真のようにたくさんのポリープができます。このようなポリープが確認できれば、例え内尿道口が正常に見えても普段の排尿時には十分に開いていないと云えます。
polyp.jpg

【最近の話題から】
ジェット流と乱流
膀胱頚部を十分に開放せずに排尿すると、膀胱頚部(膀胱出口・内尿道口)から尿道にかけて、尿のジェット流・乱流が生じます。
尿のジェット流・乱流は、尿道に物理的負担(正確には水力学的負担)をかけます。その結果、膀胱出口・内尿道口・尿道に内視鏡検査でご覧になった炎症性ポリープや血管増生などの尿道炎を作ることになります。

最近、美浜原発事故で蒸気噴出事故がありました。原子炉で熱せられた一次熱交換水から受けたエネルギーを二次熱交換水が蒸気になり、蒸気タービンを動かし発電機を回転させる仕組みです。この二次熱交換水の冷却後(150℃以上)の配水管が破損した事故です。事故を起こした配水管は、その手前が水流調節のために狭くなっており、ジェット流・乱流ができます。ジェット流が直接当たる配管金属の厚みが、本来の10mmが1.4mmまでに薄くなっており(86%の減肉現象)、それが今回の破裂事故になったと推測されています。
人間の膀胱頚部で生じるジェット流・乱流とは規模が全くことなりますが、膀胱出口・尿道に発生する水力学的負担を無視することができないことが容易に想像できるでしょう。

東京新聞2004年8月11日記事 rapture040811.jpg

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