慢性膀胱炎と間質性膀胱炎の関係
間質性膀胱炎の教科書的定義
医学書院 標準泌尿器科学(第6版)211ページでは、間質性膀胱炎について
「感染症ではない。自己免疫疾患または膠原病といわれている。正確な原因はわからない。」
何とも情けない定義です。
自己免疫疾患・膠原病と疑われているにしては、血液検査でこれらの病気を強く示唆する所見は得られません。原因が分からないと、自己免疫疾患・膠原病としてしまう現代医学の悪しき慣習による定義と思っていただいてよいでしょう。
医歯薬出版株式会社 エッセンシャル泌尿器科学(第6版)60ページでは、間質性膀胱炎について
「中年女性に多く、粘膜下層、間質に慢性炎症を認める疾患である。原因は不明であるが、遺伝、アレルギー、リンパ系のうっ滞などが疑われている。近年では自己免疫疾患とする説が有力である。炎症が高度のものでは膀胱の萎縮をきたす。欧米には比較的多い疾患であるが、わが国ではきわめてまれな疾患である。」
日本ではまれな病気と位置付けされていますが、実際は想像以上に悩んでる女性の多いことが判明してきました。
最近では、間質性膀胱炎の患者さんの訴えをまとめた書籍が出版されています。
慢性膀胱炎と間質性膀胱炎との間には・・・
無菌性あるいは非細菌性の慢性膀胱炎の終着駅の一つが間質性膀胱炎だというのが私の自論・仮説です。
慢性膀胱炎の原因が排尿障害であるという自論を展開していますが、その排尿障害の終点が二つの形に分かれます。
一つは神経因性膀胱で二つ目が間質性膀胱炎です。どちらも排尿障害の結果もたらせられる膀胱の拡張性と萎縮性の両極端の退行変性障害と考えると理解しやすくなります。そして慢性膀胱炎も間質性膀胱炎も排尿障害を早期に治さないと、どちらの病気も治らないことになります。
排尿障害
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無菌性慢性膀胱炎
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神経・筋肉の過伸展 細胞間のコラーゲン増加
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神経・筋肉の断裂 膀胱伸展性の低下
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神経・筋肉の麻痺 膀胱容積の縮小
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神経因性膀胱 間質性膀胱炎
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残尿増大 極端な頻尿
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細菌性慢性膀胱炎 日常生活への支障
今までのように間質性膀胱炎を突然ふって湧いたような独立した原因不明の病気として捉えると、ただ単に対症療法に終始してしまいます。例えば、膀胱が硬く小さく萎縮したから拡張する、頻尿は膀胱粘膜が過敏だから過敏さを抑える薬を内服したり膀胱注入する、などです。しかし、これでは間質性膀胱炎の根本治療ではないので、患者さんが満足するには程遠い治療になります。
膀胱が退行変性を起こす原因すなわち排尿障害を早急に見つけ出して治療することこそ、間質性膀胱炎の本当の治療であると私は考えています。
【ひとり言】
検査・治療する医師も泌尿器科学会や教科書的な紋切り型の知識のみで判断するのではなく、一つ一つ自分の頭で考え試行錯誤しながら患者さん正対しなければなりません。人間の体や病気、またその仕組みはそんな単純なものではない筈です。尿検査で異常ないから「気のせい」などと簡単に診断する医師は、自分が初めて医師になった時の無増の医学知識の前の謙虚さを忘れているのでしょう。金をかけた装置や設備を利用した遺伝子分析・遺伝子治療の知識だけが学問ではない筈です。相対性理論のアインシュタインで有名な理論物理学のように、自分の頭だけで行える無限の思考による理論医学も存在するのです。
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コメント
TMさんへの回答(ご質問は本人の希望で消去済み)
お答えいたします。
慢性膀胱炎の実例1http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2004/07/post_4.html
の患者さんは病歴が20年以上ありましたが、治りました。
メール相談慢性膀胱炎編#2その後
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2005/04/2_a171.html
の患者さんは、病歴が10年以上です。どちらの患者さんも、他の病院では「原因不明」、または「気のせい」と診断されています。間質性膀胱炎は「原因不明」の膀胱炎と定義されていますから、他の病院で間質性膀胱炎と診断されていてもおかしくないでしょう。ですから、間質性膀胱炎と診断された患者さんの病歴の年数はあまり関係ありません。
詳細は、上記のブログをご覧下さい。
投稿: 高橋クリニックからの回答 | 2005/05/05 10:57