間質性膀胱炎の膀胱鏡所見「点状出血」

間質性膀胱炎の診断基準にある「点状出血」について、とある掲示板で話題になりました。
話の展開の中で、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎の原因が排尿障害であると主張している私の考え方に矛先が向けられました。慢性前立腺炎の手術を多数行なっている私のブログの記載の中に「点状出血」の記載がないので、本当は、慢性前立腺炎と間質性膀胱炎を別物として私は考えているという趣旨の内容だったと思います。

そのことに関して、「慢性前立腺炎」のブログで詳細に解説しました。内容が重複しますが、本来の間質性膀胱炎のブログページに掲載します。

間質性膀胱炎の診断基準の一つである「点状出血」について、その価値について未だ確立されていません。
Waxmanらの報告によると、間質性膀胱炎症状を有する患者さんのうち「点状出血」を認めたのは42%のみだったそうです。また、同じWaxmanらの別の報告で、卵管結紮(不妊手術)を受けた21歳から43歳の無症状(間質性膀胱炎症状のない)の女性20人に膀胱水圧拡張を行ったところ、45%に「点状出血」を認めたという報告です。(いずれも排尿障害プラクティス 間質性膀胱炎の最前線より)
つまり、「点状出血」の存在確認は、間質性膀胱炎の診断の参考にはなるが決定打ではないということです。

「診断基準」とは、原因などの全体像が定かでない病気に対して、臨床医が困るので便宜上「仮」に儲けた「一時的」な定義です。しかし困ったことに、一時的にもかかわらず恒久的な存在になることがしばしばです。「診断基準」で定義されたことが一人歩きをし、新しい知見を蹴散らしてしまうのです。自分たちで定義した狭い意味の言葉によって、思考が呪縛され奴隷に成り下がるのです。この現象は思考の弱さにあるのです。一旦定義すると、それ以上問題の事象を掘り下げなくなります。そしてその定義したことを安心の「拠り所」にしてしまうのです。「点状出血がなければ間質性膀胱炎ではない」などとトンチンカンな考え方を吐露するのです。
しかし、この現象は私も含めた全ての人間にみられる傾向です。これを思考の「慣性の法則」といいます。もちろん私のブログの中でも、そこここにこの現象はあるでしょう。常に用心をしなければなりません。

私は間質性膀胱炎も難治性の慢性前立腺炎も、その原因はどちらも「排尿障害」だと信じています。
間質性膀胱炎も慢性前立腺炎も過活動膀胱も神経因性膀胱も心因性頻尿も慢性骨盤内疼痛症候群も、原因の出発点に排尿障害があり、その行き先がそれぞれ異なった終着駅(症状の異なる病気)として認識されているに過ぎないと考えています。特に女性の場合、前立腺というショック・アブソーバーがなく、また性差のために必ずしも男性と同じ症状同じ検査結果が得られないのでしょう。逆に原因が同じであれば、男性も女性も全く同じ症状同じ検査結果が得られるのだと主張すること自体に、生物学的にも医学的にも無理があるのでは?と考えます。

さて、「点状出血」については、その成因について深く解説した文献はありません。現象の程度についての記載はあります。では、なぜ「点状出血」がおきるのかをここで少しずつ考えてみましょう。

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間質性膀胱炎のKさんからのお便り#2

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★ 間質性膀胱炎の要約 ★

このブログをお読みになった難治性の慢性膀胱炎や間質性膀胱炎の方から、地元の泌尿器科医を紹介して欲しいという内容のメールが頻繁に届きます。
このブログに掲載されている間質性膀胱炎に関する考え方や治療法は、私独自のもので一般的ではありません。ですから鹿児島県鹿屋市の倉内先生以外に、ご紹介できる医師を存じません。
このブログの内容は110テーマ以上になりますから、全てを印刷(A4で300ページ以上の量)して主治医に手渡しても要領を得ませんし、現実的ではありません。
そこで、私の考え方や治療法を以下にまとめます。これを印刷して主治医にご相談下さい。質問があれば、医師からの電話での直接の質問もお受けします。
(院長直通:03-3771-8034 ただし午前9時~12時まで)

【考え方】
【1】何らかの原因で、膀胱出口や膀胱頚部の機能が不完全で、排尿時に膀胱出口が十分に開放しない。
【2】膀胱出口の周囲は粘膜・筋肉で構成され、ある程度の柔軟性がある。膀胱出口が十分に開放しないため、排尿時に下部尿路(膀胱三角部・膀胱出口・膀胱頚部)が振動する。その振動は自覚できない。
【3】その振動が慢性化し繰返し起きると、生体の防御・適応反応で、膀胱出口の線維化あるいは膀胱括約筋の過形成を促され膀胱出口が硬くなる。広い意味での「膀胱頚部硬化症」である。「機能性膀胱頚部硬化症」ともいえる。狭義の膀胱頚部硬化症は内視鏡手術後の線維化を意味する。
【4】硬くなったため、膀胱出口は柔軟性が欠如し、排尿時の下部尿路はさらに一層激しく振動することになる。
【5】この激しい振動は、刺激エネルギーとして下部尿路全体を絶えず刺激する。
【6】膀胱刺激知覚症状(特に膀胱三角部において)として、残尿感・頻尿症状がある。
【7】下部尿路の神経支配の脊髄を絶えず刺激することで、脊髄内の神経ネットワークが発達し、他の知覚経路や自律神経経路と接続するために、関連痛・自律神経症状が出現する。
【8】下部尿路の振動エネルギーによる器械的刺激により、膀胱は物理的炎症を起こす。細菌感染やアレルギーの炎症ではなく、あくまでも「物理的炎症」である。
【9】「軽微な排尿障害の慢性的な繰り返しが、膀胱を病的に変容させる」が慢性膀胱炎・間質性膀胱炎の本質である。
検査で細菌が「たまたま」検出されると「細菌性慢性膀胱炎」、細菌が検出されないと「気のせい」「心因性頻尿」、尿意切迫感が強いと「過活動膀胱」、痛みが強いと「疼痛性膀胱」、病歴が9ヵ月以上、年齢が18歳以上で夜間も頻尿が認められると「間質性膀胱炎」と診断される。自律神経症状が強いと「自律神経失調症」「更年期障害」、関連痛が全身に及ぶと「線維筋痛症」と診断される。中途半端な検査と症状に振り回されることにより、同じ病気を細かく分類しているに他ならない。よって、受診する医療機関ごとに様々な病名を付けられることになる。

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間質性膀胱炎の診断基準

間質性膀胱炎の診断に当っては、下記の診断基準が使用されます。診断基準が使用されるということは、病気そのものがよく解明されていないといえます。
【注】(カッコ)内は、私のひとり言です。

【必須項目】
・点状出血またはハンナー潰瘍の存在
(前立腺肥大症の内視鏡手術の際に良く見られるのが、点状出血です。学会報告でも点状出血が疑問視されています。)
・膀胱部痛または尿意切迫時に伴う痛み
(なぜ痛くなるかは解明されていません。除外項目で出てくる放射線性膀胱炎・結核性膀胱炎・薬剤性膀胱炎の場合は、粘膜がただれているので当然と思われた痛み症状ですが、その当然と思われた病態生理すらも議論されていませんでした。)

【除外項目】
・膀胱容量350ml以上
(間質性膀胱炎は突然なる訳ではないから、その移行期が必ずあるはず。400mlの膀胱容量でも間質性膀胱炎になりつつの人は存在するでしょう。)
・膀胱容量が150mlに達するまでに尿意がないもの
・不安定膀胱
・症状が9ヶ月未満
・夜間頻尿の欠如
(症状にはバラエティがあっていいはず。)
・抗生剤、抗コリン剤、消炎鎮痛剤にて症状が消失するもの
(間質性膀胱炎と診断されるまで、これらの治療で効き目があるから続けていた患者さんは存在する。)
排尿回数が8回未満(1日)
・3ヶ月以内に細菌性膀胱炎または細菌性前立腺炎に罹患
・下部尿路結石
・活動性の性器ヘルペス
・子宮、子宮頚部、膣、尿道の悪性腫瘍
・尿道憩室
・薬剤性膀胱炎
・結核性膀胱炎
・放射線性膀胱炎
・膀胱腫瘍
・膣炎
(間質性膀胱炎が原因で、膣炎になることはある。)
・年齢が18歳未満
(病気の本質が分かっていないのに、年齢制限することはナンセンス)

【疫学】
アメリカでは人口10万人に10人、女性10万人に18人の罹患率である。日本では泌尿器科患者10万人に1.2人、女性泌尿器科患者10万人に4.5人である。患者総数では、アメリカ70万人~100万人、日本20万人~40万人と推定される。

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ブログの感想と急性膀胱炎

こんにちは。はじめまして。私は 群馬に住む ○○歳の主婦です。

実は ここ数日 なんか 残尿感があり! (こんなことは初めてなのですが)
今朝は 尿意で朝方起きて トイレに行くも なかなか勢い良く出なくて・・・。
「これは おかしい。もしや・・・膀胱炎?」と心配になりまして・・・。 
そういえば 以前に膀胱炎は水を飲めば治るとかって耳にしたことがあるのを思い出してネットで調べて、とりあえずやってみようと膀胱炎関連のページを観ていたところ、先生のブログにたどりつき、あまりの内容の面白さに思わずメールなんか送ってしまいました。(突然失礼しました。)

医学が専門なのに!科学、宇宙、天気など現実的なことから不思議なこと、非現実的なこと、霊や神、サイキック的なこと(笑)なんでもくわしく肯定的で!(普通 学のある人って(笑)不思議なことや非現実的なことに対して否定的な人が多いのに!)なんでも 知ってて オールマイティーでうれしくなりました。

あるんですよね!!不思議なことって!
私の周りにも 異次元を見た人!とか霊体験をした人 何人かいます。
そして 私や 私の母も 不思議な体験を しています。
(あまり こういうことって わかる人にしか話せないと言うか・・・。
普通の人に 話すと 「おかしい人」に思われてしまう危険性があるので(笑)なかなか 話せる人がいないんですよね。)

なので 思わず メールを 送ってしまった次第です。 

ちなみに 先ほどから お水をいっぱい飲んで そして 出してます!
どのくらい 「お水を飲んで出す」を繰り返せばいいのでしょう?
とりあえず 今日明日 やってみて まだ違和感があるようならお医者さんに 行ってみようかと思います。(こわい!ドキドキ・・・。)

お医者さんに行くと 抗生物質が処方されるそうですが どんなものですか?
明日 以前勤めていた歯科に 歯の治療で行くのですが、もし 歯科のでもよければ (メイアクトとかタリビットとか)出してもらおうかななんて。いかがでしょうか。
もしよろしければ アドバイスを おねがいします。
では。  よろしくおねがいします。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
お答えいたします。
ブログをお読みくださりありがとうございます。

確かに私はおかしな?人です。56歳にもなって小学生の頃と同じような考え方をしています。
夢と不思議なことをいつも捜しているのです。二人の子どもの方がはるかに現実的です。
ある日、妻に「あなたは自分が天使だと思っているでしょう?」と言われて否定できなかった自分がそこにいました・・・。
今でも、自分の能力を無視して「目指せ!ノーベル賞を!}と思って研究しています。

さて、細菌が原因の急性膀胱炎の場合は、抗生剤・抗菌剤の服用と水分の多飲で症状が改善します。抗生剤・抗菌剤で細菌を殺すことと、多飲による利尿効果で細菌が分裂して数を増やす前に洗い流すことに治療の本質があります。
水分は飲める範囲で結構です。

お大事に。

追伸:
歯科の医師から薬をいただいても結構です。

また、メール内容をブログに匿名掲載してもよろしいでしょうか?
お返事お待ちします。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
こんばんは。
メールのお返事ありがとうございます^^

なんか いつもと違うメールの 送信方法(?)だったので、ちゃんと送られたのか疑問でしたが・・・。
(しかもいつも使ってるメールBOXの『送信済みメール』になかったので「どこいっちゃったの?状態」でしたが!ちゃんと届いていて良かったです。)

おかげさまで あれから お水をたくさん飲んでみたら(先生のアドバイス通り 洗い流すイメージで!)しばらくして違和感が無くなって いつもどおりになりました。なので その日、歯医者では特に薬は出してもらいませんでした。
その後も まるで何事も無かったかのように なんでもありません。
もしかしたら ちょっと神経質に なっていたのかも?なんて思えるくらいです。 
でも 大変なことにならず 本当に良かったです。どうもありがとうございました。

大人になっても 夢がある人や夢のある生活っていいですよね。
私も 小さい頃からきれいなものや夢のあるものに囲まれて育ち私立のせかせかしてない自由な校風(園風?)の幼稚園から普通の公立の小学校に上がって 周りの子の「はしっこさ」や現実的さを見て 始めはショックを受けました(笑)
例えば・・・お芋ほりに行った時に結構大きいお芋がGETできてはりきって掘っていたらお芋を入れる袋をバスに忘れてきたことに気付き先生と私で袋を取りに戻ったすきに!周りの子に私が掘ったお芋が強奪されてたり(笑)
これを言うと笑われるのだけど小学校入学前に私の家では「~だわよ。」とか「~なのよ。」と言った言葉で話していたので入学してすぐの 授業で一年生の道徳の教科書で「○○ちゃんが言ったよ。」とか「~だよ。」という言い回しが載ってて 私は「だよ」って何だろう・・・。と本気で悩みました(笑)家に帰って母に質問しました!
そのくらい 世間知らずというか夢見る夢子さんでした。

ブログに 匿名掲載 OKです^^
先生の奥様も 先生に「天使だと思ってるでしょう?」と聞くあたりが なんだか ほほえましく とても 素敵ですね^^

ノーベル賞 いつか きっと とってくださいね。私も 影ながら 応援しています^^
では。お礼まで。

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患者さんからのレポート#15 手術後の妊娠

高橋先生こんにちは!
昨年の7月と11月に手術をしていただいた○○○○です。
最後に病院に伺ったのが3月で、その後まもなくして妊娠しました。
手術をして血流が良くなったのも良かったのかと思っています。

その後の膀胱ですが、妊娠したので多少の頻尿は仕方がないことかと思い、気にしないようにしています。幸い痛みは今のところないので、手術のおかげと感謝しています。足の裏の関連痛は、以前ほど気にならなくなり、少しずつ良くなっているのかと思います。

さて,今回はこの妊娠のことで御相談なのですが・・・
私は母が難産であったため(その話を聞かされていたため)出産に対する恐怖心が強く、また膀胱も悪化しそう、痔もあるし・・・
などの理由で無痛分娩を考えているのですが、実際のところどうなのでしょうか?

自然分娩で膀胱が悪化した方などはいますでしょうか?
それと、無痛分娩の硬膜外麻酔ですが、「脊椎麻酔を行なうと慢性膀胱炎になりやすい」と先生のブログにありますが、この硬膜外麻酔との関連はどのようにお考えでしょうか?
アメリカ人に間質の患者が多いのは大部分の人が無痛分娩をするからか?!などと考えてしまったのですが・・・。
出産の痛みも怖いですが、それよりもまた膀胱が前みたいに戻る方が恐怖なので、真剣に悩んでいます。

実際に伺ってお聞きしようと思っていたのですが、まだ安定期ではなく東京まで出かける元気もないためメールにて質問させていただきました。
お忙しいところ申し訳ありませんが(学会の後はさらにお忙しいんでしょうね。)、お返事いただければありがたいです。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
お答えいたします。
妊娠おめでとうございます。好かったですね。

さて、脊椎麻酔は神経の後遺症を作ることはありますが、硬膜外麻酔の場合は大丈夫です。無痛分娩はOKです。

このメール内容を匿名でブログ掲載します。ご都合が悪ければご連絡下さい。
お大事に。

高橋クリニック 高橋 知宏
クリニック:03-3771-8000
院長直通:03-3771-8034

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「過ぎたるは及ばざる如し」 水は不可欠な存在だが、過剰な飲水は毒 

以前にも水分の取り過ぎに注意を促しました。
しかし、来院される患者さんの多くが、水の取り過ぎで病気に苦しんでいます。「たかが水」という認識と、「水は身体によい」という妄信と、「炎症の治療」には大量な尿排泄が必要という呪縛(無理解な泌尿器科専門医が飲水を勧めるので・・・)が存在しているからです。
飲水治療は、「細菌性」の急性膀胱炎・慢性膀胱炎と「細菌性」の急性前立腺炎・慢性前立腺炎にしか効き目がありません。それも抗生剤・抗菌剤のなかった頃の主たる治療です。(この種の尿路感染症に適応のある漢方薬も利尿作用があるので、飲水治療と同じです)
誤解を解くために、ここで再度、「水」について論じたいと思います。

Suibuninout右の図は、60kg体重の人の体の水分収支です。
体重の60%が水分といわれていますから、60kg×60%=36kg=36ℓ(1g=1mlとして)です。
数値には幅があります。必ずこの数値どおりとは限りませんから、参考の標準データと思って下さい。

【経口から入る水分IN-PUT】は次のようです。
1.食事:1.0ℓ(私たちは水分のないものは食べれないのです)
2.代謝水:食事がエネルギーとして代謝される時に、化学反応の結果排出される水0.5ℓ
3.飲水:0.8ℓ(0.5ℓ~1.0ℓ)(自分の意志で調節可能な水です)

【排出される水分OUT-PUT】は次のようです。
1.尿:1.4ℓ(体重1kgにつき1時間に1mlの尿が生産されます。したがって60kg×1ml×24時間=1440mlです。しかし、腎臓の基礎代謝(アイドリング状態)で最低でも500mlの尿が何が何でも排泄されるので、900mlは調節可能です)
2.呼気・汗:0.8ℓ(呼気で300ml、汗で500mlです。汗といってもダラダラ流れる汗ではなく、不感蒸泄といって体表から蒸発する水分です)
3・大便:0.1ℓ

例えば、・・・

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間質性膀胱炎の手術治療 2008年日本泌尿器科学会での発表報告

以前に予告した学会発表を本日、2008年4月25日(金)横浜のパシフィコ横浜で発表してきました。
発表内容をこのブログで、発表したのとほとんど同じに報告しましょう。口語体ですから、少し不自然かも知れません。スライドが40枚を超えていますので、このブログに全てを掲載するまで時間がかかりますから、気長にお読み下さい。

20081さて、このセッションの座長は、私の1年後輩の慈恵医大の清田浩准教授でした。
私が研修医2年生の時に清田先生は研修医1年生でした。私は当時偉そうに清田先生を指導していましたが、今や立場は逆転し、・・・清田先生はこの世界(感染症)の重鎮です。
本題を発表内容に戻しましょう。

20082頻尿治療の選択肢の一つとして、5年前から内視鏡手術を実施しています。
今回、代表的な4例を報告します。

20083患者さんは、いずれもご婦人の方です。
過去に「間質性膀胱炎」と診断を受け、「膀胱水圧拡張術」を全員受けています。

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患者さんからのレポート#14

先生ごぶさたしております。診察券番号・・953の○○です。
外国へ行くから、と手術を早めていただいたのですが覚えていらっしゃいますか??

男の子を無事出産しました^^出産中トイレは大丈夫かと心配でしたが、スピード出産だったので一回のトイレで大丈夫でした。
第二子妊娠直後に、5分おきの頻尿になり大変で先生にメールしたら、妊娠3ヶ月になったら薬が飲めるから病院にきてください、という返信をくれましたね。
ですが、あのあと少したってから落ち着いてきて、頻尿ではあるけれど、このままでもなんとか大丈夫かも、という状態で病院へは行きませんでした。

あのあと、先生がおっしゃったとおり、産後の状態がとてもよかったです。不思議とほとんど治ったかのようになりました。ですが少したった頃、また、あれ?と、いうくらいの頻尿と残尿になったのですが、おもしろいことを発見?しました!それは、おしっこするときに、座ってするのではなく、中腰でおしっこすると、出がいい!全部すっきりでているようです。★はずかしいはなしですが。。。座ってするとやはり出が悪いです。なので半年位前からそのやり方でずっとするようにしていたら、やっぱり実際に残尿がなくなったためなのでしょうが、少しづつ残尿感がなくなっていきました。
そして、2~3時間いかなくてもいい日があるようになったんです。夜も今は0~1回です。昼間も、1時間~3時間とばらつきはあるものの、残尿感がないので、とっても楽です。中腰でするといいというこんな変な話は聞いたことないでしょうね。。。からだ(膀胱)の傾き加減、ということでしょうか(・ω・;A)先生のなにかの参考になるのかな(^口^;あはははは。)
なにはともあれ、とりあえず今は調子がいいことを先生にお伝えしたくメールしました。あれだけお世話になりながら途中で病院にいかなくなってしまっていたので気になっていました。

今日、不思議なことに、昼間このメールを書き始めて、途中で中断し、夜送ろうと思っていて、さきほどTVをみていたら、なんと高橋先生がTVにでているではありませんか~!
「お茶の間の真実」だったかな?びっくりしました^^メールを送ろうとした日にお出になってるなんて♪
乳幼児の世話で忙しくてTVなんてほとんど見ないのに、たまたま(←先生の嫌いな言葉でしたね)見ていたときだったので、なんだか縁を感じてしまいました~^^

調子がいいといっても、この方法でいつまでもつかどうか・・・ですが、こどもに手がかかる今、それを投げ出してまでもすぐにどうこう、というかんじでもなさそうです。あのひどい頃は子供を連れて必死でタクシーででも先生のところまで行かざるを得ない状態でしたが。。。
今後いざとなったら私には高橋先生がいる、となんだか心強いのもあり、、、しばらくこのまま様子をみさせてください。
仮卒業ということにさせていただこうと思います^^本当にあの頃はありがとうございました。高橋先生のような先生が増えるといいなぁと心から思います。つらかった頃先生が一緒にがんばってくれたこと、いまでも思い出すと涙が出てきます。感謝感謝です。

先生いつまでもお元気で^^お忙しいと思いますので返信お気になさらないでくださいね。ではまたです★★○○○○。

【補 足】
覚えていますよ。経過がスムースでなかった患者さんほど記憶は鮮明です。
この患者さんは、平成18年4月と9月と2回手術を行なっています。その上、初回の手術の翌日には術後出血のため、緊急止血手術まで行なっています。
さらに、膀胱頚部を拡張したにもかかわらず、術後2週間は尿の出が悪く、お互い頑張りました。
しかし、ご主人の海外転勤は、奥様の術後の経過が思わしくないため、中止になったのでした。あなたの主治医として力不足でした。
平成18年の12月が最終の診察でしたから、1年と4ヵ月ぶりの思いがけないお便りです。私も嬉しくなりました。
また、テレビ出演は、30秒もないわずかなショットでしたのに、よくぞ発見しましたね。縁があるのですよ。「必然」でしょう。

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手術後2年の感想

高橋先生

こんにちは。
ご無沙汰いたしております。
2006年2月・日に手術していただいた○○です。

早いものであっという間に術後2年が経過し、
いまでは手術前の下腹部の不快感は遠い昔のことのように感じます。
健康というのはとてもありがたい、と心から思います。

今もデパスは就寝前に1錠飲んではいますがほとんど症状は出ません。
ごく稀に、疲労がたまってしまったときには多少下腹部に不快感は
ありますが、それほど気になるものではありません。

すばらしい手術を、ありがとうございました!

今後も益々のご活躍をお祈りいたします。

○○○○

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「冷え」と急性膀胱炎

ご婦人で冷えた場所に長い間いたりすると、急性膀胱炎になることがあります。
あなたも経験したことがあるでしょう?

Cloud_05020309ご婦人の急性膀胱炎は細菌感染ですから、その原因として90%がセックスです。しかし、患者さんにお聞きすると、「頑としてセックスはしていない」とされる方や高齢者で絶対にセックスはしていないと医師が思える方がいます。仕方がなく、原因はともかく、たまたま(私はこの言葉が嫌いです)だろうと私は思うようにしています。
【ひまわりからの冬の衛星写真】

人のからだの仕組みを深く知るうちに・・・

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患者さんからのレポート#13

高橋先生、こんばんは。

9月に手術して頂いた、○○○○と申します。
駄文な上に長文で申し訳ないのですが少しでも同じ症状で苦しんでいる方の力になれたら・・・と遅くなってしまいましたが、レポートを書かせて頂きました。

手術前
初めて膀胱炎になったのがいつか詳しく覚えていないのですが恐らく高校を卒業した頃だったと思います。
それからは冬になったり、体調を崩すたび度々膀胱炎になっていました。
頻尿はあまり意識していなかったのですが、ゆっくりとひどくなって行きそのうちに、30分~1時間に1回程のひどい頻尿になりました。
しかし、痛み等が無いため、頻尿がまさか膀胱の病気とは思わず体質的なものと思いずっと放っておいたのです。
そして昨年の6月頃、ある日突然、尾てい骨あたりがジンジンと痛みだしたのです。
最初は坐骨神経痛みたいなものだろうかと、整体に行ったりしたのですが全くよくならず、なんだろう?と首をかしげて過ごしていました。
段々と痛みはひどくなり、ある日眠れない程に痛くなりました。
ヘルニアでは?と病院に行ってレントゲンを撮るも異常なし。
原因が全くわからず、困ってたある日の夜突然、今までに味わった事の無い痛みが膀胱に走ったのです。
今までの膀胱炎とは明らかに違う感じの、激痛でした。

あまりに立て続けに痛みの症状が起こったので これは何かおかしい、一度ちゃんと専門の先生に膀胱を見てもらおう、と検索し、見つかったのが高橋クリニックだったのです。
もしこの時、先生のサイトに辿り着けていなかったら。と想像すると今でもゾッとします。

ブログを読み、患者さんのレポートを読み、私はこの病気なのではないか。
尾てい骨辺りの痛みも、このブログに書かれている、関連痛なのでは?と思いさっそく翌日、高橋クリニックに向かいました。

そこで、検査をし、排尿障害が見つかり、このとりとめもない症状が、膀胱の病気で、その症状なのだ、とちゃんと判った事がすごく嬉しかったのを覚えています。(変な話ですが・・・)

そしてその日ブログで何度も名前を目にしていたエブランチルを頂きました。
その頃の膀胱の状態は今思い出しても末期で、尿意は15分~30分くらいでやってくる上、膀胱、尾てい骨には常に激痛が走り(とても不思議で、尾てい骨辺りが傷んでいる時は膀胱には痛みはなく膀胱が痛んでいる時には尾てい骨辺りの痛みもありませんでした)
息んでもちょろちょろ、としか尿が出ず、そして尿をしようとしても激痛が走るという状態でした。
しかし、お薬を飲むと、日に日に尿の出がよくなってくるのを感じていました。
そして、尿の出がよくなってくるのに比例して、痛み、頻尿もよくなっていっているのを感じました。

痛みは辛かったですが、このまま飲み続ければ、いつか痛みも無くなる!と思っていた矢先・・・心臓に痛みが走ったのです。
今まで味わった事の無い感覚だったので、慌てて先生にメールをするとエブランチルの副作用と言う事でした。折角よくなってきていたのにもう薬を飲む事ができないのか。とても悔しく、真っ暗な気持ちになりました。
新しく頂いたお薬を飲んでも、また心臓に痛みが走り・・・投薬は中止、と言う事になってしまったのですが、この痛みを抱えて生きていく事なんてできない。と私は先生に手術をお願いしました。

そして3ヶ月先に何とか予約を取る事が出来その日をとても待ち遠しく思いながら、過ごしました。
その間、膀胱は時折痛むものの、一番ひどい頃よりは大分マシになっていたので、水分を控えるようにして過ごし、なんとか症状をひどくさせず手術日を迎える事ができました。

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間質性膀胱炎のKさんからのお便り

横浜○○のKです。
先生、この一年本当にありがとうございました。
夏のあの激しい痛みとの闘いが嘘のように、今は例の切り裂かれる痛みがまったくありません。
トイレの回数も平均2時間~3時間空くようになりとても楽です。
気を付けている事はお薬を忘れずに飲む事と、アレルギーに良くないとされている食品をなるべく控えるようにしている事と足首などを冷やさないように注意しているくらいです。
先日(12/17)にテニスの試合にも復帰しました。
結果は2勝1敗で2位リーグでしたが、復帰戦としては上出来です。
25日からは毎年恒例の北海道スキーにも行かれました。
去年までは一本滑ってはトイレを気にして、夜は痛みが出ないかハラハラしながらでしたが、今年は健康な人と変わらないくらいのトイレの回数でしたし痛みもまったくありませんでした。
もちろん油断は大敵なので無理はしていません。
すべてあの激しい痛みの日々を毎日ブロック麻酔で治療してくださった先生のお陰です。
これからも先生のご指示通り治療を続けていきますので宜しくお願いします。
良いお年をお迎えください。
4月の学会、頑張ってください。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

本当に、本当~に良かったですね!
また、テニスの試合、久しぶりの試合ですごい快挙ですね!まわりのお仲間も、さぞ驚いていることでしょう。
今のあなたの健康状態を知って、あなたの私への感謝と同じくらい、私からあなたへの感謝の気持ちでいっぱいです。

でも私も安心はしていません。お互いに慎重に行きましょう。

あなたを常にサポートしている愛するご主人によろしくお伝え下さい。
お大事に。

このメールを匿名でブログに掲載します。
よろしければお返事下さい。

高橋クリニック 高橋 知宏
クリニック:03-3771-8000
院長直通:03-3771-8034

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
お陰さまでとても楽しいお正月を過ごしています。
身内からも、本当にトイレが遠くなったね!元気になったから声にも張りが出てきたね!って言われました。
すご~く嬉しい~!先生のお陰です。
ブログの件、勿論OK!です。
私の近況を知って、同じ苦しみで悩んでいる方が少しでも希望を持てたら幸いです。
今月中旬にお薬をいただきに伺います。

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学会報告の予告編

96uro開業して18年になりました。
間質性膀胱炎の治療始めてから5年は経過しています。それなりのデータが集まったので2008年4月に日本泌尿器科学会で間質性膀胱炎に関連した報告をします。テーマは「1日61回の頻尿を5回に」を選びました。間質性膀胱炎の治療も慢性前立腺炎の治療も私にしてみれば原則的には同じ【膀胱頚部切開手術+膀胱三角部切開手術】なので、聴衆の慢性前立腺炎に興味のある泌尿器科医にとっては参考になるでしょう。

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★お知らせ

12月29日(土)~1月6日(日)まで冬休み休診です。

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18歳からの頻尿

Boo21569f36536歳のご婦人です。
7年前に血尿が出る急性膀胱炎になりました。抗生剤で症状は軽快しましたが、その後3ヶ月~1ヶ月に1回膀胱炎症状になり始めました。
5年前には腎盂腎炎にかかり泌尿器科を受診して、膀胱鏡検査まで行ないましたが異常は認められませんでした。
この患者さんは、18歳の頃から(18年前)、頻尿があります。毎日16回以上(1時間に1回のペース)と夜間1回オシッコで目が覚めるというのです。
そして、ここ最近、尿が出にくいという感覚と2時間以上オシッコを我慢すると下腹部が重く痛くなるのだそうです。
さっそく、尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なうとグラフの如く腹圧性の排尿曲線を示し、排尿障害を疑います。

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膀胱三角部の秘密

Femalebladder
【ネッター解剖学アトラス 南江堂から 膀胱解剖図】
膀胱の一部である膀胱三角部は、解剖学名から膀胱そのものと思ってしまいます。医師ですらそうですから、一般の人であればなおさらでしょう。
慢性膀胱炎も間質性膀胱炎も、その影には排尿障害が存在して、その排尿障害が膀胱三角部を刺激するから頻尿や関連痛などの膀胱刺激症状が発現するのだというのが、私の理論です。
膀胱の中で、膀胱三角部がなぜ敏感なのかは、誰も知りません。また、知ろうともしませんでした。
膀胱平滑筋の理論を持ち出して、あれこれと考えてもみました。でも膀胱の他の部分と比較して、膀胱三角部が敏感だという根拠は、どこにもないのです。

ところが・・・


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自己免疫の暴走

慢性膀胱炎や間質性膀胱炎を排尿障害が原因だとして、私は治療を続けています。
内視鏡手術で症状が完全に治まったかのように思えた患者さんが、しばらく、半年~2年経過してから症状が突然としてぶり返す患者さんがいます。
以前に、他のブログで紹介したKさんもその一人です。
ここで紹介したエピソードの後、再び痛みは増強して、毎日2回ブロック注射を打ち続ける日々が続きました。内視鏡手術の際に、膀胱粘膜はびらん(糜爛:潰瘍状)状態で出血も認めました。いわゆる間質性膀胱炎の状態です。尿も混濁しています。つまりは白血球が尿中に多数認める訳です。

この患者さんの診察・治療に当って疑問点が幾つか出てきました。
1.内視鏡手術で、苦しんでいた症状が半年間は軽快していたという事実。
2.その後、突如として痛みと頻尿が出現したという事実。
3.術中の膀胱内所見は、膀胱粘膜がひどく傷んでいる慢性膀胱炎所見。
4.内視鏡手術により痛み症状は、その直後から軽快したという事実。
5.術後1週間で、再び症状が発症して、手術前と同じように患者さんが苦しんでいるという事実。

手術で軽快するということは、器質的な病気だということです。そこに悪い部分があるので、手術し取り去ることで苦しみから解放されるということです。
にもかかわらず、再び症状が発症したという不思議さです。
膀胱粘膜がただれている(糜爛状態)ということは、細菌・ウィルス感染性膀胱炎やアレルギー性膀胱炎・放射線障害性膀胱炎の場合におきる病態であって、単なる排尿障害でおきる症状とは考えられません。
再度の内視鏡手術で、膀胱粘膜はまだ改善していない筈なのに、症状が短期間で軽快したという不思議さです。
そしてケロッとしていた状態が1週間で、再び最悪の症状になったという、器質性の病気なのか機能性の病気なのか、まるでどちらもが混在しているような状態が、短期間のうちに出現したのです。

以上の事実と私が感じる不思議さをもとに、私は、一つの仮説を立てました・・・。

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腎盂腎炎と膀胱炎

私が唱える慢性膀胱炎と間質性膀胱炎の原因は、排尿障害です。(異論もあるでしょうが・・・)
慢性膀胱炎や間質性膀胱炎症状で来院される患者さんにお聞きすると、過去に腎盂腎炎の既往があります。

腎盂腎炎とは腎臓に細菌が浸入して感染を起こす病気です。
常識的に腎臓には細菌がいません、無菌状態です。すると腎盂腎炎になるためには、どこからか細菌が浸入しなければなりません。一番考えやすいのは、膀胱炎の原因菌が腎臓まで昇ってきて細菌感染を起こすというものです。
腎臓(腎盂)→尿管→膀胱までの尿の流れは正常では一方通行です。逆走はありません。
ところがある病気のときに限って、膀胱→尿管→腎臓と一方通行を逆走することがあります。それが膀胱尿管逆流症という病気です。

Vurradionuclidecystogramこの写真はラジオアイソトープを利用した検査の経過を示すものです。
排尿中の膀胱内の尿を観察しています。始め膀胱内にだけ認められた尿が、排尿中に次第次第に尿管を伝わって腎盂(腎臓)に上昇していくのが分かります。そして排尿終了後も膀胱内に尿が残っています。いわゆる残尿です。(排尿障害を認めたことになります。)
要するに、腎臓に逆流するはずのない膀胱尿が、逆流するのです。この状況を端的に示す病名が、膀胱尿管逆流症なのです。

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患者さんからのレポート#12

高橋先生、こんばんは。
一年前の10月4日、内視鏡で排尿障害の手術をして頂いた NO.・・・10の○○○○です。

ご無沙汰しています。
お陰様で、膀胱の方はかなり楽になり、治療前は行けなかった子ども達の学校行事に行けたり、寝る前に本を読んであげたり母親らしい事が出来るようになり、それが一番うれしくて本当に感謝しています。

膀胱の残尿感、尿の細さ、切れの悪さが気になることがありますが、四六時中の陰部の関連痛は消えています。

時々、右足の裏がチクッと針を踏んだような痛さが走ることがあります。
それと唇が乾きが数日間続く時があって、そのときは決まって膀胱に不快感があります。

これからも必要以上に水分を摂らないようにして、排尿障害が悪化しないよう気を付けて生活をしていきます。

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お便りありがとうございます。
体調何よりで良かったですね。
これからも快適な生活ができますようお祈りいたします。
お大事に。

追伸:
このメールをブログに匿名掲載してもよろしいでしょうか?
お返事お待ちします。

高橋クリニック 高橋 知宏
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お返事ありがとうございます。
私のメールがお役に立てるなら、うれしいです。
どうぞ、掲載して下さい。
○○○○

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心因性頻尿で4年

4年前から「心因性頻尿」の診断で治療されていますが、治らない50歳代のご婦人です。1日13回と夜間1回の頻尿です。
尿がたまると、動悸がして後頚部が痛くなりますが(関連痛と関連痛に準じた自律神経症状)、排尿すると症状は落ちつきます。
地元に大学病院と泌尿器科開業医を受診しましたが、「心因性頻尿」と診断され、次のような処方がされています。
ドグマチール・パキシル・セルシン・ブラダロン・ルボックス・グランダキシン・清心連子です。

Boo21255f515尿流量測定ウロフロメトリー検査を行なうと、腹圧性のギザギザの排尿曲線で力のないグラフです。案の定の排尿障害です。
自尿は317ml、残尿は30ml(正常は0)です。
Boo21255f5142D側面画像です。
膀胱出口がチョッと盛上がっています。
排尿障害結果の膀胱出口周囲の2次的変化です。
Boo21255f5132D正面画像でも盛り上がりが確認できます。
膀胱出口周囲の膀胱壁に静脈瘤も確認できます。

この3D画像を見ると、今まで見えなかった所見が確認できました。

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膀胱平滑筋の謎と秘密

前回、平滑筋というテーマでお話をしましたが、テーマが大きく内容が多方面にわたり専門的だったりして分かりにくかったかも知れません。
そこで、今回は膀胱平滑筋にしぼってお話しましょう。慢性前立腺炎の病態に、前立腺ではなく膀胱平滑筋に本質が隠れていると私は思っていますから、慢性前立腺炎の方は「何だぁ・・・前立腺じゃないのか・・・」などと思わないで下さい。
私は泌尿器科医ですから、平滑筋の専門家からすれば素人同然です。プロの切り口ではない素人の切り口で膀胱平滑筋を見ていきたいと思います。詳細に知りたい方は、日本平滑筋学会で調べて下さい。
平滑筋について分かりやすく解説のある専門書Cellular Aspects of Smooth Muscle Function (CAMBRIDGE)から、写真をお借りして説明します。

Cellaspsmfuncfig2p4【正常の膀胱平滑筋】
前回も使用した、ネズミの膀胱平滑筋の正常な電子顕微鏡組織像です。
F:筋線維芽細胞、Nとn:神経線維です。他はすべて膀胱平滑筋です。
これからの説明で、常に比較していただきたい正常組織像です。
細胞は瞳(ヒトミ)型あるいは紡錘(ぼうすい)型でほぼ均一です。細胞の一個一個に核が存在します。細胞の中に複数の黒っぽい●を見つけることができます。これが有名なミトコンドリアです。エネルギーを産生する細胞の中のシステムです。ミトコンドリアは母親のミトコンドリアのみが遺伝します。父親のミトコンドリアは遺伝しません。
組織写真は横断面なので、紡錘型の断面を観察していますから、紡錘型には見えません。大きく見える細胞は紡錘型の中央の断面で核が見えます。小さく見える細胞は紡錘型の端の部分ですから、丸みをおびて核が見えません。下のイラスト(Campbell-Walsh Urologyから)を参考に立体的に想像して下さい。

Smimagej組織標本のスライスの仕方で、すべての細胞が同じ形に見えませんし、細胞のすべてに核が入っているようにも見えませんが、本当はそうなのです。また細胞の辺縁もとても滑らかです。
細胞と細胞の間(細胞間隙さいぼうかんげき)も狭く、細胞間の情報が伝達しやすくなっています。
正常の組織像を見て、くどくどと解説しているのは、異常所見があったときに理解しやすいからです。組織が正常の構造を保つためには、整った環境でなければならないということが、後の解説で理解できると思います。

Bladderhyperrat【膀胱平滑筋の病的変化】
この図は、上の電子顕微鏡の同じ種類のネズミに実験的に排尿障害を作り、その後検査した所見です。
膀胱平滑筋の形が大きくなり、細胞内の核も腫大し染色も均一になっています。細胞質に空胞構造や切れ込み(陥入)が散見できす。平滑筋細胞の間(細胞間質)に、今までなかった物質(コラーゲン線維?)が出現しています。
排尿障害があると、このように膀胱平滑筋は変化するのです。しかし、臨床では排尿障害があっても、膀胱平滑筋は疲れているだけ程度にしか思われていないのです。医師の頭の中の想像と現実の間には、このようにギャップがあるのです。このギャップから生じる患者さんの訴えは、「気のせい」と片付けられることが多いのでしょう。

【考え方 その1】
細胞と核の形が正常時と異なるということは、生命現象にとってはとても大変なことです。
この状態を理解する方便として、膀胱平滑筋細胞を大きな工場として説明すると理解しやすくなります。
膀胱平滑筋全体が大きなオートメーション工場だと仮定すると、核は工場の中枢にあるコントロールセンターです。核が大きくなっているということは、コントロールセンターがフル稼働していているということです。コントロールセンターのコンピューターがフル稼働しているかどうかは、現実の世界では外見上は分かりません。しかし、生命活動の世界では核が大きくなっている、あるいは染色が正常ではないというのは、核が正常の状態ではないということが外見的に判断できるのです。
また、細胞が腫大している=工場がフル生産していることになります。この状態は一時的なら問題ありませんが、長期の場合には、工場の過剰生産あるいは工場内機械がオーバーヒートを起こすでしょう。従業員は過労のために次々と倒れるかも知れません。工場内の機械はオーバーヒートで発火し火事になるかも知れません。工場内には工業製品があふれ、足の踏み場もありません。工業製品の搬送もできません。
資材を調達する資金は枯渇し、工業製品の運搬路も崩壊し、この工場を持つ会社は倒産寸前です。
一枚の組織写真からここまで推理できると、病理組織学は奥行きが出てとても面白くなります。

組織学・病理学は形態学的検査ですが、上記のように、その背景にある生理学・機能学を想像しなければ生きた学問や検査にはなりません。しかし、最近の診断医は目の前の形態的異常のみに目を奪われ、その奥に潜む病態生理を見逃すことがあります。
話がずい分と横道にそれてしまいました。
この組織像から、表向きは上記のように説明がつきます。しかし、世の中は一方向からの観点からだけでは、誤った判断をすることがあります。チョッと視点を変えてみましょう。

Smimagej_2【考え方 その2】
イラストの膀胱平滑筋が収縮した絵を再度ご覧下さい。この収縮した膀胱平滑筋を中央の位置で切断すると、どのように観察できるでしょうか?
そうです、収縮していない膀胱平滑筋に比べて、細胞も核も大きく観察できるのです。つまり上の写真の【膀胱平滑筋の病的変化】は、膀胱平滑筋がすべて収縮している組織の断面図とも解釈できるのです。
核も細胞質も腫大していると判断することは、膀胱平滑筋細胞が静止状態でバカになってしまったという印象になりますが、収縮しているとなるとダイナミックな活動時の平衡状態のような印象で、全く正反対の印象です。

このネズミの膀胱組織を採取する状況を考えると、この異常さが容易に理解できます。排尿障害を作ったネズミをまず屠殺(とさつ)します。屠殺した時点ですべての筋肉、骨格筋も内臓筋も弛緩します。もちろん膀胱平滑筋もです。ところが、その後採取した膀胱平滑筋が収縮したままの形態で観察されているとすれば・・・異常でしょう?
つまりは、死んでもなお、筋肉が弛緩しない膠着状態の生きた膀胱平滑筋であったという事実に驚くばかりです。膀胱平滑筋の仕事は収縮することですから、死んでもなお収縮していると考えると、前記の【考え方 その1】の工場がフル稼働で破滅寸前という考え方にも共通するものがあります。

次に述べる専門書の実験結果は、これまでの考えを強調するものです。

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平滑筋の謎と秘密

膀胱や前立腺に存在する平滑筋は、解明されているようで実は完全には分かっていません。
私の本当の治療相手は、前立腺でもなく膀胱でもなく、実はこの平滑筋だと思っています。
この平滑筋について、少し詳細に述べようと思います。(私の空想・仮説も時々混じっていますから、だまされないように客観的にご自分の心の目でお読み下さい。)

1【α-ブロッカーとαレセプター】
私がよく間質性膀胱炎、前立腺肥大症や慢性前立腺炎にα-ブロッカーを処方します。α-ブロッカーは何に作用するかご存知ですか?
前立腺平滑筋や膀胱平滑筋のαレセプターに作用するのです。
αレセプターは、交感神経から放出されるノルエピネフリンに反応して、平滑筋を収縮させます。α-ブロッカーはこのノルエピネフリンとαレセプターの間に邪魔に入り、その作用を弱め、平滑筋の収縮を抑制し弛緩させるのです。
平滑筋は、心臓を除くすべての内臓や血管に分布します。その部位によってレセプターの種類が異なります。
血管はα1b、前立腺はα1aとα1d、膀胱はα1dレセプターにすみわけができます。(図ではα1dは?になっていますが・・・)

Mcomparison【筋肉の種類】
平滑筋はどのような特徴があるのでしょうか?
この図は、平滑筋・心筋・横紋筋の特徴を示した表です。平滑筋は内臓筋で、横紋筋は骨格筋です。心筋は筋肉の種類からすると横紋筋ですが、働きは力強い内臓筋の作用を持っています。要するに心筋=(横紋筋+平滑筋)÷2の性格を持っています。
横紋筋の収縮は神経に完全に依存しています。そして緊張度は筋紡錘という特別な装置でコントロールされています。
心筋は、多数の心筋細胞がペースメーカーの働きで全体として一つのまとまった動きをします。しかしペースメーカーの働きが弱いと、それぞれの心筋が勝手に収縮します。それが不整脈です。心筋は隣り合う筋肉同士の電気的情報のみでコントロールされていて、緊張度をはかる感覚器(筋紡錘)はありません。
平滑筋は、神経に完全にコントロールされたグループ(血管など)と、筋肉の電気的結合によって一つが全体に、全体が一つにまとまった動きをするグループ(胃・膀胱・子宮など)とに分けられます。平滑筋の緊張度をはかる感覚器がないにもかかわらず、平滑筋は緊張・収縮を適度に保っています。これが不思議なのです。

Smoothmb【平滑筋の仕組み】
平滑筋は、神経刺激や化学伝達物質、ホルモン、物理的伸展刺激などにより、カルシウムイオンを細胞内に取り込み、収縮をします。すなわち平滑筋内のカルシウムイオン濃度が高まると収縮するのです。
刺激が強いと、当然収縮するのですが、生理的には一定の緊張度を保ちながら我慢するのです。感覚器がないのに緊張度をはかれないのに我慢するのです。これが不思議な現象です。
例えば、オシッコがいっぱいたまったのに我慢できるシステムの詳細が、生理学でも臨床医学でも完全に解明されていないのです。

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膀胱出口の3D画像

以前から間質性膀胱炎や慢性膀胱炎の患者さんの検査を行い、詳細に説明しますが、膀胱出口が硬いというイメージがピンと来ない方がほとんどです。
何か良い手立てはないものかと頭を痛めていたところ、産科で使用される子宮内の赤ちゃんのリアルな表情を描出する3D・4D超音波エコー検査に可能性を見つけ器械を購入しました。
購入のいきさつに関しては、「開業医のこぼれ話」に掲載しています。また、その後の経過に関しては「慢性前立腺炎」のページに掲載しています。

Boo21133f24_2【実例】
大学病院で「心因性頻尿」と診断された、24歳のご婦人の尿流量測定ウロフロメトリー検査の所見です。
248mlの尿を54秒もの時間をかけてチョロチョロと排尿しています。残尿は87mlと大量です。
大学病院は何を検査したのでしょうね?
Boo21133f24e_2お決まりの超音波エコー検査では、膀胱出口の上にこんもりした盛り上がりが確認できます