PSA検査

PSA高値の7人〜8人に1人が顕在ガン

Img_0728
2年前にPSA値が高い患者さんを集計し、前立腺ガンの患者さんの発見率を調べてみました。
延べ人数ちょうど500人の初診患者さんで締めました。その中で前立腺癌と思われた患者さんが60名おられました。確率12%で、8人に1人(500人÷60人)の割合です。
また、先月11月の1カ月間に、PSA値が高くて来院した初診・再診患者さんの内、エコー所見と触診でハッキリと前立腺ガンと診断できた患者さんも集計してみました。
総数115人、その中で、前立腺ガンと確認できた顕在ガンの患者さは17人でした。約14.8%で、7人に1人の割合(115人÷17人)です。過去のデータから考えて、私の経験上、PSA値が高い患者さんの7人〜8人に1人が顕在ガン(ステージⅡ〜Ⅳ)です。
ところが、顕在ガンを除く、6人〜7人の患者さんに前立腺ガンが全くない訳ではありません。この患者さんに針生検を行えば、30%の確率でラテント癌(ステージⅠ)が発見できる筈です。つまり、6人〜7人の中で2人から前立腺ガンが発見されるでしょう。2年前の500人ー60人=440人のうち、30%の患者さん(440人×30%=132人)の132人のステージⅠのラテント癌が発見されるのです。

Img_0729
このエコー検査の写真は、PSA値が高く針生検を受けた患者さんの所見です。前立腺ガンの影は見えません。単に前立腺肥大症の所見だけです。ところが、前立腺肥大症のために、PSA値が高くなり、針生検を受けてしまい、ラテント癌である前立腺ガンが発見されてしまったのです。患者さんが持参した最初に掲げた説明書には【グリソンスコア6】で良性に近い前立腺ガンでした。つまり、この患者さんは、見つけなくてもいい癌を無理矢理に発見されたのです。ある意味、この患者さんは、治療や手術を受けるかどうかは別として、無理矢理のガン宣告を受けてしまった精神的犠牲者です。医師は、『前立腺ガンを見つけてやったんだ!』と言う気持ちでしょうが、「治療しなくても寿命に影響ないので安心してくださいね。」と告げられても、安心できる訳もありません。

| | コメント (0)

前立腺針生検への疑問

【PSA検査→PSA値が高い→前立腺ガンの疑い→針生検→前立腺ガンを確認→ガンの組織像(悪性度)を調べる→治療方針を決定する】

Img_0672以上が、前立腺ガン検診とその後の治療の流れです。一見完璧でツッコミどころの無い理論展開です。
しかし、私から言わせると、ツッコミどころが満載です。
今まで入手した文献データを基に考えると、次のいろいろなツッコミが出来ます。
❶男性には、PSA値とは無関係に年齢に応じたラテント癌が存在する!
50歳代12%
60歳代22%
70歳代35%
80歳代50%
この%には、前立腺ガンの患者さんは含まれていない。
❷PSA値が高くなる原因は、前立腺ガン以外の方がはるかに多い!
❸F/T比は、排尿障害があると当てにならない!
❹針生検で前立腺ガンを刺激して、生き物である癌細胞が「ジッ」と黙っているとは思えない!
❺ステージが低ければ(Ⅰ〜Ⅱ)治療の対象にならない事が多い。しかし、発見された事が患者さんに精神的トラウマを残す!『俺は、がんだ!ガンだ!癌だ〜!』
❻ステージが中等度(Ⅱ〜Ⅲ)であれば、ホルモン治療・超音波治療・放射線治療・重粒子線治療・手術治療の選択を患者さんの責任で選ばなければならない。キッカケを作ったのは医師なのに!
❼ステージが高ければ(Ⅲ〜Ⅳ)、一般的にはホルモン治療だけである。
❽ステージ分類は針生検なしで、触診とエコー検査でほぼ90%予想可能である!
❾継続したホルモン治療により、去勢抵抗性前立腺ガンCRPCを育てる可能性がある。
➓その場合、針生検がCRPCを育てるキッカケを作った可能性がある。
Img_0673⓫ステージⅠ~Ⅲの前立腺癌は、文献から他の病気の生存率と変わりない。針生検で発見しなければ、もっと生存率が高かった可能性がある。
⓬悪性度の高い低分化型(グリソンスコア8・9・10)は、針生検直後から生存率が極端に低下する!
以上の事から、初めの【理論展開】が、如何に稚拙で短絡的な思考法かということが分かる。

初めの【理論展開】で利益が得られるのは、針生検を受けた患者さん40人に1人位です。
PSAが高く、様々な検査で明らかに前立腺ガンを認められ、積極的な治療、例えば放射線治療・手術治療を受けたい患者さんに限って、針生検を実施すれば良いでしょう。

| | コメント (0)

口実

Img_0656「PSA値が高いから針生検しましょう」と強要されるのは、見方を変えれば、前立腺ガンをエサに何が何でも見つけ出して、積極的な治療に持っていく「口実」に思えてなりません。1回の針生検で見つからなければ、その後も何回も針生検を行うのが通例です。泌尿器科医師にとっての営業活動の1つに見えます。ある意味、患者さんの肉体に負担をかける事で利益を上げているようにも思えます。

針生検によって前立腺は傷だらけになります。通常、6本〜12本以上刺すわけですから、生体は傷ついた場所を修復するために懸命に努力します。顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、線維芽細胞などが総動員されます。その傷ついた組織の中に前立腺ガンが含まれる事があります。傷ついた前立腺ガン細胞は、マスト細胞で食べられ、周辺は顆粒球で攻撃されます。残っている癌細胞は、これらの攻撃に対抗できる武器を持ち合わせていません。唯一、細胞分裂を繰り返す事で、細胞の数を増やし続け対抗します。

Img_0653
ここで問題が出現するのです。
各臓器の細胞は、骨髄の幹細胞から供給されるモノサイトによって作られます。肝臓に到着したモノサイトは肝細胞になる肝母細胞に、腎臓に到着したモノサイトは腎細胞になる腎母細胞になります。
癌細胞は、骨髄からモノサイトが供給されませんから、増えるためには細胞分裂するしか方法がありません。正常で健常な細胞が分裂する時と違って、全く同じ細胞がコピーされることがありません。遺伝子情報を含んだ染色体もバラバラで数もマチマチです。染色体がバラバラだと、中には細胞をコントロールする染色体が消滅することがあります。つまり悪性度が増すのです。癌細胞の悪性度を増すキッカケを作ったのが針生検になるのです。
このグラフで分かるように、針生検をキッカケに生存率が急激に低下します。

「PSA値が高いから針生検をしましょう」という口実は、もしかすると悪魔や死神の囁きかも知れませんね。
【PSA値高い→前立腺ガンの疑い?→針生検で発見!→早期発見!→治療の選択→患者さんに有益だ!】という理論展開に一見、非の打ち所がないように思えます。
しかし、私の見えるこの理論のトラップは、次の項目です。
❶悪性度の低い癌細胞は、寿命に影響しない!
❷色々な理由でPSA値は高くなる!
❸針生検で癌細胞の悪性度が増す!
❹早期発見が重要なのは、ステージⅢ〜Ⅳだけ!
❺以前の針生検の後遺症でPSA値が高くなる!
これらの項目を全て否定する事が出来るのであれば、私は自分の考えを引込めましょう。

| | コメント (0)

PSA値が高いまま無事に6年間

Psa26708m798491
平成23年10月に来院した73歳の男性患者さんです。
PSA値が8.4と高く、虎の門病院で前立腺針生検を勧められましたが拒否して、当院に来院しました。
前立腺触診や超音波エコー検査では、前立腺癌とおぼしき所見は全くないので、定期的に検査することにしました。
平成24年、25年、26年、28年、29年の今年10月にチェックしました。現在79歳です。その間、PSA値が9.0を超える時もありましたが、前立腺癌の所見はまったく確認できませんでした。
写真は、一番最近の超音波エコー検査所見です。前立腺肥大症と排尿障害の証拠は認められますが、前立腺癌の陰影は認められません。触診も異常ありませんでした。
PSA値が高いと言われて針生検を勧められも、6年経過しています。前立腺癌の予後は、まずは5年ですから、この観点からも、この患者さんには前立腺癌が無いかラテント癌と考えて良いでしょう。
これからも毎年1回のペースで定期的検査で過ごせるでしょうね。

| | コメント (0)

PSA値が高くなる要因

Ilastpsaps
PSA検査結果が高いと言うだけで、前立腺針生検を強引に迫られ、悩まれる患者さんがとても多くおられます。今までも、PSAについてたくさん解説して来ました。そこで、イラストを使って、PSA値が高くなる要因を分かり易くまとめました。言葉で解説しても、なかなか理解できない方が多いので、イラストで表現しました。
それでは、1つ1つ解説しましょう。

続きを読む "PSA値が高くなる要因"

| | コメント (4)

PSAと前立腺ガンの関係

Psamecha
【PSA値が高い=前立腺癌】というのが、ちまたでは「常識」です。ただ、この常識が独り歩きしてしまい、前立腺癌が死亡リスクのない多くの人々に精神的、肉体的にも苦しめているのが現実です。

そこで、PSA値が高くなる理由について解説しましょう。
一般に信じられているPSA値が高くなる理由が、イラストで示したメカニズムです。さて、前立腺とは、PSAというタンパク分解酵素を合成して精液に混ぜる分泌腺です。合成するのが腺細胞で、その一部の腺細胞が癌化したのが前立腺癌です。

前立腺の腺細胞で造られた容器(腺腔)にPSAをヒタヒタに溜めています。PSAはタンパク分解酵素なので、漏れ出ると周囲のタンパク質でできた組織を破壊してしまう恐れがあるので、腺細胞と基底膜細胞でキッチリと防壁を築き上げています。
その防御壁の一部の腺細胞が癌に変貌すると、基底膜が破壊されPSAが漏れ出てしまい、それが、前立腺癌のPSA値が高くなる理由です。ここまでは、なるほどなるほどと思われるでしょう?

ところがです、基底膜を破るためには、前立腺癌細胞が腺腔内に増殖、増殖して隙間なく増殖してギュウギュウ詰めになる程密度が高くなければ、基底膜は破壊されません。癌細胞は、腺細胞の親戚ですから、基底膜を破壊できる能力は持ってはいません。単に物理的に基底膜が破壊されるから、PSAが漏れるのです。

ですから、PSA値が高くなる癌細胞は、増殖率の旺盛で触診やエコー検査で容易に判別可能なステージⅡ〜ステージⅣのグリソンスコア❽~❿に限ってです。増殖率の控えめなステージⅠやグリソンスコア❼以下の前立腺癌の場合は、この理論では説明できません。
すると、PSA値が高くて前立腺ガンのグリソンスコア❼以下の癌が発見された場合は、どのように考えれば良いのでしょうか?
これは、PSA値が高くなったのは、癌細胞が原因ではなく、前立腺肥大症、排尿障害(膀胱頚部硬化症)、前立腺炎が原因で、基底膜が破壊されたということです。PSAが高いと言う理由だけで、他の検査もしないで針生検を実施したということです。つまり、今話題になっている過剰診療になるのです。

一流大学の有名教授たちも、同じように【PSA高い=前立腺癌】の考え方に固執しているので、若いその他大勢の医師たちも、それに従うのは当然でしょう。知識人であるべき医師が本当に情けなし!

| | コメント (5)

PSA値が高くなる原因❷

PSAに関しては、このブログで機会があれば、たびたび解説しています。
ここで、まとめて解説したいと思います。
「PSA値が高い=前立腺ガン」と信じて疑わない医師が多くて困っています。何回も前立腺針生検を受けさせられ、その都度、「何でもないです。良かったですね。」と、無責任な回答をする医師がとても多いのです。針生検のたび毎に、10本近くも前立腺に針を刺される訳ですから、患者さんにとってみれば、たまったもんではありません。

続きを読む "PSA値が高くなる原因❷"

| | コメント (4)

PSA値を下げるサプリメント

PSA検査の値は、いろいろな原因で高くなります。
その原因として、前立腺肥大症、慢性前立腺炎、原因不明の排尿障害、生まれつきの前立腺の奇形、前立腺針生検の後遺症(針による穴だらけの結果)、そして、最後に前立腺ガンがあります、

続きを読む "PSA値を下げるサプリメント"

| | コメント (35)

提言

少なくても一人、多い時で数人の新患が、PSAが高いと受診されます。
1ヶ月で30人、 1年で400人という人数になります。
これは、由々しき問題です。1年で400人もの患者さんが病気(前立腺ガン)を心配して全国から訪ねてくるのです。
そして、そのほとんどの患者 さんが、PSAが高いだけで 、即、前立腺針生検を強く勧められているのです。PSAが高くなる様々の要因を調べもせずに、生きた患者さんを機械的にルーティーンに扱うのです。患者さんが直感的に納得できる訳がありません。

続きを読む "提言"

| | コメント (14)

PSA値が高くなる理由

以前にも、PSA値が高くなる理由について解説しましたが、医師も含めてPSA値=前立腺癌だと信じている患者さんが多いので、ここで重複するかも知れませんが、再び解説します。

まず、基本に戻って、PSAとは何なのかを説明しましょう。
PSAは前立腺が作る酵素です。酵素にもいろいろありますが、その中でタンパク分解酵素の分野に属する酵素です。
では、何の働きをしているのかというと、精液をサラサラの性状にするための酵素なのです。男性なら経験したことがあるでしょうが、精液の中に片栗粉の塊のような寒天状のダマダマが確認できることがあります。この現象は、PSAが十分に作用していない時に起こる現象です。PSAは、このダマダマをサラサラにして、精子の動きを自由にさせる作用があるのです。

ところが、PSAはタンパク分解酵素ですから、タンパク質で構成された人体に漏れ出てしまうと、いろいろな弊害が起きます。その弊害を防ぐ意味で、前立腺内の腺腔構造は頑丈に作られていて、腺腔から前立腺内にも漏れないような形になっています。

続きを読む "PSA値が高くなる理由"

| | コメント (16)

より以前の記事一覧