PSA検査

ニュースで連想した事


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新型コロナウィルスの罹患数と死亡者数の推移を示したグラフが、インターネット・ニュースで見つけました。現在の罹患数が4万2千人を超え、死亡者数は千人を超えました。新型肺炎の感染者の2.4%が残念ながら亡くなられているのです。マスコミでも大騒ぎです。このグラフを見て…あれ?…と気がついたことがあります。このグラフと似たようなグラフを過去に私が作った覚えがありました。

5b403c1ea1f244958a7eaf8c51d5db4d過去に作成した前立腺ガンの罹患数と死亡数のグラフが右に示しました。前立腺ガンの場合は、現在の罹患者の13%(1万3千人➗10万人)が亡くなられているのです。今話題の新型コロナウィルスの死亡率の「5倍以上」の確率で患者さんがお亡くなりになっているのです。新型肺炎の4万2千人の13%の5,460人も亡くなったら、もっと驚くべき感染症でしょう? しかし、前立腺ガンは話題になっている新型肺炎よりも、死亡率がはるかに高いのです。

その理由を考えてみましょう。前立腺ガンの罹患者が多くなった理由は次の通りです。

【PSA検査の普及→PSA値が高い→詳しく調べもしないで針生検→前立腺ガンのラテント癌も発見→罹患数の増加→13%か死亡→死亡者数の増加】になっているのです。無病であってもガンは存在するのてす。前立腺のラテント癌は、現在では平均で43.3%です。60歳で40%以上、70歳で50%以上、80歳で70%も存在するのです。PSA値が高いと云う理由で針生検をすれば、平均で43.3%の相当な確率で癌が見つかるに決まっています。40歳以上の男性が2,500万人とすれば、全員が針生検すれば、ラテント癌は1千万人に見つかるはずです。結果、13%の130万人が前立腺ガンで亡くなるのです。

この流れから考えてると、どう考えてもPSA検査の普及が原因だと思えて仕方がありません。PSA検査は前立腺ガンの発見には必要ですが、高ければ何でもかんでも針生検を行う事が、諸悪の根源なのです。触診や諸検査で、前立腺ガンを診断したら、針生検を行わないで治療を始めればいいのです。まして触診や諸検査で前立腺ガンを確認出来なければ、ほとんどがラテント癌ですから、針生検をしないで経過観察するべきなのです。

 

 

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PSA値が上昇する前立腺ガンの3タイプ

Psacell ❶イラストて示すのが、一般的なPSAが漏出するイメージです。このパターンの場合は、PSAの漏出は微々たるものですから、通常は高くなりません。腺腔膜を越えられない、この程度のガン細胞は、悪性度は低い細胞レベルですから、そっとするべきです。

Psacell2 ❷前立腺ガンが増殖して、腺腔内に広がるイメージです。前立腺の外側に出るよりも、内腔に浸潤する方が容易です。この場合もPSAはわずかしか漏出しません。やはり腺腔膜を越えられない、この程度のガン細胞も増殖能力が、それ程高くない中間型の悪性度グリソンスコアGS6〜7程度ですから、針生検はすべきではありません。

Psacell3 ❸前立腺ガンが腺腔内に留まらないで、外に増殖したイメージです。内腔にたくさん増殖すると、これ以上の隙間がないので、外側に増殖します。この場合はPSAは高めになります。腺腔膜を破ることの出来る、前立腺ガンは悪性度が高いグリソンスコアGS8〜10でしょう。

この3タイプに前立腺肥大症や膀胱頸部硬化症などの排尿障害があると、PSAの腺腔に常に圧力がかかるので、PSAは漏出しやすくなりますから、予想以上にPSAは高くなるのです。

ですから、PSA値が高い患者さんの場合は、触診やエコー検査で前立腺ガンを確認できなければ、前立腺ガンがあったとしても❶と❷のタイプですから、先ずは前立腺肥大症や排尿障害の治療を行い様子を見るべきです。すぐに針生検を行うのは、過剰な診療になります。

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PSA値が高くなり悩まれている患者さんへ

PSA値が高いから十分に調べもしないで、前立腺針生検を迫る医師がおいでであれば、下記の文章を参考にお渡しください。

********************

 主治医の先生に申上げたいことがあります。PSA値が高いと、即、前立腺針生検を実施するのはお控えください。先ずは必ず前立腺の触診を行い、前立腺ガンの硬結が触れるか否かを確認してください。もしも硬結が触れなければ、前立腺ガンが存在したとしても、ステージ①ですから10年生存率は健常者と同じなので、ガンを発見する必要はありません。さらに、硬結が触れた場合、その硬さや形状で悪性度グリソンスコアがおおよそ予想できます。前立腺肥大症に近い硬さであれば、グリソンスコア6前後です。かなり硬ければグリソンスコア7~8です。硬さが歪であればグリソンスコア9~10と考えていいでしょう。

 Pcagraf PSA検診に関して、世界的レベルのマスコミや学会では、乳がんと同様に前立腺ガンの過剰診断・過剰治療が問題になっています。しかしながら、日本では未だにPSA検査、針生検をやめてはいません。日本の状況を振り返ってみると判明することがあります。1975年頃は、前立腺ガンの死亡者数が1,200人ほどでしたが、2019年の現在では12,000人以上になっているのです。
1975年頃は、前立腺ガンの罹患数(前立腺ガンが発見された人数)が2,000人ほどだったのが、2019年の現在では78,000人以上になったのです。

この数字から客観的に調べると分かることがあります。
1975年の罹患数➗死亡者数=2,000人➗1,200人=1.7倍
2019年の罹患数➗死亡者数=78,000➗12,000人=6.5倍

時代とともに、前立腺ガンの罹患数が1.7倍⇒6.5倍と、まるで放物線のように急激に増加しているのです。しかしながら、前立腺ガンの死亡者数は角度の低い直線状です。このグラフから分かることは、今話題の「過剰診療」なのです。

Caseamengアメリカとイギリスの前立腺ガンの罹患数と死亡者数の比較したグラフです。PSA検診を行っていないイギリスの死亡者数と、PSA検診を行っていたアメリカの死亡者数がほぼ同じなのです。にもかかわらず、罹患数はアメリカが極端に多いのです。これは明らかにPSA検診による「過剰診療」なのです。

過剰診療でも、「たくさんの人を助けることが出来るのだからいいんだ!」とお思いですか?前立腺ガンと診断された患者さんのその後の人生において、ガンのことしか考えなくなるのです。ポジティブになれないので人生のQOLが低下してしまうのです。医師は患者さんを幸せにするのが使命なのに、患者さんを不幸にしてもいいのでしょうか?

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日本の前立腺ガンの死亡者数を注目すると、この40年間に10倍も増えているのです。その原因は不明とされていますが、グラフで示すように、PSA検診の普及により前立腺ガンの罹患数も死亡者数も増えたと考えることが出来ます。

その理由は、PSA検査で前立腺ガンが疑われ、前立腺針生検をして前立腺ガンが発見され、治療されるからです。???とお思いでしょう。これはラテント癌が関与しています。ラテント癌は60歳代~70歳代で50%、80歳代で60%も存在しているのです。その寝ているラテント癌をPSA値が高いことを理由に、前立腺針生検を行い、ホルモン療法で前立腺ガンを刺激しまくっているのです。それが理由で前立腺ガンの悪性度は増して、命にかかわる前立腺ガンに変身するのです。

PSA値が高い=前立腺ガンとは考えないで、PSA値が高くなる理由を考えてください。今の日本では80歳までに80%の男性が前立腺肥大症になると言われています。前立腺肥大症の原因のベースには、排尿機能障害があるのです。排尿機能障害があると、必ずPSA値は高くなるのです。触診と超音波エコー検査で前立腺ガンが確認できなければ、前立腺ガンが存在したとしてもステージ①と考えて前立腺針生検はしないでください。PSA値が高い=排尿機能障害と考えて、積極的に前立腺肥大症や排尿機能障害の治療を行ってください。お願いします。

【備考】
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/bph/2017/11/post-e77b.html

ご質問は下記にどうぞ。
高橋クリニック 高橋知宏(無名の開業医)
東京都大田区中馬込2-22-16
03-3771-8000

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PSA検査の過剰診断でラテント癌が見つかった人

前立腺ガンと診断された60歳代の患者さんが訪れました。

PSA検査で5.0以上で前立腺ガンを疑われ、MRI検査で大きさ1.2㎝の大きさの陰影が発見されました。2015年PSA4.9  2016年PSA5.01  2017年PSA7.2 と年々高くなったので、2018年3月についに前立腺の針生検を行いました。すると、10本中1本だけにグリソンスコア6という良性に近いガンが見つかったのです。前立腺の全摘手術をススメられたのですが、患者さんは拒否して、代替医療の医師に転医して、現在治療を受けているのです。

ここで疑問があります。直径が1.2㎝もの大きさの前立腺ガンかあるのに、たつた10本中1本しか見つからない訳がありません。MRI検査結果は、おそらくは誤診だったのでしょう。

その後は現在までは、代替医療を行っているのですが、2019年10月にはPSA値が6.519と高いままだったのです。本人も代替医療の医師も現状を知りたくて、医師から私が紹介されて来院されました。

早速、エコー検査を行いました。すると私の予想通りに、排尿障害のある前立腺の形状をしていました。膀胱排尿筋が間違った方向に向いており、相対的に膀胱三角部が厚くなり、頻尿症状が推察できました。確かに患者さんは毎日10回の頻尿なのです。また前立腺結石と、膀胱三角部粘膜も硬化像が認められます。これらの所見は、すべて排尿機能障害の後遺症です。結局として、現在のPSA値が高くなるのも、排尿機能障害の後遺症だったのです。

触診所見でも前立腺ガンは触れません。一般的にMRI検査で見つかる前立腺ガンは、触診で必ず見つかります。

Pcastagesuravival グリソンスコア6程度の悪性度の前立腺ガンが、PSA値を高くできるとは思えません。この患者さんの経過は、排尿機能障害によるPSA値の高値を理由に針生検されてしまったために、見つける必要のない悪性度の低いラテント癌が発見されたのです。これで、患者さんは最悪として今後の人生においてガンの事ばかり考えてしまうネガティブな人間に変身するでしょう。

この表は前立腺ガンのステージと5年生存率と同年齢の健常者の5年生存率の比較です。触診で確認できないステージⅠのラテント癌の場合、悪性度に関係なく5年生存率は90%以上であり、これは同年齢の健常者と全く同じなのです。そんなステージⅠの患者さんに前立腺針生検をして、逆に寝ていたガン細胞を傷つけて起こしてしまえば、良い結果が出ると思えますか?また傷つけたことが、ガン細胞だけでなく、患者さんの心も傷つけてしまうのです。

Gs6 これは、医師の行為による被害者とも考えられます。この患者さんのように、前立腺ガンのことしか興味のない医師によって、他の隠れた病気を見逃された患者さんはたくさんいます。医師の使命は、病気を見つけることは勿論ですが、患者さんの命ばかりでなく、患者さん人生のクオリティを高めるのも使命です。

現在の日本人男性の50歳以上では、40%以上の人にラテント癌が隠れています。80歳台では60%にもなります。これは前立腺ガン以外で亡くなられた方の病理解剖結果です。そのようなガンを見つける必要があると思えますか?

バカみたいに「PSA・針生検!PSA・針生検!PSA・針生検!」としか言わない医師は、注意した方がいいでしょう。

 

 

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PSA値が高いため、悩まれる患者さんへ

Ilastpsaps4PSA値が高い=前立腺ガンと思われている素人の方もいれば、専門の医師もいます。その医師たちが、「針生検しなければならない!」「針生検しなければ、治療ができない!」と強引に自分たちの何も考えないワンパターンの治療をすすめるのです。

PSA値の上がる原因は、前立腺ガンだけではなく、膀胱頸部硬化症などの排尿障害や前立腺肥大症、慢性前立腺炎、前立腺結石症、神経因性膀胱、先天性PSA漏出症など 、いくつもの原因があるのです。

逆に、ステージ0〜1の隠れた前立腺ガンは、発見する価値はまったくないのですが、さまざま理由でPSA値が高くなっている場合には、針生検によって寝ている前立腺ガン(ラテント癌)を刺激し起こして、悪性度を増し、結果、寿命に影響のある前立腺ガンを作ってしまう可能性があるのです。

M3pcatransition2PSA値が高くても、前立腺ガンで高くない=ステージ0〜1の患者さんを針生検で刺激しないように、PSA値を高くしている原因を追求するべきです。単純に前立腺ガンだけを見つけることは、総合的に考えて患者さんに不利益をもたらします。

先ずは、ステージ0〜1の確認をします。エコー検査で前立腺内にガンの陰影を認めない事です。次に前立腺の触診をします。硬結を触れない、前立腺の硬さが左右均等であれば問題ありません。

さらにPSA値が高くなる他の原因をエコー検査で確認します。❶前立腺の大きさが40cc以上あれば高くなる根拠です。❷前立腺の形が悪いと排尿障害が強い可能性が高いので、PSA値が高くなります。特に前立腺が膀胱に突出した形状です。❸前立腺結石を認めたら、やはり排尿障害を意味します。❹膀胱の粘膜が厚く凸凹デコボコしていれば、長年の排尿障害のために肉柱形成されたと判断します。

PSA漏出が高くてお悩みの方は、東京都大田区ですが、どうぞ頑張って起こしください。チェックしてステージ0〜1の可能性があるとしても、半年か一年に一回当院に定期的にチェックして頂ければ幸いです。

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PSA値と前立腺ガン発見率

PsariskPSA値が高いと前立腺がんを強く疑われます。このグラフは日本泌尿器科学会が公表しているものです。見て分かるように、PSA値が4.0を超える(〜10.0)と前立腺がんの発見率は40%〜50%を超えます。

しかし、高橋クリニックでPSA値が高いと言われて来院された患者さん500人の中、私の触診とエコー検査でがんを見つけることが出来たのは、60人つまり500人の12%でした。しかし、棒グラフの発見率と比べると、28%〜38%のこの差はどうしてでしょうか?

 

Stage5y_20190707170401これは、実は私が『前立腺針生検』を行わないで診断しているからです。針生検をすれば、前立腺に隠れているガン細胞(ラテント癌)が発見されるからです。エコー検査や触診で見つけることの出来ない前立腺がんは、ステージ❶と言う事になります。ステージ❶の前立腺がんの5年生存率と10年生存率は、ガンのなかった健康な人とまったく同じ生存率なのです。触診で判定可能なステージ❷、ステージ❸も5年生存率は健常人ろほぼ同じ生存率です。それでは、針生検をしてまで前立腺ガンを発見する必要があるのでしょうか?……ガンを発見したことで、ガン死のリスクよりも、ガンの恐怖で精神的に追い詰めることの方が、患者さんの人生のQOL(人生の充実度)低下のリスクの方がはるかに高いと思います。

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PSA検査評価の誤解

前立腺ガンの腫瘍マーカーであるPSA検査によって多くの前立腺ガンの患者さんが発見されることは事実です。しかしながら、寿命に影響しないステージ1の患者さんまで発見されて、多くの患者さんがガンノイローゼになり精神的に落ち込んでいます。その後の人生が暗〜くなってしまうのです。

Psasys1前立腺は分泌組織で腺構造です。その腺構造の外側に前立腺細胞があります。前立腺細胞はPSAというタンパク分解酵素を生産して腺腔構造に貯めるのです。PSAは射精の時に精液に混じり、ドロドロの精液をサラサラにして妊娠し易くします。ところが、何らかの原因でPSAが腺腔構造から漏れ出る→血液に混じる→PSA検査で注目されることがあります。

その漏れ出る原因として、次の5項目が挙げられます。

Psasys2❶排尿機能障害:膀胱の出口が十分に開かないで排尿すると、腹圧が直接的に前立腺に負担となり、その結果、前立腺が絞られますからPSAが腺腔から漏れ出ます。病気としては、前立腺肥大症、膀胱頸部硬化症、神経因性膀胱などがあります。

Psasys6❷慢性炎症:排尿障害などで前立腺に物理的負担が排尿のたび毎にかかるので、当然として慢性的傷害性炎症が発生し、一部の前立腺細胞は死滅します。死滅細胞が欠落した跡に新たな細胞が補充されるまでの間に、そこからPSAが漏れてしまうのです。一般的に炎症だからと言って抗生剤を2週間ほど処方され、再度PSA検査行い、高いと前立腺ガンの疑いが強いと診断されます。しかし、たった2週間くらいで、欠損部に新たな細胞が補充されるでしょうか?……疑問です。

Psasys3❸先天性瘻孔:前立腺細胞の接合部が生れながら不完全で亀裂=瘻孔ができ、そこからPSAが漏れてしまうのです。全ての人類がみんな完璧でみんな同じとは限りません。PSA検査の観点からみれば、ある意味で先天性PSA値異常症です。

Psasys4❹針生検の後遺症:上記の三点が原因でPSA値が高くなり、前立腺ガンを疑われ針生検をされた患者さんがたくさんおられます。針生検後の経過観察で定期的にPSA検査が行われます。すると時間とともに次第にPSA値が高くなるのです。主治医は、また針生検をしましょうと強要するのです。ところが、針生検で前立腺の中に当然傷ができます。傷が必ずしもきれいに治るとは限りません。そこからPSAが漏れても不思議ではありません。さらに1回の針生検で10本〜16本も傷つけられるのですから、針生検の後では、必ずPSA値は次第に上昇するに決まっています。

Psasys5❺前立腺ガン:腺腔構造の壁の一部にガン細胞ができると、周囲の多数の腺細胞との接合が不完全ですから、そこからPSAが漏れてしまうのです。これだけが前立腺ガンのPSA値の上昇なのです。

以上のように、さまざまな原因でPSA値は高くなるのです。PSA値が高い場合は、前立腺の直腸触診とエコー検査で前立腺ガンを確認できなければ、寿命に影響しないステージ①あるいは上記の原因❶❷❸❹であると考えて、無闇に針生検をしてはいけないのです。そうすれば多くの犠牲者を出さなくて済みます。 逆に針生検をすることで、隠れていたラテント癌を傷つけ刺激して、最終的には悪性度の高い前立腺ガンを作るキッカケを医師が創ってしまうのです。神さまは人生のあらゆる所にトラップ・罠を仕掛けているのです。私たち医師は自分たちのために医療を行うのではなく、患者さんの人生をクオリティーの高いものにしてあげるべく、創意工夫努力しなければならないのです。

【備考】内容についてのご質問やご相談は、コメントもしくはお電話(03-3771-8000午前中のみ)でご連絡ください。

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毎日新聞の記事から PSA検査と前立腺がん

患者さんからのご連絡で、毎日新聞の記事に私の考えと合致する内容の記事が掲載されたそうです。ご紹介ありがとうございます。
下記にその記事を要約しました。
詳細は下記のサイトをご覧ください。

毎日新聞


Mainichinews
高齢男性に多い前立腺がん。早く見つければ治療後の見通しは良いが、一般に病状の進行は緩やかなため、不利益も伴う治療をすべきか悩ましいところだ。2回目は、前立腺がんの早期発見に役立つPSA検査についてまとめた。【渡辺諒】

死亡率低下、証拠不十分 病状進行遅く、効果不透明
 長野県安曇野市の無職、工藤元彦さん(77)は約10年前に受けたPSA検査と、その後の精密検査を後悔し続けている。きっかけは夏風邪。2~3週間たっても治らず、市販の風邪薬を飲むと尿が出なくなり、救急病院へ。そこで受けたPSA検査で「異常」と出た。

 この検査は、前立腺がんの可能性を調べる検診の一種で、……。国立がん研究センターによると、がんや炎症で前立腺の組織が壊れると、PSAと呼ばれる特異なたんぱく質(腫瘍マーカー)が血液中に漏れ出てくる。PSAの血中濃度が1ミリリットル当たり0~4ナノグラム(ナノは10億分の1)は正常だが、同4~10ナノグラムだと25~40%の割合でがんが見つかる。……。

 PSA検査の結果を知った工藤さんは、前立腺12カ所に針を刺し、組織を採って調べる精密検査(針生検)を受けた。すると、1カ所からがん細胞が見つかり、医師から手術か放射線治療、PSAの値を定期的に調べる監視療法のいずれかを勧められた。「手術を選んだ友人が尿漏れに苦しんでいる」「前立腺がんは成長が遅い」ことを思い出し、工藤さんは結局、監視療法を選んだ。

 その後、少しずつPSAの値が上昇し、腰痛にも悩まされるように。「前立腺がんは骨に転移しやすい」と聞いたため、病院で磁気共鳴画像化装置(MRI)を使用した画像検査を繰り返し受けたが、がんは前立腺にとどまったまま。工藤さんは「結局、尿が出なくなったのもがんと関係がなかった。高齢者は早期にがんを発見して心配するよりも、知らずに過ごした方が精神的に健康だ」と話す。

早期の発見には有用
 PSA検査は、複数ある腫瘍マーカーのうち、「前立腺がんを早期発見するのに最も有用」(同センター)という。日本泌尿器科学会はガイドライン(指針)で、50代から受けるよう勧めている。学会の代議員で、黒沢病院(群馬県高崎市)の伊藤一人院長は「検査で前立腺がんの死亡率が下がったというデータもあり、一度は受けておくべきだ」と強調する。……。

 一方、問題は、早期発見による利益と不利益のバランスだ。米国予防医学専門委員会によると、55歳以上で自覚症状のない1000人がPSA検査を受けた場合、異常値となった240人のうち精密検査で100人にがんが見つかるが、前立腺がんによる死亡を避けられるのは1~2人。60人以上は……医療行為などによって、尿失禁や勃起不全の合併症を経験する。前立腺がんは進行が比較的遅く、寿命に影響しないことも多い……不利益が利益を上回るケースもある。

 過剰医療をなくそうと70以上もの専門学会が参加している米国のキャンペーン「Choosing Wisely」(賢い選択)でも、米国泌尿器科学会が「リスクについて医師と話し合った後に検査を検討すべきで、日常的に受けるべきではない」と呼び掛けている。米国ではPSA検査について、医師と患者が対等に話し合い、結果についての責任も両者が負う「シェアード・ディシジョン・メイキング」という考え方が浸透している。大阪大の祖父江友孝教授(がん疫学)は「一般的に検診を肯定的に捉える風潮が強いが、検査を受けることで発生する不利益も考えてほしい」と話す。

 日本でも厚生労働省の研究班がまとめた指針によると、個人の判断で受診することは妨げないものの、市区町村が行うがん検診への導入は勧められないという。がん検診の最も重要な点は、検査によってそのがんによる死亡率を下げることだが、国立がん研究センター検診研究部の中山富雄部長は「PSA検査には『下げる』と『下げない』と両方のデータがあるため証拠が不十分で、現時点で結論が出せない」と指摘する。

 8割超の市区町村がPSA検査を導入している中で、熊本市や東京都八王子市のように厚労省研究班の指針を順守し、PSA検査を提供していない自治体もある。大阪府は府内の市町村に対し、指針に基づく検診だけを実施するよう通知することも検討している。

多い選択肢 十分理解を
 利益と不利益をきちんと理解してからPSA検査を受けるべきか判断すべきだが、検査して「異常」となった場合にはどんな精密検査や治療が必要になるのか。

 がんかどうか確定するには精密検査の針生検が必要だが、年齢や前立腺の大きさ、MRIの画像検査の結果次第で針生検を一度中止し、半年から1年後にPSA検査を再び行ってから決めることもできる。……。

 治療としては、がんの転移があれば、薬剤で男性ホルモンを下げてがん細胞の増殖を抑える。一方、がんが前立腺内にとどまっている場合は、▽手術▽放射線▽監視療法--の3種。ただ、手術でがんを取り除こうとすると、前立腺周辺の神経や括約筋にダメージが加わり、……。放射線治療でも、排尿困難や頻尿、血尿、便秘の症状が出る可能性もある。

 監視療法は、がんが前立腺内にとどまり、PSAの値も血中濃度が1ミリリットル当たり10ナノグラム未満といった低リスクの患者に対して行われ、3カ月ごとにPSA検査を、1年後に針生検を受け、がんの進行を見極めていく。しかし、針生検にも感染症や排尿障害が出る恐れがある。

 国立病院機構大阪医療センター泌尿器科の西村健作科長は「前立腺がんは治療の選択肢が多岐にわたるため、長所と短所を説明するのに十分な診療時間が必要だ。患者は3種の治療内容と有効性、合併症などを偏りなく理解したうえで、納得できる治療を選んでほしい」と話した。

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PSA検査の大いなる誤解と弊害

間寛平さんの出演する前立腺癌早期発見キャンペーンをテレビ・コマーシャルでよく見ることがあります。
PSA検査で前立腺癌を早期発見しようというキャンペーンです。年間43000人が前立腺癌になるという恐ろしい内容です。
依然、このブログで、PSA検査を発見した研究者の最近の思いを掲載しました。(ニューヨーク・タイムズの記事)ここにその直訳を載せましょう。

Published: March 9, 2010
Tucson
発行日: 2010年3月9日ツーソン

EACH year some 30 million American men undergo testing for prostate-specific antigen, an enzyme made by the prostate. Approved by the Food and Drug Administration in 1994, the P.S.A. test is the most commonly used tool for detecting prostate cancer.
『毎年約3000万人のアメリカ人の男性が、前立腺特異抗原PSA(前立腺によって作られる酵素)の検査を受けています。1994年に食品医薬品局によって承認されたPSA検査は、前立腺癌検査の最も一般的に使用される検査法です。』

The test’s popularity has led to a hugely expensive public health disaster. It’s an issue I am painfully familiar with — I discovered P.S.A. in 1970. As Congress searches for ways to cut costs in our health care system, a significant savings could come from changing the way the antigen is used to screen for prostate cancer.
『このPSA検査の流行は、高額な経費かけた国民の健康被害に発展しました。 この問題は、私にとって切ないほど馴染みのある問題です。なぜなら、1970年に私がPSAを発見したからです。 議会が国民のヘルス・ケア・システムでコストを削減する手立てを模索している時に、抗原が前立腺癌のスクリーニング検査として使用される方法に変えることで、かなりの節約になりました。』

Americans spend an enormous amount testing for prostate cancer. The annual bill for P.S.A. screening is at least $3 billion, with much of it paid for by Medicare and the Veterans Administration.
『アメリカ人は前立腺癌の検査に巨額の費用を負担しています。 PSAスクリーニング検査のため、毎年の請求額は少なくとも30億ドル(2400億円)です。それらの多くが老人医療健康保険制度と復員軍人援護局によって支払われています。』

Prostate cancer may get a lot of press, but consider the numbers: American men have a 16 percent lifetime chance of receiving a diagnosis of prostate cancer, but only a 3 percent chance of dying from it. That’s because the majority of prostate cancers grow slowly. In other words, men lucky enough to reach old age are much more likely to die with prostate cancer than to die of it.
『前立腺癌と聞けば多くの重圧を感じるかもしれませんが(あるいは、前立腺癌と知れば多くの記事や評判になるかも知れませんが)、次の数字を考えてみてください。 アメリカ人の男性が、生涯に前立腺癌の診断を受ける可能性は16パーセントです、しかし、前立腺癌で死亡というのは、わずか3パーセントしかありません。 それは前立腺癌の大部分の成長が遅いからです。 言い換えれば、幸運にも高齢者になった男性は、前立腺癌が原因で亡くなるよりも、前立腺癌を持って亡くなる人の方がはるかに多いのです。』

Even then, the test is hardly more effective than a coin toss. As I’ve been trying to make clear for many years now, P.S.A. testing can’t detect prostate cancer and, more important, it can’t distinguish between the two types of prostate cancer — the one that will kill you and the one that won’t.
『その時でさえ、この検査はコイン占い(コイントス)より無意味です。 私が、今まで何年間も明らかにしようとして出来なかったことは、PSA検査で前立腺癌を検出できないこと、さらに重要なことは、それが2つのタイプ、つまり死亡原因になる癌か天寿を全うできる癌かを見分けることができないということでした。』

Instead, the test simply reveals how much of the prostate antigen a man has in his blood. Infections, over-the-counter drugs like ibuprofen, and benign swelling of the prostate can all elevate a man’s P.S.A. levels, but none of these factors signals cancer. Men with low readings might still harbor dangerous cancers, while those with high readings might be completely healthy.
『代わりに、この検査は、男性の血中前立腺抗原がどのくらい持っているかが単に分かるだけです。 感染症、イブプロフェンのような市販薬、および前立腺肥大症はすべて、男性PSAレベルを上げます。しかし、これらの要素のいずれも癌ではありません。 PSA値が低いと判定された場合でも、前立腺癌を完全否定することはできませんが、一方で、高いと判定された場合でも、健常者とされる場合もあります。』

In approving the procedure, the Food and Drug Administration relied heavily on a study that showed testing could detect 3.8 percent of prostate cancers, which was a better rate than the standard method, a digital rectal exam.
『承認手続きの際に、食品医薬品局は、一般的な検査法である直腸触診に比べ前立腺癌発見率が良いとして、3.8パーセントの前立腺癌を検出できたPSA検査研究を大いに根拠としました。』

Still, 3.8 percent is a small number. Nevertheless, especially in the early days of screening, men with a reading over four nanograms per milliliter were sent for painful prostate biopsies. If the biopsy showed any signs of cancer, the patient was almost always pushed into surgery, intensive radiation or other damaging treatments.
『それでも、3.8パーセントは少ない数です。 それにもかかわらず、特に初期のスクリーニングでは、PSA値4ナノグラム/mL以上の男性を苦痛な前立腺生検へとしました。 生検で何か癌の兆候を見つけたら、ほとんどいつも外科的治療や積極的な放射または他のダメージが大きい治療に患者さんは追い込まれました。』

The medical community is slowly turning against P.S.A. screening. Last year, The New England Journal of Medicine published results from the two largest studies of the screening procedure, one in Europe and one in the United States. The results from the American study show that over a period of 7 to 10 years, screening did not reduce the death rate in men 55 and over.
『医学界はPSAスクリーニングに対してゆっくりと方向転換しています。 昨年、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、スクリーニング方法について2つの大規模研究を報告しました。1つはヨーロッパ、もう1つは合衆国の研究です。 アメリカの研究結果からは、7年~10年の期間にわたっての研究で、PSAスクリーニング検査は55歳以上の男性の前立腺癌死亡率を低下させることはなかったという報告です。』

The European study showed a small decline in death rates, but also found that 48 men would need to be treated to save one life. That’s 47 men who, in all likelihood, can no longer function sexually or stay out of the bathroom for long.
『もう一つのヨーロッパの研究では、死亡率のわずかな減少を示しましたが、48人もの男性のスクリーニング検査で、治療が必要な人をたった1人しか見つけるにすぎませんでした。 残りの47人の男性は、ほとんど性的機能が廃絶しているか、入浴できないような人たちでした。』

Numerous early screening proponents, including Thomas Stamey, a well-known Stanford University urologist, have come out against routine testing; last month, the American Cancer Society urged more caution in using the test. The American College of Preventive Medicine also concluded that there was insufficient evidence to recommend routine screening.
Thomas Stamey、『ご存知スタンフォード大学泌尿器科医、を含む多数の早期スクリーニング提案者たちは、定期PSA検査に反対しました。 先月、アメリカ癌協会はPSA検査を行う際に、さらに多くの注意を喚起しました。 また、American College of Preventive Medicine は、定期検査を推薦するには根拠が不十分であったと結論を下しました。』

So why is it still used? Because drug companies continue peddling the tests and advocacy groups push “prostate cancer awareness” by encouraging men to get screened. Shamefully, the American Urological Association still recommends screening, while the National Cancer Institute is vague on the issue, stating that the evidence is unclear.
『さて、PSA検査はなぜまだ続けられているのでしょうか? 製薬会社が、PSA検査を売り続けていることと、圧力団体が、男性はスクリーニング検査を受けるように「前立腺癌の啓蒙」を押しているからです。 恥ずかしくも、アメリカ泌尿器科学会は、スクリーニング検査をまだ勧めています。一方、国立ガン研究所はこの問題に関してあいまいな立場ですが、証拠が不明瞭と述べています。』

The federal panel empowered to evaluate cancer screening tests, the Preventive Services Task Force, recently recommended against P.S.A. screening for men aged 75 or older. But the group has still not made a recommendation either way for younger men.
『癌検診を評価するのに権限を与えられた連邦委員会(Preventive Services Task Force)は、最近、75歳以上の男性に対してPSAスクーリング検査を推薦しました。 しかし、委員会は、75歳未満の男性に対していずれにせよ勧告はしませんでした。』

Prostate-specific antigen testing does have a place. After treatment for prostate cancer, for instance, a rapidly rising score indicates a return of the disease. And men with a family history of prostate cancer should probably get tested regularly. If their score starts skyrocketing, it could mean cancer.
『前立腺特異抗原テスト(PSA)は今でも一定のポジジョンを占めているのも事実です。 例えば、前立腺癌治療後に、急速に上昇するPSA値は、病気の再燃を示します。また、前立腺癌の家系がある男性は定期的にPSA検査されるでしょう。 PSA値が急峻に上昇し始めるなら、それは癌を意味します。』

But these uses are limited. Testing should absolutely not be deployed to screen the entire population of men over the age of 50, the outcome pushed by those who stand to profit.
『しかし、これらの用途は限定的です。 50歳以上のすべての男性をスクリーニングするためにPSA検査を絶対に実施すべきではありません。PSA検査は利益追求側に立った人々によってごり押しされた代物です。』

I never dreamed that my discovery four decades ago would lead to such a profit-driven public health disaster. The medical community must confront reality and stop the inappropriate use of P.S.A. screening. Doing so would save billions of dollars and rescue millions of men from unnecessary, debilitating treatments.
『40年前の私の発見が、このような利益主導の国民健康災害につながるとは夢にも思いませんでした。 医学界は、現実に立ち向かって、PSAスクリーニングという誤りを止めなければなりません。 そうすることで、何十億ドルの節約と数百万の男性を不要で有害な治療から救出することがきっと出来るでしょう。』

【原文】

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イギリスから訪れたご夫婦

イギリスの健康診断でPSA値が高く、主治医から針生検を強いられて悩むご主人を見て、奥さまがインターネット検索で、私の書いているブログをお読みになりました。私の意見に共感し、日本に来る予定があったので、ご夫婦で高橋クリニックにお越しになりました。奥さまは、私のブログをお読みになっているので、積極的ですが、ご主人は連れて来られたという印象で、落ちつかない様子です。

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前立腺の大きさは32cc(正常20cc)で少し大きめです。また、膀胱出口が膀胱側に突き出ています(白い矢印↖️)。本来の前立腺と膀胱の境界線は点線のラインです。この形態から、排尿障害が強いと考えられます。
触診では、典型的な前立腺肥大症の硬さで、左右差がありません。前立腺ガンの固い硬結も触れませんから、前立腺ガンの心配はありません。

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結局、排尿障害が強く、さらに前立腺肥大症もあるために、排尿時の強い圧力(青い矢印⬇︎)がスムーズに尿道を通過しません。そのため、圧力⬇︎はすべて前立腺にかかります。前立腺は【PSA】というタンパク分解酵素を貯蔵している臓器でもありますから、その圧迫でイラストの如くPSAが漏出して、血液検査でPSA値が高いと判断されるのです。

触診と超音波エコー検査で前立腺ガンが確認できなければ、前立腺ガンが存在しないか、あるいは最悪ステージⅠと判断できます。もしも、ステージⅠだとしても、5年生存率は癌でない人と比べても同じなのです。また、ステージⅠ・Ⅱ・Ⅲの5年生存率も同じですから、触診とエコー検査で確認できてから治療しても遅くはありません。様子をみることにしました。
1年後に再検査することにしました。奥さま!ご理解いただけましたか?

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