前立腺肥大症の外科手術

手術後の排尿障害?

60代の男性患者さんが、他の病院で前立腺肥大症の手術を行ったにもかかわらず、以前よりオシッコの出が悪くなったと訴えています。
Postopbns18736m65echops超音波エコー検査で確認すると、前立腺のある筈の部分が綺麗に切除されています。主治医の医師も「前立腺は皮一枚残して削ったから、そんなはずはない。」と取りあってくれないとのことでした。
確かに、この超音波エコー検査所見では、そのような結論になります。

Postopbns18736m65
そこで、超音波エコー検査の見方を変えて、3Dで立体的に観察してみると、前立腺のあった空間から尿道に移行する部分にシコリを発見しました。おそらく、このシコリが排尿障害の原因でしょう。

Postopbns18736m65preop
患者さんは、手術を強く希望されたので、手術を予定しました。
さて、手術当日、内視鏡検査で観察すると、予想通り、前立腺尿道移行部に腺腫の削り残しが認められました。残存の腺腫が、排尿圧力で通り道を塞ぐような動きをするのです。
この残存腺腫が術後の排尿障害の原因だったのです。

Postopbns18736m65postop
残存腺腫を改めて電気メスで削り除去しました。
写真でご覧のように、残存腺腫はきれいに取り除かれ、尿の通り道が確保されました。

手術をしても、前立腺肥大症の症状が取れないで悩まれている患者さんは、結構存在します。そのような主治医の多くは、「前立腺肥大症は残っていないから、症状が取れないのは、気のせいか歳のせい!」と診断するのです。この病気でお悩みの方は、ご相談ください。

| | コメント (0)

高周波電気メスERBE・VIO300D

Erbevio300d開業以来3代目になる電気メスを購入し、10月29日に届きました。
ドイツ製のERBE・VIO300Dタイプです。ERBE社の電気メスとしては最高峰の電気メスです。内視鏡手術に特化したバイポーラカット++というモードで切れ味はとてもよく、バイポーラソフト凝固++というモードで止血効果も高いのが特徴です。さらに、今までの電気メスでは内視鏡手術中に細かい気泡が出現して視野を妨げていたのですが、その気泡が非常に少なく、術者のストレスがないというのも特徴です。

TURis-Vという蒸散モードでは、今以上に蒸散効率が高く、今流行りのレーザー手術に引けを取らない効果が実現できます。

| | コメント (2)

前立腺肥大症内視鏡手術の進歩と前立腺癌の変遷

泌尿器科医として35年働いています。
その間に、内視鏡手術をたくさん行ってきました。一番多いのがTUR-P、つまり経尿道的前立腺切除手術(Trans Urethral Resection of Prostate)です。
私の前立腺癌に対する針生検の危険をこのブログでさんざん解説していますが、ラテント癌も含めて前立腺癌はかなりの頻度で存在している筈です。すると内視鏡手術で傷害を受けた前立腺の中に存在したかも知れない前立腺癌細胞が刺激されて、癌細胞が勢いを増す筈です。
ところが前立腺肥大症の内視鏡手術を過去に行った患者さんに前立腺癌が多いという印象は全くありません。当時、前立腺肥大症の内視鏡手術を実施していた対象は、ほとんどが70歳代です。ラテント癌のリスクから考えると34%の確率で前立腺癌が存在している筈ですが、前立腺肥大症の内視鏡手術を実施した患者さんの34%の方が前立腺癌で亡くなられたという記憶はありません。
これは不思議なことです。考えられる理由は、内視鏡手術の際に使用される電気メスの高周波の電流が、前立腺全体に流れ、前立腺の正常細胞のみならず、隠れていた前立腺癌細胞にも電撃暴露されて、前立腺癌細胞が死滅(アポトーシス)しているからではないか?と考えるのです。

続きを読む "前立腺肥大症内視鏡手術の進歩と前立腺癌の変遷"

| | コメント (0)

前立腺肥大症の内視鏡手術TUR-P

前立腺肥大症の手術で超有名なのが内視鏡手術、経尿道的前立腺切除術 Trans Urethral Resection of Prostate です。
尿道から手術器具を挿入し、電気メスで尿流の障害になる前立腺を削る手術です。外国生れのこの手術は、日本でも50年以上前から行われてり、前立腺肥大症の標準手術(ゴールデン・スタンダード)になっています。

麻酔
一般的に硬膜外麻酔・脊椎麻酔で行われます。

手術道具

【実例】 67歳男性です。
手術前の前立腺部尿道の所見です。13860m67bphbns26時の位置に精丘が確認できます。左右から前立腺が尿道を圧迫して、本来見える筈の膀胱が確認できません。2cmの完全閉塞です。慢性前立腺炎と異なり、炎症性ポリープはなく、粘膜は突っ張った感じです。


内視鏡を2cm先に進めると、13860m67bphbns膀胱出口が確認できます。直径3mmの狭い出口です。麻酔がかかっていてこの狭さですから、通常はもっと狭く排尿障害が強いことが示唆されます。6時の位置の粘膜がポリープ状に腫れていて容易に出血しそうです。この6時の位置の粘膜の張り具合が膀胱粘膜を引っ張り、常に尿意を作る原因になります。ですからこの部分を切除することで、膀胱出口(膀胱頚部)の緊張を解くことが出来ます。


膀胱粘膜に確認できる肉柱です。13860m67bphbns4肉柱は排尿障害が強い時に確認できる膀胱・筋・粘膜の代償性変化です。常に膀胱がム~と力んでいると肉柱が形成されます。


TUR-P直後の所見です。13860m67bphbns3術前の写真と比べると一目瞭然でしょう。精丘から膀胱が容易に観察できます。術前から比べれば排尿が楽になるでしょう。

| | コメント (1) | トラックバック (0)