グリソン・スコア

メール相談 グリソン・スコア8の治療

高橋先生
突然のメールで失礼いたします。私は〇〇〇〇と申します。
実は、標題の件で悩んでいます。先生のお考えをお聞かせ下さい。
これまでの経緯です。
昨年の職場の検診で再検査の通知が来ました。そこで県立のがんセンターへ申し込みました。
年齢5・歳
2012.1.・・ PSA数値5.536
2012.2.・・ PSA数値4.591
2012.5.・・ PSA数値4.711
2012.5.・・ 針生険を実施
2012.6.・・ 結果
 A.癌かどうか・・・腺癌
 B.癌のひろがり、部位
      陽性本数       1
    ━━━━━━━━ = ━━━━
      生険本数      14
 C.癌のかたち(悪性度)
    グリソン分類 4
    グリソンスコア=8
 D.癌の進行度(ステージ) 未

2012.6.・・ RI検査(骨シンチ)実施
2012.6.・・ CT検査(腹部CT)予定
2012.6.・・ 結果

以上、現時点での状況です。
担当医は、前立腺全摘術を勧めています。
そこで、高橋先生が考える最善の治療法を教えて下さい。
私は、全摘出した場合の副作用や生死のこと、また、術後の経過など心配でなりません。
全摘出が本当に最善の治療方法なのか、高橋先生のお考えを聞かせてください。
よろしくお願いいたします。

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Gleasonスコア【7】の前立腺癌患者さん

Pca26150m68gleason760代の患者さんです。
PSA値が60以上を理由に、大きな病院で前立腺針生検を実施したところ、前立腺癌が見つかりました。Gleason(グレソンあるいはグリーソン)スコアが【7】と診断され、骨転移は認められなかったので放射線治療をすることになりました。

Gleason患者さんは理系の仕事をされている方です。
Gleasonスコア【7】と診断されても、今ひとつピンと来ません。主治医も病理所見に関して説明がないので、インターネットで私を見つけ、組織スライドを持参・来院されました。
Gleasonスコアは、まずは前立腺組織全体の構造を見ます。正常の構造からかけ離れるほど、悪性度が増すことになります。正常の前立腺構造は腺組織であるため大きな腺腔(ルーメン)構造が均一に観察できます。癌化すると大きな腺腔構造が小さくなり、大きさが不揃いになり、最終的には腺腔構造が消失します。

この観点から患者さんの組織スライドを観察すると、腺腔構造が小さく不揃いで、中には腺腔構造が消失していると思われる場所もあります。それから考えると、この写真はGleason分類で【4】です。
他の部分では、腺腔構造が大きくハッキリしたものも確認できたので(Gleason【3】)、Gleasonスコアは、【4】+【3】=【7】と判定できます。

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グリソン・スコアとPSA-density

GspsadensityTTMed-Urologyという泌尿器科医向けのインターネットサービスで定期的にup-to-dateの情報が数々送られてきます。
その中に興味ある文献があったので、右にご紹介します。

グリソン・スコアは前立腺癌の悪性度を示す指標です。この指標が臨床経過と相関するので泌尿器科医は重宝しています。ただし、一つの指標だけで、前立腺癌の性格をすべて表現できないことは想像できます。


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前立腺癌の分類 グリソン分類

S07985091f002前立腺ガンの分類はいくつか存在します。
細胞の悪性度を観察して、高分化型、中等度分化型、低分化型の3タイプに分ける方法が昔からありました。
しかし、必ずしも臨床の悪性度と一致するわけではなかったので、今回紹介するグリソンGleason分類が一般的です。

前立腺ガンの疑いがある患者さんは、来院した時点ではガンの浸潤も転移も分かりません。しかし、前立腺針生検で、それが予測できれば治療に多大に貢献してくれます。それが、グリソン・スコアです。

まず採取した前立腺組織の細胞の悪性度と組織の異常さから、次の5つに分類します。
【グリソンgrade1】ガン細胞を認めるが、前立腺本来の姿に近い組織構造をしている(図の①とB)
【グリソンgrade2】上記とほとんど同じだが、腺構造(腺房)が不均一である(図の②とC)
【グリソンgrade3】腺房が変形し、腺構造のガン細胞の層が厚くなっている(図の③とD)
【グリソンgrade4】腺房の変形が進み、ふるい(篩)構造に見える(図の④とE)
【グリソンgrade5】腺房構造が消失し、全面ガン細胞だけである(図の⑤とF)

針生検で採取した前立腺組織を観察し、このグリソンgradeで分類します。しかし、組織の中は一つのGradeで均一とは限りません。そこで、一番多いGradeと2番目に多いGradeとを併記し、そのGradeを加算してグリソン・スコアとします。
例えば、組織の検査したら、どこを見てもグリソンgrade2しか観察できなければ、【2+2=4】となり、グリソン・スコア4点になります。
例えば、一番多いのがグリソンgrade2でしたが、2番目に多かったのがグリソンgrade4だとすれば、【2+4=6】となり、グリソン・スコア6点になります。グレソン・スコア4点と6点とでは、グリソン・スコア6点の患者さんの方が、臨床上悪性度が高い(予後が悪い)と予測します・
この算出法では、スコアは最低で2点から最高点10点で分類できます。このスコアと臨床経過の予後が一致傾向にあるので、臨床に多く使用されています。

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