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膀胱括約筋に注目

Ecoh1 泌尿器科の男性のエコー検査で、一般の医師は前立腺の大きさと、前立腺結石・石灰・膀胱結石・膀胱腫瘍しか評価しません。前立腺が大きくなければ、異常なしと診断します。前立腺結石は無視です。慢性前立腺炎や間質性膀胱炎や過活動膀胱の患者さんにエコー検査しても異常なしと誤診するのです。一般の医師は、エコー検査の画像を小さいままで観察するです。小さな構造異常は気にもなりません。それで異常なしと誤診してしまうのです。それを回避するためには、画像を5倍〜6倍に拡張するのです。当然ですが、画像のいろいろな陰影を見て「これは何だろう?」「どうして、こんな形になるのだろう?」と色々な疑問を感じるはずです。

 私がエコー検査で注目するのが膀胱括約筋の肥大の有無です。初めのイラストはエコー検査の側面像と正面像の表示です。側面像では膀胱括約筋は見ることが出来ませんが、正面像で観察すると前立腺の左右に膀胱括約筋が見えます。

Ecoh2_20201017120401 排尿障害が持続して存在すると、膀胱括約筋が次第に肥大します。それを表示したのが2枚目のイラストです。側面像で膀胱括約筋が確認できます。その理由は左右に合った膀胱括約筋が肥大して、中央に突き出ているからです。排尿障害が長く継続すると、膀胱括約筋が肥大して、エコー検査の側面像で確認できるのでです。

Psa37904m65pp【実例】
 この初めの写真はPSA値が高くて来院した60歳代の患者さんの前立腺の』エコー所見です。今年の6月に膀胱炎症状が出現し、地元の病院に行ったら、PSA値が5〜9と高く、前立腺針生検をされてしまいました。8ところがガン細胞は発見されませんでした。その後陰部が痛くなり、今度は慢性前立腺炎と診断されたのですが、治らないので当院を受診されました。
【?】マークで示している部分が何だと思いますか?

【?❶】は膀胱括約筋です。【?❷】は膀胱縦走筋です。【?❸】は膀胱出口粘膜の硬化像です。

【?❶】の膀胱括約筋はエコー所見の側面像では、普通の方は見えないのが正常です。排尿障害が長期間継続すると、膀胱括約筋が次第に肥大して、エコー所見の側面像で見えてしまうのです。

【?❷】の膀胱縦走筋は、膀胱出口を開くための筋肉ですから、膀胱出口に近く(5mm)に向いていなければなりません。ところが、この膀胱縦走筋は膀胱出口から10mm以上も離れています。これも排尿障害が原因です。

【?❸】の膀胱出口粘膜の硬化像は、正常の人にはありません。オシッコする時に膀胱出口は開くために粘膜が硬ければ開きにくくなってしまいますよね?ですから正常ではあり得ないのです。この所見は、膀胱出口が十分に開かない状態でオシッコをしているからです。それは膀胱出口がオシッコのたびにブルブル震えるからです。そのため粘膜が次第に硬くなるのです。結果、患者さんにオシッコの出方をお聞きすると、オシッコが2つに割れたり散ったりしていますとお答えになりました。

Psa37904m652pp 2枚目の写真は患者さんのエコー正面像です。【?❹】は左右の膀胱括約筋が肥大して合体している所見です。この合体所見が、膀胱括約筋の肥大です。

 この患者さんは前立腺の大きさは25ccと正常範囲ですが、エコー所見で排尿障害が強いことが理解できます。オシッコの際に膀胱出口に向かって圧力がかかります。膀胱出口が十分に開かなければ、その圧力の大部分が前立腺に負荷を掛けます。前立腺内には前立腺液が貯蔵されています。その前立腺液の中にPSAが大量に含まれているのです。その圧力がPSAを血中に染み出させるのです。当然として血中のPSA値が高くなります。それをバカな医師が「前立腺ガンだ!針生検しろ!」と強調するのです。

【実例の結論】
この患者さんに排尿障害があり、それが原因で膀胱炎症状になったのです。排尿障害が原因でPSA値が高くなり、針生検をされてしまいました。前立腺が10カ所以上も針で傷つけられ、それをキッカケに慢性前立腺炎症状になってしまったのです。排尿障害の治療と頻尿の治療で症状は軽快します。排尿障害の治療薬ユリーフ・シロドシンと頻尿の治療薬のべオーバ・ベタニスを服用すれば良いのです。PSA値は見事に下がります。前立腺が大きくなく、PSA値が高いと前立腺ガンと誤診されて、多くに人が針生検をされて、この患者さんのように辛い思いをしてしまうのです。

 

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